シバ「エビワラーは3分戦うと一休みするのさ。試合合間の休憩みたいなものだ。まあこちらに合わせる必要はないが」
梓「いえ…。これは戦闘(ケンカ)ではなく、試合(スポーツ)ですから」
シバ「…ふっ」
梓(…と言ってみたものの、余裕がないのは事実。このままだとミミちゃんは……次のポケモンを出してもエビワラーの勢いに圧倒されて…………負ける…っ!)
梓(どうすれば…)
ミミちゃん「ミ、ミロー…」ヨロッ…
梓「!」
ミミちゃん「ミミロー♪」
梓「…!」
梓「……ありがとう、ミミちゃん」ナデナデ
ミミちゃん「ミミ~」
梓(そうだよ、ミミちゃんとエビワラーは本来力の差はないはず! なのにミミちゃんが押されているのは、トレーナーの実力の差のせい…!)
梓(シバ先生は己の体を鍛えて自分自身でバトルのシミュレーションをしてる……シバ先生と私じゃあ、力のぶつかり合いになるバトルにおいて力の差が出てくるのは当然! ならどうすればいいか……シバ先生は格闘家、私はポケモン博士………)
梓(私にあってシバ先生にないものは……『知識』! 『分析力』!!)
シバ「……何か掴めたようだな」
梓「はい」
シバ「ならば休憩は終わりだ! エビワラー!!」
エビワラー「シェイ!」
梓「ミミちゃん!」
ミミちゃん「ミミロー!」
梓「“かみなりパンチ”!」
ミミちゃん「ミミ!」ブンッ
シバ「またパンチか? 何度やっても変わらないぞ! エビワラー、“カウンター”!!」
エビワラー「シェイ!」ブンッ!
ミミちゃん「…」スッ…
エビワラー「…シェイ!?」スカッ
シバ「!」
梓「ミミロップの足の動きはしなやか! パンチの速さはエビワラーに劣りますが、足の速さならこちらが上です!」
ミミちゃん「ミミロー!!」ダッ
シバ「…カミソリ・パンチ!!」
エビワラー「シェイ!!」シュッ!
ミミちゃん「…!」
ドガアンッ!!!!
ミミちゃん「…ミミロー!?」
梓「…!」
シバ「ふっ、足の速さで負けようが関係ない。ミミロップはこちらに向かって来るのだから、パンチの速さで勝っているエビワラーが有利だ」
シバ「エビワラーに近付くことすら叶うまい」
梓「……っ」
シバ「だからと言って近付かないのなら、こちらが近付くまで! エビワラー、カミソリ・パンチ!!」
エビワラー「シェーイ!!」ダッ!
ブンッ!
ミミちゃん「ミミ…っ!」
梓「…この瞬間を、」
梓「待っていましたっ!」
ミミちゃん「ミミ!」キッ
梓「“すりかえ”!」
ミミちゃん「ミミロー!」ウバイッ
エビワラー「シェイ!?」トラレッ
シバ「なんだと!?」
ミミちゃん「ミミロー!」スチャッ
和「ミミロップが自分の持ち物とエビワラーのグローブをすり替えた!?」
梓「ちなみにミミちゃんの持ち物は、私のヘアゴムです!」
シバ「髪下ろしていたのか!!」
律「いや、気づけよ!」ビシッ
唯「グローブつけてるミミロップちゃんかわいい~! 髪下ろしあずにゃんもねっ」
純「ていうか、エビワラーの素手がモロに…」
紬「見ちゃダメよ、純ちゃんっ!」ギュウ♪
純「きゃあーっ!?」
澪「ミエナイキコエナイ…」
梓「ヘアゴムは休憩中に渡したんですけどね。とにかく、これでパンチは封じました!」
シバ「ボクサーの魂であるグローブを取られてはパンチが出来ない……しまった…!」
エビワラー「シェイ…」
梓「今がチャンスです! ミミちゃん、“おんがえし”!!」
ミミちゃん「ミミロー!!」
ドオオオオンッ!!!!!!
エビワラー「…ッ!」
シバ「ぐう…! これほどの威力の“おんがえし”……流石に相当懐いているな! ………だがッ!!」
エビワラー「シェイ!」スチャッ
梓「! 何故グローブが!?」
律「違う…、あれはグローブじゃないぞ!」
和「となると、あれは…」
シバ「ヘアゴムを薄く引き伸ばした、即席グローブだ」ドーン!
