律「いや、ちょっとまてまてまて!なんで私がお前を抱く前提なんだよ」

梓「だって私ネコですし」

律「猫?あぁ・・・まぁたしかにお前は猫っぽいけど」

梓「ですかね?まぁ、まだ人と突きあったことないんで正直なとこわからないんですけど」

律「ん?いや、・・・別に人と付き合わなくても梓は猫っぽいとこあるっていうか。見た目のまんまっていうか」

梓「え?見た目のまんま!?先輩私をそんな目で見てたんですか!?」キャー

律「え?え?なんで照れられてるのかわけわかないんだけど」

律「つーか、そろそろ降りてくれ!!足がしびれて限界なんだ!!」

梓「えー・・・どうしようかな~」

律「ちょ、おまえ・・・どけって・・・」

梓「私と付き合ってくれたらどいてあげます」ニッコリ

律「ダメ、そういうのはなし」

梓「え~。でも、私がどかない限り、先輩足、しびれたまんまですよ?」

律「って、そういいながら足を背中にまわしてんじゃねーよ」

梓「だって、先輩が付き合ってくれないから」

律「お前・・・たとえば私が今、足のしびれのために付き合うって了解して、果たしてそれでいいのか?」

梓「え・・・?」

律「だから、私の気持ちが 足の痺れからの開放>梓への気持ち でもいいのかってきいてんの」

梓「・・・」

梓「・・・」

梓「・・・」

梓「それは、やです」

律「だろ?」

梓「で、でもっ!」

律「ん?」

梓「じゃないと・・・そうしないと・・・先輩・・・私と付き合ってくれないから・・・」

梓「・・・また、遠くにいっちゃうから・・・いつでも会えなくなるから・・・」

律「・・・」

梓「付き合ってくれなくてもいいけど、そういうのは、やです。先輩に会いたくなったときに会いたいです」グスッ

律「・・・べつに会いたいなら会うよ。そう素直に言ってくれればさ」

梓「え・・・本当ですか?」

律「うん。今日みたいに無理やりはいやだけど、ちゃんと約束とかしてくれればちゃんと会いにくるよ」

梓「・・・先輩」

律「もちろん、急にだって別に会いにいくけどさ・・・どうせ私、ヒマだし」

梓「あ、ヒマそうですもんね、先輩」

律「おい」

梓「いや、先輩がっていうか、大学生ってヒマそうっていうか・・・」

律「あー・・まぁ、たしかにな。つーか、そのだから、とりあえずだな」

梓「?」

律「私のうえからどいてくれっ!!」

律「あー・・・足が・・・感覚がない」

梓「すいません」ツンツン

律「すいませんって言いながらツンツンすんなよ・・・感覚がないっていってもくすぐったいんだから」

梓「ふふふ・・・」ツンツン

律「あー・・・もういいや、今日のお前、なに言ってもだめそう」

梓「ねぇ、先輩」ツンツン

律「なんですか、後輩」

梓「好きですよ」

律「そうですか。そいつはごめんなさいね。その気持ちにはお答えできません」

梓「でも、好きですよ」ツンツン

律「でも、どうしようもないですから。こればかりは」

梓「それでも好きですよ」ツンツン

律「どうせ一時の気の迷いだよ。女子高だから雰囲気に気負けしてるだけだって」

梓「そうだったとしても、律先輩のこと、私が好きなことは事実ですから」ツンツン

律「・・・散々人のこと、田舎臭いだの、カチューシャ似合わないだの言ったくせに」

梓「そんなの一種の照れ隠しですって・・・」ツンツン

律「あんなのが照れ隠しならこの世からいじめって消えてると思うな」

梓「他人に対しての劣悪な気持ちと私の恋心を一緒にしないでくださいよ」ツンツン

律「んなこといったって・・・」

梓「・・・一緒に居たいんです・・・律先輩と」

律「なんで私なんだよ・・・」

梓「先輩は男の子を好きになったときに、『どうしてこの人なんだろう』っていちいち考えるんですか?」

律「いや、・・・べつに・・・好きになったから好きになったっていうか」

梓「ですよね」

律「あぁ・・・まぁ・・・(本当はいままで人好きになったことないけど)」

梓「それと一緒なんです。私たちも。恋心の前では男だから、女だからって関係ないんです」

梓「だって、同じ人間なんですから。深層心理の原理なんて似たような構造ですよ。分泌されるホルモンとかが違うだけで」

