憂「夜空いっぱいに広がる星…それらがすべて攻撃に変わる! “スピードスター”!!」
カッ!
ドドドドドドド……!!!!
ドガアアアアアアンッ!!!!!!!!!!
シュウウッ……
ぶらら「……」
憂「これで逃げ場はもうないはず…」
憂「!」
唯「ケホケホ…、なんとか間に合ってよかったよ…」
ピッ太「ピーッ!」
憂「ピクシー!?」
ミナキ「交替したか。うまい! これで形勢を立て直したな!」
まいこはん「シャワーズとブラッキーの対決はもう少し見ていたかったもんやけどなあ」
憂「でも優勢なのはこっち! ぶらら、“だましうち”!」
ぶらら「ブラーッ!」シュバッ
ピッ太「!?」
ドガアッ…!
ピッ太「…ピッ!」ケロッ
憂「うそ! “だましうち”で死角を狙って攻撃したのに、全然効いてない!?」
ピッ太「ピッ!」つバトン
憂「あれは……、“バトンタッチ”!?」
唯「うん、ブイ太の“とける”をピッ太が受け継いだの。ピッ太はブイ太みたいに水に溶けられないから、代わりに防御がぐーんと上がったみたい」
ピッ太「ピッ!」エヘンッ
律「すごいぞ、唯! たまたまだったにしても!」
唯「ひどいよ、りっちゃん!」ガーン!
唯「まあ、“バトンタッチ”がそんな効果だってことは知らなかったけどさ…」ゴニョゴニョ
憂「……」
憂(違う……。運も実力の内というけど、あの言葉の真意は、運がいい人は『運を引き寄せるだけの実力がある』ってこと。つまり、これはお姉ちゃんの実力!)
唯「おーし、もっと行くよ! ピッ太!」
ピッ太「ピーッ!」ピョーン
梓「すごいジャンプ力です!」
唯「こう見えても、背中の翼を使って飛ぶようにスキップできるんだ!」
紬「このまま月に届きそうな勢いよ!」
憂「! まさか…!」
唯「月の光を浴びて進化するというピッ太は、多分ぶららより月に関連性があって、月をよく知ってる!」
唯「ピッ太なら分かるよね? 月の『急所』が!」
ピッ太「ピッ!」コクッ
唯「“コメットパンチ”!!」
ピッ太「ピーッ!!!」ギュオッ…
ドゴオオオオオオッ!!!!!!!
憂「惑星を破壊する…“コメットパンチ”……!」
ぶらら「…!」
ヒュウウ………!
憂「崩れた月の破片が…!?」
唯「“ちきゅうなげ”ならぬ、“つきなだれ”ってね!」
ドダアアアアンッ!!!!!
ぶらら「…、」シュウウッ……
バタッ!
さわ子『ブラッキー戦闘不能よー! これで唯ちゃんが少し有利になったわね!』
マサキ『余計なこと言わんでええ!』
憂「ぶらら、ありがとう」シュウウッ
憂「…やっぱりお姉ちゃんは強いね」
唯「えへへ…」
憂「でも負けないよ! ぷりり!」ボム!
ぷりり「プクリーン!」
澪「憂ちゃんの二匹目はプクリンか」
律「こりゃまた厳しいかもな…」
憂「ぷりり、“のしかかり”だよ!」
ぷりり「プクリーッ!」バッ
ドシーンッ!
ピッ太「…ッ!」ズシッ…
唯「ピッ太、なんとか返して…」
ピッ太「ピ~…」スリスリ
唯「ピ、ピッ太?」
憂「ぷりりの毛皮は気持ちいいから、中々離れられないよ。ピッ太はぷりりの毛皮の虜になっちゃったね」
ピッ太「ピ~…」スリスリ
憂「息を吸い込んで突き飛ばして!」
ぷりり「プクリー!」スウッ…
ピッ太「ピ!?」
ボウウウン!!!!
ピッ太「ピ~ッ!?」ヒュウウー…
唯「ピッ太あ!」
憂「“ハイパーボイス”!」
ぷりり「プっクリー!!!」
ドオオオオオオンッ!!!!!!
バタアン!
ピッ太「ピ…、」
マサキ『ピクシー戦闘不能や!』
唯「戻ってピッ太!」シュウウッ
唯「……。ブイ太、もう一度おねがい!」ボム!
