73. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:22:06.98 ID:ItQ3i7dY0
ふう?、ゆい先輩のおかげで助かりました。まだ、心臓がドキドキしてます。まったく、律先輩は…。

「本当はふたごじまに伝説のポケモンの1匹、フリーザを見に来たんだよ。もう、ポケモンリーグにエントリーして暇だったし」

「……」

「でも、いなくてな。やっぱり、伝説のポケモンはなかなか見つからないもんだな、と思って、カツラさんともう一度戦おうかと思って来たん
だが、こんな状況だったんだ」

「……」

「一体、何があったんだ?」

「実は……」

これまでのことを律先輩に説明します。

「なあ、1ついいか」

「なんですか?」

「この大馬鹿野郎」

「なんですか、突然。それに、律先輩に言われたくありません」

「その話なら、こんなところでのんきに話してる場合じゃないだろ」

「まあ、そうですけど……って、早く、ポケモンセンターに行かなきゃ」

私はヘルガーにまたがります。
74. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:23:37.22 ID:ItQ3i7dY0
「私も行くよ」

律先輩はリザードンを出します。

「律先輩。上空に出ると、サンダーに……」

「低空飛行で行くに決まってるだろ」

「そうですよね。さあ、行きますよ、ゆい先輩」

「ムスー」

ゆい先輩はほっぺを膨らませて、ご機嫌斜めのようです。……そんな姿もかわ……いやいや、今は見とれてる場合じゃないです。

「ほら、行きますよ、ゆい先輩」

私はゆい先輩を抱き上げ、ヘルガーにまたがり、出発します。

「なにさ、なにさ。プンプン」

「機嫌を直してくださいよ」

「つーん」

「すっかりご機嫌斜めだな」

「誰のせいだと思ってるのかな」

「すまんすまん。……それより、ポケモンセンターだぞ」

「ええ」

私達がポケモンセンターに到着すると、ロケット団とトレーナー達との熾烈な争いのあとがありました。今は何もなく、静かなようですが……。

「やはり、ロケット団もここも狙ってきたんだな」

「そうみたいですね。大丈夫でしょうか」

「外にロケット団もいないし、大丈夫だろ」

「でも、シャッターが閉まってますから、入れなさそうですね」

「そうだな。……ここは呼びかけてみるか」
75. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:25:56.04 ID:ItQ3i7dY0
律先輩はそう言うと、ドアを叩きます。

「おーい、中に誰かいるかー」

ガシャンガシャンとシャッターが揺れますが、中から誰か出てくる気配はありません。

「つーん」

「いい加減、機嫌直してくださいよ」

「なんだ、ゆい。まだ、機嫌直ってないのか」

「誰のせいだろうねー」

「まったく……、おい、梓。かわりに呼びかけてくれ」

「はい」

「さてと。……ほれ」

律先輩はゆい先輩を抱き上げます。

「わっ、り、りっちゃん」

「これで平等だろ」
「……」

「うーん、たまにはあずにゃん以外に抱かれるのもいいね」

「!?」

「だろ?どうだ、私のポケモンにでもなる……」

「ここまでです!!」

私は律先輩から、ゆい先輩を取り上げます。

「いつまでも、遊んでいる場合じゃありません。サッサと中に入らないと」

「……」

「どうしたんですか、ゆい先輩」

「あずにゃん、やきもち?」

「なっ!ち、違います。そんなわけありません!」

「ええー、私はさっきやきもち焼いてたのに、あずにゃんはやいてくれないんだー」

「うっ、さっきのはやきもちですか」

「うん!あずにゃんとお揃いだね!」

「わ、私は違います」

「えへへ?、でも、顔真っ赤?」

「もう!」
76. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:26:58.93 ID:ItQ3i7dY0
「……」

