Last Episode..





―――少し時間は遡り、

《ハナダ洞窟》


シュンッ!

ケーシィ「ケー」

「……」スタッ

「ご苦労様です、ケーシィ」パシュッ

「……」キョロキョロ

「其処此処、瓦礫ばかりですね。今は無きハナダ洞窟の」

「さて…。ヨルノズク!」ボム!

ヨルノズク「ホー」キイイン……

ヨルノズク「!」ピクッ

シュビッ!

ヨルノズク「ホー!」

「そこですか。…サメハダー!」ボム!

サメハダー「サメハー!」

「指定場所半径一メートル以内にある瓦礫を無に帰しなさい!」

サメハダー「サメハー!!」

シュワアン!

ゴト……

「ふ、発見しました」

「……ぅ……ここは………」

「お目覚めですか、フジ博士」

フジ「アオギリ、か? 何故わしは生きている……?」

アオギリ「さてね、単に悪運が強いだけですか」

フジ「普通は死ぬはずじゃが……。それよりアオギリ、お前は何の用じゃ?」

アオギリ「ふふ、少し頼みがありましてね。私たちにしか出来ないこと……」

フジ「……?」



《ハナダ岬―マサキの家》


ピッピッ……

マサキ「もしもし、マユミはんにアズサはん? ああ久しぶりやな。ちょいと聞きたいことがあるんや。あのな……」

マサキ「……………………………」

マサキ「……そうか。いや、おおきにな。ああ…」

ピッ

マサキ「……くっ、あかん!」

カツラ「また、か?」

マサキ「はい…。なんも情報なしや……」

リラ「これでホウエン地方にも……」

マサキ「…ミズキはんやニシキにも聞いてみたんやけど、やっぱりなんも聞き出せへんかった……」

ミナキ「ホウエン、シンオウ、ナナシマ……それらのどこにもいないというのか」

ニャース「澪…」

カツラ「唯くん、律くん……」

ミナキ「いや! それならカントーやジョウトを!」

リラ「いやミナキ、その線は薄い。そんな近場に澪たちがいるとしたら、すぐに私たちの元へ来られるはずだ」

カツラ「…それに、カントーとジョウトは我々全員で隈なく探した」

ミナキ「……、」

ニャース「…ニャー」

マサキ「……っ」

カツラ「…すまないな、マサキくん。君にこんな事を頼んで。カントー・ジョウトを合わせて情報通で唯くんたちの知り合いは君くらいしかいないものだから」

マサキ「かまへんですよ、カツラはん。友達のためや。わいも同じ気持ちやから」

リラ「しかし、大体の地方には連絡をとった。もう他に地方は…」

マサキ「…! いや、可能性は十分ある!」ピッピッ…

リラ「…?」

カツラ「マサキくん、一体どこへ?」

ピッ

『はいはい、もしもし~?』

マサキ「! 出た…!」

『へ? あ…他地方から……。ええと…、こちらイッシュ地方サンヨウシティ研究所のショウロでーす』

皆「…!!」

カツラ「イッシュ地方だと…!」

ショウロ『あ、あのう…?』

マサキ「ああ、ショウロはん。わざわざ詳しい地名まで言ってもうておおきに」

ショウロ『ん? あれ。その凛々しい声に、コガネ弁……ま、まさか! マサキさん!?』

マサキ「おお、当たりや。流石やな。まあ面識はないけど」

ショウロ『マ、マサキさんが何故私なんかに電話を…!?』アタフタ

マサキ「すまんがあまり時間がないんや。単刀直入に…」

ショウロ『なななな、本物だー! ほ、本物のマサキさんだー!!』アタフタ

マサキ「いやな、ショウロはん。単刀直入に…」

ショウロ『いやあー奇跡は起こるんですね。この前も、マサキさんのご友人方が研究所にいらっしゃいましたし』

マサキ「だからな、ショウロはん。単刀直入に…………ん?」

ショウロ『へ?』

マサキ「い、今なんてゆうた!?」

ショウロ『え、え? 奇跡は起こるんですね、って…』

マサキ「その後や!」

ショウロ『えと…マサキさんのご友人方がいらっしゃいました、って…』

マサキ「!!」(わいはイッシュ地方に知り合いなんておらん。なら、その友人っちゅうのは…)

