梓「じゃないと唯にゃんって呼んじゃいますよ」
唯「えー、でもあずにゃんはあずにゃんだしなぁ……」
梓「あのね……一体私たちいくつだとおもってるんですか」
梓「はぁ……いい年してあずにゃんあずにゃんって」
唯「だってぇ……いまさら変えられないよー」
梓「あずにゃんなんて呼んでいいのは高校生のうちだけです!」
唯「むぅ……梓」
梓「!!」
唯「梓?」
梓「!!!!」
唯「これでいいのかなぁ」
梓「そ、そうです! それでいいんです!! それそれそれそれ!!!」
唯「でもなんかなぁ……しっくりこないっていうか」
唯「あ、もちろん『梓』があずにゃ…じゃなくて梓!のちゃんとした名前なんだから、そう呼ばないダメってことはわかってるんだけどさ」
唯「もう何年もあずにゃんって呼んでるから、なかなか難しい……感じ」
梓「そう言わずがんばってくださいよ」
唯「うん…………でも、なんで急に?」
梓「あ、それはですね……」
梓「唯先輩のせいでバカにされたんです……」
唯「えっ」
梓「大学の友達とかに……うぅ、思い出したくない」
唯「ご、ごめ~ん……」ションボリ
梓「……はぁ」
唯「ため息つかないでよぉ」
梓「食堂でも人目を気にせずあずにゃんあずにゃん」
梓「講義室でもあずにゃんあずにゃん」
梓「部室でもあずにゃんあずにゃん……」
梓「電車でも道端でもお店でも、どこであろうとそこらかしこで!」
唯「あずにゃんあずにゃん」
梓「あーーーもう!!!」
唯(げげ、怒ってるぅ……)
梓「ということで、あずにゃんは卒業です。いいですね?」
唯「……はい」
梓「あ、そうだ! いいこと思いつきました。これからあずにゃんって呼ぶたびに罰ゲームです!」
唯「え~~~!? ひどい~~!」
梓「別にひどくありません」
唯「し、して、あずにゃんやその罰ゲー……あ゛!!」
梓「……」ニコリ
梓「ほっぺたつねりとしっぺとデコピンどれがいいですか?」
唯「……じゃあほっぺたで」
梓「えへへ」ギュム
唯「あふにゃふうひのほうひあうんああいの」
梓「何いってるかわかりません」ギュギュー
唯「いひゃいいひゃいよぉ」
梓(なんかおもしろー)
梓「じゃあそろそろ私次の講義いってきますね?」
唯「おっけー。がんばってねー、寝ちゃだめだよー」
梓「唯先輩じゃないんですから」
唯「またお昼になったらメールするねー」
梓「はい」
講義中
梓「……」
<クスクス アズニャン
<センパイノ ペット ラシイヨ
<イイトシシテ、クスクス
梓(人の噂も七十五日……大丈夫大丈夫)
梓(はやくお昼ならないかな)
お昼
唯「やっほーあずにゃ~ん!」テケテケ
梓「げっ」
唯「あずにゃ~ん食堂いこー! それとも生協でなんか買うー?」
梓「……ほっぺただしてください。あとおでこも」
唯「ん?…………あぁ゛!! ごめんなさい!忘れてた!」
梓「……」
<デタ アズニャン!
<キャーアズニャンサーン
<キョウハ ネコミミ ナイノー? クスクス
唯「あ、そうだ! さっきねー、すごいおもしろい模様の鳥が歩いててね」
梓「聞いてませんはやく罰ゲームうけてください」
唯「……はい」
……
唯「やっぱり無理なんだよー」モグモグ
梓「そこをなんとか」
唯「あんまり気にしないほうがいいよ?」
梓「気にしますって……さっきも周囲の反応が……
梓「ほら、一応私たちって学内では有名人なんですから。お昼のライブとかよくするし……」
唯「私ならあだ名つけてもらえるの嬉しいけどなー」
唯「それにあだ名があったほうが知らない人でも親しみやすいっていうか」
唯「友達増えるよ? やったね!」
梓「絶対適当に言ってるでしょそれー」
唯「私もあだなとかほしかったよー」
唯「なんかない? 私のあだな」
梓「う~~ん……ゆ、ゆいゆいとか?」
唯「やだ」
梓「そうですよね」
唯「ほかになんかない?」
梓「すいません思いつきません。ていうか後輩にあだなつけさせるなんて、ちょっと酷ですよ」
唯「ほら、あだ名ってすごいでしょ? だから大事にしなさい、ね?」ポンッ
梓(絶対矯正するのめんどくさがってる……)
唯「なによりもあずにゃんはあずにゃんだよ!」
梓(意味わからないこといって適当に流そうとしてる……)
唯「ほらっ、ご飯さめちゃうよあずにゃん!」ニコッ
<クスクス
梓「……」
唯「あずにゃん?」
梓「だめですーーー!!!」バビューン
唯「うわっ」
梓「あずにゃんって呼ぶのは禁止! 絶対禁止!!」
梓「抱きつきも禁止! わかりましたか!!」
