さわ子「ティータイムを私が逃すと思って?」

律「思ってないけどさ・・・」

「・・・」

律「潮」

「・・・」

律「分かった!風子だ!」

「・・・」

律「だぁー!もう嫌だ!正体を現せ!」ガシッ

「だ、ダメ!」

律「うるさい!いい加減に・・・って、ちか?」

ちか「チガイマス」

律「なんだ・・・もういいや」

ちか「ワタシはノジマチカではアリマセン」

律「お、夏の写真かー!なっつかしぃー」

ちか「もぅ!」ズバッ

澪「なんだ、ちかか・・・」

唯「ちかちゃんか・・・」

梓「・・・」

姫子「野島ちか。私たちと同じクラスだよ」

梓「そうですか・・・。びっくりしました」

ちか「ひっかかったね!」

梓「はい。姫ちゃ」

姫子「・・・」

梓「姫子!先輩の名前で反応しましたから、てっきり・・・」

ちか「大成功~♪」




ちか「このクッキーおいし~」

唯「どうしたの?」

ちか「エリに誘われて来ただけなんだ」

唯「ほ~」

エリ「わぁ!北アルプス!」

澪「そう、そこの温泉に入ったんだ」

ちか「・・・温泉かぁ」

律「アカネと来るって言ってなかった?」

エリ「アカネは後で来るよ」

律「来るのかよ」

エリ「この背景の海はどこさ?」

澪「日本海さ」

エリ「日本海のどこさ」

澪「能登さ」

エリ「能登どこさ」

澪「恋路海岸さ」

エリ「おぉ~」

澪「海と砂浜がキレイだったよ」

さわ子「語呂悪かったけど、頑張ったわね」

唯「朝市には 魚があってさ 競り落としてやったさ」

梓「競りしたんですか!?」

エリ「楽しそう」

澪「唯が言っているのは値切り勝負の事だ」

エリ「市場の人に安くしてもらったんだ?」

律「とっても安く売ってくれたんだぜ」

唯「おいしかったよね~」

姫子(楽しそう・・・)

スッ

姫子「あ、ありがと」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「ごめんね、むぎに聞きたいことがあって」

紬「?」

梓「?」

姫子「例えば、仲のいい姉妹がいて」

澪律*1

エリ「?」

ちか「もぐもぐ」

唯「もぐもぐ」

姫子「その姉妹がなにかのきっかけですれ違ってしまった
   その姉妹をまた引き合わせるにはどうする?」

梓「・・・?」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」トントントトントン

姫子「きっかけ・・・。うん・・・そのきっかけがなんなのか分からないんだけどね」

律(それって・・・夏と)チラッ

澪(夏だよな・・・)コクリ

ちか「今、会話した・・・?」

唯「私たちはこころで会話できるんだよ」チラッ

梓「なんですか?」

唯(そうだよね、あずにゃん!)

梓「できませんよ・・・」

唯「うぅ・・・冷たいよ」シクシク

エリ(会話が成り立っているようで成り立っていないような・・・)

さわ子「冬ちゃんの入院期間ってどのくらいなの?」

澪律*2

姫子「ち、違いますよ、冬と夏の話ではなくて」アセアセ

澪律*3

さわ子「気づかれてないと思ってるの?」

姫子「う・・・」

澪「・・・」

律「ばっさりだ!」

ちか「誰の話?」

エリ「姫子さんの妹分の話」

紬「・・・」トントントトン

姫子「うん・・・。ごめん、最初から名前出せばよかったね」

紬「・・・」トントトントン

姫子「分からない。・・・でも、冬が入部したのは今年の7月」

梓「・・・」

ちか「・・・紬さんはなんと?」

エリ「わ、私に聞くの?」

澪「冬が退院したのはいつか、って聞いたんだ」

ちか「姫子さん分かるの!?」

姫子「紙鍵盤なら・・・少し。音だけでは分からないけど・・・」

ちか「・・・」ポカーン

紬「・・・」トントントン

姫子「冬を部活に誘ったのは私じゃないよ」

澪「あ、そうなんだ・・・、てっきりそうなんだと思った」

律「あぁ・・・」

梓「・・・」

唯「あずにゃんは知ってる?」

梓「いえ、夏は冬の話を滅多にしませんから」

紬「・・・」ションボリ

さわ子「むぎちゃんが落ち込んでどうするのよ」

姫子「ごめんね、話を持ち込んじゃって」

律「なんで謝るんだよ。人の景色を借りれば見えてくることもあるだろ」

姫子「・・・」

澪「か、可愛い後輩だからな!」

唯「そうだよ~」

梓「・・・」

ちか(・・・なんだろ、この温かさ)

