部室にて  放課後

唯「あずにゃ~ん!!」ダキィ!

梓「やめてくださいよぉ!」

唯「もうはなさないよあずにゃん!」ギュギュギュ!

律「相変わらずお二人はお熱いですなぁ。羨ましいぞ~梓~」

梓「別に好きでこうやってるわけではありませんよ!もう!」

唯「あずにゃん分補給だよ~」ギュウウウ!

梓「過剰摂取ですよ!」

紬「ふふふ~♪」

梓「これ食べたら練習しますからね!」

唯「そんなに怒らないでよあずにゃ~ん」

律「このカステラ旨いなァ」モグモグ

紬「長崎県から取り寄せたの~。本場よ本場」

唯「長崎県ってどこにあるのりっちゃん?」

律「なんだ唯そんなことも知らないのか!長崎の場所なんて小学生でも知ってるぞぉ」

唯「むぅ!ちょっと度忘れしてただけだよ!えっとね、群馬県の隣でしょ!」

梓「全然違いますよ唯先輩……」

澪「長崎は九州で佐賀の隣だよ」

唯「地理は苦手だもん……」ブー

紬(おバカな唯ちゃんも可愛いわ~)ポワポワ

澪「いいから練習するぞ!」スクッ

唯「もうちょっとのんびりしてようよ~」ブー

梓「ダメですよ唯先輩!最近ダラダラしすぎですよ!」

律「そうだぞ唯!」

澪「お前もだ!」パチコン

律「痛っ!ひどいよ澪しゃん!」

紬「フフフ~」

律「まぁたまには真面目に練習するか」

梓「毎日マジメにやってくださいよ……」

唯「~♪」ジャカジャーン


 1時間後

律「ふぃー!もうダメだ!」バタン

梓「珍しく有意義な練習が出来ましたね!」

澪「これが普通なんだけどな……」

唯「もう疲れたし早く帰ろうよ」

梓「そうですね」

律「さぁ帰ろうぜ」

紬「……」

澪「ムギどうした?帰らないのか」

紬「ごめんなさい。実はこのあと先生に用があるの。だから先に帰ってて」

澪「またか。ムギも大変だな」

唯ノシ「ムギちゃんばいばーい」

紬ノシ「また明日ね」


  数分後

紬「……」チラッ

紬「そろそろね……」

  ガチャン

和「ムギいる?」ソーッ

紬「和ちゃんいらっしゃい!」ガタッ

和「みんな帰ったのね」ホッ

紬「そんな気にすることないのに……」

和「だって恥ずかしいじゃない」スクッ

紬「さっそく紅茶用意するね」

和「ありがと」

紬「生徒会の仕事は大変?」

和「そうね。3年生は受験で忙しいから仕事は全部私がやってるわね」ズズズッ

紬「それを全部和ちゃんが処理してるなんて凄いわ~」ニコニコ

和「べ、別に大した仕事じゃなわよ。誰でも出来る雑用みたいな仕事ばかりよ」モグモグ

和「あら、美味しいわねこのカステラ」モグモグ

紬「長崎から取り寄せたの~。和ちゃんこの前本場のカステラが食べてみたいって言ってたじゃない」

和「そうだったかしら?まったく覚えてないわね……美味しい」モグモグ

紬「ニコニコ」

和「軽音部は毎日こういう贅沢品が食べれるのね。羨ましいわ」モグモグ

紬「和ちゃんも軽音部に入ればいいじゃない!みんなだって喜ぶわよ!」フンス

和「今さら遅いわよ。それに生徒会との二足のわらじは難しいわ」

紬「そう……」シュン

和「そ、そんながっかりしないでよ……」パクッ

和「そういえば最近の軽音部はどうなの。真面目に練習してるの?」

紬「そこそこかしらね」

和「そこそこね。唯は頑張ってる?」

紬「うん、すごい頑張ってるわよ!特に梓ちゃんが来てから目の色が変わったわね」

和「中野さんだったわね。唯も頑張ってるのね。クラスが変わってから会う機会が減ってなんかさびしいわね」

紬「だったらみんなが居る時に来ればいいのに……」

和「でもそれだとムギと二人きりになれないじゃない///」

紬「ま、和ちゃんたら」ポアポア~

和「澪はどう?」

紬「澪ちゃんも頑張ってるわよ~。以前より少し積極的になってきたわね」

和「そう。じゃあ律は?」モグモグ

紬「りっちゃん……」

紬「……」

和「ムギ?」

紬「え?なに和ちゃん!どうしたの?」

和「あ、いやなんでも無いわ。気にしないで」

紬「ほらどんどん食べて!和ちゃんのためにたくさん買ったの~」ニコニコ

和「ありがと……」モグモグ

和(どんなにスムーズにムギと話していても……)チラッ

紬「ハァ……」

和(ときどき妙に近寄りがたくなるわね……)モグモグ

和(律の話なんて振らなければよかったわ……)モグモグ

紬「どう美味しい?」

和「最高よ」モグモグ

紬「良かったわ~。また今度取り寄せるわね~」

