『オメメサガール』の説明書を寝そべりながら眺める律をよそに
紬が口を開く
紬「だいぶ遅くなっちゃったわね」
澪「ごめん… もう帰っていいよ。だけど……!!」
唯「わかってるって。誰にも言わないよ」
梓「じゃ、とりあえず今日はここまでにしましょうか」
紬「明日また皆で解決案を練り直しましょう」
梓「律先輩行きますよ」
律「あ、あぁ、そうだな」
唯「じゃあね澪ちゃん」
4人が澪の家を後にする
梓「まさか、こんなことになっているとは」
唯「澪ちゃん可愛そう」
紬「私もあの立場だったら学校には行けないわ」
律「……」
唯「明日も澪ちゃんのために頑張ろうね。りっちゃん」
律「へっ? あぁ、そうだな」
梓「律先輩?」
律「悪い。私、澪の家に忘れ物しちゃった。みんな先帰っていてくれ」
律「じゃあ」
梓「ちょっと律先輩!?」
唯「行っちゃった」
紬「……」
唯「どうせすぐ戻るだろうからりっちゃん帰ってくるの待ってようか」
梓「そうですね。夜道一人は危ないと思うし」
紬「いえ、みんな帰りましょう」
唯「え~ せっかくだから待とうよ」
紬「ダメ、帰るの」
梓「ムギ先輩?」
紬「帰った方がきっといいわ。そう感じるの」
唯・梓「?」
唯「まぁ、そういうなら……」
梓「帰りましょうか」
紬(お願いね、りっちゃん……)
~~~~~~~~~~~
コンコン――
澪「ママ、入ってこないでって言ったでしょ!!」
律「私だよ、澪」
澪「律?」
ドアを開け、律を部屋に通す
澪「どうしたんだよ? 帰ったんじゃないのか?」
律「いや、ちょっと忘れ物をね」
澪「そんなものなかったと思うけど……」
律「澪の目を元に戻し忘れてるから来たのさ」
澪「それは今のところ無理じゃないか」
律「いや、私に一つだけ案がある」
律「説明書を見る限り、私の案は多分成功する…と思う」
澪「本当か!? どんな案なんだ!?」
律「まぁ待て、オメメサガールはあとどれくらい残ってる?」
澪「あと半分くらいかな」
律「セーフだな。全部使えば何とか」
澪「なんだよ、もったいぶらないでよ」
律「まぁ、慌てるな」
そう言いながらベットに腰掛ける
カチッ、カチッと時計の音だけが聞こえる
澪「? どうした改まって。早く教え……」
律「償うか?」
澪「えっ!?」
律「今までしてきた罪。償うなら教えてあげるよ」
澪「罪? 何のこと?」
律「……私たちに嘘ついてきただろ?」
澪「!!」
一瞬体中の血液が失ったような感覚に陥る
澪「ど、どういうことだよ」
律「このオメメサガール、喫茶店の茶封筒のお金で買っただろ?」
澪「!!」ビクッ
律「それなのに金額の捏造や交番に届けた。おばあちゃんから小遣い貰ったなどと」
律「嘘をつき通してきたな?」
澪「な、なんでわかった?」
手足が震える、動揺を隠しきれない澪
律「気づいてないかもしれないけど澪はみんなの前で嘘をつく時」
律「必ず一度私の顔を覗ってから嘘をつく癖があるんだよ」
澪「そんな……」
律「やっぱ無意識だったか」
律「友達だから黙ってたけどこの状況になって反省もしないで」
律「また元に戻り、のうのうと元の生活に戻るのは道徳的に良くないと思うからな」
律「だから反省し、償うというなら教えてあげるよ」
澪「うっ……」ポロポロ
律「みお?」
澪「うぅ、うわぁぁぁぁん」
泣きながら律に抱きつく
澪「ご、ごめんなさぁい。ホントは怖かったんだ。嘘をついてまで他人のお金を使うのが」
澪「でも、でも欲に負けちゃってぇぇ」
澪「もう怖がられるのは嫌だったんだよぉ」
律「澪……」
澪「反省する。反省するから助けてぇ」ポロポロ
大粒の涙を流しながら、必死に律にしがみつく
律「いたた… 苦しいって」
律「わかったよ。100%元に戻るかはわからないけど教えてやるよ」
澪「うっ、うっ、あ、ありがとう」
律「じゃあ、教えるぞ。おそらく……」
澪に策を教えてしばらく時間が立ち、夜も更け、さらに少しずつ空も明るくなってきた頃
澪「く、苦しいよ。律~」
律「ふはぁぁ、頑張れ、もうあと3時間くらいで学校だ。それまでの辛抱」
大きなあくびをしながら眠たそうな声で励ましをいれる律
澪「死ぬぅ、もう嫌~」
律「これまでの罪の重さだと思って我慢だ」
