梓母「……ここから先はひとりごとなんですけど」

梓母「……梓は、ずっと不登校でして」

梓母「理由はわかりません」

梓母「家にいてもギターばっかり弄って。あんまり勉強しなくて、当然内申点もありません」

梓母「でも高校だけはせめてでておいてほしかったから」

梓母「半分無理やり、近くの私立の高校にいれたんです」


律「……パネェっすね」

梓母「ごめんなさいね。おばさんはそろそろ戻ります」

梓母「梓と仲良くしてくれてありがとう」

梓母「あの子、部活に入ってから毎日ちゃんと笑うようになりました」

梓母「きっとみなさんのおかげなんですよね」

梓母「また、いつでもいらしてくださいね。おいしいケーキを用意してますので」

梓母「あ、それと、いまのひとりごとだからね。聞き流してね?」

唯「……ウィっす」

澪「……梓」

紬「……不良じゃなくてもいろいろあるのね」


……


梓「ただいま戻りました!」

律「お、てめぇおっせぇんだよマッハって言ったろうが」

澪「おいメロンパンは?」

梓「ありません」

澪「チッ、気きかせろよコーハイがぁ……」

紬「梓ちゃんもスマブラする系?」

唯「やろうぜ、軽音部一武道会だ……」

梓「言っときますけど私負けませんよ?」

律「は? いい根性してんじゃねぇか!! てめぇ負けたら罰ゲームな」

梓「えっ」

唯「生徒会に突撃、眼鏡ボコって予算まきあげてこい」

梓「それは嫌です (TωT)」

唯「……フッ」


……


【夏休み】


梓「んー! いい天気!」

梓「お母さん。いまから先輩たちと練習してくる!」

梓母「どこまでいくの?」

梓「私立図書館の上にね、市民スタジオがあるからそこ借りてるの」

梓母「うふふ、がんばってね」

梓「うん!」


梓(みんなやっとのこさ形になってきたし、なんとか間に合いそうかな)

梓(アメリカンなんとかなんとかは知らないけど、生徒会に処刑されるのは嫌だもんね)

梓(これで合宿もいけたら最高だったのになー)

梓(てか先輩たち結局あんまりウチこなかったな……あれでも遠慮って気持ちはあるのかなw)

梓(こられても困るけどww)