エリ(いいな・・・けいおん部)

ガチャ

アカネ「こんにちは・・・?」



―――――・・・校門


梓「・・・」ピッピッピ

trrrrrr

紬「?」

梓「ふぅ先輩です。なにかやるなら誘ってと釘を・・・あ、ふぅ先輩ですか?」

『はいはい』

梓「今から駅前のボウリングセンターへ」

『分かった!』

梓「は、はい。失礼します」

『後でね!』

プツッ

梓「話はやいな~」パタン

ちか「かわいいストラップだね。ネコと・・・獅子?」

梓「シーサーです」

エリ「果物だっけ?柑橘系の」

律「ツッコまないからなー」

梓「エリ先輩が言っているのはシークヮサーです。
  これみたら果物じゃないって分かるじゃないですか」

エリ「ありがとー」

澪「変なの」

唯「・・・」スゥーイ

律「フォームの確認か!」

唯「そうだよ。こうやって・・・こうっ!」シュッ

紬「・・・」パチパチパチ

唯「やってみたまえむぎ君」

紬「・・・」スゥーイ シュッ

唯「もう教える事はなにもありません。免許皆伝です」フフン

紬「・・・」ペコリ

律「どこぞの老師だ」

アカネ「練習はいいの?」

律「もう練習どころじゃないからなー」

エリ「集中力が足りませんなぁ」

唯「そうですなぁ」

ちか「まったくですなぁ」

律「誰のせいだよ・・・」

澪「律のせいだろ」

律「・・・てへ☆」

澪「ごまかすなっ!」

梓「練習止めて遊びに行こうって言い出したの律先輩ですよ」

律「だいじょーぶだって!」

唯「そうだよ、遊ぼー!」ワーイ

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね!」

アカネ「出発しないの?」

エリ「姫子さんを待ってるんだよ」

アカネ「どうして?」

エリ「妹分連れて来るんだって」

アカネ「妹分・・・?」

夏「2年生って梓だけ!?」

梓「え、うん」

夏「純と憂は?」

梓「純はジャズ研で活動中」

唯「ういはお家だよ~」

夏(先輩達の中で一人でいても平気なんだ・・・)

