病室
澪「律。来たぞ」
唯「りっちゃーん」
紬「りっちゃん」
律「…………」
唯「りっちゃん、前に私が教えたアイス屋さん、今キャンペーンやってるんだよ!」
律「………」
唯「早くしないと終わっちゃうから、りっちゃんも早く起きて一緒に行こうね!」
律「………」
唯「やっぱりアイスの力だけじゃ無理かあ」
澪「アイスの力って……」
唯「次はムギちゃんの番だよ」
紬「ええ、りっちゃん。調子どう?」
律「…………」
紬「今日もりっちゃんのケーキ持ってきたの。前にりっちゃんが美味しいって言ってくれたものよ」
律「…………」
唯「本当においしそうだな~。りっちゃん!早く起きないと私が食べちゃうよ?」
律「…………」
唯「ケーキの力でもだめなのかあ」
紬「しょうがないから、あとで皆で食べましょ?」
唯「そうだね」
律「…………ゲホッ」
唯「ゲホッ?」
澪「律!?」
律「…………」
紬「ただの咳だったみたいね」
唯「なんだあ。ケーキに反応してくれたと思ったのになー」
澪「律……本当にごめん」
律「…………」
澪「あの時律を強引に誘ったからこんなことになっちゃったんだよな」
律「…………」
澪「律は優しいから、私のこと責めないだろうけど……お願いだから謝らせてくれ」
律「…………」
澪「律が起きたら、私はずっと律のそばにいるから。それでいつでもお尻触っていいよ。
だから、起きてよ……りつぅ……」
唯「澪ちゃん……」
澪「やっぱり……ダメか」
律「…………」ピクッ
澪「ムギ、あれの準備を……ん?」
ナデ
澪「きゃあ!?」ガタッ
紬「澪ちゃん!?」
澪「びっくりした……。なんか、今お尻を触られたような気がして」
唯「え、でも私たちは澪ちゃんの前にいたし……」
紬「方向的に、今澪ちゃんのお尻を触れたのは……」
律「…………」
澪「ま、まさか………?律?」
律「…………」
澪「気のせい、か?」
律「…………」
紬「と、とりあえずセットしよう?」
澪「そ、そうだな。唯、ちゃんと持ってるよな?」
唯「うん。よいしょっと。でも病室にラジカセ持ってきて良いのかなあ?」
澪「さわ子先生の案だし。……まああの人はあれだけど」
唯「まあバレなきゃいいか!」
紬「ええ。りっちゃん、イヤホン付けるね」
スチャ
律「…………」
澪「律、これから私たちの新曲流すからな。ここに来る前に録音したんだ。
ちゃんと聞けよ?」
紬「準備完了です。いつでも流せるわ」
澪「よし、お願い」
唯「スイッチオン!」
カチッ
…………………
あー暇だなー。澪たちもう来ないのかなー
もしかしてここが地獄なのか?永遠に暇な時間を過ごさせるとか?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ん?なんだ
ズズズズズズズ
おわー!ステージが出現した!さすがあの世、何でもありだな。
何が始まるんだ?
ヴィーーーーーー
幕が上がってきたぞ……いるのは、澪、唯、ムギ、と、さわちゃん!?
さわ子『さあ、いつでも始めなさい』
唯『私は準備オーケーだよ!』
紬『私も大丈夫』
澪『うん、私も』
お、演奏してくれるのか?
澪『じゃあいくよ』
さわ子『ちょっと待って。歌詞は考えてあるの?』
澪『え、いや一応考えましたけどまだ未完成ですから。みんなにも見せてないし』
さわ子『せっかくなんだから今披露しなさい。りっちゃんのためにも』
澪『ええぇ』
私のためにってのはうれしいけど、幕が上がった後にそういうやりとりするなよ……
グダグダだな
唯『私も聞きたい!』
紬『私も』
澪『でも、唯が知らないから私が歌うしかないじゃん』
さわ子『じゃあいいじゃない。澪ちゃんが歌いなさいよ』
おいおいさわちゃん、澪にあんまり強要するなよ。繊細なんだから
澪『わかったよ……笑うなよ?』
唯『大丈夫だよ!』
澪の歌詞は独特だけど、誰も笑ったりしないよ。
ていうか演奏はまだか?