「どうしたんですか、律先輩」

「……いいや。それよりも、ポケモンセンターには入れないみたいだし、どうするか」

「?そうですね?」

なんだか、一瞬、律先輩が寂しそうな顔をしていたんですけど、気のせいでしょうか。まあ、それはともかくとして。

「なんとか、ここに入らないと、律先輩はともかく、私は何も出来ません」

「さっき以外には手持ちのポケモンはないのか?」

「ええ。カツラさんとのバトル後でしたし。今、戦えるのはニューラとヘルガーとゆい先輩だけですね。ハッサムも戦えるでしょうけど、無理
はさせたくありません」

「じゃあ、どうするか。このまま、シャッターを壊すか」

「それは最終手段で」

その時、シャッターがガチャガチャと上に上がりました。

「あなた達、すぐに中に入って」

「は?」

「早く!」

私達はすぐに中に入りました。そして、すぐにシャッターが下ろされました。

「慌しいな」

「まあ、仕方がないですけどね」

「あなた達はどうしたの?」
77. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:28:08.42 ID:ItQ3i7dY0
私達を中に入れてくれた人……ジョーイさんが話しかけてきます。

「実はかくかくしかじかで」

「なるほど。グレンジムから逃げてきたのね」

「はい。早速ですけど、私のポケモンの回復お願いします」

「任せてちょうだい」

ジョーイさんはゆい先輩を含めて、回復させに行ってくれます。

「ところで、ここにはジョーイさんだけですか?」

「いいえ。こっちに来て」

私達は奥に連れられて行くと、何十人かの人達がいました。

「ロケット団が攻めてきた時、あそこは広いから、戦闘場所にしたいから」

たしかにあそこに人がいたら、戦いづらいですからね。

「それじゃ、回復も終わった頃だろうし、戻りましょう」

私達は回復させたポケモンを受け取り、パソコンに向かいます。

「さて、メンバーをどうしますか。律先輩は?」

「私はこのままでいいよ。じっくりと考えて頂戴な」

「それじゃ、遠慮なく」

さて、どうしましょうか。まず、ゆい先輩は当然として、残りの5匹です。当然に、ハッサムを入れます。サンダーとの戦いもありますから、
プテラも必須です。後は……いろいろなタイプに対応できるイーブイに、素早く動いてくれる、ニューラ。最後の1匹は……。

「うーん」

「じっくりとは言ったけど、なるべく早くしろよー」

「分かってますよ」

最後の1匹は……ハクリューにしましょう。
78. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:30:02.38 ID:ItQ3i7dY0
今回のメンバー  ゆい  ハッサム  プテラ  ハクリュー  ニューラ  イーブイ

「よし!では、行きましょう、律先輩」

「おう!」

「あなた達はどこに行くの?」

ジョーイさんが私達に聞きます。

「危険なことをするなら、私はあなた達を止めます」

「……なら、戦うしかないな」

「ちょっと、律先輩」

「……本気?怪我とか、もしかしたら、死ぬかもしれないのよ」

「たしかにそのとおりだな。でも、どっちにしても、このままじゃ死ぬんだ」

「……」

「カツラさん達だって、戦ってるんだ。私達だけ、安全な場所に逃げてられるか。それに相手はロケット団だけじゃなく、伝説のポケモン、サンダーもいる」

「……倒せるの?」

「倒せるかはわかんないけど、倒す。私達、2人……いや、3人か、の力で」

「……律先輩」

「……りっちゃん」

「……分かったわ。頑張ってね。無理はしないようにね」

「もちろんだ」

「はい!」

「私に任せてよ?」

ガシャーン
79. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:33:06.27 ID:ItQ3i7dY0
私達が決意を固めていると、ホールの出入り口から、大きな音があり、ドアが破壊され、そこにはロケット団やニドキング、ニドクインなどの姿がありました。

