………
……

《サザナミ湾》


シロナ「遺跡はこの下だけど…」

紬梓「?」

シロナ「…気になることがあるわ」

紬「なんですか?」

シロナ「私たちがあのレンブって人に襲われたのは“ライモンシティ”でのことだった。その人がわざわざ“サザナミタウン”にまで来て、ポケモン解放をしていた…。
これがどういうことか分かる?」

梓「ええっと…」

紬「?」

シロナ「……プラズマ団が本格的に動き始めたということよ!」

紬梓「…!!」

梓「プラズマ団が…!」

紬「本格的に動き始めた!?」

シロナ「ええ。他の四天王が一緒にいなかったのも、恐らく地域ごとに団員たちが割り振られているんだと思うわ」

紬「地域ごとって…?」

シロナ「イッシュ地方は“ライモンシティ”から東と西に別れる。こちらは東側ね」

紬「唯ちゃんとりっちゃんの方が西側…」

シロナ「……考えてみたの、プラズマ団の行動から」

梓「なにをですか?」

シロナ「プラズマ団の最終的な目的地よ」

梓「そんなことがわかるんですか?」

シロナ「うん分かるわ…。
実はあるのよ。“ライモンシティ”から二つに別れた道が、また一つになる場所が!」

梓「!!」

紬「そ、それはどこですか…?」

シロナ「“チャンピオンロード”…いえ、もっと言えば……、
“ポケモンリーグ”!!」

紬梓「“ポケモンリーグ”…!!」

梓「そういえば、唯先輩たちも言っていました!
目指すは“ポケモンリーグ”だ、と!」

紬「プラズマ団の狙いは…“ポケモンリーグ”!!」

シロナ「…それを攻め落とすこと?
なんのためにかしら…」

梓「でも待ってください!
“ポケモンリーグ”には四天王とチャンピオンがいますけど、四天王はみなプラズマ団に属しています!! カトレアさんはスパイですけど…」

シロナ「今、“ポケモンリーグ”を守る人はチャンピオンしかいない…!」

紬梓「……!」

シロナ「…イッシュのチャンピオンは知っているし、相当の実力者よ。
でも、プラズマ団全員が攻め込んできたら…一人では対処しきれない!」

梓「つまり…、“ポケモンリーグ”を守る人が必要ということですね」

紬「カトレアさんたちの所へ戻る前に結論に至っちゃったわね…」

シロナ「私たちも“ポケモンリーグ”へ行って、プラズマ団から“ポケモンリーグ”を守りましょう!!」

紬梓「はい!!」

梓「じゃあ、そのことをカトレアさんたちにも伝えましょう!
私から言い出してアレですけど、遺跡に行ってる場合ではありません!」

シロナ「ううん。遺跡には行くわ」

紬「え…」

梓「な、なんでですか?」

シロナ「本格的に活動を始めたとしても、プラズマ団は何故ここへ四天王にまで向かわせたのかしら? ポケモン解放、ただそれだけのため?」

梓「それは…」

シロナ「なにか秘密があるんじゃないかしら? この“サザナミタウン”に」

紬梓「!」

シロナ「ここで一番怪しそうな場所が“かいていいせき”。滅多に人が訪れない所よ。なにかを隠すのなら絶好の場所じゃない?
もしプラズマ団に関しての秘密が隠されているとしたら、行ってみる価値はあると思うわ」

梓「なるほど、そうですね…」

紬「行きましょう、梓ちゃん!
最初から行くつもりだったんだから!」

梓「…はい!」

シロナ「決定ね。じゃあ、みずポケモンを用意して」

紬「ルカ!」ボム!

ルカ(オクタン)「オークタン!」

梓「トンちゃん!」ボム!

トンちゃん(プロトーガ)「プロー!」

シロナ「トリトドン!」ボム!

