唯「うーん…ギー太は見当たらないね」

梓「あれは比較的新しいモデルですから」

唯「人に歴史あり!だね~」

律「人…?」

唯「わぁーい」みょーん

梓「唯先輩、今は遊んでる場合じゃ…」

澪「ジー…」

律「何でお前は楽器屋に来るとそうなるんだ…」

紬「みんな!」タタタ

唯「ムギちゃん!どうだった?」

紬「さっきこの店に来たらしいわ!!」

梓「本当ですか!?」

紬「ギターを買って行ったらしいけど…」

律「やっぱり折られたギターの代わりを買ってたのか」

紬「いえ…それが…」

紬「先生が買ったのはエレキギター…。それも…エピフォンのフライングV…」

律「そ、それって…」

梓「先生のギターですね…」

唯「あの白いやつ?」

律「じゃあ…先生は結局ヘビメタの道に…!?」

梓「ど、どうして…」

律「まさか…フラれたのか…?」

唯「で、でも、けっこういい感じっぽかったんじゃなかったの!?」

梓「わからない…。何がどうなってるのか…」

律「なぁ…とりあえずさ、この年の学祭の日に行ってみればわかるんじゃないか?」

紬「そうね…。そこでヘビメタやってたら失敗って事よね…。行ってみましょう!」

唯「澪ちゃん、いこ?」

澪「ヤダ!」ジー…

律「ああーもう!自分のベースなんだから現代に帰ればいくらでも見れるだろ!ほら行くぞ!」

澪「あう…」

店外 路地裏

澪「私のベース…」ショボーン

唯「じゃあ行くよみんな」

澪「う、うん」

唯律澪紬梓「せ…せーのっ!!」

ポチポチポチ



8年前の10月 桜高

唯「学祭やってるよ~!チョコバナナ食べようよ!」

梓「唯先輩、そんな暇は…」

唯「むぅ…」

律「よし!講堂に行こう!」

澪「うぅ…もしヘビメタやってたら…」ガタガタ

梓「澪先輩、しっかりしてください…」

紬「先生…一体何が…」


講堂

バァン

唯「さわちゃん!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

律「うおっ!すげえ盛り上がってるな!」

ギュオオオオオオオオオン

梓「な、なんて爆音…」

紬「耳が痛いわ…」

澪「ひぃっ!!あ…あれ…!あれ見て!!」

さわ子『お前らが来るのを待っていたぁぁ…。シャラアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

唯律澪紬梓「」


さわ子「てめぇらああああ!!ヤンキーだかなんだか知らねえけど、よくもノコノコと現れやがったなあああああ!!!」

律「げっ!?なんか知らんけどめちゃくちゃ怒ってるぞ!?」

澪「あ…あああ…」ガクガク

さわ子「そいつらは生贄だあああ!!!祭壇(ステージ)にそいつらをよこせええええええ!!!!」

紬「え?え!?」ワッショイワッショイ

唯「ちょっ…何!?お客さんが…」ワッショイワッショイ

律「な、なななななななな!?」ワッショイワッショイ

ドサッ

唯律澪紬梓「ひっ!?」

さわ子「ふぅぅぅぅぅ…くけけけけけけけけ」

唯「さ、さわ…ちゃん…?」ガクガク

さわ子「てめぇらぁ…テキトーなことばっかほざきやがってよおおおおおおおおお!!!」

梓「ひぃっ!?」

さわ子「特にその黒髪の女ぁぁぁぁぁ!!」

澪「あ…ああ…ああああああ…」ジョー…

さわ子「やってくれたじゃねええかああああ!!ああ!?このメス豚がよおおおお!?」

澪「」ブクブク

律「ま、まずい!このさわちゃん、現役最強バリバリの時だ!!私らが知ってるどのさわちゃんよりもやばいぞ!!?」

さわ子「はぁぁっはっはっはァァ!!!貴様ら全員、ここで八つ裂きにしてくれるわあああああああ!!!」ギュオオオンガガガガガガ

紬「ギ、ギターの音がまるでチェンソーみたいに…!!」

さわ子「シャラアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」

唯「う…うわあああああん!」ポロポロ

梓「た…助けて…」ガクガク

澪「」ブクブク

律「い、いやだああああ!やめろおおおお!!」

さわ子「泣いたっておせえぞおおおおお!?ジャッジメントだオラァァァァァァァ!!!!」

唯律澪紬梓「いやああああああああああああ!!!」

ザッ

???「待ちなさい!!!」シャッ

ザクッ

さわ子「いってぇ!!ピ、ピックが飛んできた…!?ああ!?何だテメェは!?どっから湧いてきやがった!?」

唯「あ…な…なななな…」

梓「そ、そんな…どうして…?」

律「何で…なんでここに…!?」

澪「」ブクブク

紬「あ…あ…!せ…せん…」

唯律梓紬「せんせえええええええ!!!」

さわ子「待たせたわね。さ、逃げるわよ」

さわ子「待てやこらババァァァァ!!ぐおおおおお血がとまんねえええええ!!!」

さわ子「はぁ…我ながら客観的に見るときついわね…」

唯「さわちゃん、どうしてここに…?」

律「ここ、8年前の桜高だぞ!?」

梓「た、タイムマシンがないとここには来れないはずですよ…?」

