律「澪ー!おかえり!」

澪「ただいま」

律「今日もお疲れ様、ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」

澪「ご飯」

律「…う、うん、わかった」

澪「……」モグモグ

律「おいしい?今日は澪の好物ばかりにしてみたよ♪」

澪「おいしい」

律「あ、お茶いれるね?待ってて……」

澪「……」

律「はい」

澪「……」

律「……」

澪「……」ズズズ…

律「今日は…疲れてるみたいだね」

澪「……」

律「マッサージしよっか?」

澪「いい」

律「そ、そっか…あっ何かテレビでも見よっか?」

澪「あっテレビ点けないで、うるさい番組しかやってないんだから」

律「うん、…わかった」

澪「……」

律「……」

澪「ごちそうさま、お風呂」

律「う、うん準備できてるから」

澪「律、なんで後ついてくるんだ?」

律「えっ…あ、あの…ね?」

澪「……」

律「えーと…」

澪「なに?早く言ってよ」

律「た、たまには一緒に入らない?」

澪「はぁ?何言ってるんだよ」

律「い、嫌なら別にいいんだ!疲れてるのにごめん…」

澪「はぁ…」

律「……」

律「後で着替え持ってくね?ごゆっくり」

澪「いいよ、自分で準備するから」

律「えっ…」

澪「テレビでも見てなよ、見たかったんだろ?」

律「…う、うん…わかった…」

澪「じゃあ電気消すからな」

律「うん」

澪「……」

律「……」

澪「……」

律「……」チラッ

澪「……」

律「……」ススス…

澪「律、なんだ?」

律「……」

澪「……」

律「な、なんでもないっ…おやすみ」

澪「おやすみ」

律「……」

律「(はぁ…)」

律「(澪と一緒の生活を始めてみたのはいいものの…)」

律「(最近うまくいかない事ばっかりだなー…)」

律「(澪も昔みたいに私の相手してくれないし…)」

律「(お仕事頑張ってるんだからしょうがない事なんだとは思うけど…)」

律「……」

律「(寂しい……)」

律「(ひょっとして澪…私の事好きじゃなくなっちゃったのかな…?)」

律「……」

律「…グスン」


―――

律「…ううん」

律「…ん」

律「……」

律「?!」

律「もうこんな時間?!」バッ

律「ごめん澪!今急いでお弁当作るからっ!」

律「?」

律「澪が…いない…」

律「……」

律「澪ー?」

律「…どこにもいない」

律「(お弁当箱なくなってる…)」

律「……」

律「(自分で作って会社行っちゃったんだ…)」

律「(私…起こしてくれなかったんだ…)」

律「……」

律「(…なんなんだろ…私って…)」

律「うっ…グッス…」

律「はぁ…」

律「……」

律「(これで洗濯物は終りっと)」

律「(夕飯のお買いもの済ませちゃおっかな)」

律「(今日は寝過ごして澪に迷惑かけちゃったからなぁ…)」

律「(お詫びに澪が好きなものいっぱい作ってあげよ)」

律「(何がいいかなぁ?ちょっと電話してみよう)」

律「……」trrrr


澪「もしもし?」

律「あ、澪!お仕事中にごめんね?今話せる?」

澪「何かあった?」

律「えっと、今日は寝坊しちゃってごめんね?
  お詫びに今日澪が食べたいものいっぱい作りたいんだけど何がいいかなぁ?」

澪「そんな事で電話してこないでよ、今打ち合わせ中なんだから」

律「あっ…ご、ごめんね?」

澪「なんでもいいよ、今日は遅くなるかも」

律「う、うん…わかった」

澪「じゃあ」

律「うん、じゃあね」

律「………」

律「………」

―――

澪「ただいま」

律「おかえりなさい、遅くまで御苦労さま」

澪「うん」

律「ご飯できてるよ、一緒に食べよう」

澪「律食べてないの?」

律「うん、澪と一緒に食べたかったから」

澪「もう、そんなのいいのに」

律「いいの、私が勝手にやってる事だし」

律「……」

律「ねぇ澪、最近お仕事辛そうだけど…」

澪「大丈夫」

律「本当に大丈夫?澪の体が心配だよ」

澪「心配しなくてもいいよ、律は」

律「そんな訳にはいかないよ!私達一緒になるってあの時決めたでしょ?
  私、澪の負担が減るならパートでもバイトでもするよ?だからもう少し…私と…」

澪「律は今まで通り家の事だけやってくれればいいよ、仕事だって今大事な時で…」

律「わ、私と仕事…どっちが大事なの?!」

澪「?!」

律「…う…グッス」

澪「……」

律「だって今日…せっかくの…グッス…結婚記念日なのに……ズズ…」

澪「……」

律「こんなの…切なすぎるよ…!…グスン…」

澪「……」

律「澪は…澪は…私の事…本当に好きなの…?」

澪「……」

律「私にはもう…わかんないよ…澪の事がわからなくなっちゃった…」

澪「り、律…」

律「ごめんね…?…澪の仕事が大変なのわかってるのに…」

澪「……」

律「私…桜ケ丘に…帰るね…」

澪「……」

律「……」

バタンッ


――――

律「……」

聡「姉ちゃん?」

律「!」

聡「どうしたの?いきなり帰ってきて」

律「いやー、ちょっと息抜きにね!」