カツラ「もしや…!」

マサキ「で、そのわいの友人はどんな人やった?」

ショウロ『女の子の二人組で』

マサキ「ああ」

ショウロ『一人は黄色のカチューシャを付けて、もう一人は前髪を片方だけヘアピンで留めていました』

カツラ「…!」

マサキ「ほ、ほんで二人の名前は!?」

ショウロ『平沢唯さんと田井中律さん、って言ってましたけど…』

マサキ・カツラ・ミナキ「……!!」

マサキ「やっぱりや…!」

カツラ「唯くんと律くんは…」

ミナキ「イッシュ地方にいる!!」

リラ「そ、それで! 他にもう一人女の子を見かけなかったか?」

ショウロ『へ? だ、誰?』

リラ「誰でもいい! その二人の少女の他に…」

ニャース「黒髪ロングヘアーのにゃつがいなかったかニャ!?」

ショウロ『さ、さあ? 私が会ったのは二人だけですけど』

リラ「…そう、か」

ニャース「澪はどこへ行ってしまったのニャ…」

ショウロ『…澪。どこかで聞いたような……?』

リラ「!」

ニャース「知っているのかニャ!?」

ショウロ『う~ん……あ! 思い出しました!
私の同僚がその澪さんと友達で、確か街の外れで見たって…。あ、もちろん、イッシュ地方でですよ?』

ニャース「…!」

リラ「澪も、イッシュ地方に……!」

ミナキ「探している三人ともが遥か遠くのイッシュ地方にいるとは……」

マサキ「……」

マサキ「ショウロはん、貴重な話聞かせてもうておおきにや」

ショウロ『い、いえ! それほどでもっ。マサキさんのお役に立てたら良かったです!』

マサキ「ほんま助かったわ。今度お礼はきっちりさせてもらうさかい」

ショウロ『そ、そんなっ! いいですよ!』

マサキ「いや、それじゃあわいの気が済まへん。…っと、あまり時間がないんやった。また連絡とれたらとるから、今はこれで…」

バアンッ!

「待ちなさい!!」

マサキ「!!」

ショウロ『?』

ニャース「ニャ! おみゃーは!?」

「む、あなたがこんなところにいるとは」

ニャース「それはこっちのセリフニャ! アオギリ!!」

アオギリ「ふ…」

リラ「アオギリ、だと?」

ミナキ「! 青いバンダナ……まさか、こいつが…ホウエン地方で暗躍していた悪の組織の一つ、アクア団の総帥か!?」

アオギリ「その通りです」

リラ「…! 何故アクア団がここに!?」

アオギリ「同じ質問を何回もしないでください」

ニャース「さっさと答えるニャ!!」

アオギリ「まあまあ、まだゲストは全員じゃありませんから」

ニャース「ニャ…?」

ザッ……

フジ「…久しぶりじゃな、カツラくん。ニャース」

ニャース「にゃにゃ!?」

カツラ「フ、フジ…博士!?」

マサキ「あ、あのフジ老人や!」

カツラ「ど、どうして…」

フジ「ほっほ、わしが生きていたことが不満かな?」

カツラ「い、いやそんなはずは…!」

フジ「…カツラくん。今まですまなかったな。わしが間違っていたよ」

カツラ「いえ…。最後にはフジ博士は正気に戻ってくれました。またこうして会えて感激です…」

マサキ「よかったなあ、カツラはん…」グスッ

ニャース「事情は知らにゃいが、にゃーも泣けてきたのニャー」

カツラ「そうだ…、フジ博士。預かっていたものを」スッ

フジ「?」

ボム!

ロコン「コーン」

フジ「! ロコン…」

ロコン「コーン!」タタッ

フジ「……ロコンっ」

ロコン「コーン…」

パンパン!

アオギリ「さて、感動の再会もここまでにして」

ニャース「空気読めニャ!」

アオギリ「そうも言っていられないのですよ、我々も切羽詰まっていますから」

ニャース「ニャ…?」

アオギリ「今の話が本当なら、我々の予想はほとんど正解のようです」

マサキ「今の話、って…唯はんや律はんのことかいな?」

アオギリ「ええ、そうです」

カツラ「君たちの予想とは?」

アオギリ「これです」

ボム!