さわ子「それはもちろん、ホラ、あなた達と同じよ」

律「う、腕時計…?何で先生が…」


さわ子「さぁ、早く現代に帰るわよ」

唯「あ、そっか…。時計のスイッチ2回押すだけでここから逃げられるんだった…」

さわ子「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえぞオラァァ!!」グオオオオ

律「は、早く現代に逃げるぞ!!」

唯「澪ちゃん起きて!!」

澪「」ブクブク

律「私が自分のスイッチと澪のスイッチを一緒に押すから!早く!」

さわ子「ああ!?ここから逃げられると思ってんのかテメエらァァ!!」

さわ子「じゃあね。女子高生の私」

唯律紬梓「せ、せーの!!」

ポチポチ



現代 講堂

さわ子「ここまで来れば大丈夫ね」

澪「う、う~ん…」

律「お、気がついたか澪」

唯「さ、さわちゃん…どういう事なの?」

さわ子「ん?ああ、この時計ね、ムギちゃんに借りたの」

唯律澪梓「え!?」

紬「ごめんなさい…」

律「え?え…?何?どーなってんの?」

紬「…みんながマックスバーガーで作戦を立ててた時、私だけ遅れていったの覚えてる…?」

梓「あ、はい…」

紬「あの時、実は先生に呼び出されてたの…」



数日前 山中家

紬「あの…先生、お話って…」

さわ子「ムギちゃん…あなたはウチの部で、一番しっかりしてるから聞きたいんだけど…」

紬「は、はい」

さわ子「私、高校の頃にあなた達に会ってる気がするのよ。潮吹…油だったかしら…?」

紬(あっ…そうか…。現代のさわ子先生に記憶の改竄が起きてるんだ…!)

さわ子「でも、私が見たみんなは、今のみんなと同じ姿で…それってどう考えてもおかしいわよね…。私もわけがわからなくて…」

紬「はい…(もうダメ…。全部バレるのも時間の問題…)」

さわ子「あれ…?何か心当たりがあるって顔してるわね…」

紬「先生…ごめんなさい…全部私のせいなんです…」

紬「実はかくかくしかじか…」

さわ子「な、なるほど…。タイムマシンで…私と彼をくっつけて私の性格を…」

紬「ごめんなさい…!ごめんなさいごめんなさい!!」

さわ子「え…?いや、いいけど…せ、性格更正させるってちょっとショックだわ…」

紬「あ…みんな先生の事は大好きです!でも…ちょっとしたイタズラ心というか…先生に好きな人とうまくいってほしかったですし…」

さわ子「そ、そう…」

紬「ごめんなさい…」

さわ子「…」

さわ子「ねえムギちゃん、ちょっとその腕時計借りてもいいかしら?」

紬「え…?」

現代 講堂

澪「んな…!ま、まさか…」

梓「あ…あの後私達が会ったのは、過去の先生じゃなくて現代の先生だったんですか!?」

さわ子「そういう事よ」

律「うわ~…やられた~…」

唯「全然気づかなかったよ~」

さわ子「ふふ…さすがに制服はムリがあるかなーって思ったけど、私もまだまだイケるわね~」

澪「じゃあ…公園で弾き語りしたのも…?」

さわ子「それは過去の私よ。私が過去に行ったのは、みんなが彼に会った日と、さっきの2回だけ。もちろん、弾き語りをした記憶は今の私にもあるけどね」

紬「みんな…ごめんね…」

律「いや、ムギがさわちゃんに時計を渡してなかったら今頃私達は…」

唯「うう…考えたくもないよ…」

さわ子「そうねぇ。あの頃の私はちょーっと乱暴だったのよね」

澪「ちょっとどころじゃないですよ…」

梓「で、でも!先生はあの人とうまくいきそうでした!どうしてまたヘビメタの道に…」

さわ子「…痛いところ突くわね。…結局フラれたのよ、私」

律「え!?何で!?」

さわ子「ワイルドな人がいいんですって…。澪ちゃんみたいな」

澪「え!?私!?」

さわ子「彼ね…りっちゃんをド突く澪ちゃんを見て、マジホの字になっちゃったのよ…」

律「なんだそりゃ!?」

梓「ワイルドと言えばワイルドかも知れないですけど…」

さわ子「そう。だからあの頃の私は、チュ・サンジュ憎し!って感じだったのよね」

澪「すいません…。なんかすいません…」

さわ子「ぐっ…謝られると余計むかつくわ…」

唯「それで結局ヘビメタの道に…」

さわ子「そう。それからまた告白したけど、結果は知っての通り。で、今度はみんなを処刑した記憶が生まれてね。さすがに可哀想だからあの時代に助けに行ったのよ」

律「ね、ねえさわちゃん…。もしさわちゃんが助けに来なかったら、私達どうなってたんだ…?」

さわ子「さあ?私がみんなを助けちゃったから、今の私には、獲物が逃げた記憶しかないわよ」

澪「なるほど…」

さわ子「まあでも自分のする事だからね。大体何をしたか想像はできるわ」

梓「想像…?」

さわ子「そうねえ。まずは澪ちゃんを脱がせて、りっちゃんのピーを澪ちゃんのピーにピーして、澪ちゃんがピーするまでひたすらピーしまくった後に、唯ちゃん達も脱がせて、今度は梓ちゃんのピーをムギちゃんのピーにピーピーピーピーで、ピーピーピーピーピー、それから…」