和「そんな悪いわよ。このカステラ高級そうだしムギに迷惑はかけられないわ」

紬「私が和ちゃんに食べさせてあげたいんだから良いの!和ちゃんの喜ぶ顔が見たいんだもの」ニコニコ

和「そ、そうなの///」

紬「今度はなにが良いかしら。モンブラン、ベルギーワッフル、ようかん……あ」

和「どうしたのムギ?」

紬「ううんなんでも無いの気にしないで……」

和「……」

和(家出少女みたいな顔ね……ほんの数秒の胸のつかえ、また律を思い出してたのね)

紬「……」

和(無意識なのがかえってやばい感じよ……)モグモグ

和「どうしたのよムギ。なんか元気ないわね」

紬「そんなこと無いわね!私はいつでも元気いっぱいよ!」フンス

和「……」

和(やっぱ前の恋人……律のことがもしかして変な罪悪感を抱かせるのかしら……)モグモグ

紬「ニコニコ」

和(下手な正義感をいまさら誰が喜ぶのよ……)モグモグ

和「ハァ……そろそろ帰りましょ」スクッ

紬「え?まだいっぱいカステラあるわよ?」

和「家に持ち帰って食べるわ。さすがに食べきれないわよ……」

紬「ねぇ和ちゃん。このあとなにか予定あるの?」

和「予定?無いわよ」

紬「ホント?実はわたし行きたいところがあるの~」

和「行きたいところ?」


  下校中

紬「しゃらんら~♪」

和「ねぇムギ。行きたいところってどこなのよ?私の知ってる場所なのかしら」

紬「行ってからのお楽しみよ」フンス

和「なんか不安ね……」

紬「ニコニコ」

和(ムギってホント可愛いわね……まさかこんな子と私が付き合えると夢にも思わなかったわ)

紬「愛し愛される絶頂感♪目いっぱい噛みしめたいよ~♪」

和(せっかく付き合えたのだから私ももっと積極的になったほうが良いわよね)

和「ねぇムギ」

紬「どうしたの和ちゃん?」

和「て、て、を……」

紬「ててお?」

和「手を繋がない!ほら恋人同士なんだし!(言っちゃった///)」

紬「え……」

紬「いや、そんな、え?」

和「も、もしかして嫌だった?嫌ならいいわごめんなさい……」

紬「そ、そんなこと無いわ!私だって和ちゃんと手ェ繋ぎたいの!」ムギュッ

和「あ……」

紬「さぁ行きましょう~」

和「……」

和(一瞬悲しい顔をしたわねムギ……私は見逃さなかったわ)

紬「しゃらんら~♪」

和(なんの理由でこの私を選んだのよ……律を忘れるため?)

紬「和ちゃん着いたわ!ここよここ!」

和「ここは……(リリーフするだけじゃこっちだっていい迷惑よムギ)」


  ゲームセンターにて

紬「ゲームセンターってすごいわね!100円で遊び放題なのよ!」

和「ムギもこういうとこ来るのね……なんか意外だわ」

紬「前にりっちゃんに連れて行ってもらったことがあるの~」

和「え、律に!?」

紬「そうよ~」

和「そ、そうなの……」

紬「わたしUFOキャッチャーやりたい!行きましょ和ちゃん!」スタタタタッ!

和「あ、ムギ待って!」スタタタタッ!

  ウィーン……

紬「むむむむ……」

  ポロッ

紬「ああもうまたダメだった……」シュンッ

和「もう小銭無くなってるじゃない」

紬「けっきょく20回やってひとつも取れなかったわ……和ちゃんはバンバン取ってたのに……」ショボーン

和「たまたま上手くいっただけよ。わたしだってこういうとこ来るの初めてだったし……」

紬「初めてなのにこんなに取れたの!?すごいわ和ちゃん!UFOキャッチャー攻略法の本が出せるわね!」

和「売れないわよそんな本……誰が買うのよ……」

紬「和ちゃんってなんでも出来るわね。りっちゃんより全然上手かったわ!」

和「(また律……)……ねぇムギ」

紬「なに和ちゃん?」

和「ムギはさ……その、まだ律のことを忘れられてないんじゃない?」

紬「なんで?」

和「だってさっきからたびたび思いつめた顔になるじゃない。それにここも律との思い出の場所らしいし、だから……」

紬「そんなこと心配してたの和ちゃん?大丈夫よ和ちゃん!」

和「……」

紬「もうりっちゃんは過去の恋人。今はもうただの友達。今の私は和ちゃんにぞっこんなの~」ポワポワ

和「ホントなの?」

紬「ホントよ、ここに来たのも和ちゃんと一緒にゲームセンターで遊びたかっただけ。
  私一度でいいから和ちゃんと放課後ここで遊びたかったの!」フンスッ

和「そう……」

紬「すでにりっちゃんに恋愛感情無いわ。だから安心してね和ちゃん!」ニコッ!