唯「えーん、あずにゃんが怒ったー」
……
律「おわっ! なんだ唯そのほっぺた」
唯「……うぅ」ヒリヒリ
澪「おたふく風邪か!? 病院か!?」
唯「ちがうよぉ」
紬「冷やすの!? 温めるの!? どっちなの!?」オロオロ
律「なにがあったんだよ」
唯「たてたてよこよこされました」
律「は?」
唯「まるかいてまるかいてまるかいてちょん! ってあずにゃんに……痛いのに」
律「ふーん」
澪「梓は?」
律「梓は? 今日まだ講義あるっけ?」
紬「梓ちゃんの分ケーキどうしよう」
唯「……はぁ」
唯「みんないいなぁ……」
澪「? ケーキは唯の分も当然あるけど」
唯「そうじゃなくてさ、自然に梓って呼べていいなぁって」
律「へ?」
唯「あずにゃ……梓はあずにゃんって呼ばれたくないんだよ……」シクシク
律「わっけわかんねぇ」
紬「とりあえず紅茶のも? ね? 何があったかちゃんと聞いてあげるから」
唯「いただきます」
……
唯「ふー、このモンブランおいしいね!」
紬「おいしい? 良かった」
澪「よし、梓くるまでの間練習するか」
律「だな」
唯「おー! ってあー違う違う、違うよぉ!」
律「そだった話を聞くんだったな」
唯「……」キョロキョロ
澪「どうした?」
唯「いまはいないからいっか。あのね、あずにゃんが……あずにゃんって呼ぶと怒るんだよ!」
律「ほーそれはそれは」
澪「そうかもな。そういう気分の時もあるかもしれない」
紬「唯ちゃんもう一杯紅茶いっとく?」
律「よーしじゃあそれ飲んだら練習なー」
唯「ちょっとみんな!! こちとら超大真面目だよ!! めんどくさがらないでよ!」
澪「じゃあ呼ばなければいいんじゃないか?」
唯「それが難しくってさ」
律「?」
唯「習慣ってなかなか変えれないよ」
紬「というと?」
唯「私ずーーっとあずにゃんって呼んできたんだもん。いまさら変えるなんて……」
紬「なるほどー」
澪「うーん、わからなくもないかな」
律「私はわかんね」
唯「例えばさー、りっちゃんは澪ちゃんのこといまからみおりんって呼べる?」
澪「えっ、え?」
律「あーよゆーよゆー」
律「よぉみおりん!」
澪「よせ」
律「なんだよみおり~ん」ムニュ
澪「帰れ」
律「つれないなぁみおりんは~そんなんじゃ嫌われるぞ~?」ウリウリ
澪「……うるさいなぁ……ぴ、ぴかりん!」
律「あ? ぴかりんって何のことだふざけんなよみおりん。せめて、せめて名前からだな」
澪「ぴかりんぴかりん!」
紬「ねぇ私にもあだな! あだなほしい!」
唯「えーと、じゃあムギちゃんはー」
唯「む、む……」
唯(なんもおもいつかない……)
紬「むぎゅっぺがいい!」
唯「自分で名乗るの!?」
澪「っと、脱線してる。話を戻そう」
律「みおりん今日の夕飯さー」
澪「!」ガッ
律「いへっ」
紬「誰も呼んでくれない……せっかく、せっかく名乗ったのに……」
唯「……」
紬「誰も呼んでくれないの……?」チラッ
唯「……えー、っとその。あずにゃんはね、あずにゃんって呼ばれるのが恥ずかしいんだって」
紬「……」
澪「恥ずかしいってなんだかいまさらだな」
律「そうだよなぁ。さんざんいままで呼ばれてるから慣れてるだろ?」
唯「ううん。どうも周りが気になるんだってー。変なの」
澪「まわり? あぁ、そっか、もう大学生だもんな」
律「なるほど、梓としては心機一転したいわけだ」
唯「そんなものなの?」
紬「……」チラッ チラチラ
澪「むぎゅっぺ」
紬「えへへ、みおりん♪」
澪「それはやめてくれ」
律「まぁ梓も高校生のイメージひっぱりたくないんだろうな」
唯「それって?」
律「私がカチューシャ外したような、そんな感じ? やっぱいつまでもお子様っぽく他人の目に映るのは嫌じゃないか?」
紬「なるほどー」
澪「私もばっさり髪の毛切ろうかな」
唯「それは!」
紬「だめ!」
律「禁止!」
澪「えっ。あ、じゃあやめとく。ていうか冗談だけど」
唯「みんな結構変わりたい願望あるんだねー」
律「とくに梓はなー」
唯「?」
律「ほら、あいつ全然背のびなくてちっこいし。当然背以外もな」
澪「髪型はちょこちょこ変えてるけどやっぱり幼顔だからな梓は」
紬「うん、中学生くらい見える……ことも」
唯「……そっかぁ」
紬「も、もちろんそれは梓ちゃんのいいとこだけど!」
唯「あずにゃんも大人になりたいんだ……気づかなかったよ」
唯「私はダメな先輩だなぁ。子供だよ私……」
最終更新:2011年08月12日 21:57