ブイ太「シャワー!」
憂「…!」
憂(そっか…。お姉ちゃんも同じ考えなんだね)
唯(これは三対三のバトル。お互いに残りは二匹。そのうち、今出ているブイ太とぷりりは先の戦いで体力が減ってる…)
唯憂(なら、三匹目に全てを託す!)
唯「ブイ太、“みずのはどう”!」
ブイ太「シャワー!」
バシャアッ!
ぷりり「プクゥ…」
唯(メリ太の電撃が通るように、フィールドに水を撒いておくよ!)
唯(気になるのは憂の三匹目…)
憂「ぷりり、“でんげきは”!」
ぷりり「プクリー!!」
バチイイッ!!!!
ブイ太「シャワー!?」
唯「ブイ太っ!」
律「効果は抜群だ、これは痛いぞ!」
憂「“ハイパーボイス”!」
ぷりり「プクリーン!!」
ドガアアッ!!!!!
ブイ太「…ッ!」ビリビリ…
唯「ブイ太、頑張って! “アクアテール”!」
ブイ太「シャ…ワーッ!」ダッ!
ぷりり「!」
ゴシャッ…!
ブイ太「…」ぷりり「…」
ブイ太・ぷりり「」バタアンッ
さわ子『両者同時に戦闘不能! 互いに残り一匹となりましたー!』
澪「最後は一騎打ちか!」
紬「相性が重要になってくるわね…」
唯「メリ太!」ボム!
メリ太「モコー!」
憂「最後はあなただよ!」ボム!
バチャッ!
唯「!」
唯(ブイ太の作った水溜まりに“ダイビング”をした…?)
唯「水タイプなら…“ほうでん”だよ!」
メリ太「モコー!!」バチバチィッ…!
ピシャアアッ!!!!!
シーン……
メリ太「……」
プカー
唯「!」
憂「ウヌヌ、“れいとうパンチ”!」
バッ!
ドゴオオッ!!!!
メリ太「~っ!?」
唯「そんな!?」
バチャッ!
ウヌヌ「……」ヌソッ…
唯「! ヌオー!」
梓「水・地面タイプのポケモン! 電気技は効きません!」
紬「モココには圧倒的に不利な相手よ!」
唯「う…」
メリ太「モコ、」ジリッ…
憂(わたげポケモン・モココはゴムのような皮膚を持つ。皮膚を狙っても攻撃を弾かれちゃうかもしれない…だから狙うのは)
憂「綿毛の部分! ウヌヌ、“マッドショット”!!」
ウヌヌ「ヌオー!!」
ブシャッ!
メリ太「モコ!?」
唯「! いけないっ!」
唯「“シグナルビーム”で反撃だよ!」
メリ太「モコー!!」ビュオオッ
憂「ウヌヌ、“ダイビング”!」
ウヌヌ「ヌオ!」バシャッ
メリ太「!」
憂「背後に回って“マッドショット”!」
ウヌヌ「ヌオー!」
ドシャアッ!!!!
メリ太「モコーッ!?」
唯「メリ太…!」
メリ太「モコ…!?」ズシッ……
唯「メリ太!?」
ミナキ「“マッドショット”で素早さが下がったか。これで攻撃を上手く避けられなくなる…いい作戦だ」
唯「次の攻撃を喰らったら…!」
メリ太「モコ……」
憂「お終いだよ、お姉ちゃん! “どろばくだん”!!」
ウヌヌ「ヌオーッ!!!」ブシュッ
バシャアアアアアッ!!!!!
メリ太「……!」
唯「っ! 一か八か……、“わたほーうし”っ!」
メリ太「モコ!」キッ
モコモコモコモコモコモコ…!
ウヌヌ「…!?」
憂「綿で前が見えない…!」
憂「“みずでっぽう”で綿を撃ち落として!」
ウヌヌ「ヌオー!!」バシャアッ
シュウウッ……
メリ太「……」
憂「! モココの綿毛がなくなってる…?」
メリ太「モココー!」ピカアッ!
憂「進化!?」
メリ太(デンリュウ)「リュウウ!」
澪「綿毛がなくなって、完全な姿が出来上がったんだ!」
唯「行くよ、メリ太。“シグナルビーム”!」
メリ太「リュウウ!!」ビュオオッ
憂「! “れいとうビーム”!」
ウヌヌ「ヌオー!!」ビュオオッ
ドオオオオオオン!
