……
唯「あ~ん、全然あたらないよ~」ガラガラ ポン
和「残念賞のアップルグミがどんどん溜まっていくわね……」
店主「あと一回ですよ~」
唯「むう、最後の一回……それっ!!」ポン キラッ
店主「おめでとうございます! 一等賞、コトブキグループ主催のクルージングのペア券です!」
唯「……あ、当たった~!!」
憂「やったねお姉ちゃん!」
和「予定は……明日? じゃあ、今日は私の家に泊まって、明日二人で行ってきたら?」
憂「いいの和ちゃん?」
和「いいよ。私は明日はまた修練所に行かなきゃいけないから」
唯「ありがとー!!」
スキット 「コトブキグループ」
唯「コトブキグループってなに?」
和「ノイシュタットの富豪の琴吹家が経営する企業のことよ。クルージングも、グループが所有する船で行くんじゃないかしら」
?『……まだあったのか。前はセインガルドにあったはずなのに……ちょっとまずいな』
唯「あ、ギー太も知ってるの?」
?『だから私はギー太じゃないっての……ま、ちょっと昔、縁があってな』
和の家
和「どうぞ」
唯憂「「おじゃましまーす」」
和「ご飯にしましょうか」
憂「あ、手伝うよ和ちゃん」
和「ありがとう」
唯「アップルグミ食べよ~っと」
憂「お姉ちゃん? もう、今からご飯なんだから」
唯「えへへ、だって99個もあるんだもん」
憂「ちょっとだけだよ?」
唯「はーい」
夕食後
唯「さ、お風呂も入ったし寝よう! あ、ギー太も寝させなきゃね」
?『だからギー太じゃ……はあ、もういい、疲れた』
唯「パジャマはこれでいい?」ゴソゴソ
?『……? おい、何して……やめろ! むぐっ』
唯「えー? ちゃんと暖かくして寝ないと風邪ひいちゃうよ?」
?『ギターに服着せるバカがいるかー! そのままにしとけ!!』
唯「もー、わがままだなあ……じゃ、おやすみ!」
?『ふう……なんでこんな奴に素質があるんだか……』
唯「おお~、おっきなお船だ~!!」
憂「すごい……初めて見た」
和「それじゃ、楽しんできてね、二人とも」
唯「うん! またね、和ちゃん!」
憂「お勉強、頑張ってね!」
和「ええ、ありがとう。またね」
豪華客船甲板
唯「すごーい! 海だよ、憂!」キャッキャッ
憂「海だね、お姉ちゃん!」キャッキャッ
ドゴーン!!!
唯「うわっ、何!?」
乗組員「ば、化け物だー!!」
憂「……あっちだよ!」
クラーケン「グゥゥゥゥゥ……」
乗組員「このっ! 喰らえっ!」ベシベシ
クラーケン「グゥォォォ!」ブン グシャッ
乗組員「ぐはあっ!」ドサッ
唯「な、なにあれ!? イカ? タコ?」
憂「……こっちに来るよ!!」
クラーケン「グゥゥゥゥゥ……」ヌチャ ヌチャ
?「――おやめください、お嬢様! 危険ですぞ!」
?「離して、斎藤! この状況を黙って見ていられないわ!」ダッ
?「お二人とも、無事ですか!? ここは私に任せて!」
憂「あなたは……?」
紬「
琴吹紬と申します。さあ、危険です、ここから離れて」
?『……コトブキ……』
憂「いえ、私も協力します! お一人では危険です!」
紬「ううん、一人でだいじょう――」
クラーケン「グゥォォォ!」
紬「――まずいわ、来るわよ!」
紬「ライトニング!」ビリビリ
クラーケン「グゥゥ!」
憂「焼きまーす」ボウッ
クラーケン「グゥゥォォ!」
?『晶術……あの女の持ってるキーボードも、まさか……?』
唯「あの子のキーボードがどうかしたの?」
?『いや、なんでもない。それより、前を見てろ!』
クラーケン「グゥゥ…」ツルーン ツルーン
紬「意外と動きが速いわ」
憂「逃げられた! お姉ちゃん、そっち行ったよ! 危ない!」
唯「えっ、えっ!?」
?『弾け!』