和「う、うん……」

紬「そうだ和ちゃん!今度はあっちのシューティングゲームで遊びましょ!」スタタタタッ!

和「あ、待って!」スタタタタッ!

紬「モンスターが攻めてきたわ和ちゃん!」

和「う、うん……」

(゚A゚) (゚A゚) (゚A゚) (゚A゚) (゚A゚) (゚A゚) <ワチャワチャワチャ

紬「えい!」パンパン

和「……」パンパン

紬「観念しなさい!」パンパン

和「……」パンパン

紬『もうりっちゃんは過去の恋人。今はもうただの友達。今の私は和ちゃんにぞっこんなの~』

和(ムギはそう言ったけど……果たして本心なのかしら……)パンパン

紬「胸の真ん中を狙って和ちゃん!」パンパン

和(本当は律のこと忘れられて無いんじゃないのムギ……ノスタルジックに思われるやつのほうがかっこいいんじゃないの?)

紬「和ちゃんすごーい!百発百中じゃない!」パチパチパチ

和(そつないハンパな優しさで私を苦しめないでよ……)

和「ハァ……」


  マックスバーガーにて

紬「それにしても和ちゃんの射的の腕すごかったわね!保安官として食べていけると思うわ!」

和「保安官って……ここは日本よムギ。まぁ警察官も悪くないわね」

紬「和ちゃんに手錠を掛けられてみたい!」

和「ちょっとムギ!誤解されるからやめて」

紬「え、なんで和ちゃん?」

和「な、なんでもよ……」

紬「ニコニコ」

和「……」

和(うううムギを直視出来ない……)

紬「えいっ!」ササッ

和(ムギは私のことを本当はどう思ってるのかしら……知りたいけど……なんか怖いわ……)

紬「しゃらんら~♪」

和(ひとり平和な気持ちにならないでよ……イライラしてくるわ……)モグモグ


  帰り道にて

紬「ハンバーガー美味しかったわね和ちゃん」

和「そうね……」

和(ムギのことを憂いすぎてハンバーガーの味も分からなかったわ……)

紬「たまには放課後にデートするのも良いわね~」

和(やっぱ私たちって合ってないのかもしれないわね……)

紬「でももっと和ちゃんと一緒に居たかったなぁ……」

和(ムギだってきっとそう思ってるハズよ……私なんかより律と一緒になったほうがムギにとっても私にとっても良いのよ……)

紬「今度の休日一緒にお出かけしましょ!わたし和ちゃんと海に行きたいなぁ~」

和(ムギもきっと無理してるのよ……それにわたしだってそんなムギと居るのが苦しいしね……)

紬「和ちゃん……?」

和(そうよいまが別れを切りだすチャンス、ここで別れを告げてお互いすっきり……)

紬「和ちゃ~ん♪」ムギュウウウウウ!!

和「!!」

紬「和ちゃ~ん♪」ムギュウウウウウ!

和「ど、どうしたのよムギ!?急に抱きついてきて!(ムギの体柔らかい///)」

紬「わたしは和ちゃんだけを愛してるから安心して」ムギュウウウウ

和「で、でも(それに良い匂い///)」

紬「たしかにりっちゃんも大切な人だった。でも今は和ちゃんのほうが大切なの!」フンスッ!

紬「だからそんな悲しい顔はやめてよ和ちゃん……」ムギュッ

和「……」

和(だったらムギもハンパな優しさで私も苦しめるのはやめてよ……でも)

紬「ニコニコ」

和(本当はそんなことどうでもいいぐらいに、ムギに惚れてるゆるぎない事実が私の弱みね……)

和「わかったけどムギ……ここで抱き合うのは恥ずかしいわ……」

紬「あ、ごめんなさい。えへへ……」

和(もう律のことを思い出せないぐらい私のことを心に焼き付けてあげるから覚悟してなさいよ)

和「さぁ帰りましょムギ」

   和「イケない全部忘れてよベイビー」  完



最終更新:2011年08月30日 21:10