―――――湖


紬「・・・」スラスラ

澪「かきやすい・・・?」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・?」

梓「大きいからですかね」

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・唯にも言われたよそれ・・・」

紬「・・・」スラスラ

澪「キレイな・・・空・・・?」

紬「・・・」コクコク

梓「そうですね、もう少しで太陽が隠れますよ」

澪「琥珀色だな」

紬「・・・」コクリ

澪「じゃあ今度は私がかくよ」

ギュ

紬「・・・?」

澪「・・・」スラスラ

紬「・・・」

澪「・・・ちょっと恥ずかしかったり」

梓「なんて書いたんですか?」

澪「内緒」

紬「・・・」ニコ

梓「むむ・・・」



・・・・・・



律「・・・」

唯「・・・」

玉恵「さっきとは別人だね」

律「あぁ・・・」

轍「・・・なんで隠れてんの?」

姫子「・・・あの時間を壊したくない・・・からです」

唯「うぅ」ウズウズ

律「待て待て」



・・・・・・



梓「和先輩から聞いたんですけど」

紬「・・・?」

澪「?」

梓「むぎ先輩が掌に文字を書いて私達に伝えるじゃないですか」

紬「・・・」

澪「うん・・・」

梓「『てのひら(掌)』とかいて『たなごころ(掌)』と読むそうです」

紬「・・・?」

梓「こう書きます」スラスラ

紬「・・・」コクリ

澪「私にも」

梓「・・・こうです」スラスラ

澪「うん」

梓「人の手の平には『こころ』があるという漢字の意味だそうです」

紬「・・・」

澪「へぇ・・・」

梓「むぎ先輩は人のこころに直接言葉を送っている・・・と和先輩が言っていました」



・・・・・・



和「言っていないわね」

唯「え・・・?」

律「言っていないのかよ」

和「『たなごころ』のくだりだけよ。むぎが人のこころに・・・の所は言っていないわ」

姫子「・・・そう感じ取ったんじゃないの?」

和「さぁ・・・。どうかしらね」

玉恵「梓ちゃん・・・」

轍「・・・」

唯「どうしたの和ちゃん?」

和「唯たちが戻ってこないから、山中先生の指示よ」

唯「そっか・・・」



・・・・・・



梓「とんぼです・・・」

澪「うん・・・。これから秋が深まっていくんだろうな」

紬「・・・」

梓「少し涼しくなってきましたね」

澪「夜は冷えそうだ・・・」

紬「・・・」コクリ



・・・・・・



憂「のんびりしているね」

いちご「・・・たそがれている」

唯「青春の1ページだよ」

和「たまに表現古くなるわね、唯」

唯「そんな事ないよっ」

律「し、静かにしろって」

唯「すいやせん」

風子「いい雰囲気だよね」

玉恵「混ざりたくなるよね」

姫子「今だけはやめてくださいね」

轍「・・・」


・・・・・・



澪「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

澪(静寂っていうのかな・・・)

梓「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

梓(やっぱり・・・隣は落ち着く・・・)

紬「・・・」



・・・・・・



さわ子「どうしてりっちゃんがここにいるのよ」

律「ん?」

さわ子「相馬さんを呼びに行ったんでしょ?」

律「だからソーマいるだろ、そこに」

さわ子「戻ってきなさいよね」

律「あー、はいはい」

純「・・・喋っていませんよね」

唯「こころで会話しているんだよ」

玉恵「そんな特技があるんだね」

和「ちょっと、変なこといわないでよ。崩さないで」

唯「えぇー」ガーン

風子「ちょっと騒がしくなってきたかな」

信代「気づかれるよ」

春子「で、なにしてんのあの子ら」

姫子「・・・青春だって」

さわ子「そうねぇ~」ウンウン

憂「あれ・・・全員揃っている?」

律「向こうは誰もいないのかよ・・・いちご、行ってきて」

いちご「え?やだ」イジイジ

轍「・・・」


・・・・・・



梓(ちょっと癪だけど・・・聞いてみたい)

