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律「……はは、できっこねぇよ。そんなこと」

唯「……そっか」


梓「律先輩はきわどいことまでなんでもする商売人じゃないんですか!?」

梓「泥水をすすることすらいとわないあなたが……」

律「買ってから気づいた。私やっぱ……なまものは苦手なんだ……はは」

唯「少しなら、払い戻しもできるよ。澪ちゃんをここまで連れてきてくれたお礼もかねて」

律「……結構。プライドってのもあってね」

律「これは私が勝手にやってることだから」


梓「でも……それじゃ律先輩……」

律「あぁ、晴れて文無しさ」

律「0からやり直しだな。お前のいうとおり、泥水りっちゃんになるよ」

梓「……」

律「生きてるだけで儲けもんってね。澪をみてるとつくづくそう思うよ」

唯「感謝してる。澪ちゃんをありがとう」

律「あぁ。でも約束だ。もうあいつを売らないでやってくれ」

唯「……うん。あの子はこれからは売り物扱いじゃないから」

律「それを聞いて安心」

唯「感謝してもしきれない。すこし、私の心が救われたような気がするの」

律「立派なもんさ唯は。私なら一ヶ月で逃げ出すね」

唯「りっちゃんは強いよ……私街で商売なんて絶対無理だもん」

梓「律先輩……街へもどるんですか?」

律「戻るよ」

梓「あの……ここで一緒にとか……」

律「いんや。今言ったろ、なまものは苦手だって」

梓「元手なしで街へ戻るなんて無謀です!!」

律「……覚悟はしてるよ」

梓「……」

律「お前には何度も言ってきた。わかってるだろ?」

梓「商人にとって、失敗=死……」

律「それは事実だけでなく、心意気のことも指してんだ」

律「それくらいの覚悟をもってやれってな……」


………


菫「なにやらとんでもないことになってるようです」

紬「ふむふむ……市井の暮らしはそこまで困窮しているのね」

菫「改革と支援が必要でしょうか」

紬「だめよ。一個人にそこまで入れ込むことはできないわ」

菫「さすがお嬢様! 平等主義!」

紬「でも……お友達のことを見過ごすこともできない……」

菫「さすがお嬢様! 博愛主義!」

紬「どうしたらいいのかしら……」

紬「なにより私は、りっちゃんと澪ちゃんが離れ離れになることが悲しいわ」

菫「そうですね……不況にが原因で引き裂かれる運命だなんて、国家の恥ですよね!」

紬「そこまでは言ってないわ」

菫「すいません……勉学の足りない阿呆なもので……」

澪「お、どうした、盗み聞きか? 私も混ぜて」ヒョコッ

紬「わわっ、澪ちゃん……!」

菫「いけません!」

紬「だめっ」

澪「?」


 「じゃあな、澪のこと、よろしく頼んだ。あいつ寒いの苦手だから」


澪「え……?」


 「って。もと飼い主になにいってんだ。私より澪のことずっとよくわかってるのにな」


澪「律……?」

澪「なぁ、何を話してるんだ? 頼んだって……?」

紬「……」

菫「……あ、今行ったら」

澪「もしかして……律ぅ!!!」ヒョコヒョコ

律「……ッ! 澪!」

唯「澪ちゃん……」

澪「何の話をしてたんだ!!」

律「……」

澪「置いていくつもりだったんだな! 冗談じゃないぞ!!」

律「……」

澪「冗談じゃない……」

律「……本気だ」

澪「律……嫌だ……」

律「澪、牧場に帰ってこれて嬉しくないのか? ここは安全だ、空気も飯もうまい。お前の大好きなふるさとだよ」

澪「でもヤダ!! 私は律の牛だ!!」

律「うるせぇ!! だまってここに残れ!! それがお前の幸せだ!!」

澪「やだ!!!」

律「言うことを聞け! お前は、ここで平和に暮らすんだ……元の飼い主がいる、梓もいる」

澪「でも律はいない!!!!」

律「!!」

澪「何度でもいうぞ、私はいまや律の牛だ!!」

律「じゃあ私のいうことを聞いてくれよ。これ以上私の、商売人のプライドを傷つけるな!!」

澪「お前だって……牛のプライドを傷つけるな!!」

律「!!」

澪「私は、お前のためなら……肉にでもなる覚悟だったのに!!」

律「ッ!!!」

唯「澪ちゃん……」

澪「あんまり……牛をなめるな!!!!」

律「!! ぅ……う……澪ぉ……!」

澪「律……帰ろう。私と律の家に……」

律「うぅ……グス……なんで……なんでお前は牛なんだよぉ……うぅ、うう……」

澪「そんなもの月にでも聞け!!牛にわかるか!!」

律「クソッ! くそぉぉぉ……!!」

澪「……」ナデナデ


梓「……律先輩の負けですよ」

律「負けてねーし……グス」

澪「泣くな……まずくなるぞ」

律「うぅ、うっ……澪のばか……」

唯「澪ちゃん。本気なんだね?」

澪「ごめん唯……私お肉になる、こんどこそお別れだ」

憂「好きなんだね。オーナーさんのこと」

澪「優しいんだ……」

律「牛のくせにぃ……わかったふうな口ききやがってぇ……」

澪「律のおかげで、律にであって、ようやく自分の運命をうけいれることができた」

澪「あぁ……これはなんて神充。まるで夜空に輝く星になった気分だ!」

澪「牛に生まれて……よかった……!!」

律「澪ぉぉおおお!!!」ぎゅっ