「ロケット団!」

「てこずらせやがって、このガキ達」

「さっきは5人で負けたからな。今度は倍の10人で来た。これで、60匹だ。それに……」

「!?危ないです、ジョーイさん」

私はジョーイさんを庇うように倒れこみます。

ドカーン

ジョーイさんがいたところには雷が落ちてきました。

「まさか、この上空には……」

「そうだ、サンダーは上空にいる。もっとも、屋根で見えないがな。町は大変だぞ。なにしろ、無差別に雷を落としまくってるからな」

「くそっ」

「……律先輩。行きますよ」

私はハクリューを出します。

「おう。足を引っ張るなよ」

律先輩はサワムラーを出します。

「そっちこそ」

「2人とも、頑張ってー」

「ゆい先輩も後で戦うんですよ」

「分かってるよー」

「それじゃ、いくぜ、梓」

「ええ」

私と律先輩はそれを合図に、一歩を踏み出しました。

80. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/27(水) 19:33:58.12 ID:ItQ3i7dY0
VSロケット団編①  「ポケモンセンターへ」  修了

83. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 16:47:20.50 ID:JfKg9qyB0
前回までの状況(トレーナとポケモン)                                            
梓          ゆい  ハッサム  ヘルガー  イーブイ   ニューラ   ガルーラ  ハクリュー  ポリゴン2  プテラ  ラプラス

澪          ゼニガメ   エビワラー  デンリュウ

律          リザードン  サワムラー  ニョロボン  レアコイル

ムギ        フシギバナ  カポエラー  ギャラドス

純          うい   カビゴン  ゲンガー

VSロケット団編②  「夢」
84. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 16:49:18.63 ID:JfKg9qyB0
今回のメンバー  ゆい  ハッサム  プテラ  ハクリュー  ニューラ  イーブイ

真鍋和

私の父はポケモンを研究する科学者だった。ただ、オーキド博士みたいにポケモンの生態を研究するんじゃなく……。

『これでうまくいけば、新しいポケモンが出来るぞ』

ポケモンの遺伝子操作を研究するものだった。
85. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 16:50:25.68 ID:JfKg9qyB0
「ここが、父の研究していた場所か」

私はポケモン屋敷跡地を見る。ここにはミュウツーを研究していたポケモン研究家……私の父が暮らしていた。

「昔が懐かしい?」

「……懐かしむような思い出はここにはないわ」

私はAYUの問いに答える。

「ところで、何をしに来たの」

「忘れ物だよ」

「ピカチュウ♪」

家に置いてきたはずのピカチュウが私に飛び込んでくる。

「駄目だよ、お父さんのプレゼントを置いてきちゃ」

「……どうして、こんなことを」

「だって、今日で終わっちゃうかもしれないじゃない」

「……あなたは一体、何がしたいの」

「……詳しくは言えないけど」

AYUは一息入れて、こう言った。

「家族との絆は大切にしなさいな」

絆か。私は再び、昔を思い出した。
86. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 16:51:26.44 ID:JfKg9qyB0
真鍋和・幼少期

ジョウト地方・ワカバタウン

『お父さんな。カントー地方のグレンタウンで、ミュウの遺伝子を使ったポケモンを作る研究に参加することになったんだ』

『すごいねー』

『だから、寂しいかもしれないけど、ここで待ってるんだぞ』

『うん!』

『それからな、プレゼントだ』

『ピカチュウ♪』

『わー、ピカチュウだー。可愛い』

『お前はポケモンマスターになるのが夢だったな。これで頑張るんだぞ。夢は頑張れば、叶うんだ』

『うん!』

87. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 16:52:21.48 ID:JfKg9qyB0
『わー、和ちゃん、いいなー。』

『お父さんに貰ったの』

『私もプレゼントしてもらおうかなー』

『無理じゃないかしら、唯には』

『ぶー、私だってもらえるよ』

『まあ、頑張ってね』

『うん!』

それから、数年後、ポケモン屋敷で何かが、暴走し、たくさんの死傷者が出たと報道された。
88. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:06:12.79 ID:JfKg9qyB0
『私の所で、ポケモンの研究をしないか』