梓「?」

紬「・・・」チョンチョン

姫子「なに?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

姫子「・・・。先に帰ったんだって」

紬「・・・」コクリ

律「部活はいいのかよ?」

夏「はい、終わった所だったんで」

澪「・・・夏」ヒソヒソ

夏「は、はい?」

澪「そっくりそのまま返してみて」ヒソヒソ

夏「?」

澪「・・・」コクリ

夏「り、律先輩・・・部活はいいんですか?」

律「終わった所だ!」

澪「終わってなかっただろ!」

夏「ど、どういう意味ですか・・・?」

澪「実はサボリなんだ」

夏「あぁ・・・なるほど・・・」

律「ぴぃ~ぷぅ~」

澪「・・・部長がこれなんだ、うちの部は」

夏「・・・ふふっ」

唯「おいてくよ~」

律「行こう行こう~!」

紬「~♪」ルンルン

梓「ボウリングですか・・・」シュッ

澪「おかげで退屈しない」

夏「・・・」



―――――駅前


紬「・・・」

律「え・・・」

澪「・・・」

梓「なんですか、あの人数・・・」

唯「う~い~!」

テッテッテ

エリ「あれ、三花も来てる・・・」

アカネ「呼んでおいた」ブイ

ちか「一人だけ私服だぁ・・・」

夏「・・・」

姫子「・・・冬も」

紬「・・・」キラキラ



唯「どうしたの!?」

憂「買い物していた所を風子さんと会って」

冬「はい」

風子「二人に会ったから、せっかくだから・・・ね?」

梓「英子先輩はいないんですか?」

冬「いますよ。ほら」

梓「あ、本当だ・・・。あの私服の人は誰ですか?」

風子「私たちと同じクラスの松本美冬さん」

梓「はぁ・・・。って、なんで制服なんですかふぅ先輩」

風子「せっかくだから・・・ね?」

梓「意味が分かりません」

律「ここにいる人全員ボウリング行くの?」

潮「そうみたい」

澪「信代は?」

潮「いないよ?」

律「珍しいな、てっきり一緒かと思った」

春子「うん」

潮「今日は偶々だよ」

梓「春子先輩も来ていたんですね」

春子「楽しそうだからな」

エリ「ボウリングなんて久しぶり」シュッ

唯「甘いよ、こうだよ」シュッ

エリ「腕の角度をもう少し上にすべきだと思うよ。こうっ」シュッ

唯「こうかな」シュッ

エリ「うんうん」

アカネ「・・・」ススス

三花「・・・」スススッ

冬「どうして離れるんですか?」

アカネ「知り合いだと思われないように」

三花「目立ってるよ、そこの二人」

夏「・・・っ」プクク

ちか「あははっ」

美冬「私だけ・・・私服・・・」ションボリ

冬「か、可愛い服ですね!」

美冬「え・・・、ありがとう」

冬「・・・」キラキラ

美冬「?」

唯「ウィンター同士仲良くするがいいさ」

澪「・・・」

夏「・・・」

姫子(積極的になってるのかな冬は・・・)

夏「夏香先輩は来ないんですか・・・?」

英子「うん。用事があるんだって」

夏「・・・」ションボリ

ちか「はやく行こうよ~」

唯「行こう行こう!」ワーイ

律「いちごも来ていたのか」

いちご「・・・発案者、私」

冬「どうしたんですか?」

紬「?」

冬「みなさんもう行きましたよ」

紬「・・・」スッ

冬「え・・・。・・・あ、飛行機雲ですね」

紬「・・・」

冬「高いなぁ・・・」

紬「・・・」

冬「・・・」

紬「・・・」

冬「・・・私、入院していた頃よく空を眺めていたんですよ」

紬「・・・」コクリ

冬「春の暖かい空も、秋の涼しい空も」

紬「・・・」

冬「冬の透き通った空も」

紬「・・・」

冬「夏の、どこまでもどもまでも透き通る蒼く高い空も」

紬「・・・」ニコニコ



・・・・・・



梓「・・・」

夏「あの二人・・・似てる」

梓「え・・・?」

夏「・・・なんでもない」

タッタッタ

梓「・・・」

「あーずにゃーん!」

梓「・・・」

タッタッタ


・・・・・・


冬「一緒に眺めていたんです。あの雲はーって」

紬「・・・」ニコニコ

タッタッタ

梓「どうしたんですか?」

紬「・・・」フルフル

冬「話を聞いてもらっていました」

梓「・・・そう」

タッタッタ

唯「あずにゃん!?呼びかけたのに反対方向に走っていったら傷つくよ!?」

梓「え、呼びかけたんですか?」

唯「呼んだよー!」

冬「クスクス」

紬「・・・」ニコニコ

梓「時間も無いですから行きましょう」

紬「・・・」コクリ

唯「そだね」

冬「はい」

梓「・・・冬」

冬「なんですか?」

梓「昨日も言ったけど・・・同い年なんだから、敬語は止めて欲しい・・・な」

冬「・・・」

梓「・・・」

冬「うん・・・」

梓「・・・」

唯「あっずにゃん!」ダキッ

サッ

冬「!」

梓「行きましょう、むぎせんぱい」

紬「・・・」コクリ

唯「もぅ~」スリスリ

冬「あ・・・つ・・・た・・・っ!」

律「どーすんだよー。2レーンしか空いてないぞー」

澪「えっと・・・何人いるんだ?」

美冬「19人」

唯「多いよ!」

紬「・・・」トントントトン

エリ「?」


50
最終更新:2011年10月04日 22:51

*1  例え下手だっ! 

*2  例えが無駄になったー!! 

*3  気付かれてないと思ってる!