トリトドン「ポワ~!」グチョグチョグチョグチョ

シロナ「行くわよ、“かいていいせき”!!」

………
……

《かいていいせき》


プカ…

梓「ここが“かいていいせき”…」

紬「海に沈んでいる遺跡なんて、すごく神秘的ね」

シロナ「! 見て、二人とも!
なにかあるわ!」

紬「これは…」

梓「…例の石碑ですかね?」

シロナ「なにか書いてあるわ。古代の文字……」

梓「読めますか?」

シロナ「…ええ。所々にしか読めないけど…。
『王…、真実、人形…、理想、作った。』
ううん…。よく分からないわ」

梓「なんのことでしょうか?」

紬「うーん…」

…………
………
……

《イッシュ地方のどこか》


ザッザッ…

「やあ、準備はできたのかい?
…シルバー」

シルバー「…Nか。
もう準備はできた、あとは出発だけだ」

N「…それで、聞きたいことがあるんだけど」

シルバー「なんだ?」

N「なぜ彼女にこだわるのかな?」

シルバー「……。お前も同じだろ。
“真実”は“理想”に“理想”は“真実”に引き寄せられるのさ」

N「そうだね…。彼女たちは僕たちと同じ…、“真実”と“理想”のペアだね。
…でも、一つ違うところがある」

N「彼女たちは二人なんだ」

シルバー「……」

N「…じゃあ、頑張ってね。僕たちは英雄になる。
チャンピオンを倒し、世界に僕たちの強さを示し…、世界を変える」

シルバー「…ああ」

…………
………
……

《ネジやま》


「ふう…意外と疲れるのう」

「大丈夫ですか? アデクさん」

アデク「歳はとりたくないものだな、ハチクよ。“セッカシティ”からここまで来るのにも一苦労よ」

ハチク「ですが、そう弱音も吐いていられません。ここ“ネジやま”にプラズマ団の目撃情報があったのですから」

アデク「…しかし見当違いだったか。ここまでプラズマ団どころか、それといったトレーナーさえ見ていないからな」

ハチク「…ふむ。私にはこの山のどこかにプラズマ団がいると感じられるのですが…」

アデク「ああ、お前の心眼は頼りにしておる! もう少し探してみようか!」

ハチク「はい。
…そういえば、アデクさん」

アデク「む?」

ハチク「アデクさんはプラズマ団以外にも探しているものがあるようで…」

アデク「! …はっはっは! そんなことまで分かるか!」

ハチク「…」

アデク「まあ今はプラズマ団に集中だ! さあ行くぞ!」

ハチク「…はい」

タッ!




Episode.31 fin



Episode.32




《7ばんどうろ》


唯「ラー太! “はじけるほのお”っ!!」

ラー太「ラー!」ボウッ!

ハトーボー「ハァト!?」

ボワアアッ!!!!!!

ハトーボー「」ドサッ

トレーナー「ハトーボー!!」

唯「いいよ、ラー太! よくやったよ~!!」ナデナデ

ラー太「ラー♪」

律「あの蝋の体のどこを撫でてるんだ…。
…と、まあそれはいいとして。
唯、もうすぐ着くぞ」

唯「ふぇ? どこに?」

律「おいおい…言っただろ?
“7ばんどうろ”と“セッカシティ”を結ぶ場所、“ネジやま”だ!」

………
……

《ネジやま》


唯「ふぇ~! ここが“ネジやま”かあ!」

律「ここは入口だけどなー。
……ん?」

「とおっ!!!」ダッ!

唯律「…!?」

ドンッ!!!

「ふう…」キョロキョロ

「…ここにもいないか」

唯「あんな高いところから飛び降りてきたよ~!?」

律「つーか、あれは…」

唯律「アデクさん!!」

アデク「ぬ…、唯と律か!」

「大丈夫ですか? アデクさん」タタッ

律「!」

アデク「ハチクか。ここにはいないみたいだぞ」

唯「ハチク?」

ハチク「む、君たちは?」

唯「えっと…平沢唯です!」

律「田井中律です」

ハチク「! そうか、君たちがアロエやアーティが言っていた子たちだな」

唯「アロエさんとアーティさんを知ってるんですか?」

アデク「うむ。ハチクは“セッカシティ”のジムリーダーだ」

唯律「ジムリーダー!」

ハチク「ああ」

律「…って、ジムリーダーがこんなところで何をして?」

唯「あ、『ここにはいないみたいだぞ』…って」

ハチク「そう、探しているのだ」

アデク「…プラズマ団をな!」

唯律「…!」

律「プラズマ団!」

唯「っていうか、アデクさんはプラズマ団を知ってたんですか!?」

アデク「ああ。お前たちの活躍もな」

律「……。アデクさん、イッシュの四天王は…」

アデク「知っているさ。カトレアはどうとして、ギーマもシキミも…レンブも全員、七賢人になってしまったことはな」

ハチク「……」

唯「知ってたんですか…」

律「……」

律(十年前から思ってたけど、なんでアデクさんはプラズマ団について詳しいんだろ…?)

アデク「…プラズマ団を探しているというのはな。実はこの“ネジやま”にプラズマ団が現れたと報告があったのさ」

唯「プラズマ団が…」

ハチク「だから、私とアデクさんは“ネジやま”を見回っているのだ」

律「…よし」

ハチク「?」

律「プラズマ団がいるってんなら、私たちも探します!
なあ、唯!」

唯「うん、りっちゃん! またポケモン解放をしてるのかもしれない!」

アデク「ふ、頼もしいな。では共に進もう。
ここまではいなかったからな。また“セッカシティ”までの道を探してみるか」


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最終更新:2011年08月06日 00:23