紬「・・・」

律「・・・距離が結構あるな・・・まだお金に気付いてないのか」

紬「・・・」テクテクテク

梓「うーん、なかなか気付きませんね?」

紬「・・・」テクテクテク

唯「でも、そろそろだよ」

紬「・・・」テクテクテク

憂「あ、あれ?」

紬「・・・」テクテクチラッ

唯「気付いた!?」

紬「・・・」テクテクテク




律「おいぃぃぃ!!1万円札を無視かよ!!」



梓「こんなのありですか!?」

唯「あぁ!ムギちゃんが行っちゃう!」

憂「ムギさん!待ってください!」

紬「ほえ!?」ビクゥッ

律「おっす、ムギ!おはよ!」

紬「へ!?え、えーと、おはよう?」

唯「ムギちゃん、この1万円札落ちてるの気付いた?」

紬「え?い、1万円札?えーと、全然気付かなかったわよ!?」

律(嘘だ、絶対気付いてた)

梓(1万円スルーって、どんだけー)

唯「もー!ムギちゃんはもっと足元に目を向けて?」

紬「えぇと、ごめんなさい・・・?」

律「もういい、もういいよ、ムギ・・・」ズーン


紬「えーと、みんな何してるの?」

唯「みんなが1万円札落ちてたらどんな行動を取るか憂と観察してたの!」エッヘン!

紬「あら、楽しそう♪」

律「そうそう、私達もハメられたんだぜー?」

梓「ひどいですよねー」

唯「ひどいのは万札を目の当たりにしたときのあずにゃんの行動だよ?」ニコッ

律「でもムギ、残念だったなー?残るは澪しかいないぞ?」

紬「あら・・・梓ちゃんやりっちゃんのも見たかったわ・・・」シュン

憂「簡単に言うと、律さんは交番に届けようとして」

紬「あら、りっちゃんは流石ね♪」

憂「梓ちゃんは拾って走り去ろうとしました」

紬「あら、梓ちゃんは最低ね♪」



梓「」


唯「あ!あれって・・・!」

律「あぁ、澪だな」

梓「っていうか律先輩と澪先輩って一緒に学校来てませんでした?」

律「あぁ、澪から昨日の夜連絡があってな」

紬「何かあったの?」

律「たいしたことじゃないよ、ほら、澪ん家って共働きだろ?」

憂「あ、そうなんですか」

律「そうそう。朝から誰もいないのに、荷物が届くだかでさ。宅配便が来るまで家で留守番するってメールが来たんだ」

紬「なるほど、ケンカイベントじゃないのね」

律「なにその物騒なイベント」

憂「じゃあ私、いってきます!」


タッタッタッ・・・


律「よし、私達は隠れようぜ!」


唯「うーん、でも澪ちゃんは別に見なくてもいい気が・・・」

梓「確かに。交番に届けるに決まってますもんね」

紬「こんな悪戯して、怒られちゃいそうね?」クスクス

憂「そうしたら私が謝りますね」

律「ま、あいつのことだからきっと笑って許してくれるって」ニシシ

唯「そうだよね、だって澪ちゃんだもんね!」

梓「その澪先輩に私の取った行動がバレたら・・・」

律「それは自業自得だ」

梓「ですよねー」

紬「悔い改めるなら今の内よ?このまま外道のままでいいの?」

梓「」

律「外道って・・・」アズサザマァ

唯「澪ちゃんが結構近くまで来たよ!」ボソボソ

憂「どれどれ?」


澪「・・・」テクテク

唯「なんか、気付いてないっぽいねー」

律「澪のやつ、にぶいなー」

澪「・・・」テクテクテク

梓「あれ?」

澪「・・・」テクテクテク

唯「もう!澪ちゃん!すぐ足元だよ!?」

澪「・・・」テクテクテク

律「ばっ!アイツ、あんな踏みそうなところに足出しといてなんで気付かないんだよ!」

澪「・・・」テクズーテクズー

憂「なんか・・・変じゃないですか?」

澪「・・・」テクズーテクズー

紬「足、怪我してるのかしら?」


唯「大変だよ!」

律「どうした?」

唯「ない!1万円札がない!」

律「へ?」

梓「風で飛ばされたんじゃないですか?」

憂「こんな風のない日に?」

梓「う゛・・・じゃ、じゃあ」

紬「待って!澪ちゃんの右足!」

澪「・・・」テクズーテクズー

梓「」

唯「あぁぁぁ!!!」




律「こらぁぁぁぁ!!踏んで引きずるとかぁぁぁ!!!!」


憂「澪さん・・・信じてたのに・・・!!」

律「っていうか引きずってどこに持ってく気だ!?」

紬「きっとちょっと離れたところまで移動させてるのよ!」

梓「なんで!?」

紬「落ちてる現場で拾って落とし主に出くわしたら返さなきゃいけないでしょう?」

律「あいつ汚ねぇぇ!!!」

唯「あずにゃんよりひどい!」

梓「見て!澪さんの顔!!」

澪「・・・?・・・?」テクズーテクズー

律「今だかつてない位にキョドってる!!」


憂「あんなに挙動不審になるくらいならやめればいいのに」

唯「澪ちゃん悪い子!物凄く悪い子!」メッメッメッ!

