梓「もう、ムギちゃんも休んでください」

紬「大丈夫よ。・・・あら、お粥全然減ってない」

梓「あ、これは・・・」

紬「・・・本当はおいしくなかった?」

梓「い、いえ。ちゃんとおいしいですよ。ちょっと食べにくかっただけです」

紬「じゃあ貸して、食べさせてあげるね」

梓「はい・・・」

梓「」モグモグ

紬「でも少しは元気になってくれてよかった。心配したんだからね」

梓「ムギちゃんには感謝してばっかりです・・・」

梓「・・・今日、ちょっと考えてたんです」

紬「なにを?」

梓「もしも、私の隣にムギちゃんがいなかったらって」

紬「・・・」

梓「・・・今日みたいに風邪ひいても1人でベットの上にいたのかなぁって」

梓「そしたらきっと、寂しくて、不安で、心細くて・・・。泣いてたかもしれません」

紬「・・・うん」

梓「だから・・・、ありがとうございます」グスッ

紬「・・・どういたしまして」ナデナデ

梓「私、早く治しますから!」

紬「うん。憂ちゃん達も待ってるわ」

梓「ケホケホッ」

紬「だ、大丈夫?」

梓「ちょっと、おしゃべりし過ぎたみたいです・・・。ケホッ」

紬「ごめんね。すぐに出てくから・・・」

梓「あっ。その・・・、眠るまでそばにいてくれますか?」

紬「・・・うん。もちろんよ」ギュッ

・・・

梓「」スゥスゥ

紬「・・・おやすみ、あずにゃん」チュッ

紬「ほっぺなら大丈夫よね?」

紬「・・・さて、私も少し休もう。ちょっと疲れちゃった・・・」

紬「これで私が倒れちゃったんじゃ意味ないもんね」

紬「・・・ふぅ。お茶にしようっと」

紬「・・・悪化しないでよかった。でも、まだ油断できないわね」

紬「明日には治るといいなぁ」ズズッ

紬「私もそろそろ寝よう」スッ

紬「・・・あっ、今日は別々かぁ」シュン

紬「でも、しょうがないよね・・・」バフッ

紬「・・・」

紬「寂しい・・・」

紬「ちょっと前までは1人で寝るのが当たり前だったのに・・・」

紬「あずにゃん・・・、おやすみ」

紬「」スゥスゥ



平沢家!