紬「・・・」

澪「・・・」

梓「むぎ先輩に聞きたいことがあるんですけど・・・」

紬「?」

梓「むぎ先輩の・・・その・・・『最高の」

ガサガサ

澪「ん・・・?」

紬「・・・?」

梓「な、なんですか!?」

唯「あ、見つかっちゃった」

律「あはーはー」

澪「覗いていたのか、みんなで・・・」

さわ子「えへっ☆」

玉恵「てへっ☆」

和「えへっ☆」

憂「えへっ見つかっちゃった☆」

姫子(の、のどか・・・?)

純「・・・」

いちご「・・・」ゴクリ

春子「やりたいんならやれよ」

風子「てへっ☆」

信代「・・・ちょっと遅かったかな~」

風子「・・・」カァァ

紬「・・・☆」

律「見られちゃった☆ってか!」

梓「しょうがないですね・・・戻りましょうか」

澪「そうだな」

唯「あれ、うまさん・・・?」キョロキョロ


――――

唯律純「「「 おぉー! 」」」

ホカホカ

いちご「うまく炊けたみたい」

姫子「誰が炊いたの、このごはん」

唯「・・・」フフン

春子「すごい、唯!」

唯「私の妹ですよ」フフン

憂「火を点けたのはお姉ちゃんですよ」

信代「見事だ、これ以上のフォローを私は見たことがない」

さわ子「遊んでいないでお皿によそいなさいよ」

紬「・・・」ビシッ

梓「むぎ先輩はテント設営頑張ったんですから、座っててください」

紬「・・・」フルフル

玉恵「まだかな~」

律「手伝え!」

玉恵「だって、入り込む隙がないんだよ~」

澪「それじゃあ、お皿を運んでくれますか?」

玉恵「それくらい朝めし前だよ」

純「はい、運びましょう~」

玉恵「これから夕食なのにね~」

いちご「・・・これも?」

和「そうよ、お願いね」

玉恵「夕食のお手伝いを・・・朝めし前っていう・・・ね・・・」

さわ子「あら、この飲み物ちゃんと冷えているのね」

梓「斉藤さんがクーラーBOXを貸してくれました」

風子「氷も入ってますから、朝ごはんも冷やして保存しています」

玉恵「・・・」シーン

チョンチョン

玉恵「?」

紬「・・・」スッ

玉恵「あぁ、良かった。みんな私が見えていないのかと思った」

紬「?」

玉恵「なんでもないよ。なにかな?」

紬「・・・」スッ

玉恵「そうだね、行こうか」

紬「・・・」ニコニコ

梓「行きましょう」

スタスタ

唯「あ、うまさん・・・どこ行ってたの?」

轍「手ぶらじゃなんだから、沖縄の珍味持って来たよ」

姫子「沖縄の・・・?」

轍「お皿貸してくれるかな、小さいやつでいいんだ」

澪「・・・ど、どうして相馬さんが?」

律「あぁ、ソーマがここでキャンプしてるって話を聞いて、唯が発案したんだ」

澪「そ、そうだったのか・・・びっくりした」

律「・・・嫌じゃないのか?」

澪「・・・なんでだよ」

律「その・・・」

澪「話をしないと進めないって言ったのはりつだぞ」

律「まぁ・・・そうなんですけど・・・」

澪「・・・なんてな。私は夏の旅に誇りを持てるようになった。・・・って事かな」

律「・・・ちぇー」

澪「?」

律「なんでもない」

唯「なにこれー!」

憂「どうしたの?」

唯「うまさんが持ってきた・・・変な味っ・・・しょっぱい!」

轍「食べたからにはちゃんと飲み込まないとダメだよ」

唯「うぅ・・・」モグモグ

憂「つまみぐいしたらダメだよ」メッ

さわ子「変わった・・・これは料理ですか?」

轍「はい、魚の塩漬け。スクガラスといいます」

さわ子「へぇ・・・」

澪「みんな行きましたよ」

唯「あれ・・・噛めば噛むほど味が出てくるよ」モグモグ