澪「うぅ~」
朝、学校
唯「み、澪ちゃん!?」
紬「それにりっちゃんも!?」
律「こういう真っ黒なクマが出来た澪も新鮮だよな」
澪「律こそ」
紬「二人とも寝てないの?」
唯「でも、澪ちゃんの目が元に戻っている!! いったい何があったの?」
澪「へへっ、それはね……」
さわ子「みんな、おはよう。あら、秋山さん久しぶりね。風邪は良くなった?」
澪「はい。心配かけてすみませんでした」
さわ子「いいのよ。それより手品はもういいの?」
澪「はい、もうこりごりです」
さわ子「ふふ、今のあなたクマだらけだけどその顔が一番素敵に感じるわ」
澪「? はぁ……」
さわ子「じゃあ、出席とるわ。皆席について」
唯「せっかく澪ちゃんから聞こうと思ったのに……」
澪「放課後まとめて話すよ」
放課後――
紬「お茶どうぞ~」
唯「じゃあ」
梓「聞きましょうか、治ったわけを」
澪「皆も知ってると思うけどあの後、律が戻ってきてね……」
~~~~~~~~~
律「100%元に戻るかはわからないけど教えてやるよ」
澪「ありがとう」
律「じゃあ、教えるぞ。おそらく……」
律「この説明書を見るとオメメサガールには重力をより援助する成分が含まれていて」
律「それで重力に耐えられなくなってタレ目になると書いてある」
澪「そうだな」
律「ってことは重力を逆にすればタレ目がツリ目になるような働きになるということだ」
澪「た、確かにそうだけど重力を逆にするなんて無理だろ」
律「そうだな。そんなの神にしかできない」
律「けど、澪一人だけなら重力を逆に出来るだろ?」
澪「えっ? どういうこと?」
律「逆立ちだよ。そうすれば一人逆になるだろ?」
律「つまり、目の上の部分にオメメサガールを残り半分全部塗り」
律「逆立ちして、重力を逆にすれば目は重力に伴って今度はつり上げてくれるってことだ」
澪「なるほどー それには気付かなかったな」
律「へへーん、どうだい」
澪「でもそれって……」
律「そうだな一晩中、逆立ちで過ごさなければならないということだ」
澪「そ、そんなの無理だー!! 寝れないじゃないか」
律「文句言うなってそれしか方法はないんだから」
律「ほら、オメメサガール塗ってやるからさ」
澪「はぁ……」
それからしばらく経って
澪「律、辛いよ。頭に血が上る~」
律「我慢、我慢」
澪「もうギブ~」
律「まだ初めて一時間だろ」
澪「律っ~!!!」
~~~~~~~~~~
澪「ってな感じで戻れたってわけ」
梓「なるほど律先輩の読みが当たったというわけですね」
律「どうだ、すごいだろ!?」
唯「でも戻ってよかったね」
澪「本当に良かったよ。でも眠たくて授業中寝てしまった……」
紬「梓ちゃんにも見せてあげたかったわ」
紬「澪ちゃん、りっちゃん、唯ちゃん三人そろって寝てる姿」
紬「すごくおもしろかったわ」
梓「唯先輩は関係ないのに」
唯「私にはこれが日常なのです!!」
梓「偉そうに言わないでください」
律「でもこれで一件落着して良かったよ」
梓「そうですね」
梓「でも、どうせなら全部使わないで少し残しておけば、ちょうど良いタレ目のまま」
梓「キープできたんじゃないですか?」
澪「あっ……」
律「いいじゃないか、ツリ目でも」
律「ツリ目だからダメなんていうやつはこっちからお断りしとけ」
紬「そうよ。今のままで澪ちゃんは良いのよ」
澪「そうかな……」
律・紬・唯・梓「そう(さ、よ、だよ、です)!!」
澪「みんな… ありがとう」
練習後――
律「みんなお疲れー」
唯「ねぇねぇ、今日はどこに行く?」
梓「そうですねー」
ガヤガヤ――
澪「なぁ、ムギお願いがあるんだけど」ひそひそ
紬「んっ? なあに?」
澪「実は……」
数日後
紬・澪「いらっしゃいませー!!」
紬「でも、澪ちゃんがまさかアルバイトをしたいなんて」
紬「なんでまた?」
澪「お金を返… じゃなくて人見知りを治したくてさ」
紬「偉いわ澪ちゃん!! ようし先輩としていっぱい教えてあげるね!!」
澪「そ、それはどうも……」
その3ヶ月後に桜が丘神社に9万8000円が何者かの手によって戻ってきたという
不可思議が
ニュースになるのはもう少し先のお話……
終わり
最終更新:2011年08月07日 22:53