週末

律「純ちゃん、遅れてごめん!待ったか?」

純「いいえ、全然。何を隠そう私もさっき来たばかりですから」

律「うん、そうだと思った。めっちゃ息とか切れてるし」

純「あ、バレてた」ハアハア

律「大丈夫か?モップが乱れてるぞ」

純「おいゴラ、貴様……ごほっごほっ!」

律「ご、ごめん!ほら深呼吸してみ」

純「スーハー、スーハー、スー……」

律「りこぴん……」ボソッ

純「!?ごほっごほっ!」


純「死ぬかと思った……」

律「ドンマイドンマイ」

純「いや、これ絶対に律先輩のせいですよね?」

律「まあまあ、今日はこれからどうする?」

純「流されたし。今日は服とかみたいんですけど」

律「あー、いいね。新しい服、私も欲しいし」

純「ですよね。早速行きましょうか」

律「そうだな。じゃあ店は……」

律・純「そこの曲がり角を右の店で」

律「……行き着け?」

純「はい。律先輩もですか?」

律「まあ……それなりに」

律「お、ちょうどセールやってるみたいだぜ」

純「ナイスタイミング。いっぱい買っちゃいましょう」

律「言われなくても」

純「あ、このTシャツ可愛い」

律「本当だ。試着する?」

純「いや……私じゃなくて律先輩に似合いそうだなって」

律「そう?似合うか?」

純「はい、律先輩のおでこ掛けにピッタリだなって」

律「そんなこと言う子には600ルクスビーム!」

純「あら、程よい光」

律「ちくしょう」


律「純ちゃん、こういうスカートも似合うんじゃない?」

純「そうですかね?」

律「うん。ちょっと着てみ?」

純「……どうでしょう」

律「おお、可愛い可愛い」

純「……ぶっちゃけ言うと?」

律「そう言えば掃除用具入れにこんなのあったなー」

純「うわあぁぁん」


律「でも結局買うんじゃん」

純「まあ一応、律先輩が薦めてくれたものですし」

律「ふーん」

純「律先輩はこういうのとか似合いそうですね」

律「……ミニスカートじゃん。ワンピースだし」

純「せっかく足が細いんですから、もっと見せれば良いんですよ」

律「えー……まあ試着してみるか」

律「……どうよ」

純「おお、似合ってます!もういっそこの服のまま遊びませんか?」

律「ん、ありがと。でも今日は着ない」

純「えー何でですかー」

律「……また次の時、純ちゃんがさっきの服を着るなら着てくるから」

純「ふふ、楽しみにしときますね」

純「」グゥゥ

律「何と言うデジャヴ……!」

純「は、恥ずかしい……」

律「どっか食べに行くか?」

純「はい、食べに行きたいです」

律「よし、なら美味しいパスタの店に連れていってやるよ」

純「……」

律「どうした?別のものが食べたかったのか?」

純「いえ、そうじゃなくて。ただ、律先輩は牛丼なイメージだったので」

律「グッバイ、純ちゃん」

純「わあぁ!ごめんなさい、帰らないでー!」


純「結構人が少ないんですね」

律「穴場なんだよな、ここ。味も保証するぜ」

純「へー、楽しみだなあ」

律「純ちゃんメニュー決めた?」

純「はい。店員さん呼びましょうか」

律「そうだな。すいませーん!」

純「えっと、私は海鮮さっぱりパスタで」

律「私は秋の紅葉キャベツパスタで」

純「流石にメニューは一緒になりませんでしたね」

律「ああ。だってそのパスタ、この前食べたからな」

純「ええー」

律「ここまでくると他人なことが不思議に思えてくるな」

純「ええ。もしかして生き別れの姉妹とか」

律「妹よ!」ガシッ

純「お姉ちゃん!」ガシッ

律「……あれ、もしかして純ちゃんは手を握るとき右親指が前なの?」

純「ええ、そうですよ」

律「私に劣性形質の妹などいない!」パッ

純「嵌めたな、おでこ星人!」

律「ふっ……ひっかかるお前が悪いのさ!」

純「くっ……何てことを……!!」

律「そんなことよりパスタ食べようぜ」

純「ノッてみたらこれだよ!」


律「パスタうめー」チュルチュル

純「うめー」チュルチュル

律「」チュルチュル

純「」チュルチュル

律「純ちゃんの一口もーらい」チュルチュル

純「じゃあ私ももーらい」チュルチュル

律「」チュルチュル

純「」チュルチュル

律・純「……」チュルチュル

律・純「……ぷっ」

律・純「あはははははははは!!」


律「さて、腹も膨れたしこれからどうする?」

純「んー特に何もないですねー」

律「じゃあ適当に歩こうか」

純「そうしましょう」

律「」テクテク

純「」トコトコ

律「」テクテク

純「」トコトコ

律「楽しい?」

純「はい」

律「そ」

律「」テクテク

純「」トコトコ

律「お、あんな所に雑貨店発見」

純「あ、結構可愛いですね」

律「行ってみようか」

純「はい!私ちょうど新しい携帯ストラップが欲しかったんですよ」

律「私もヘアゴムとか見ようかな」

純「カチューシャじゃなくて?」

律「部屋では前髪結んでるんだ」

純「へー」