梓「なぁ~~!?」
スモモ「はは…無理矢理ですね」
シバ「残念だったな、梓。エビワラーのパンチは復活したぞ!」
梓「そんなことよりゴム伸びちゃいますっ! ちぎれます!!」
シバ「…梓よ、これは真剣勝負だ。それに自分でヘアゴムを渡したのだ。覚悟は出来ているはずだろう?」
梓「……、」
梓(元々、あのヘアゴムは戦闘用に作ったものだから丈夫なんだけど……それが仇になったかも)
エビワラー「シェイ!」ガチッ
梓(ちぎれたら、ちぎれたでいいかもしれないけど…そう上手くはいかないか)
梓「ミミちゃん!」
ミミちゃん「ミミ!」ブンッ
シバ「む! エビワラー、受け止めろ!」
エビワラー「シェイ!」
ガシッ…!
ミミちゃん「っ!」
シバ「…どうした? こうして何度も止められただろう」
梓「…ええ、そうですね。でも見てください……二匹の状況を!」
シバ「? …! なに!?」
エビワラー「シェイ…!」ガチッ…
ミミちゃん「ミミィ…!」ガチッ…
シバ「…互いの左腕がぶつかり合い……背中のガードが手薄に!?」
梓「ミミちゃん、そこだよ! 右ストレート!!」
シバ「…ッ!!」
ミミちゃん「ミミロー!!」
ドゴオッッ!!!!!!
エビワラー「シェイー!?」ドサアッ!
シバ「エビワラーッ!」
スモモ「決まりました…!」
レンブ「…まだだな」
エビワラー「…、」ムクッ……
梓「っ!」
シバ「今のは見事だったな。だが、ボクサーの魂を宿すエビワラーはこんなことでは屈しない!!」
梓「……ッ!」
シバ「万策尽きたか? なら勝たせてもらう!」
梓「…、」
梓(確かに私のミミちゃんはエビワラーのパンチを完全に再現することはできない……例えば、唯先輩のムシャーナのようには……)
梓(でも……!)
エビワラー「…ッ!?」バタリッ
シバ「! エビワラー!?」
エビワラー「シェ、イ…」ジュワアッ…
シバ「…毒!?」
梓「純、使わせてもらったよ!」
純「へっ?」
キョウ「ファファファ、なるほどな。右ストレートと共に“どくどく”も打ち込んでいたようぞ」
シバ「“どくどく”…!」
梓「“てつのこぶし”を持つエビワラーには出来ないパンチです!」
アンズ「鉄……鋼は毒や猛毒を受け付けない。先の戦いをヒントにしたでござるか」
シバ「…っ!」
エビワラー「シェイ…」
シバ「エビワラーに出来ないパンチ…! く、そんなものがあるとはな……不覚ッ」
エビワラー「…ワラワラッ!」キッ
シバ「ああ、エビワラー! こうなってはこちらもいっそう引き下がるわけにはいくまい!」
シバ「根性を見せろ、エビワラー! “からげんき”!!」
エビワラー「シェーイ…!!」ギンッ!
シバ「“バレットパンチ”!!」
エビワラー「シェーイ!!」
ドダダダダ!!!!!
ミミちゃん「ミミ…っ!」
梓「ミミちゃんっ! 後退して、“とびはねる”!」
ミミちゃん「ミミロー!」スッ…
エビワラー「…!?」フラッ……
ミミちゃん「ミミ!」ピョン!
梓「“とびげり”!!」
ドダアアン!!!!
エビワラー「ワッラァア!?」
シバ「…!?」
ミミちゃん「…」スタッ
シバ「…その、動きは……ッ!」
トウキ「おいおい…エビワラーの力を利用して……ありゃあ、まるで『柔の奥義』じゃねえか。シバに教わっていたのか?」
スモモ「そんなはずは…。シバさんは『剛の奥義』の使い手ですし」
レンブ「…俺だ」
トウキ・スモモ「!?」
トウキ「な…! レンブ、お前が彼女に教えたのか!?」
レンブ「否。彼女は見ただけだ」
スモモ「み、見た…?」
レンブ「俺との戦いで見て覚えたのだろう…」
レンブ(いや、それだけではない。先程の“どくどく”も見て……覚えた!)
シバ「『柔の奥義』だと…!!」
梓「モドキですけどね」
シバ「…ッ」
梓(…先輩達は自分達の師匠を越えられた。私にも…今なら越えられる!)
梓(ミミちゃんの『才能』を活かし、『機転』を利かせて、それでも教えてもらった『技』で!!)
梓「はぁああああ…!! “スカイアッパー”!!!」
ミミちゃん「ミミロー!!」ダッ
シバ「…面白い! こちらも“スカイアッパー”!!」
エビワラー「シェイ!」ダッ
ゴオオオッ…!!!!
ミミちゃん「ミミローォッ!!!」
エビワラー「シェーッイ!!!」
ドギャアアアアアッ!!!!!!!!!!!
ビリビリッ……
ミミちゃん・エビワラー「……っ!」
…ドシャアンッ!
