Episode.37




《9ばんどうろ》


テクテク……

唯「ああ~! やっとここまで来たよ~…」

アララギパパ「長い道のりだったな。すっかり夜も明けてしまった」

唯「デパートも閉まってたし…」

アララギパパ「まあこんな朝早くからはやっておらんだろう。
…ふむ、もう少しで着くぞ。“ソウリュウシティ”だ!」

prrr…

アララギパパ「む!」

ピッ

アララギパパ「ん…ああ。ああ、わかった」ピッ

アララギパパ「……」

唯「どうしたんですか?」

アララギパパ「すまん、唯。私はソウリュウまで行けない」

唯「ええ!」

アララギパパ「ちと用があってな…。だがソウリュウはもう目と鼻の先だ! まっすぐ行けば着く!
それじゃあな!」

唯「あ、えっと…ありがとうございましたぁ!」

タッタッタ…

唯「どうしちゃったんだろう? …まあいいや! 早く行ってりっちゃんと合流しよう!」

………
……

《ソウリュウシティ》


唯「ここが“ソウリュウシティ”だねえ」

ザワザワ……

唯「…? なんだろう…人が大勢……」


ザワザワ……

唯「なにかな?」ヒョコッ

「「そうなのです!!!」」

唯「! あの人は…ゲーチスさん!?」

ゲーチス「我らが王、N様とシルバー様は伝説のポケモンと力をあわせ! 新しい理想の国をつくろうとなさっています!
これこそイッシュに伝わる英雄の建国伝説の再現!!」

ゲーチス「ポケモンは人間とは異なり未知の可能性を秘めた生き物なのです。我々が学ぶべきところを数多く持つ存在なのです。
その素晴らしさを認め、我々の支配から解放すべき存在なのです!」

ゲーチス「我々プラズマ団とともに新しい国を!
ポケモンも人もみんなが自由になれる新しい国をつくるため、みなさん、ポケモンを解き放ってください」

ゲーチス「…というところでワタクシ、ゲーチスの話を終わらせていただきます。
ご清聴感謝いたします」

ゲーチス「……」ザッザッ…


おじさん「ポケモンを解放しなくちゃならんのかねえ…」

おにいさん「理想の国か…どんなものなんだろう?」

おとこのこ「プラズマ団のおうさま! 英雄ってカッコイイなー!」


唯「…」

ザッ!

「嘘つきゲーチスめ!」

唯「アデクさん!」

アデク「なにが理想の国だ。なにが力を合わせるだ、解放だ…。
散々、各地方を騒がせたのはどこのどいつだ!!」

唯「……。りっちゃんはどこに?」

アデク「…律なら先にジムへ向かわせた。おぬしも後を追うといい」

唯「? アデクさんはどうするんですか?」

アデク「うむ、わしは用があってな。律にもそう言っておいた。
…では、ジムリーダーによろしくな」

唯「はい!」

アデク「…」ボム!

ウルガモス「モスー!」

タッ!

バサッバサッ……


prrr…

ピッ

アデク「わしだ」

アララギパパ『おお、アデク。アララギだ』

アデク「それで、あのポケモンたちを見つけたと聞いたが」

アララギパパ『あのじいさんから電話があってな…。
今度こそ、完全に姿を現したらしいぞ』

アララギパパ『せんぷうポケモン・トルネロスと、らいげきポケモン・ボルトロスが…!!』


………
……

《ソウリュウジム》


律「…………」

ハッハッ! シュビッシュビッ

ハッハッ! シュビッシュビッ

律「…………」

シャガ「…さあて、そなたもやってみるがいい」

律「無理だよッ!!」

シャガ「む?」

律「こんな…オノノクス、だっけ?
こんなゴツいのと闘り合える訳ないだろ!!」

シャガ「…このシャガは毎日やっていることだが。こんな年寄りにも出来るのだぞ?」

律「私、一応女の子だから! ウッフン!!」

シャガ「……そうか。なら仕方ないな」

律「ふう…」

シャガ「では、このジヘッドと」

ジヘッド「ジヘッ!」

律「だから無理だっつの!!」

シャガ「…何故だ? オノノクスと比べたら、大分マシではないか」

律「そもそも、人とポケモンが戦うこと自体が無理なんだよ!」

シャガ「むう…それはすまなかった……」

律「……」

シャガ「……」グスッ

律「ええ!?」

シャガ「…このシャガが間違っていたのぅ……」ズビッ

律「い、いや! あんたが悪いんじゃなくてな? ただちょっと、発想の違いっつうか…。
ていうか、こっちは教えてもらってる側だし!」アセアセ

シャガ「…」ショボン

律「…はは」

律(どうしたら……)