律「お、純ちゃんアレ見て。付け替えようのモップがあるぜ」

純「……私の頭はモップじゃないし、付け替えも不可能です」

純「しかも、よく見てください。アレはモップじゃなくて た わ し です」


律「お、このシュシュ可愛いー」

純「本当ですね。買っちゃおうかなあ」

律「ちょうど色違いで2色あるし、お揃いで買っちゃおうぜ」

純「ピンクと薄黄色って……いつの日かの御互いの下着の色じゃないですか」

律「こまけえことは良いんだよ」

純「まあ、そうですね。買っちゃいましょう!」

律「そうこなくちゃ。で、せっかくだし月曜日に学校に着けていこうぜ」

純「髪の毛にですか?」

律「純ちゃんってコテとか持ってる?」

純「探せばあると思います」

律「じゃあいっそのこと一緒にサイドテールにでもしようか。ちょっと低めのさ」

純「イメチェンですか、良いですね!」

律「だろー?」

律「結構いっぱい買っちゃったな」

純「ヘアピンにストラップ、ネックレスとブレスレット……」

律「それからお揃いのシュシュだな」

純「荷物はいっぱいですけど、財布の中身はすっからかんです」

律「ははっ、私もー」

律「あ、そうだ。これをあげよう」

純「キーホルダーですか?」

律「うん。純ちゃんに似合いそうだったから買っちゃった」

純「……実は私も律先輩に似合いそうだから同じものを買ってた、て言ったらどうします?」

律「ギューしちゃる」

純「No, Thank You」

律「あれー」

純「でも、ありがとうございます」

律「ん、こちらこそ」

純「月曜日のみんなの反応、楽しみですね」

律「だなー。特に梓は驚きそう」

純「あははっ、確かに!」

律「想像するだけで面白いぜ」

純「あ、私の家こっちなんでお別れですね」

律「送っていこうか?」

純「いえ、大丈夫です」

律「そかそか。それじゃあ、また月曜日に」ニコッ

純「はい、さようなら!」ニコッ



 月曜日 純のクラス

純「おはよー!」

憂「おはよ……ええっ!?」

梓「ちょっ、純んんん!?」

純「何よう、みんなして」

憂「え……だって純ちゃんがいつもと違うから……」

梓「髪の毛もまっすぐだし、結ぶ位置も違うし、変な感じ」

純「ええー?それ誉め言葉として受け取って良いのかなー」

憂「もちろん誉め言葉だよ!純ちゃん、すっごく可愛いよ!」

純「えへへーありがとー」

梓「女の子らしい純……プッ」

純「こら、梓ー!!」

憂「純ちゃん、そのシュシュ可愛いねー」

純「この前、律先輩と一緒に買ったんだー!このキーホルダーとかもそこで買ったの!」

梓「あれ?純って律先輩とそんなに仲良かったっけ?」

純「うーん。梓を一緒にこらしめる約束をするぐらいには仲が良いよ」

梓「じょ、冗談じゃ済まされない……」

純「冗談じゃないもん」

梓「ニャッ!?」

憂「あはは……。でも良いなあ、律さんと友達なんて」

純「いやー、友達ではないと思うけどね」

憂「え、そうなの?」

純「うん。ただ――」



 律のクラス

律「おっはよー!」

唯「おはよーりっちゃ……誰?」

紬「おはy……誰?」

澪「朝からうるさ……誰?」

律「お前ら酷い!私だよ!」

紬「え……りっちゃん?」

律「そうだとも」

唯「ええぇぇぇええ!?りっちゃんにおでこが無いー!」

澪「しかも女の子らしい髪型して……熱でもあるのか?」

律「本気で失礼なやつらだな、ばかやろー!」

紬「でも、本当に驚いたわ。りっちゃんて髪の毛下ろすのも似合うのね」

律「いや、おかしーし」

唯「おかしくねーし」

澪「というか律ってこんなシュシュ持ってたっけ?」

唯「キーホルダーも新しくなってるよ!」

律「ああ、この前純ちゃんと遊んだとき買ったんだ」

紬「純ちゃんって、体験入部に来てくれた子よね?仲良かったの?」

律「うーん、一緒にトッポを食べるくらいには」

唯「おお!それはすごく仲が良い証拠だね!」

紬「仲が良いと一緒にトッポを食べるものなの!?ちょっとコンビニに行ってくるわね!」

澪「こんなのに騙されるな、ムギ!」

唯「でもりっちゃんと純ちゃんが友達なんて、初めて知ったよー」

律「いや、友達な訳じゃないぞ?」

澪「そうなのか?」

律「うん。ただ――」





律・純「「とっても大切な人だよ」」





 昼休憩 廊下

律「お、モップの無い純ちゃんじゃん」

純「あ、おでこが無い律先輩」

律「へー意外と似合ってるね」

純「律先輩も、案外可愛いです」

律「純ちゃんはこれから昼食?」

純「はい。購買へ買いに行く途中です」

律「私も私もー。一緒に行こうぜ」

純「良いですよ。ついでにお昼、一緒に食べませんか?」

律「お、いいな!それじゃあ場所は……」

律・純「屋上で」

律「……プッ」

純「ふふっ」

律「それじゃあ、行こうか!」ニコッ

純「はい!」ニコッ


   おわり







最終更新:2011年09月11日 21:21