唯「は、はいっ!」ジャーン ポワンポワンポワン
唯「おおっ! 音符が出た!!」
?『それをぶつけろ!』
唯「行けーっ!!」ヒュンヒュンヒュン
クラーケン「グゥゥォォ!?」ベシベシベシ
憂「お姉ちゃん、すごい!」
紬「今ね……サンダーブレード!!」バチバチバチ
クラーケン「グゥゥォォォォ!!」ザバーン
紬唯憂「「やったぁ~!」」
レベルアップ
唯 Level 6 あたるシンフォニーを習得
憂 Level 10
紬 Level 15
紬「ご協力ありがとう、おかげでモンスターを海に追い返せたわ」
唯「いえいえ~」テレテレ
憂「紬さん、お強いんですね」
紬「え、えぇまぁ、ちょっとね。ところで……そのギターなんだけど」
?『……』
唯「あ、ギー太? かわいいでしょ~」
紬「ええ。それをちょっと見せて――」
クラーケン「グゥ……」ヌッ
紬「――危ない!」
唯「え……きゃぁぁっ!?」ガシッ
クラーケン「グォォォ!」ブンブン
唯「いやぁぁぁ! 離してぇぇ!!」ジタバタ
憂「お姉ちゃん! ……このっ、お姉ちゃんを離して!」ベシベシ
紬「ウインドアロー!」ヒュン
クラーケン「グォァァ!」ズリズリ
紬「まずいわ!海に引き込まれる!」
クラーケン「グォォォーー……!」ザバーン
唯「憂ーーーー……!!」ザバーン
憂「お姉ちゃん! お姉ちゃーーん!」ダッ
紬「ダメよ! あなたまで飛び込まないで!」ガシッ
憂「は、離して! お姉ちゃんが、お姉ちゃんが! いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
海の中
唯(わたし……死ぬのかな)ゴボォッ
唯(憂……和ちゃん……ごめんね)
?『おい……おいっ! あきらめるな!』
唯(ギー太……? ごめんね、濡れちゃったね)
?『お前、名前は……唯、だったか? ……死にたくなかったら、私をしっかり持て』
唯(……?)パシッ
?『そして私の名前を呼べ。ギー太じゃないからな』
唯(頭の中に……流れこんでくる)
?『私の名前は――』
唯(あなたの名前は――)
唯「――晶ちゃん!!」ピカァァァ
――――
「――お姉ちゃん」
唯(……ん?)
「お姉ちゃん、起きてよ、もう……」
唯(……憂、おはよぉ~)
「どうしたの? 悪い夢でも見た?」
唯(うん、ギターがしゃべったり、海に落ちたりして……なーんだ、夢――)
晶『起きろ、唯っ!』
唯「うわぁっ!?」ドシン
唯「あれ……ここはどこ? なんでベッドに……」
晶『覚えてないのか? 怪物に海に引きずりこまれて――』
唯「あっ、ギー太! よかった~、夢じゃなかったんだね」
晶『てめぇ……はぁ、なんでこんな奴が私のマスターに……』
唯「マスター?」
晶『私の名前を呼んで、契約したんだ。それでお前は一応私のマスターになったんだよ』
唯「へぇ……あれ、わたしは海に落ちたのにどうして助かったの?」
晶『私が泡を出してお前を包んだんだ。それで流れついたのがここ、ってわけ』
唯「そっか……ありがとギー太!」
晶『私の名前を覚える気はねーのかい……』
?「あ、気がつきましたか?」ガチャ
唯「……誰?」
梓「梓、っていいます。あなたが浜辺で倒れていたので、この家まで運んだんですが……大丈夫ですか?」
唯「大丈夫ですっ! ありがとう~、梓ちゃん。ところで、ここはどこ?」
梓「ファンダリアですけど……」
唯「えーっと、ファンダリアってどこだっけ……」
晶『ファンダリアも知らないのか……第一大陸の南、雪の多い大国だろ』
唯「えっ、じゃぁ私フィッツガルドから別の大陸まで流れてきたの!?」
晶『お、おい、唯! 私に返事しても不審に思われるだけだぞ!』
梓「ふふ、大丈夫ですよ。私にも聞こえてますから」