梓シバ「……」
パラパラ……
梓シバ「…!!」
ミミちゃん・エビワラー「」ガクッ
マサキ『り、両者戦闘不能ーッ!!』
梓「…戻って、ミミちゃん!」シュウウッ
梓「よく頑張ってくれたね、ありがとう」
シバ「エビワラー、よくやった」パシュッ
梓シバ「……」
シバ「ふっ」
梓「ふふ…」
ボム!
カイリキー「リーキィッ!」バンッ
トウキ「! カイリキー…、シバの手持ちで最強のポケモンじゃねえか!」
スモモ「それほど本気ってことですよ…」グー
シバ「ここまできたら、出し惜しみする必要もないッ!」
梓(嬉しいです! シバ先生が本気で戦ってくれている…! 私も!)
ボム!
トンちゃん「プロプロー!」
シバ「コイツは…?」
梓「私の新しい友達、プロトーガのトンちゃんです!」
和「イッシュ地方でポケモンを捕まえたのは私だけじゃないってことね」
トンちゃん「プロプロー!」
シバ「…見たところ、バトルは初めてのようだな」
梓「はい」
シバ「カイリキー!」
カイリキー「リキィッ」
シバ「“バレットパンチ”!」
ドダダダ!!!!!
トンちゃん「プロ…!?」メキッ…
ドオオオオンッ!
シバ「カイリキーは二秒間に千発のパンチを繰り出す。そのスーパーパワフルなパンチを喰らった者は地平線まで吹っ飛んでしまうという……」
シバ「そのプロトーガは耐えられたかな?」
トンちゃん「…プロ、」
シバ「…!」
トンちゃん「プロプロー!」バンッ
梓「トンちゃんの守りを甘く見ないでほしいですね」
カイリキー「グァ…!」ビリッ…
シバ「! “てっぺき”をしていたか!」
梓「そして守りだけじゃありません! 次は攻めに転じます!」
梓「“アクアジェット”!!」
トンちゃん「プローッ!!」バシャアッ!
ドオオオッ!!!!
カイリキー「…ッ!!」
シバ「くう…! だがその小さな体ではそのうち押し返されるぞ!」
カイリキー「リーキィッ!!」ググ…!
トンちゃん「プロ…っ!」
紬「ああ…!」
シバ「気張れカイリキー! 押し切れーッ!!」
カイリキー「リーキィッ!!!」ググッ!
トンちゃん「…!?」
ドダアアン!!!!!
トンちゃん「プロー!?」
シバ「いいぞ!」
トンちゃん「…、」ググッ…
シバ「なに…! まだ立ち上がることが出来るのか!?」
梓「よく“がまん”したね、トンちゃん…」
トンちゃん「プロー!」
シバ「“がまん”…!?」
梓「そうです。トンちゃんはぶつかり合いの時にカイリキーから受けている攻撃を“がまん”でエネルギーに変えていました。それはすなわち…」
梓「進化のエネルギー!!」
トンちゃん「プロー!!」メキッ!
ピカアアッ!!!!
トンちゃん(アバゴーラ)「バゴーラァ!!」
シバ「進化しただって!?」
梓「“アクアジェット”!」
トンちゃん「ゴーラァ!!」バシャアッ!
ドゴオッッ!!!!!!
カイリキー「リ、っキィ…!?」
シバ「プロトーガの時とは比べものにならないパワー…!」
梓「アバゴーラは、はりてでタンカーの船底に穴を開けるパワーの持ち主です! 今度はそう簡単にパワー負けしませんよ!」
シバ「ぐ…!」
スモモ「すごいすごい! あのカイリキー相手に引けをとらないパワー!」
トウキ「ひゅうっ♪ どちらも『剛』の使い手だ。凄まじいパワーのぶつかり合いだよ!」
レンブ「……いや、それだけじゃない」
スモモ・トウキ「へ?」
シバ「…カイリキー、“クロスチョップ”を当ててやれー!」
カイリキー「リーキィッ!!」ギュオッ!
トンちゃん「…!」
ゴシャッ!!!
シバ「クリーンヒットだ!」
レンブ「違う、シバァ!!」
シバ「…!?」
カイリキー「ガァ、アアッ!?」ガクッ…
シバ「カイリキー!?」
シバ(アバゴーラの甲羅にやられたか…!)
レンブ「…っ!!」
レンブ(最攻にして最硬。攻撃は最大の防御で、防御は最大の攻撃! あれこそが…俺の求めていた格闘……!!)
レンブ「言うなれば、剛と柔の混合……いや、剛と柔の中間、『中の奥義』!」
梓「今の攻撃に“がまん”で反撃です!」
最終更新:2011年09月27日 00:55