サカキに誘われたのは、私が15歳の時だ。

『お前の父はポケモン屋敷で、ミュウツーの研究をしていただろう。私のところでもしてほしい』

『私にそんな技術はないわ』

私はその場を去ろうとする。

『……お前の家には莫大な借金があるだろう』

『!?』

その言葉に私は足を止める。父は研究をしていて、研究機材などの借金がまだ、たくさんあった。母親が頑張って返しているが決して楽な話ではない。

『それを私が代わりに返してやろう』

『……どうして、そこまで』

『ミュウツーにはそれだけの価値がある。それだけだ。それにお前も興味があるだろう。お前の親父さんがやっていた研究が』

『……』

『で、どうする?』

『……分かったわ』

私はそれを承諾した。
89. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:06:46.06 ID:JfKg9qyB0
『そっかー。和ちゃんはカントーに行くんだー。寂しくなっちゃうな』

『そうね』

『でも、また、会えるよね。なら、寂しくないかな』

目に涙を浮かべながら、そんなことを言う、唯。おそらく、強がっているのだろう。私が寂しくないように。多分、もう、会う機会もないだろうけど。

90. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:08:42.20 ID:JfKg9qyB0
「もう、昔を思い出すのはいいかい?」

「……ええ。それで、用は?」

「あの子達が見つかったって。場所はグレンジムの近く。おそらく、ポケモンセンターに向かってるんだろうね」

「……分かったわ。私も向かうわ」

「その子はどうするの?」

「ピカチュウ?」

「……連れて行くしかないじゃない」

「フフフ、頑張ってね」

「あなたは来ないの?」

「私はまだ早いから」

「そう」

私はそう言って、ロケット団の基地に向かった。

91. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:09:56.66 ID:JfKg9qyB0
ポケモンセンター

「……キング」

サワムラーはメガトンキックをニドキングのおなかに叩き込み、ニドキングは倒れる。

「くそ。一体、何匹いるんだよ」

「知りませんよ。ハクリュー、アクアテール!」

ハクリューは自分の尻尾をニドクインにあらぶる波のように振って、叩きつけます。

「クイン!」

ニドクインはその衝撃で後退しますが、次のニドクインが迫ってきます。

「私達のポケモン2匹じゃ足りませんよ。もう、1匹出しますか」

「そうだな。でも、まだ、強いのは出すなよ。まだ、敵は増えるかもしれないからな」

「分かってます」

「あずにゃん、もう1匹は任せて?」

「では、これを……」

私はイーブイといしをゆい先輩に渡します。そして、ゆい先輩はボールから、イーブイを出します。

「ブイ太、一緒に頑張ろうね」

「ブイ!」

「今日はこれだよ」

ゆい先輩はみずのいしをイーブイに当てて、シャワーズにします。

「ちぇ。いいな、梓は。こっちは1人で、2匹を操るんだからな。こい、ニョロボン!」

「ニョロ」

「ハイドロポンプだ!」

「ブイ太も負けずにハイドロポンプ!」

2匹のハイドロポンプがニドキング、ニドクイン達に襲い掛かります。

「あの2匹はじめんタイプですから、有効な技ですね」

「だけど、この数が相手じゃな」

あっちを見ると、まだ、15匹くらいいるみたいです。
92. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:10:51.79 ID:JfKg9qyB0
「これは骨が折れますね」

「しかも、まだ増えるかもしれないからな。どうしたもんか」

「う?ん……あ、そうだ!!りっちゃん、ニョロボン、借りるね」

「それはいいが、何をするんだ?」

「それは後のお楽しみ!!」

ゆい先輩はニョロボンとシャワーズを近くに呼び寄せます。

「さて、やるよ、ギー太、ブイ太、ボン太」

「いや、ボン太はやめろよ」

「それじゃ、いっくよ?」

ゆい先輩はギターを鳴らし、衝撃波をニドキング達に繰り出します。

「シャワ」

「ボン」

その後ろから、シャワーズとニョロボンがハイドロポンプをゆい先輩の衝撃波に乗せて、発射します。ゆい先輩の衝撃波にシャワーズ達の水が乗り、ニドキング達にダメージが加わります。その攻撃で、半数近くのニドキング達を倒しました。