唯「梓ちゃんにも聞こえるの?」
晶『へぇ……お前にも素質があるのか』
梓「はい。私のギター、持ってきますね」タッタッタッ
……
梓「お待たせです。ほらむったん、挨拶して」
?『私はむったんではないのですが……初めまして。奥田と申します』
晶『……知らないな。私は恩那組の晶。知ってるか?』
奥田『いえ、私はバンドを組んでいたわけではないので……すみませんが知りません』
晶『おかしいな、私たち以外にはいないはずだったが……変なキーボードにも会ったし、どうなってんだ?』
唯「ねぇねぇ、何の話?」
晶『あー、こっちの話だ、現代人は知らなくていい』
唯「ぶー、教えてくれてもいいじゃん」
梓「むったんも何度聞いても教えてくれないんですよ」
奥田『私はちょっと言いたくない過去が……』
梓「まぁいいです。ところで、唯、さん? これからどうするんですか?」
唯「妹が心配だから、フィッツガルドに帰るよ~。港はどこかな?」
梓「それでしたら、スノーフリアに港があるので、案内します。今日はここで休んでいってください」
唯「ありがとう、梓ちゃん!」
翌日
梓「それじゃ、出発しますよ! 途中モンスターが出るので、気をつけてください」
唯「まっかせて!」
晶『何がまっかせてだ……まだ私の扱い方を何も知らないだろ?』
唯「えー、簡単だよ! ぽんぽんぽんと出して、どーん! でしょ?」
晶『それだけじゃないぞ。私と契約したからには、晶術が使えるようになる』
唯「しょうじゅつ?」
梓「使ったことないんですか? レンズから力を引き出す術のことですよ」
唯「へー……」
晶『まぁいい、実際にやってみればわかるだろ……』
notice
唯は「ファーストエイド」を習得しました
「先輩」
梓「唯さんはいくつなんですか?」
唯「16だよ~」
梓「じゃぁ、私の一つ上ですね! 先輩、って呼んでいいですか?」
唯「せ、せんぱい!? ……いいっ……」
晶『なーにくねくねしてんだ~?』
梓「ふふっ、よろしくお願いしますね、唯先輩」
唯「まっかせなさい!」フンス
―――
「大先輩」
唯「そういえばギー太はいくつなの?」
晶『……何度も言うけど、私の名前は晶だ。で、歳は……数百年ぐらいか? 人格を投射した時点では唯と同じだけど』
奥田『正確には600年前ですね』
唯「じゃぁ大先輩だね!」
梓「むったん、そんな歳だったんだ……」
奥田『え、ちょっと、そんなに引かないでください、地味にへこみます……』ドヨーン
―――
「ギターの名前2」
唯「梓ちゃんのギターはむったんって言うんだ?」
梓「はい、ムスタングだからむったんです」
晶『……お前も勝手に名前つけられたのか?』
奥田『はい……まさか私の声が聞こえるはずないと思って黙ってたら、いつの間にか名前がついてました』
晶『お互い難儀なマスターを持ったもんだな~……だいたいギー太ってなんだ、しょぼい名前を……』
唯「えー、ギー太かわいいじゃん!」
晶『どこがだ! だいたいな、元々私のギターはロザリーっていうんだ!』
奥田『名前つけてたんですか……』
―――
「あだ名」
唯「じ~……」
梓「な、なんですか、唯先輩?」
唯「ふむふむ、梓ちゃんかわいいねえ……ねこにんの格好とか似合うんじゃないかな?」
梓「な……そんなことないです!」
唯「えーい!!」ダキッ
梓「に゛ゃっ!? ちょっと、やめてください!!」
唯「か~わいい~♪ あだ名はあずにゃんに決定だね!」
晶『だー! 私を持ったまま人に抱きつくな~!!』ゴチンゴチン
奥田『いたたた……』ゴチンゴチン
notice
梓は称号:「ねこにん?」を取得しました
最終更新:2011年09月25日 22:52