憂「梓ちゃん、大丈夫かな・・・?」

唯「ムギちゃんが看病してるしきっと大丈夫だよ」モグモグ

憂「・・・うん」

唯「私達も気を付けないとね。季節の変わり目は要注意だよ!」

憂「そうだね。もうみかんないし」

唯「・・・そうだねぇ」

憂「お姉ちゃん、おかわりは?」

唯「いただきます!」スッ

唯「でも風邪ってなにに気を付ければいいんだろう?」

憂「冷えないようにするとか、栄養のバランスとか・・・、かな?」

唯「栄養のバランスはバッチリだね!」

憂「うん!あとは冷えないようにアイスは控えようか」

唯「ピピュー」シレッ

憂「クスッ、でも寝る時とか気を付けないとね」

唯「じゃあ今日からぶーくろちゃん付けて寝ようっと」

憂「ぶーくろちゃん?」

唯「憂から貰った手袋だよ!」

憂「名前、付けてたんだ」

唯「後片付けしちゃうから先にお風呂どうぞー」

憂「うん。お願いするね」

唯「あわあわー」キュッキュッ

・・・

憂「・・・ふぅ」チャプン

憂「風邪・・・か」

憂「この前私がひいたときはお姉ちゃんが一生懸命看病してくれたんだよね」

憂「うれしかったなぁ」

憂「梓ちゃんも同じ気持ちなのかな?」

憂「・・・きっとそうだね」

憂「そろそろあがろう」ザパッ

憂「でもどうしたんだろう?いつも後から入ってくるのに」フキフキ

憂「お姉ちゃん、あがったよー」カチャ

唯「うい・・・」グスッ

憂「・・・どうしたの?」

唯「ぶーくろちゃんが。ぶーくろちゃんが・・・」

憂「手袋が?」

唯「どっかいっちゃった・・・」グスッ

唯「憂に貰った大事な物なのに・・・」

憂「と、とりあえず落ち着こう。ねっ」

唯「・・・うん」

憂「えっと、確かもうあったかくなったから洗ったよね?」

唯「うん。その後この引き出しに入れたと思ったんだけど・・・」

憂「ないんだ」

唯「・・・うん」グスッ

憂「別のところに入れたんじゃない?」

唯「ここの引き出しだよ。それは間違いないよ」

憂「途中で出したとか?」

唯「うーん。出したような、出してないような・・・」

憂「和ちゃんのお部屋に泊りに行った日は寒かったけど付けてなかったよね?」

唯「・・・たぶん」

唯憂「うーん」

憂「私も探すの手伝うよ」

唯「ごめんね・・・」

憂「気にしないで」

唯「ぶーくろちゃん、出ておいでー」ゴソゴソ

憂「クローゼットは見た?」

唯「見たけどなかったよ・・・」

憂「じゃあベットの方探すね」

唯「お願ーい」ゴソゴソ

憂「(大事にしてくれてるんだ。うれしい)」

憂「ベットの脇と下にはなさそう」ガサゴソ

憂「布団カバーに挟まってるとか・・・。ないなぁ」

憂「うーん」ヒョイ

憂「あっ。あった・・・」

唯「へっ?」

唯「本当!?」

憂「ほら、はい」スッ

唯「ぶーくろちゃん!会いたかったよー」ギューッ

唯「どこにあったの!?」

憂「枕の下にあったよ」

唯「枕・・・」

憂「なんでこんなところに?」

唯「・・・あっ!」ポムッ

憂「?」


そう、あれは・・・

唯『もうあったかくなるからねぇ。寒くなるまでお別れだよ』ナデナデ

唯『この引き出しに入れておけば安心だね』スッ

唯『・・・』

唯『・・・真っ暗だとかわいそうだよね』

唯『えへへー、今日は一緒に寝ようねぇ』

唯『そういえば、枕の下に写真とか入れるとその夢見れるって言うよね』

唯『ぶーくろちゃんを下に入れたら憂の夢見れるかな・・・』

唯『試してみようっと!』ポフッ

ホワンホワン

憂「・・・夢、見れた?」

唯「・・・うん」

憂「そう」///

唯「ごめんなさーい!」

憂「ううん。でも見つかってよかったね」

唯「入れたまますっかり忘れちゃってたよ・・・」

憂「ふふっ、見つかったところでお風呂行ってきたら?」

唯「うん!ありがとう、憂」

唯「おっと、その前に」

唯「ぎゅっ」ダキッ

憂「お、お姉ちゃん」カアァ

唯「見つけてくれてありがとう。うい」

憂「・・・うん」

唯「えへへっ、じゃあ行ってくるね!」パタン

憂「・・・お姉ちゃん」ドキドキ

憂「そういえばどんな夢見たんだろう」

憂「後で聞いてみようかな」

唯「ふぃ~、あがったよ~」ポカポカ

憂「おかえり。アイス食べるでしょ?」

唯「うん!」ワシャワシャ

憂「・・・髪乾いたらにしようか」

唯「ほいほい」ブオーッ

・・・

唯「できたよ!」

憂「うん。はい、どうぞ」スッ

唯「えへへ、おいしいねぇ」ペロペロ

憂「そうだねぇ」ペロペロ

唯「さて、アイスも食べたことだし寝ますか」

憂「そうしようか。そうだ、その前にちょっと聞いていい?」

唯「ん?」

憂「さっき私の夢見たって言ってたけど、どんな夢だったの?」

唯「えっ?それは・・・」

憂「?」

唯「えと・・・。う、ういと、キスした夢・・・」///