律「いや・・・そんな小難しい話されてもわかんないんだけどな・・・」

梓「もう・・・本当に大学いってるんですか?」

律「残念ながら、こんな頭でもいってますーー」

梓「・・・とにかく好きな人と一緒にいたいって気持ちは男女の恋愛で大差ないですから」

律「・・・」

梓「そこをわかってください・・・」

梓「そして、私と付き合ってください」

律「だからなんで妙に強引なんだよ、せっかくなんだかいい話だったのに!!」

梓「だって、先輩にぶいから!!鈍感だから!!カチューシャ大学でもしちゃうくらいセンスないから」

律「センスない・・・っ!!おまえ・・・!!私のラブリーチャーミーなワンポイントをセンスないって!!」

梓「センスないじゃないですかっ!!カチューシャとったほうがこんなにこんなにこんなにこんなーに先輩は魅力的なのにっ!!!」

律「ぶっ!?///」

梓「もう・・・!!!すっごい好きなんだもん!!!合宿でカチューシャとったの見てからすっごい大好きなんだもん!!!」

律「ちょ、おまっ!!大声でそ、そんなこと叫ぶなっ!!!私がはずかしいっ!!///」

梓「叫ぶのやめたら付き合ってくれますか?一緒にいてくれますか?」

律「いや、だからそういうのはダメだって、てか、話がループしてるっての」

梓「でもっ・・・でも・・・っ!!」

律「・・・はぁ・・・ったく」

コツン

梓「あた」

律「少しは落ち着け」

梓「・・・」

梓「うぅう・・・」

律「・・・・」

律「まぁ・・・なんつーかさ、ほら、あれだな?」ポリポリ

梓「・・・なんですか?」

律「正直、人に好きって言われるのって、女の子からでも結構嬉しい・・・もんだな」

梓「そうなんですか?」

律「おう。そりゃー、だって、梓、人に『嫌い』って言われるよりはやっぱ『好き』って言われたいだろ、誰しも」

梓「はい・・・そうですね」

律「まぁ、恋愛は、その『好き』って言葉を言われることそれ自体じゃなくて」

律「『好き』って言葉を誰に言われるかが重要だろうけどさっ」

梓「はい・・・ですね」

律「お前はさ」

梓「はい?」

律「なんていうか、好奇心で聞くけどそこはかんべんだからな。私はそういうの、あんまり詳しくないから」

梓「・・・はい?なんですか?」

律「えっと・・・その、さ」

梓「?」

律「梓は私にそういう意味で好きって言ってもらいたいのか?」

律「それともそんな気持ちがなくてもいいからとにかく付き合ってほしいのか?」

梓「・・・」

律「どっちなんだ?」

梓「・・・」

梓「・・・両方です」

律「両方って・・・」

梓「だって、そういう意味で好きって言ってもらって、付き合ってくれるのが一番いいですもん」

律「あぁ・・・まぁ・・・そりゃ、たしかにな・・・」

梓「・・・ひきます?こんなこと言って」

律「いや、今日のお前には何かとげんなりしてるからいまさらだから大丈夫」

梓「そうですか・・・久しぶりに律先輩に会えたからなんだかテンションあがちゃって」

律「テンションあがってくれるのは嬉しいけど、人として最低限のルールは護ってくれ」

梓「だって。正直半信半疑でしたし。きてくれるかどうか・・・」

律「・・・」

梓「それが、メールしてから結構すぐに息切らしてきてくれるんだから」

梓「舞いあがっちゃうのも当たり前じゃないですか・・・」

律「・・・」

律(・・・まぁさ、梓、かわいいとは思うけどさ)

律(そういうもんじゃないじゃん・・・実際)チラッ

梓「・・・」

律(だいいち、先輩、後輩ですってー)

律(・・・)

律「・・・ん?」

梓「どうしました?」

律「あ、・・・いや、・・・その」

梓「?」

律(あれ?もしかして私。先輩後輩だからって遠慮してたりとかするのかな?)

律「・・・」

律(いや、だがしかし、そんな簡単なことで私の中の常識は簡単にぶち壊れてしまうものなのか?)

律(私は女で、相手も女だぞっ!?)

律(で、でも・・・)

梓「・・・」

律(梓の言葉をかりたら、梓のこんな悲しい顔を見たくないと思う私は紛れもない事実だ)

律(・・・)

律「あーーーー!!!」

梓「うわっ!?」ビクッ

律(・・・ドラマーはアドリブができてなんぼのもんじゃい!!!)