紬「っていうかどこまで引きずるつもり!?」

梓「いい加減お札破れません!?」

律「・・・ん?」

唯「どうしたの?」

律「なんだ、この音・・・まさか、澪か!?」

澪「・・・~♪」ピューピュー

紬「口笛!?」

唯「わざとらしい・・・」

梓「これはひどい」


律「澪ぉ・・・私は、お前のこと本当に信じてたんだからな・・・」クッ

唯「りっちゃん・・・」

律「もう駄目だ!行って殴って目覚ましてやる!」ダッ


ガシッ


憂「まだ終わってませんよ?」

律「なん、だと・・・?」

澪「・・・」

唯「澪ちゃん、立ち止まって何してるんだろうね?」

梓「何かを待ってるみたいですが・・・」


ブーン・・・ベシャッ・・・


律「おっと、車だ。今・・・水跳ねなかったか?」

梓「ちょ・・・!!澪先輩を見て!!」


律「へ?澪?・・・って、足元がグシャグシャだぁぁぁ!!」

梓「うわー最悪ですねー、スカートにまで跳ねてるんじゃないですか?」

唯「澪ちゃん、神様のお札をそんな風にするから罰が当たったんだよ・・・!!」

紬「待って、澪ちゃんがまた何かするわ・・・!」

澪「・・・」ゴソゴソ・・・

律「ポケットに手を入れて・・・」

澪「・・・」スッ

律「ハンカチぃぃぃ!?!?!?」

梓「あんなちっさいハンカチで跳ねた水拭ききれるわけないでしょ!?」


唯「あれじゃない?スカートだけでも拭くんじゃない?」

憂「確かにクリーニングに出しても手遅れになっちゃうもんね」

律「なるほどな」

澪「・・・」ヨイショ

紬「そうね・・・って、かがんだ!?」

律「あいつ何考えてんだ!?」

梓「わからない、澪先輩がわからない」

澪「・・・」フキフキ

律「って、靴ぅぅぅ!?!?」

梓「明らかに靴なんて二の次でしょう!?」

唯「そんなに大切な靴なのかなぁ?」


紬「待って!澪ちゃんから目を逸らしちゃ駄目よ!?」

律「駄目って、何が・・・おい!?」

澪「・・・」ヨイショ

唯「1万円札が・・・右足の足元にない・・・!!!!」

紬「靴を拭くフリをして、ハンカチでお札を包んだのよ!」

梓「澪先輩・・・それをどうするつもりですか・・・」

澪「・・・」ジー

紬「見つめてる、見つめてるわ」

澪「・・・」キョロキョロ

梓「辺りを探ってますね」

澪「・・・」スッ

憂「まさかのIN MY ポケット!?!?」

梓「」

律「何あの土壇場の手品」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

音楽室!


唯「お、おはよー」ガチャ

澪「お!やっときたか。・・・お前ら揃ってどうしたんだ?どっか行ってたのか?」

律「ん?あ、ああ・・・ちょっとな?」

梓「私、自分のした行動が本当に恥ずかしいことだったんだと思い知らされました」

紬「うふふ、反面教師ってヤツね」

澪「おい、何の話してるんだ?」

律「おい、澪」

澪「な、なんだよ」

律「右のポケット」

澪!?」

唯「・・・~♪」ピューピュー

梓「澪先輩、唯先輩が誰の真似してるかわかりますか?」


律「そいつの真似なら私にもできるぜ」

律「・・・」キョドキョド

澪「」

紬「誰の真似?わからないわ」

唯「じゃあこれでどう?」

律唯「・・・」テクズーテクズー

紬「うーん、何かしら、腐れ外道?」

澪「」

梓「澪先輩は誰の真似かわかりますか?」

澪「・・・見てたのか?」

律「おう、最初っから最後までな」

澪「・・・」

唯「澪ちゃん!いい子にしてないと神様はお金を贈ってはくれないんだよ!?」

澪「唯・・・」


澪「ごめん!!!本当にごめん!!」

律「ごめんじゃねー!なんであんなことしたんだよ!私達はお前を信じてたんだぞ!?」

澪「ごめん・・・」

梓「まぁ、私はあまり責めませんけど」

紬「ある意味同類だものね?」

梓「ま、まぁそういうことです」

澪「えっと・・・?」

唯「ごめんね、澪ちゃん。実は・・・」





澪「そうだったのか・・・」

梓「はい、だから私も澪先輩を責められる立場じゃないんですよ、本当は」

律「梓なんて可愛いもんだ!それに比べて澪!お前は悪知恵ばっかり働いて!」

澪「うう・・・だって1万円欲しかったんだもん・・・」

紬「気持ちはわかるけど・・・(1万円くらいで何言ってるのかしら?)」

唯「そうだよ、落とした人はすごく困ってるんだよ?」

澪「あ、ああ・・・そうだよな。本当にごめん」

律「反省したならよし!梓は?」


梓「私も反省してますよ・・・」

律「んじゃ、よし!この話はお終い!」

唯「ちょっと待って」

律「なんだよ、まだ何かあるのか?」

唯「実はね、憂と二人で歩いてるときに・・・」

澪「お、おい・・・」

律「ま、まさか・・・」

唯「こんなの拾ったんだけど・・・」

梓「小切手、だと・・・!!」




おわり



最終更新:2010年01月23日 00:32