聡「連絡してくれればいいのに」

律「うん、ごめんな、しばらく私の部屋使わせてもらうかも」

聡「へっ?なんで?」

律「色々…あったんだよ…」

聡「……」

聡「…ふーん」


――――

「秋山君」

澪「……」

「秋山君?聞いてるのか?」

澪「は、はい!すみません…」

「この企画書、間違ってるぞ、これじゃないよ」

澪「えっ?あっす…すみません……間違ってましたか…」

「こんなミスするなんて秋山君らしくないな」

澪「すみませんでした、気をつけます…」

「しっかり頼むよ、ここのところちょっとぬけてるぞ?」

澪「はい、申し訳ございません」

澪「………」

澪「………」


――――

澪「ただいま」

澪「………」

澪「…って…誰もいない…か」

澪「………」

澪「しまった…ごはん買ってくるの忘れちゃった」

澪「………」

澪「今日はいいか…なんか食欲もないし…お風呂だけ入って…」

澪「……そっか自分で沸かさないと……」

澪「………」

澪「(静かになっちゃったなー……)」

澪「(この部屋にはかまって欲しいが為に、しつこく私にからんでくる人もいなければ
   騒がしいテレビの音もしない…)」

澪「(今日いっぱい仕事でミスちゃったよ
   そんな私の愚痴を聞いてくれる人もいないんだ)」

澪「………」

澪「はぁ……」

澪「(結婚記念日か…そんなのすっかり忘れちゃってた…
   仕事で頭がいっぱいだったんだ…でもそんなの言い訳にならないよね)」

澪「………」

澪「………」

澪「……んん」

澪「……?」

澪「!!」

澪「嘘でしょ!?もう昼?!」

澪「…なんで?!大遅刻だよ…うわっ着信いっぱい……」

澪「…と、とにかく連絡入れないと…!」

澪「………」

澪「す…すみません!…寝過ごしてしまいm」

澪「?!」

澪「(きもちわる……何かめまいが……)」

「秋山君?秋山君?!」

澪「(あぁ…視界…が………)」

澪「………」

ドタッ

「どうかしたのか?!おいっ!返事をしろっ!」

澪「………」


――――

聡「だから姉ちゃん!洗濯物なら俺がやるって…!」

律「いいのいいの!どうせ暇だし…体動かしてたいから」

聡「それなら町内マラソンでもしてればいいのに」

律「それはヤダ、だるいから」

prrrrrrr

聡「もう、こっちはいいから電話出てきて」

律「しょうがないな…」

律「はい、田井中です」

律「………」

律「………えっ」

律「そん……な……」


――――

「まだ安静にしててくださいね、秋山さんお大事に」

澪「はい…すみません」

澪「………」

澪「………」

澪「(はぁ…みんなに迷惑かけちゃったな…)」

「秋山さん、面会の方がいらしてますよ」

澪「え…」

澪「(誰だろう…?)」

澪「………」

律「………」

澪「律…」

律「具合…どう?」

澪「うん…大した事ないって…一週間ぐらいで出れそうだよ
  過労が原因らしい」

律「……もう…頑張り屋さんなんだから…澪は…」

澪「律の言ってた事…もう少し真面目に聞いてれば良かったな……あはは」

律「そうだよ……もう……」

澪「………」

律「……うぅ」

澪「?」

律「死んじゃうかもって…思ったんだからっ!…もう会えないかもって……!」ポロポロ

澪「………」

律「ホントに…ホントに…!心配したんだからっ!…グッス…」

澪「………」

律「生きててくれて…良かった…」ぎゅ

澪「……律」ぎゅ

澪「ごめんね律…私最近律と全然向き合ってなかったね…
  結婚記念日の事すら忘れてて…本当にごめん…」

律「もういいよ…そんな事…」

澪「ちょっと遅くなっちゃったけど…結婚記念日のプレゼント渡そうと思ってるんだ」

律「え…?」

澪「気にいってもらえるかどうかわからないんだけど…」

律「………」

澪「………」

澪「二人きりの時間…なんてどうかな?」

律「えっ…それって」

澪「実はもう会社には話してあるんだ
  退院したら律との時間を大切にできる職を見つけようかなって…」

律「ほ…本当に?」

澪「冗談な訳ないだろ?」

澪「一人になって身に染みたんだ
  私には律が必要で…自分以上に大切な存在なんだって…」

澪「あの日十分に感じてた感情を…私は仕事に追われる日々の中で忘れちゃってた
  律がいなくなって…ようやく思い出せたんだ」

澪「もう忘れない…絶対に…」

律「澪…」

澪「だから…だから私にもう一度チャンスをもらえないかな?おう
  もう一度一緒に私と道を歩んではもらえないかな?」

律「…グス…もちろんだよ…ありがとう澪」

律「すごく嬉しい…最高のプレゼントだよ」

澪「律…」

律「澪…」



………

紬「っていう脚本に書きかえてみたんだけど…どうかな♪」

和「琴吹さん…とっても素敵なお話だと思うけど…
  ロミオとジュリエットはいったいどこに登場するのかな?」

紬「やっぱりダメですか?」

和「うん、ダメね」

紬「(´・ω・`)ショボーン」



澪律「当たり前だ!」



おしまい

みんなありがとう!



最終更新:2011年09月13日 21:21