轍「隣失礼するよ」

玉恵「どーぞ」

梓「聞いてないんですけど・・・」ジロッ

轍「あはは・・・」

律「言ってないからな!」

梓「・・・」ムスッ

紬「・・・」チョンチョン

梓「?」

紬「・・・」フルフル

梓「あ、ごめんなさい・・・これからご飯なのに」

紬「・・・」キリ

梓「はい。・・・今だけは忘れています」

轍「・・・」

玉恵「・・・?」

唯「・・・」モグモグ

紬「・・・?」

唯「うまさんが持ってきた珍味だよ~」モグモグ

紬「・・・」コクコク

和「一人だけ食べているわけね・・・」

さわ子「みんなちゃんと揃っているわね?」

「「 はーい 」」

さわ子「りっちゃんよろしく」

律「今日は趣向を凝らして、他の人にやってもらおうぜ!」

さわ子「いいわね。早く選んでね」

律「誰にしよっかな~」

純「・・・」ドキドキ

いちご「・・・」ハラハラ

姫子「・・・」ドキドキ

信代「なんだこの緊張感」

風子「・・・いただきますを言うだけじゃないの・・・?」

唯「それが違うんだよ」モグモグ

澪「早く飲み込んだらいいのに」

唯「噛むほど味が出てもったいないんだよ」モグモグ

憂「後で食べてみようかな・・・」

春子「・・・」

紬「・・・」ワクワク

轍「・・・」

玉恵「・・・」ソォー

轍「我慢しろよ」

玉恵「わかってるよ」

梓「冷めちゃいますよ」

律「そうだな、梓頼んだ」

梓「え!?」

純「・・・」ホッ

姫子「よかった・・・」

いちご「・・・」ホッ

唯「・・・」ガッカリ

和「やりたかったのね・・・」

梓「えぇと」オロオロ

憂「コップを持って」

梓「う、うん・・・」

さわ子「立って」

梓「は、はい・・・」ガタッ

風子「一言」

梓「一言」

律「・・・よし、いいぞ」

梓「・・・」

澪「?」

「「 ・・・ 」」シーン

和「一言って台詞じゃなくて、なにか言いなさいって事よ」

梓「あ・・・」

唯「私のあずにゃんです!」

姫子「可愛かったけどさ・・・主張しないでよ」

梓「なにを言えば・・・」

さわ子「真面目ねぇ~」

轍「今日あった一日をどう感じたか・・・それでいいと思うよ」

梓「・・・」ムッ

澪「・・・」

玉恵「梓ちゃんふぁいと~」

紬「・・・」

梓「・・・」フゥ

「「 ・・・ 」」

梓「あ、朝は台風でどうなるかと・・・心配でしたけど」

唯「・・・」

和「・・・」

梓「運よく通り過ぎて、午後一でこっちに来れて、たくさん遊ぶ事ができました」

澪「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「けいおん部の先輩方以外のみなさんとも話が出来て、楽しかったです」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

信代「・・・」

風子「・・・」

春子「・・・」

梓「こんな時間を過ごせた事が・・・嬉しいです」チラッ

紬「・・・」

梓「・・・」ボソッ

紬「?」

轍「・・・」

梓「太陽は沈みましたけど、まだっ一日は終わってません」

さわ子「・・・」

玉恵「・・・」

梓「もうちょっとだけ楽しみましょう!」

ストッ

梓「・・・ふぅ」

律「梓・・・これ」

梓「あっ」

ガタッ

梓「か、乾杯!・・・ですっ」

「「 かんぱーい!! 」」

梓「・・・はぁ」


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最終更新:2011年10月03日 00:25