「やったね♪どんなもんだい」

フンスと得意げになる、ゆい先輩。
93. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:11:24.84 ID:JfKg9qyB0
「くそ。やはり、あのガキが問題か」

「どうする」

「いや、あのガキには欠点がある。」

「欠点だと」

「ああ。……ゴニョゴニョ」

「なるほどな」


94. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:12:23.38 ID:JfKg9qyB0
「いい加減、しつこいぜ」

「キング!」

律先輩のサワムラーはニドキングを蹴り飛ばします。

「もう、降参しろよ」

「そうですよ」

「私がいるから、あなた達じゃ勝てないよー」

「うるせえ、奴らだ。……さて、次の部隊だ」

ロケット団は残りのニドキング、ニドクインに加え、新しいポケモン、オコリザル、ゴーリキーを加えます。

「チッ、まだ増えんのかよ」

「ふん。増えても問題ないよ。さあ、頑張ろう、ブイ太、ボン太」

「だから、それはやめろよ」

「それはどうかな。お前ら、狙うのは、あのツインテールのガキだ!」

「!?」

ニドキング達は今までは私と律先輩に分散して攻撃してきましたが、今の命令で、全てのポケモンが私に向かって、突撃してきます。
95. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:13:13.50 ID:JfKg9qyB0
律視点

「あずにゃん!!」

敵は梓に向かって、突撃してくる。一点集中自体は悪くないが奴らの狙いは一体何なんだ。

「落ち着け、ゆい!!冷静にこうげ……」

「あずにゃん、今、助けに行くよー」

ゆいはピョコピョコと、攻撃を放棄し、私に向かって、走っていく。そうか、敵はゆいの動きを封じにきたのか。

「ちょ、ゆい!サワムラー、ニョロボン、ついでにシャワーズ、ゆいを援護だ!」

「「「ムラ(ボン、シャワ)」」」

サワムラーがゆいを援護するべく、横を向いた時、

「キング!」

ニドキングがサワムラーに体当たりを仕掛けてくる。

「サワムラー、くそ。ニョロボン!」

「ボン!」

ニョロボンはゆいの方に向かっていたのを転換し、サワムラーに攻撃していたニドキングにハイドロポンプを繰り出します。

「まったく、あいつらもなかなかやるな。梓への集中攻撃で、バランスが崩れちまった。サワムラー、ニョロボン、頼むぞー」
96. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:14:27.49 ID:JfKg9qyB0
梓視点

「ハクリュー、アクアテール!」
「リュー」
「ザル!」
ハクリューの尻尾で、オコリザルに攻撃し、オコリザルはダウンします。
「ハア……ハア……」
もう、ハクリューも疲れてきてます。そろそろ、交換すべきでしょうか。
「あずにゃ?ん」
「ゆい先輩!」

ゆい先輩は小さい体で、ピョコピョコとこっちに向かって、走ってきます。

「今だ、ニドキング!」

「ニド!」

ニドキングは方向を転換し、私に向かってくるゆい先輩を横から、襲い掛かります。

「ゆい先輩、横です!」

「横?ほわっ!」

ゆい先輩が横を向いた時にはニドキングの鋭い爪が迫ってきます。

「ゆい先輩!」

「ひゃー」

「シャワ!」

ゆい先輩に襲い掛かろうとしたニドキングは突如として横から、激流のような水に飛ばされます。

「シャワーズ!」

「ブイ太!」

「シャワ(背中に乗ってください)」

「うん!」

ゆい先輩はシャワーズの背中に乗って、こっちに向かってきます。

「あずにゃ?ん、無事だったかい。心配したよ?」

ゆい先輩が私に抱きつき、シャワーズはハクリューの攻撃に加勢します。

「まあ、見てのとおり無事ですが」

「梓!油断するな!」

「ザル!」

オコリザルがハクリュー達の攻撃を避け、横から突撃してきます。

「しまった!」

オコリザルは両手を交差させる技、クロスチョップの体勢で私達に向かってきます。
97. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:15:48.49 ID:JfKg9qyB0
「リュ!」

「キャッ!」

ハクリューは私を突き飛ばし、オコリザルの攻撃を代わりに受けます。

「ハクリュー!」

「ザル」

オコリザルはこちらに標準を向けます。

「このサルが!サワムラー、とびひざげり!