「はー、シャガさん相手にその口の利き方! なってないわねー」

律「…!」

アイリス「まったく、子供ねっ」

律「ア、アイリス!?」

アイリス「あんた、あれから成長してないのねー」

律「なんだと!?」

アイリス「やーね、そんなムキにならないでよ。子供ね」

律「…なんでアイリスがここにいるんだよ?」

アイリス「ん? 私がなんでここにいるかって?
知りたいの? まあ教えてあげてもいいけどー」

律(うぜえ…)

アイリス「いいでしょ、教えてあげる!
私がソウリュウジムのジムリーダーだからよっ!!」

律「………………………………………………………………は?」

アイリス「な、なによその目……信用してないわね!?」

律「いや、だってよ…。
ジムリーダーはシャガさんのはずだろ? なのにそんなこと言われたらな…」

アイリス「…私よりシャガさんの言うことを信じるのね?」

律「いや……でも、お前がジムリーダーって………………ぷっ」

アイリス「な、何よ何よ! 笑わなくたっていいじゃない!!」ムキー

律「ああ、ゴメンゴメン。つい………………ぷっ」

アイリス「むき~!!!」

アイリス「…いいわ。なら、私がジムリーダーだって……バトルで分からせてあげるわ!!」

律「へっ、かかってこいよ!」

アイリス「後悔しても知らないわよ!」

アイリス「行きなさい、エモンガ! ドドンがドーン!!」ボム!

エモンガ「エモエモ!」

律「! エモンガか…!」

律「カミツレとのバトルでは、すばやさが厄介だったな…。でもこっちにはフォウルがいるし、大丈…………ん?」

エモンガ「エモエモ!!」バタバタ!

アイリス「ち、ちょっとエモンガ! 暴れちゃダメー!!」

エモンガ「エモエモー!」バタバタ!

アイリス「コラー!!」

律「な、なんだ…?」

エモンガ「エモエモ!」ゲラゲラ

アイリス「…もういいわ、戻りなさい……」シクシク

シュウウッ…

律「…あの、アイリスさん?」

アイリス「…くっ……まだよ!
ドリュウズ! 出てきなさい!!」

律「ドリュウズ…! プラズマ団を一撃で倒したあのドリュウズか!!」

ボム!

ドリュウズ「……」ゴトッ…

律「……………」

アイリス「……………」

ドリュウズ「……」

律「………なにこれ?」ドリル?

アイリス「あの時は単に機嫌が良かっただけだったのね…」ガックシ

ドリュウズ「……」

アイリス「うう…ドリュウズ、戻りなさい……」ハァ

シュウウッ

律「ア、アイリス…もう……」

アイリス「うあー!! まだまだよ!!
キバゴ!」

キバゴ「キバー!」

アイリス「“りゅうのいかり”!!!」

キバゴ「キバー…!!」

カッ!!!!

ドオオオオオン!!!!!!!

プスプス…

アイリス「あはは…」ケホッ

キバゴ「キバ~…」バタリ

律「自爆かよ…」

アイリス「うう……」

シャガ「やはり、そなたは半人前だな」

アイリス「! シャガさん…」

律(復活した!)

シャガ「これではジムを継がせれんな」

律「やっぱり嘘だったのかよ!」

アイリス「あう…。う、嘘じゃないもん! 次期ジムリーダーだし!」

シャガ「いつになることやら、だな」

アイリス「…うぅ」

シャガ「とりあえず、律よ。稽古の続きをするとしよう」

律「あー…、はい」

ウィーン!

唯「たのもー!!」

シャガ「む」

律「唯!!」

唯「りっちゃん発見! …あれ? アイリスちゃん?」

アイリス「しくしく…」

律「あー、今は触れてやるな」

唯「??」

シャガ「…そなたが?」

唯「平沢唯ですっ」

シャガ「ソウリュウジムジムリーダーのシャガだ」

律「よし、唯も来たことだし!
シャガさん! 稽古を!」

シャガ「ああ、分かっている。
付いてきなさい」

………
……

《9ばんどうろ》


唯「“9ばんどうろ”……」

律「ここへなにしに? …つか、アイリスも来てるし」

アイリス「私が来ちゃいけないわけ!?」

シャガ「実際にここでなにかする訳ではない。この先の、ある場所へ行くのだ」

唯「ある場所?」

シャガ「“しゅぎょうのいわや”という所だ」

律「聞くからに、修業にぴったりな場所みたいだな」

シャガ「察しのとおり、そこでそなたたちを鍛えてやるのだ」

律「“しゅぎょうのいわや”かぁ…」


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最終更新:2011年08月07日 20:38