梓「あっつー……殺人的な暑さだ……」

梓「きっと今頃みんな『あちぃんだよボコすぞ太陽コラァ』とか言ってんだろうなー」

梓「すぐそこだけど、コンビニでお茶かなんか買っていってあげよ♪」

梓「『気が効くじゃねぇかてめぇ!』なんて言われたりしてwwうふふ」


ピロリロリローン

梓「~♪」ニコニコ


女A「……ネェ、アレ」 ヒソヒソ

女B「……w」 ヒソヒソ

女C「……クク」


梓「……唯先輩はジュースよりアイスがいいかな? 澪先輩は……メロンパンかってくか」

梓「律先輩は麦茶でー……ムギ先輩は……野菜ジュースでいいや♪」


店員「ありゃりゃしたー」


女A「ねぇwwそこのあんた」

梓「……?」

女B「中野?wwだよね」

梓「えっ……」

女C「クク……何してんのひきこもりのくせに」

梓「あ……あんたたち……って」

女A「背中のそれ何?wwもしかしてギター?」

女B「やばキモだし、ギャハハハ」

女C「ウケルー」

梓「か、関係ないでしょ……私もう行くから……」

女A「ねぇ中野。あたしら今日は暇なんだけどさー、久しぶりに遊ばない?」

梓「えっ」

女A「 ひ さ し ぶ り に ♪ 」

梓「あ、あのっ、痛っ、どこ連れてくのっ」

女B「行こうよ行こうよー。久しぶりに会えてうれしーwww」



【路地裏】


梓「っ……痛っ」

女A「へーコレがギターか。生で初めて触った」

梓「さ、触らないで!」

女B「は?」

女C「ウケルンデスケド」

女A「ベンベンっとね? ど? カッコイイ?」

女B「こいつが持つより似合ってんよww」

梓「やめてよ!! 返して!!」

女C「カエシテ! だってさー」クスクス

女A「いまさー、金困ってんだよねぇ」

梓「!」

女A「ちょっとこの夏遊びすぎた? みたいなwww」

女B「ねぇ中野ぉ。このギターさぁ……売ったらいくらくらいになる?」

梓「やだ……やめて……」

女A「じゃねーん♪ また遊ぼうねー中野さーん」

梓「返して……私の……ギター……」

女B「しつけぇな!」ペチン

梓「ッ……」

女C「グーパンじゃねーだけありがたく思いな」

女C「それともなにか?小中学校んときみたいにいっとくか??」

梓「ひっ……」

女A「クク、へたれなのはかわってねーか。お前は成長しねぇなひきこもり」

女B「たまに外でてこれじゃそりゃあねwww」

女C「Bちゃんひどすぎwwwプエッ」

梓「……うぅ」

梓(私は……私は……)