律「さわちゃん、もういいや…。聞きたくねえ…」

さわ子「あら、そう?」

澪「ひ、酷すぎる…」

紬「ちょっと見たかったかも…」

律「昔の軽音部のライブは凄かったとは聞いてたけど…」

梓「先生方までノリノリでしたからね…。危なかったです…」

唯「ところで、さわちゃんはどうしてわざわざ変装までして、私達の前に現れたの?」

さわ子「え?そ…それは…」

澪「そう言えば…。私達の目論見を妨害するためですか?」

さわ子「違うわよ…。彼とくっつけたら、それはそれで良かったし」

梓「じゃあ何で…?もしかして、何か悪さしてたんじゃ…」

さわ子「え、えーと…」

紬「私も気になります。教えていただけませんか?」

さわ子「それは…その…」

律「いいだろさわちゃん!教えてよー!」

さわ子「う…」

さわ子「…あ…会いたかったのよ…///」

律「へ…?」

さわ子「か、彼にもう一度だけ会いたくて…それで…///」

唯「ほえ~…」

さわ子「ぐっ…い、いいでしょそれくらい!?笑いたければ笑えばいいわ!!」

梓「そんな、笑ったりしないですよ」

澪「うん。全然おかしくないです」

さわ子「そ、そう…?」

律「ははは…。このさわちゃんにもそういう部分は残ってたんだな~」

唯「だからあの後の先生はやけに幸せそうだったんだね~」

紬「先生、この時計を使えば、どうにでもなりますから…また過去に行ったらどうですか?」

さわ子「…」

さわ子「そうねえ…。それも悪くないけど…やめておくわ」

唯「なんで?あの人の事好きだったんでしょ?」

さわ子「今の自分も嫌いじゃないしね。ヘビメタもやっぱり好きだし。彼にも会えたから、それで満足よ」

律「もったいないなぁ」

さわ子「分別よ分別。それがあるから、大人って言うのよ」

梓「せ、先生がマトモな事を言ってる…」

澪「これ…もしかして、おしとやかな頃の先生がタイムスリップしてるんじゃないか?」

さわ子「あ、そうそう。みんな…特に澪ちゃん。私の性格を改造しようとした罰はちゃんと受けてもらうから」

澪「え…」

さわ子「ふふふ…まだ着てもらってない衣装が山ほどあるから、心行くまで堪能させてもらうわぁ」ニヤリ

律「あぁ…さわちゃんだ…。紛うこと無きさわちゃんだ…」

紬「このタイムマシンは、もう使わないほうがいいわね…」

澪「良かれと思ってやった事が、悲劇を生む可能性もあるしな」

唯「でも、私は使ってよかったな~。憂を見つけてあげられたし」

紬「そうね。私も今の自分がどれだけ幸せかよくわかったわ」

澪「私も…なんだかんだで律は頼れるヤツだってわかったよ」

梓「え…?どういう事ですか…?」

律「お前らいつの間にそんな事を…」

澪紬「ふふふ」

律「なんだよお前ら…悪用してたんじゃないだろーなー?」

紬「ふふ…大丈夫よ」

澪「先生…ご迷惑かけてすいませんでした…」

唯律梓「ごめんなさい…」

さわ子「謝罪はいらないから、とりあえず衣装に着替えてくれない?」ジュルリ

澪「ぐっ…し、仕方ない…。ここは我慢しよう…」プルプル

さわ子「あ、そうそう。あなた達、まだ過去でやり残してる事があるわよ」

梓「やり残してる事?」

音楽室

唯「対バンかぁ。すっかり忘れてたよ」

律「でも確かあれは…変装したさわちゃんとした約束だよな?」

さわ子「その前にも一度話してるじゃない」

澪「そうだっけ…?」

さわ子「私、けっこう楽しみにしてたんだから。さっさと過去に行って、あの頃のおしとやかな私と演奏してきなさい!」

唯「う…でも、さわちゃんすごく上手かったし…」

梓「私達のレベルで大丈夫かぁ…」

さわ子「大丈夫よ。あなた達の事は今の私が一番よく知ってるんだから。悪くないわよ?みんなの演奏も」

律「そっか。じゃあ、ちょっと行ってギャフンと言わせてやるか!」

紬「私達不良だもんね♪」

唯「よーし…ぶちのめしてやるアル!!」

梓「対バンってそういう意味じゃないですよ…」

澪「私はニダなんて絶対言わないからな…」

律「じゃあみんな…楽器は持ったかっ?」

唯澪紬梓「オッケー!(です!)」

さわ子「ふふ。いってらっしゃい」

唯律澪紬梓「せぇーのっ!!」






最終更新:2010年01月25日 03:54