メリ太「…」
ウヌヌ「…」
唯「やっぱりメリ太は電気技だね」
憂「…電気技はウヌヌに効かないんだよ?」
唯「知ってるよ。でもメリ太は電気技を通して、絶対に勝ってくれる!」
唯「メリ太、“ひみつのちから”!」
メリ太「リュウウー!!」ダダッ
憂「! で、電気技っていうのはフェイク!?」
唯「ううん、電気技で決めるのは本当だよ!」
憂「…どちらにしても、“ダイビング”で……」
ウヌヌ「ヌオ…」オロオロ
憂「ウヌヌ?」
モコモコ…
憂「! 綿毛が水分を吸って、水溜まりが干からびてる!?」
メリ太「リュウウー!」ドガッ!
ウヌヌ「…っ!」
憂「これくらいじゃ倒れないよ…!」
唯「ううん、倒すことが目的じゃない。“ひみつのちから”の追加効果、麻痺!」
ウヌヌ「ヌオ…っ!」ビリッ!
唯「これは地面タイプに電気を流せる数少ない方法。この電流を通して、メリ太の電気技を喰らわせる!」
憂「まさか…っ!」
唯「“10まんボルト”!!」
メリ太「リュウウウウウッ!!!!」バチバチイッ!
ピッシャアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!!!!!
ウヌヌ「ヌ…オオオオ!!?」
ドガアアアンッ!!!!!
ウヌヌ「」ドサッ
マサキ『ヌオー戦闘不能や! よって勝者は…』
憂「ああ…」スタッ
ウヌヌ「ヌオ~…」
憂「ウヌヌ、よく頑張ったね」シュウウッ
唯「か、勝ったんだ…」
メリ太「リュウウ!」
唯「やったね、メリ太!」
唯「…って。今さら『メリ太』なんて子供っぽいかな? ……そうだね、これからは『リュウ太』でよろしくねっ!」
リュウ太「リュウウ♪」
ザッ…
憂「お姉ちゃん」
唯「! 憂」
憂「負けちゃった…」
憂「お姉ちゃん、旅に出てからたくましくなったね」
唯「えへへ、そうかな…」
憂「律さんから聞いたよ。お姉ちゃん、立派なお姉ちゃんになるために旅に出たんだって」
唯「う、うん。私なれたかな…?」
憂「おバカさんだね、お姉ちゃんは」
唯「ふぇ?」
憂「昔からお姉ちゃんは立派なお姉ちゃんだよ。私が野生ポケモンに襲われた時も一生懸命守ってくれたし、私がトキワの森で迷子になった時も軽音部のみなさんに呼び掛けて探しに来てくれた…」
唯「そんなこともあったかな…」エヘヘ…
憂「ふふ。ありがとう、お姉ちゃん!」
唯「…うんっ」
唯父「唯おめでとう!」
唯母「憂は残念だったわね♪」
唯「お父さん、お母さん」
唯母「二人ともかっこよかったよ♪」
唯父「うん!」
唯憂「えへへ……」
唯父「軽音部のライブで演奏してた唯はかっこよかったが、ポケモンをやっている唯もかっこいいな!」
唯「えへへぇ~」
唯父「……」
唯「? どうしたの、お父さん」
唯父「…唯」
唯父「後悔、しているか?」
唯「え…?」
唯父「お前は立派なお姉ちゃんになるためにポケモンを連れて旅に出かけた。だが今ここでその目的を達成した。それどころか、元より立派なお姉ちゃんだったんだ」
唯父「…話を聞けば、この旅の中何度も危険な目に遭ったそうじゃないか。なんとか今こうして無事でいるが……そもそも旅に出なければ危険な目には遭わなかった」
唯父「旅の目的が達成するまでもなかったと知った今、旅に出たことを後悔しているか?」
唯「…ううん、後悔なんて……。確かに危険な目には遭ったよ? でもそれがきっかけで分かったこともあるんだ。ポケモンたちの思い、人と人との繋がり、そして人とポケモンの絆…」
唯「この旅で色んな人やポケモンに出会って、私も成長できたと思う。それに何より、この二年間楽しかった!」
唯「こうしてみんなとポケモンバトルをできるのも旅のおかげ…」
唯「後悔なんてしてるわけないよっ!」
憂「お姉ちゃん…」
唯母「ふふっ♪」
唯父「それでこそ、パパの娘だ!」
唯母「あら。ママの、とは言ってくれないの?」
唯父「ふふ、もちろん。ママのおかげでこんな立派で可愛く育ったんだよ」
唯母「うふふ、パパのおかげよ~」
キャッキャウフフ
唯憂(仲良しだなあ)
最終更新:2011年09月27日 01:01