澪『じゃあ今度こそ……曲名は、”私の恋はホッチキス”』
唯『おお可愛い名前だね!』
澪『あ、ありがとう。1,2,3,4!」
ジャジャンジャーンジャジャンジャンジャンジャラララジャーン♪
すごいな。唯のギター上手くなってる。
♪~♪♪~♪~
澪のベースも、ムギのキーボードも……
もともと上手いのにさらに……
澪『なんでなんだろ
気になる夜 キミへの
この思い 便せんにね
書いてみるよ♪』
いきなり乙女チックな歌詞……
それにしても澪の声ってやっぱり綺麗だな。本人には言わないけど
澪『もしかして
気まぐれかもしれない
それなのに 枚数だけ
増えてゆくよ♪』
ムギってほんとに作曲センスあるよな。つうかもう天才だろ……
ムギがいなけりゃオリジナルもできなかっただろうなあ
澪『好きの確率わりだす計算式
あればいいのに♪』
唯も入った時はギターなんて持ってもいなったのに。すごい上達したよなあ
澪『キラキラひかる 願い事も
グチャグチャへたる 悩み事も
そーだホッチキスで とじちゃおー♪』
皆の音が合わさって、こんな良い曲が演奏できるんだよな……
あれ、でもこの曲なんか物足りないよな。あ、そうか。
澪『はじまりだけは 軽いノリで
しらないうちに あつくなって♪』
ドラムがいなんだ。まあ私がいないから当たり前だけどな……
でもそう思うとこの演奏もなんかイマイチに思えてきた。
なんか皆がばらばらに演奏してる感じ?それぞれはうまいんだけどなあ
澪『もう針がなんだか 通らない
ララ☆また明日』
何がまた明日だよちょっと待てよおい。
やっぱり私が入らないとお前ら駄目だ。あーいますぐ舞台に上がりたい!
そんでドラム叩きたい!うおおおおお!
……
律「私もステージに上がらせろ!!!」
ガバアッ!
澪「……え?」
唯「ほえ?」
紬「へ?」
律「あれ?ここは?ステージはどこ?」
澪「り、り、り……」
律「あ、澪。歌は良かったよ」
澪「りつううう!!」
ギュウー
唯「うわああん!りっぢゃぁぁああん!」
ギュ!
紬「りっちゃん、良かった……」
ムギュウ
律「ちょ、痛い、一斉に抱きつくなよ……苦しいって」
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唯「いやーあの時は嬉しかったねえ」
紬「ええ、思い出しただけでも泣きそうだわ」
唯「しかもりっちゃん、『ケーキは私のだからな』とか言うから驚いちゃうよね。ちゃんと聞こえてたんだね」
紬「その後のりっちゃんの変化にもね……」
ガチャ
梓「あれ?まだ澪先輩と律先輩来てないんですか?」
唯「まだだよ~。この分ならもう一杯飲めるかな?」
紬「今淹れるわね」
ガチャン!
律「おーっす!」
澪「おっす」
梓「どうもです」
唯「あちゃー来ちゃったか」
律「あちゃーってなんだよ!」
唯「なんでもないってー。今りっちゃんの昔話をしてたんだよー」
律「な!梓、聞いたのか?」
梓「いえ。私はお手洗いに行ってましたから」
紬「話すならりっちゃんからじゃないとね?」
澪「そうだな」
律「ま、今度の合宿の夜にでも話してやるよ」
梓「えー。今話してくださいよ。っていうかやっぱり合宿やるんですね」
律「ムギ、今年も頼んでいいか?」
紬「もちろん♪」
律「よっしゃあ!じゃあ早速練習するか!」
澪「え。私まだお茶飲んでないんだけど」
律「遅れてきたのが悪い!ほら行くぞ!早くドラム叩きたいの!」
ズルズル
澪「私の紅茶あ~」
梓「律先輩は相変わらず熱血ですね!私も練習したくてうずうずしてました!」
律「おう!その意気だ!皆早く準備しろー!」
唯「まさかあずにゃん、去年のりっちゃんが怠ける側だったって言っても信じないだろうねえ」
紬「うふふ、そうね」
唯「お尻触りたい症候群が無くなったかわりに、ドラム叩きたい症候群だもんね」
律「はーやーくー!」
ドンガラガッシャーン!
おわり
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特発性臀部瞻視愛撫欲求症候群はもちろん架空の病気です
最終更新:2011年03月04日 23:01