律先輩のサワムラーのとびひざげりがオコリザルの横に命中し、壁まで飛ばされます。

「大丈夫か、梓」

「はい」

「りっちゃん、かっこいい!」

私はハクリューのところに駆け寄ります。

「よくやりましたよ、ハクリュー」

私はハクリューの頭をなでてあげます。すると、ハクリューの体が光り輝きました。こ、これは……。

「進化か、梓!」

「そうみたいです」

光が収まると、そこには進化した、カイリューの姿が。

「リュー」

「やりましたよ、ゆい先輩!!カイリューに進化しました」

「サファリの園長さんが持っていたのと同じだね」

「リュー!」

カイリューはロケット団の集団の方を向き、口にエネルギーをためます。この技は……。

「リュー!!」

カイリューはロケット団に向かって、はかいこうせんを発射します。

「かわせ!」

ロケット団の連中は横に飛び、なんとか避ける事ができましたが、ほとんどのポケモンは今の攻撃で全滅してしまいました。
98. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:16:59.99 ID:JfKg9qyB0
「くそ。一旦、退くぞ」

ロケット団の連中はそそくさと逃げ出します。

「リュウ?」

「あれれ、動きが鈍くなってるよ、リュウ太」

「はかいこうせんを出すと、反動で動きが鈍くなるんですよ。戻ってください、シャワーズ、カイリュー」

「へー」

「なあ、梓。今の攻撃はよかったんだが、これはやりすぎだ」

律先輩の目線の先には跡形もないポケモンセンターの玄関が。

「……ですよねー」

「さて、サンダーを倒しに行くか」

「……楽しそうですね」

「そりゃ、伝説のポケモンと戦える機会なんて滅多にないしな」

「……そうですね」

「待ちなさい!」

ジョーイさんが私達を止めます。

「何ですか?」

「最後にもう一度、回復していきなさい。これがあなた達に出来る最後の協力だから」

「……ジョーイさん」

「そうだな。ほら、早く、梓も出せ。また奴らが来るぞ」

「分かってますよ」

99. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:17:59.48 ID:JfKg9qyB0
回復後

「とりあえず、カツラさんのところに行くか」

「ですね」

グレンジムの様子も気になりますし。

「それにしても、サンダーの奴。無差別に暴れてやがるな」

「ええ」

町は落雷の跡が無数にあり、火が出てるところも無数にあります。

「先を急ごう」

「はい」

私達はグレンジムまで、走っていきました。
100. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:19:03.29 ID:JfKg9qyB0
和・カントーへの出発の日

『お別れだね、和ちゃん』

『そうね』

『絶対、すごいトレーナーになってね。夢だったよね、ポケモンマスターになるの』

昔の話だけどね。その言葉を胸にしまい、

『唯も頑張んなさいよ』

『まあ、ぼちぼちにね』

『……じゃあね』

『うん。バイバイ』


101. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:20:11.27 ID:JfKg9qyB0
「和隊長」

「……何?」

また、昔を思い出して、ボーっとしていた。

「チュウ?」

きっと、あいつがこの子を連れてきたからだろう。

「連中、ポケモンセンターを逃げ出したみたいです」

「……そう。どこに向かってたか、分かる?」

「まだ、詳しくは」

「……至急探させなさい」

「はい」

ポケモンマスターか。たくさんのポケモンを実験材料にしてきた私が何を今更なことを。

「チュウ?」

「……あなたはのんきでいいわね」

私はピカチュウの頭をなでる。……今回の相手の中野梓。ミュウツーを撃破し、伝説のポケモンの1匹、ファイヤーをも、倒したトレーナー。
実力としては申し分ないだろう。

「何を考えているのかしらね」

戦ってみたいって、思うなんてね。私にはそんな資格もないのに。私はそんなことを思いながら、考えをめぐらせる。
102. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:20:43.87 ID:JfKg9qyB0
「……ねえ」