デオキシス「…」

マサキ「なっ!」

カツラ「馬鹿な! デオキシス!?
私が野生へ逃がしたはずなのに、何故…!」

アオギリ「もちろん、私が捕まえたのですよ」

カツラ「!!」

アオギリ「探すのに苦労しましたが、言葉が通じて助かりました。説得したら捕まってくれましたからね」

カツラ「説得…?」

アオギリ「ええ、内容は『ある悪の組織の野望を阻止したい。それにはお前の力が必要だ』です」

マサキ「ある悪の組織やと?」

アオギリ「プラズマ団、と呼ばれる組織を聞いたことはありませんか?」

皆「……」

アオギリ「ない、みたいですね。それはそうだ。何せ彼らの本拠地はイッシュ地方にあるのですから」

ニャース「イッシュ地方!?」

リラ「!」(先程の話…澪たちはイッシュ地方にいると……。この男の話はそれに繋がる…?)

リラ「く……何が狙いだ!?」

アオギリ「気が短いですね。まだ続きがあります」

アオギリ「そしてプラズマ団を探ることをデオキシスに手伝ってもらいました。デオキシスが持つ高い念視能力で、ね」

アオギリ「そしたら何と言うことでしょう。プラズマ団の本拠地の中に三人の少女の姿が確認されたではありませんか」

リラ「! まさか…!」

アオギリ「後からフジに確認した限りでは、その少女の内二人の名前が分かりました。そしてもう一人の少女は私は存じていました。
三人の少女は…平沢唯、田井中律、秋山澪

皆「!!」

カツラ「なんと…! 唯くんたちが悪の組織の本拠地に!?」

リラ「…くっ!」ダッ!

ミナキ「ど、どこへ行く! リラ!」

リラ「言うまでもない、イッシュ地方だ! こうしてはいられない…すぐにイッシュ地方へ行かなければ!!」

アオギリ「やめなさい!」

リラ「なに…?」

アオギリ「貴女、どこへ行く気ですか?」

リラ「どこへだと? さっきから何度も…イッシュ地方に決まっているだろう!」

アオギリ「だから、イッシュ地方のどこへ行くのですか?」

リラ「…!」

アオギリ「ふっ、本拠地の場所もまだ分かっていないのに、どこへ行こうとしていたのですかね」

リラ「…っ! じゃあ、直ぐに本拠地の場所を教えろ!!」

アオギリ「ふ……それを教えたところで、貴女に何が出来るというのです? ここからイッシュ地方へたどり着くまでの時間は膨大。間に合いません。どういう因果か知りませんが、三人の少女はプラズマ団と今まさに交戦真っ只中なのですから」

リラ「じゃあ…どうすれば……」

アオギリ「貴方たちに不可能でも、我々には可能です」

ニャース「ニャ…?」

アオギリ「ふ、ニャース。貴方が一番理解しているはずですがね。
私のケーシィ、世界中のどこにでも瞬時に行ける“テレポート”を持っています」

カツラ「“テレポート”…確かにそれを使えばイッシュ地方でもすぐに行ける」

マサキ「いや、そこやない! 問題は行く人間や!!
なんであんたらが行くんや!?」

アオギリ「何か企みがあるとでも言いたげですね。いえ、別に何も」

アオギリ「ですが、いずれにせよ、直ぐにイッシュ地方へ行くことが可能なのは我々しかいません。
それと、我々がイッシュ地方へ行くのはプラズマ団を阻止するため」

マサキ「…じゃあ、何のためにここへ来たんや……?」

アオギリ「ふ、ただやみくもに彼女らを探し回っている貴方たちが哀れだと思いましてね」

マサキ「……くっ、図星や」

アオギリ「では報告は終わりです。それでは…」

カツラ「待ってくれ!」

カツラ「一つ、頼みがあるんだ」

アオギリ「…」

マサキ「カツラはん?」

カツラ「君は悪の組織の総帥だという。そんな君に頼むのは気が引けるが、やむを得ない…」

カツラ「これを、唯くんたちに渡してやってくれ」スッ…

アオギリ「…これは?」

カツラ「彼女たちのモンスターボールだ」

ミナキ「んなっ…」

マサキ「アホな! そないなこと…」

カツラ「…仕方がないんだ。彼らしか瞬時にイッシュ地方へ行くことはできない。それに、唯くんたちが戦っているのなら、少しでも…彼女たちのためになるのなら…」

リラ「…そう、だな。色々と不満はあるが、今は彼らに托そう。…これは澪のモンスターボールだ」スッ…

マサキ「リラはん…」

カツラ「大丈夫だ、マサキくん。フジ博士だっているのだから」

マサキ「…そうやな、大丈夫やな……。じゃあ…頼んだで、あんたら!」

アオギリ「ふふ、もちろん」


……
………


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最終更新:2011年08月07日 21:05