憂「そ、そうなんだ・・・」///

唯「・・・うん」

唯「ううん、ちょっと違うかな・・・」

憂「えっ?」

唯「憂が、してくれたの」

憂「・・・」

唯「えへへ、いつも私からしてるからこんな夢見たのかな?」

憂「・・・お姉ちゃんは、して欲しい?」

唯「うん。憂から、して欲しい」

憂「」ゴクッ

憂「・・・じゃあ、するね」ドキドキ

唯「・・・うん」ドキドキ

憂「・・・その、目つむってくれる?」

唯「えっ?・・・うん」パチッ

憂「(お姉ちゃんの顔が目の前だ・・・)」

憂「(唇、柔らかそう・・・)」

唯「憂?」

憂「い、いくね・・・」ドキドキ

唯「うん」

憂「・・・」ゴクッ

チュッ

唯「んっ・・・、ふふっ」ドキドキ

憂「」///

唯「ありがとう、憂。正夢になっちゃったね」

憂「・・・うん」

唯「・・・じゃあそろそろ寝ようか」

憂「そ、そうだね」

唯「憂とぶーくろちゃんのおかげであったかあったか」

憂「お姉ちゃんがくれたマフラーもあったかいよ」

唯「えへへ、これなら風邪も寄って来れないね」

唯「明日にはあずにゃんの風邪が治ってますように・・・」

憂「そうだね・・・、早く会いたいね」

唯「ムギちゃんも風邪うつらずに大学で会えますように・・・」

唯「・・・よし」

唯「じゃあおやすみ、憂」ギュッ

憂「うん。おやすみ、お姉ちゃん」

唯憂「」スゥスゥ



次の日!

梓「んっ・・・」ムクッ

梓「・・・あっ、楽になってる・・・かも」

梓「んっ、んっ」グイグイ

梓「身体の調子もいいし、治ったかな?」

梓「一応熱を測っておこう・・・」

梓「・・・そうだ、ムギちゃんは」パタン

紬「」スゥスゥ

梓「・・・」

梓「ありがとう、ムギちゃん」チュッ

ピピピッ

梓「お、どれどれ。・・・よかった、平熱だぁ」

梓「これで一安心だね」グゥー

梓「あ・・・、朝ご飯どうしよう・・・」

梓「私が作ったらムギちゃんに怒られそうだし・・・」

紬『病み上がりなんだから休んでなきゃダメ!』

梓「・・・って」

紬「」クゥクゥ

梓「・・・」

梓「」モゾモゾ

梓「まだ時間あるし、風邪も治ってるし、いいよね?」

紬「」スゥスゥ

梓「・・・」ギュッ

梓「・・・ムギちゃんの手、あったかいなぁ」

梓「私が風邪引いたせいで・・・、看病で疲れてるんだよね・・・」

梓「ごめんなさい、ムギちゃん」

梓「・・・やっぱり私が作ろう!怒られてもいい、お返ししなきゃ!」ガバッ

梓「さて、なに作ろうかな?」

―――

紬「・・・んーっ」ノビーッ

紬「ふぅ、よく寝た・・・」

トントントン

紬「ん?なんの音?」カチャ

梓「あ、おはようございます」

紬「・・・」

紬「・・・あずにゃん、風邪は?」

梓「はい!完全に治りました!」

紬「本当に?」

梓「バッチリです!」

紬「・・・うーん。熱はないみたいだけど」ピトッ

梓「さっき体温計で測ったら平熱でした」

紬「本当に大丈夫なの?」

梓「むしろ今まで以上に調子がいいですよ」

紬「でも、病み上がりなんだから休んでた方が・・・」

梓「いえ、ムギちゃんはきっと私のせいで疲れてるだろうから・・・。これくらいはさせてください」

紬「べ、別に疲れてなんて・・・」

梓「いいからいいから、もうすぐできるので待っててください」

紬「・・・もう、また倒れても知らないわよ」


梓「はい、お待たせしました」コトッ

紬「わぁっ、おいしそう」

紬「でも、いきなり食べて大丈夫?お腹壊さないといいんだけど・・・」

梓「私はお粥です。おかずは少し貰いますけど」

紬「うん。なら大丈夫かな?」

梓「・・・だから、晩御飯はムギちゃんの料理が食べたいです。・・・作ってくれますか?」

紬「もちろんよ、回復記念だもの。あずにゃんの好物たくさん作るからね!」ナデナデ

梓「・・・えへへっ」

紬「でも、早く治ってよかった」

梓「はい。ムギちゃんのおかげです」

梓「もう、本当になんてお礼を言ったらいいか・・・」

紬「ふふっ、お礼なんていらないわ。あずにゃんの笑顔が見れれば幸せだもの」

紬「それに私も風邪とかで寝込んだりしたら、看病をお願いするからね」

梓「任せてください!私、がんばりますから!」

紬「ふふっ、頼もしいわ」

梓「そうだ。憂達にメールしないと」

紬「その調子なら学校も大丈夫そうね」

梓「はい。でも、部活は休みにしておきます」

紬「その方がいいわ、早く帰ってきてね」

梓「お弁当です」

紬「ありがとう。学校終わったら一緒にお買い物に行こうね」

梓「はい!」

紬「じゃあいってきます!」

梓「いってきまーす!」


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最終更新:2011年09月14日 02:27