「何でしょう」

「たしか、梓はジムに挑戦していたのよね」

「はい。その後、カツラ達の妨害を受け、逃げられました」

「現在、ジムには?」

「グレンジムに所属する、トレーナーは何人かは捕らえましたが、カツラとその一部の仲間は逃げました」

「……おそらく、梓達はグレンジムに来るでしょうね」

「どうしますか?」

「そうね。じゃあ……」
103. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:21:58.66 ID:JfKg9qyB0
「くそ!どこに行った」

「そっちにいたか?」

「いない。あっちを探そう」

「まったく、数が多すぎだよな」

私達は物陰から、様子を伺っていますが、相当な数のロケット団がいます。

「どうしましょうか。この数では見つからずに、ジムに行くのは……」

「ねえ、あずにゃん、こっちの道にはロケット団の人達が少ないよ」

「え?」

ゆい先輩の指差す方を見ると、たしかに、ロケット団の人があっちの道より、少ない気がします。

「たしかに、少ないですね」

「こっちの道から、行こうよ」

「そうだな。今は考えるより、ジムに行って様子を見ることだな」

「でも、あまりに不自然な気がするんですけど」

「まあ、何かあったら、その時はその時だ」

「そうだよ」

「そんな、行き当たりばったりな」

「じゃあ、どうすればいいんだよ。あの人数を倒していくか?」

「……それも辛いですよね。分かりました。こっちの道に行きましょう」

私達はロケット団の少ない道を通っていきました。

104. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:23:18.30 ID:JfKg9qyB0
そんなこんなで、ジムの近くに到着しました。

「それにしても、ジムに通じる道のところだけ、ロケット団の数が少ないなんて、ラッキーだね」

ゆい先輩は私の頭の上でそんなことを言います。

「そうだなー」

「そうですねー」

私達は物陰から、ジムの様子を伺います。

「近くに行かないの?」

「迂闊に近づかない方がいいだろ」

「何で?」

「不自然すぎるだろ。まるで、ここに誘導するようにロケット団の数が調整されてたしな」

「まるで、ここに来させられたみたいな感じでしたよね」

「???」

「……つまり、私達がここに来るように、ここまでの道のロケット団の数を少なくし、通りやすいようにしたんですよ」

「おお、なるほど!……ってことはこれって罠!?」

「でしょうね」

「だが、ここでじっとしてるわけにもいかないな」

「ですけど、ジムに特に異常も見られませんし、カツラさんも逃げ出したと思うんですけど」

「中に隠れているかもしれないだろ。とにかく、一度は中を見ないとな」

「危険ですよ」

「どっちにしろ、この島に安全な場所なんかないよ。それに、室内なら、あれの電撃にも耐えられるだろ」

律先輩は上空のサンダーを指差します。
105. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:24:08.36 ID:JfKg9qyB0
「しかし、どうして、無差別に攻撃をしてるんでしょうね」

「これは私の勘だけど、あのサンダーはロケット団でも完全に操れてないんじゃないか?」

「?」

「つまり、捕まえたはいいけど、全然、命令を聞かないんじゃないか?だから、無駄に操ろうとするよりも、自由にさせてるんだろ」

「じゃあ、なんで、サンダーは逃げ出さないんでしょうか?暴れてる理由が分かりません」

「それは私にも分かんないよ。あくまでも、勘だから」

「ねえねえ。結局、どうするの?」

「……仕方がありませんね。虎穴に入らずんば虎子を得ずといいますからね。行ってみましょう」

「よし!じゃあ、梓も納得したから、中に入るか」

「頑張ろうね!」

私達は慎重にジムに潜入します。中はポケモンの爪で破壊された後や焦げた跡など生々しい戦闘の後が残っています。

「ひどいな」

「ええ」

私達はフィールドの中央に来て、止まりました。

「それにしても、カツラさん達がいませんね。やはり、ロケット団に……」

「いや。カツラさんは強いから、大丈夫だろ。たとえ、梓との戦闘の後でもロケット団には負けないさ。……まあ、今はカツラさんの心配をしてる場合じゃないけどな」

その言葉を合図に周りから、私達を取り囲むようにロケット団が現れました。
106. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:25:23.45 ID:JfKg9qyB0
「久しぶりね」