女A「でさーヒキちゃんは今ガッコいってんの? いってるわけないかww」

女B「こんなやつ誰も相手してくれないっしょww」

梓「学校……いってるもん」

女A「あーはいはいすごいねー」

女B「あたしらどこだとおもう? S公立高校www」

女C「……クク、あんたとは頭の良さが違うんだよ」

梓「……」

女A「で、どこ?ww言えないくらい恥ずかしいとこ?ww」

梓「……さ、さく」

女A「あぁ?聞こえないんですけどー?」ガシッ

梓「うっ、クルシ……」

女A「言ってみろよ底辺女! てめぇのアホ高のダチもまとめてカモってやるよぉww」

梓「う……ゲホ」

女A「おら言えや!!」


唯「教えてやるよ……桜が丘高校って言うんだ……」コツコツ


梓「あ……ゲホ……唯……センパ」


女A「……は? 誰だよてめぇ」

女B「桜が丘って……言ったか」

女C「……おい中野ぉ!!」


唯「それ以上はよせよ……」

梓「唯先輩……唯先輩!」

律「あたしもいるぜ」コツコツ シャキン

澪「クク……梓ぁ、遅刻してんじゃねぇぞコラァ」

紬「罰金1兆円な」

女A「なっ、逆からも!? ふさがれた……!?」

女B「だれなんだよてめぇらはぁ!!」


唯「放課後ティータイムだ……」


女C「あぁ? ふざけたこといってんじゃ」

唯「あ゛?」

女C「ひっ」ゾクッ


女A「桜が丘高校って言やぁ……」

女B「ま、まさか……血の桜が丘!?」

梓「……」

律「そろそろ離してやれよ。それ、そんなでもウチのヘッドなんだよ」

女A「う、うっせぇええ! しゃしゃり出てくんじゃねぇ」

女B「そうだそうだ! これはあたしらと中野の……」

律「あああん??」

女A「ク、なんだこの胆はふざけんな……ッ」ブルブル

律「それともなにか? てめぇらの血で……来年はもっと綺麗な桜咲かせてやろうか?」ギラリ

女B「や、やべぇこの女トンでる……」

澪「……フッ。さっさと消えろチンピラども。こいつらの気は早いぞ」

紬「うふふふふ、あなたたち。特別に歓迎してやってもいいのよ?」

   ティータイム
紬「処刑時間になぁ!!!」

女共「ひいいいい!!」


女A「覚えてろよ!」

律「ハハッいつでも相手になるぜ」

女B「ぜってぇ潰す!」

女C「てめぇらの学校のセンコーに言いつけっからな!」

澪「はぁ?ww」

唯「帰れ帰れ。なんにせよ血をみるのはてめぇらだ」


梓「……」

梓「……あ、ありがとうございます」

紬「怪我ない?」

梓「大丈夫です」

唯「唇の端、ちょっと切ってるな。あずにゃん平気か?」

梓「大丈夫です!」

唯「そっか……よかった……」

梓「……あ、う……先輩方……」

梓「そ、そうだ私! コンビニでジュースとか買って!」

澪「ほぉ、気が利くじゃねぇか。ちょうど喉渇いてたんだ」

梓「澪先輩にはメロンパンですけど……」オズオズ

澪「てめぇ……」

梓「はい、律先輩! 麦茶です!」

律「へへ、わりぃな」

梓「ムギ先輩には野菜ジュースです! お野菜好きですよね!」

紬「あ、あんがと……」

紬(別に好きで野草くってるわけじゃないけどな……)

梓「唯先輩には……あっ!」

梓「ご、ごめんなさい……アイス……とけちゃ……って」

梓「うぅ……」グス

梓「私……ほんと、ほんとに弱くて……私って……いつもだめだめ、ひっく、グス」

唯「……」

梓「うぅ……うぇぇえん……怖かった……怖かったよぉ……」

唯「……あずにゃんよぉ」

梓「ごめんなさい唯先輩! アイス……ダメにしちゃって」

唯「いいって……無事でよかった……」

梓「……唯先輩」

唯「アイスは時間が経つと溶けちゃうけども……私らの絆は永遠に溶けやしねぇよ……」

唯「そうだろ……?」ニカッ

梓「唯先輩……!」ギュ

唯「ケッ、真夏にこれとは……あちぃじゃねぇか……」


澪「あいつ最近ドラマにハマってるらしい」モグモグ

律「まじかよそりゃパネェな」グビグブ

紬「……あーあ、ケンカしたかったなー」

律「だめだって。ライブ終わるまで厳禁だろうが」

紬「むずむずすっぜぇええ!!」



そしてそれから月日が流れて―――


【学園祭】


和「社会のゴミども……遂にこの日がきた」

和「見せてもらおうか、血と汗と涙の結晶とやらをな……」

さわ子「吠えづらかくのはそっちだぜ生徒会役員共」

和「何……!」

さわ子「アイツらぁ……やってくれる。本物になりやがった」

和「まさか先生が肩入れしてるとは……物好きな……」

さわ子「ガキんころをな……思い出してよぉ」

和「そういえば不良バンドなんでしたね」

さわ子「デスメタルって呼んでくれや」

和「……はじまるわね」

唯「チッ、震えがとまんねぇ」

律「おいおい唯らしくねぇなぁ、ビビッてんのかwww」

澪「てめぇ律こそ。足ガッタガタだ」

律「おおおおおう! わりぃかよぉ。ちょっとヤク切れててwwみたいなww」

紬「相変わらず空元気は得意なのね」

梓「……」

唯「あずにゃん。見せてやろうぜ。私らの魂こめたロックをよぉ」

唯「生徒会の外道どもの顔面たたきつけて土下座させてやろうぜ」

梓「!」

律「諸君、私らは最強だ。誰にも負けやしねぇ。演奏も絶対うまくいく」

澪「あぁ……もうただの不良じゃねぇ」

紬「部費をかっさらって野草を食う日々ともララバイだぜ」

唯「……いくか!」

律「そろそろ幕があがるぞ……」

澪「……」ゴクリ

紬「……ふぅー……」

唯「ヘッド、頼む」

梓「……あぁ、一発できめるぞド腐れ共」

澪「……へ、頼もしくなりやがって。さすがだぜ」

紬「……大きくなったな」

律「ヘッド……あたしら・……一生ついてくぜ」

梓「よし……行くぞ!!! 合い言葉は!?」


 「「「「「 殺ってやるです!! 」」」」」


梓「よっしゃああ!! ぶち殺せえええええええ!!!」ジャカジャカ


梓母「こんな学校いれなきゃよかった……・」


おわり。



最終更新:2011年08月25日 21:26