律「壊れるなら壊れてしまえホトトトギスっ!」

梓「え・・な、なんですか、いきなり・・・ホトトギス?」

律「あのさ、梓」

梓「え?あ、・・・は、はい」

律「やっぱ、梓と付き合うのはむりっ!」

梓「・・・」

梓「・・・はい・・・ですよね・・・」

律「でも、そういう風に悲しい顔されるほうが私的にはもっとむりっ!!」

梓「え・・・?」

律「だから、私とまず友達になろう!!そこからはじめてくれ!!」

梓「え・・・と、ともだち?」

律「そうだ!!友達だ!!あれだ、梓と憂ちゃんの関係だ!!」

梓「いや・・・それはわかりますけど・・・でも・・・」

律「ん?なんだ?私と友達になるのいやだってか!?」

梓「いや、そういうわけじゃ・・・友達になれるのは・・・嬉しいですけど・・・」

律「なんだよ」

梓「あの・・・つまり、私・・・律先輩にフラれたんですかね?てか、フラれたんですよね」

律「・・・」

律「しらん!こういうのがフルっていうことならそう思っておけばいいだろ」

梓「え・・・?」

律「私はお前のために自分の中の常識をぶっ壊すよ」

律「だって、今までの私の常識の範囲外に梓っているんだもん。わけわかんねーよ」

梓「・・・」

律「今までのものさしじゃ計れないんだ。お前みたいな女を好きになるやつ、私のそばにいなかった」

律「だから、お前のために一回私の中の常識をチャラにする。で、梓とは友達からはじめてみる」

梓「・・・」

律「私が自分の中の常識をぶっ壊すんだ。お前もぶっ壊せ。一般常識で私と梓の関係を決めるな!!」

梓「・・・」

律「私は梓をフラない。でも、付き合いもしない」

律「でも、そばにいる。会いたくなったいくらでも駆けつけてやる」

梓「・・・」

律「私はバカだから、梓みたいな人の世界を知らない」

律「偏見はもちたくないけど、1人で調べて信憑性の低いネットの情報で惑わされるのも癪に障る」

梓「・・・」

律「だから、色々と教えてくれ。お前が私に教えてくれ」

律「そしたら・・・ちゃんと返事をするから・・・・」

律「今はそれでかんべんだ、梓」ヘヘヘ

梓「りつ・・・先輩・・・」ブワッ

律「ちょ!?おまえ・・・なんでなくんだよ!?」

梓「う、・・・な、ないてなんかないです!!これは愛液です」ウゥウウ

律「え・・・いや・・・それはちょっと・・・」

梓「せんぱい・・・ほんとう、田舎くさい・・・冗談ですってば」グスッ

律「おう。まだ言うか。てかやっぱだめか?こんなあいまいな考えは世間じゃ甘ちゃんか?」

梓「なんですか・・・それ・・・」

律「だって、梓泣くから・・・」

梓「・・・友達から、お願いします」

律「へ?いいの?」

梓「え?なんで先輩が不安げなんですか?」

律「いや・・・断られるかなぁ~って思ってたから。そっか、いいのか」

梓「私が、先輩の言ったこと、断れるわけないじゃないですか。・・・・こんなに好きなのに」

律「ぐっ・・・っとまー、そういう不意うちはやめような、梓ァ」

梓「えへへ・・・大好き、りっちゃん」グスッ

律「・・・いきなりりっちゃんですかい」

梓「だって、友達でしょ?」

律「まぁ、そうだけどさ」

きんこんかーんこーん

律「あ・・・これ・・・」

梓「完全下校のチャイム・・・」

律「・・・・帰るか」

梓「うん・・・送ってって」

律「・・・うはぁ・・・それは友達の役割?」

梓「私の常識の中では」

律「・・・なら・・・しかたないか・・・・」

梓「いいの?」

律「いいよ、友達だから」

梓「そっか」エヘヘ

律(嬉しそうだな・・・)

律「・・・」トボトボ

梓「・・・」トボトボ

律「なぁ、知ってる?」

梓「なに?」

律「私、今日誕生日なんだ、これでも」

梓「うん・・・知ってる」

律「まじかよ・・・じゃあ、なんで『おめでとう』とかいってくれないの?」

梓「言ってほしいの?」

律「う~ん。正直言うとさ、今日祝ってくれるのかと思って急いできた」

梓「」

梓「だから息きらしてたの・・・」

律「そゆこと・・・」

梓「・・・はあ」

律「露骨にため息つくなよ」

梓「私だって本当は・・・あんなにテンション高くなってなければ本当は・・・」ガサゴソ

律「え?」

梓「はい、これ」スッ

律「え、え、え??」

梓「誕生日プレゼント・・・です」

律「え・・・マジで?」

梓「・・・マジです」

律「あ、・・・ありが、とう」

梓「あんまり自信ないから、家帰ってからあけてね?」

律「あ、うん。そうする・・・」

律「・・・」

梓「・・・」


律「なんていうか・・・手つなごうか?」

梓「え?なにいきなり」

律「いや、・・・なんか思わぬプレゼントもらったから・・・サービス?」

梓「人の気持ちもてあそぶならやめてほしいなぁ」

律「あー・・・じゃあ、別にいいんんだけどね。うん、本当に。感謝の気持ちだったんだけど。まぁ、いいわ」

梓「・・・本当につないでいいの?」

律「別にいいけど・・・梓がうれしいなら」

梓「じゃあ・・・」

ぎゅ

梓「えへへ・・・」

律「うわ、手ちっさ!それに汗ばんでるし!!やっぱ手はなしていい?」



おわり



最終更新:2011年08月21日 21:20