ほとんど、男の人の中で、眼鏡をかけた女の人が話しかけてきました。

「タマムシシティ以来ね」

「たしか……和さん」

「覚えてくれて光栄ね」

「ピカチュウ」

和さんの下に可愛らしいポケモン……ピカチュウがいました。

「わ?、可愛いね?、こっちにおいで?」

ゆい先輩はピカチュウをこっちに呼び寄せようとします。

「ゆい先輩!すこしは緊張感を持ってください!」

「えー、でも、可愛いよー」

「ピカチュウ♪」

「……それは否定しませんけど」

「もういいかしら」

「す、すいません」
107. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:26:30.71 ID:JfKg9qyB0
「それにしても、あの時でやめておけばいいのに、とことん、私達に絡むのね、梓ちゃん」

「好きで絡んでるわけじゃありませんけどね」

「……あなたはなんで旅をしているの?」

「はい?なんですか、突然」

「私達にかかわらなければ、もっと、快適な旅になったと思っただけよ」

「まあ、それは私も思いますけどね」

「あずにゃん、あずにゃん」

「何ですか?」

「そこは『私はポケモンマスターになるために旅をしているんです。ポケモンを悪用するあなた達になんか負けません!!』っていうところだよ」

「なんですか、それ」

「うむ、熱いな」

「さすが、りっちゃん。分かってるねー。りっちゃんはなんて言うべきだと思う?」

「そうだな。こういうのはどうだ。『私は最強になりたいから旅をしているんです。あなたも、私が最強になるための礎になってもらいます』」

「いい感じに厨二だね」

「だろ?」

「……少しは緊張感を持ってくださいよ」

「はーい」

「ほーい」
108. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:28:10.88 ID:JfKg9qyB0
「……あなたはポケモンマスターを目指してるの?」

「まあ、一応目指してますけど」

「……そう。あなたみたいなちんちくりんでもポケモンマスターを目指せるなんて、いい時代ね」

「なっ!!」

「ぷっ。そりゃ、そうだな」

「お子様は家で、ママの乳でも吸ってろ」

今の一言で、ロケット団の連中が下品な笑い声を上げます。

「失礼な人達だね。あずにゃんはこのお子様体型だから、いいんだよ!」

「そうだ。ゆい、良い事言った。梓がこ○亀に出てくる、秋○麗○みたいにスタイルが良かったら、それはもう、梓じゃない」

「りっちゃんの言うとおりだよ!」

「律先輩達は私に恨みでもあるんですか!」

「……いいわ。私が戦ってあげる。あなたに実力の違いを見せてあげる」

「え?」

「あなた達は下がってなさい」

「し、しかし……」

「あなた達が戦っても、無駄に戦力が削られるだけよ。だから、下がってなさい。……で、どうするの?」

「……律先輩」

「なんだ?」

「周りのロケット団の人達を頼みます」

「……任せろ」

「ありがとうございます。では、和さん。その勝負、受けます。やってやるです!!」

「じゃあ、ルールは6対6で全滅させた方が勝ちでいいかしら」

「もちろんです」

「(夢破れた者と夢を追う者の戦いね。これも若干、厨二くさいけど)では、始めましょうか」

「いつでもいいですよ」

「では……」

「「バトルスタート!」」

109. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/07/29(金) 17:29:18.97 ID:JfKg9qyB0
VSロケット団編②  「夢」  終了


最終更新:2011年09月22日 21:33