澪「さぁ帰り支度をしような。私は優柔不断だから、決心が鈍る前に……そう、明日の朝にはここをたとう」

律「……」ギュウウウ



その日、私は澪を抱いて眠りについた。

月明かりが差し込む、澪が大好きな干し草のベッドの上で。

変な臭いがするしおもったより柔らかくないし、寝心地は最悪だったけど、

なんだかとってもあったかかった。



律「澪……私の澪……」

澪「……すぅすぅ」zzz

律「ふふ……やっぱり可愛い」

律「出会えてよかった」

律「ほんとに……ほんと」

澪「すぅすぅ」zzz



……
……



純「はぁ、えぇ……まぁ、てかどちらさん?」

純「えっ、えええ!? お姫様でいらっしゃいましたか!?」

純「ははあこれは大変申し訳……え、かしこまらなくていい?」

純「お話ですか……一体わたしのような下賎な者にどういった……」

純「はい、はい……確かに当DonutShop『JUN』は常に最高の食材を探しておりますが」

純「タイナカミルク? はて、聞いたこと有りませんね……」

純「いえいえ飲んでみますとも! ごくごく」

純「なっ!! なんじゃこりゃー!!!」

純「美味すぎる……本当に牛乳なのでしょうか!?」

純「こ、これがあれば……私の求める最高のドーナツが……うふふふふあははははは!」

純「……はい! はい! その暁には是非王家に献上させていただきます!!」

純「身に余る光栄!! 感謝の極みでございます!!」


……
……


和「唯、また注文とってきたわよ。今度は王家おすみつきの最高級レストランから直々によ」

唯「わぁ。ありがたいことだね」

梓「うひひひひひ。タイナカミルクの人気の煽りをうけて、当牧場も大儲けです」

梓「特に! 私の開発したミルクたい焼きがおみやげとして」

唯「もおーあずにゃん調子のりすぎ。それ聞くの何回目かな」

憂「ちょっとー忙しいんだから梓ちゃんしっかり働いてよね」

梓「ご、ごめん……いまいくよ」

憂「あれから律さんたち来ないね」

梓「忙しいんだろうね。儲かってる証拠だよ」

憂「仲良くやってるといいなぁ」

唯「大丈夫! あの二人ならきっと!」

梓「ですね!」


……
……


菫「お嬢様! たべすぎですよ!!」

紬「だってぇ……おいしいんだもん」

菫「それにしてもお嬢様、よく思いつきましたね!」

紬「なに?」

菫「タイナカミルクの使い道ですよ!」

紬「あらあら、私はりっちゃんに売ってもらったミルクをドーナツ屋さんにもっていっただけよ?」

菫「一日に取れる量がすくなくても、ドーナツやその他お菓子としてならたくさんの人に行き渡ります!」

紬「そうね。なるべくたくさんの人にこの味をしってもらいたかったもの」

菫「さすがですお嬢様! 有史以来稀に見る天才王女!」

紬「え~? 褒めすぎよ~?」

菫「そんなお嬢様につかえる私は有史以来最高のメイド……」

紬「『阿呆』が抜けてるわ」


……
……


律「いやー、にしても不思議なこともあるもんだなぁ」

もみもみ

澪「んー? んっ、ふぁ……ああんっ」ビュービュー

律「澪を食べるか一緒に野垂れ死ぬ気持ちでもどってきたら、いきなり買い手がつくなんて」

律「それもここらじゃ有名なドーナツ屋だぜ? できすぎだ」

澪「世の中には……やっ、ああっん、んあああっ、変なっ、あああん…人もいるもんだ」

律「ほんとなんのために牧場もどったのかわかんねぇなぁ?」

澪「んっ、あっ……いいだろぉ、律と私の……っ、あっん、愛を確認できたんだからっ」

律「飼い牛とロマンスする人生って……」

もみゅもみゅ

澪「ひゃあああああんっ」ビュービュービュービュー

律「お前最近乳の出がいいなぁ……」

澪「律のもみかた……上手になってるから……///」

律「でもなぁ、私はまだ納得してねぇんだ」

澪「何が?」

律「澪の乳の一番美味しい飲み方ってさぁ……」

澪「うん」

律「やっぱり何かに混ぜてつかったりするんじゃなくて。いやもちろんそれでもうまいけどさ」

澪「……うん? お、おい、まさか……やめろ……」

律「……ちゅむっ♪」

澪「んあああああっ!!」

律「ひひっ、ちゅうちゅう、やっぱ直飲みだよなぁ!」

律「鮮度が一番! 特濃タイナカミルク!」

澪「ひゃああっ、やめてぇえええ、売るんじゃないのかあああっ!!」

律「いーのいーの。りっちゃんさんしばらく左団扇だから」

澪「おいこら商魂はどうした!!」

律「あははははっ。金のなる乳だぞー!! 私の乳だぞー!」

澪「やっぱりお前ダメ商人だ!! へんたいばーか! ばーか!」

律「うるせー肉にするぞー」

澪「やってみろー! 私がいないと困るくせに!」

律「いいもーん! 澪の肉売って次の商材さがすから!」

澪「う……うう……どうしてそんな意地悪いうんだ……」

律「……へへ、そりゃあもちろん」

律「好きだから」

澪「!! ……さ、さいてーだ……牛以下だ」

律「ほんとだよ?」

澪「……///」

律「ちゅう……あ、ちょっと甘くなった♪」

澪「そ、そうか……なら……私にも、味見させろ……///」

律「はいはい♪」

ちゅ



終わり



最終更新:2011年09月19日 20:28