唯「かわいいなー」

梓「zzz……」

唯「えへへ、このまま連れて帰っちゃいたくなる可愛いさだよー」ナデナデ

梓「ん……ふにゃあ……」

唯「わ!ふにゃあ、だって!ネコさんになった夢でも見てるのかなぁ?」

梓「zzz……ん~……ゆいせんぱ~い……」

唯「!今、私の名前を……!私の夢でも見てくれてるのかな?」

梓「唯先輩……もっと……もっと、ぎゅってしてくださぁい……」

唯「っ!!!!!!」

唯「あずにゃん!!そんなに私の事……!!」

唯「そうだ、今のうちにネコミミつけておこうっと!」

唯「よし!完全体あずにゃんのできあがりだよ~」

梓「にゃあ……唯先輩、あったかくて……気持ちいいです……」

唯「えへへ~、あずにゃんも夢の中なら素直なんだねぇ~」

梓「唯先輩……好き……大好きぃ……むにゃむにゃ……」

唯「私も大好きだよ~、あずにゃん」

梓「にゃあ……」

唯「それにしても律ちゃんたち遅いな~……。今のうちにトイレ行っておこうっと」

梓「ゃ……」ギュッ

唯「へ?」

梓「唯先輩……どこにも行っちゃや、です……」

唯「あずにゃん……」

唯「うん!!分ったよ、安心してあずにゃん。私はどこにも行かないからね~♪」

梓「にゃあ……」

唯「あずにゃ~ん♪」スリスリ

梓「zzz……」

唯「ん~、あずにゃんのほっぺぷにぷにだね~」ツンツン

梓「ん……ペロ……」

唯「ひゃあっ!!」

梓「ペロ……ペロペロ……」

唯「あずにゃん、ダメっ!指舐めちゃ……!!」

梓「んっ……ちゅぱ……ちゅぱ」

唯「あっ……ふあぁ……」

梓「ちゅぱ……ぺろ…………」

唯「はぁはぁ……あずにゃん……そんなに私の指おいしかったの?」

梓「にゃあ……」

唯「むー、こんな無垢そうな顔して大胆なんだからぁ……」

唯「いいもん!私もあずにゃんの事ペロペロしちゃうから」

梓「zzz……」

唯「……いいよね……あずにゃんが先にやってきたんだもん……」

梓「…………」

唯「はぁはぁ……あずにゃん……」ペロ

バン!!

律「おーっす、待たせたなー!!」

唯「!!」

梓「ふにゃっ!!」

梓「あれ……唯先輩……?えっ、な、なに……これ……?」

唯「あ、あずにゃん……」

律「!!ゆ、唯……お前、何やってんだ!?」

唯「こ……これは……!」

梓「し、信じられません、唯先輩!!まさか、こんな事する人じゃないと思ってたのに……!!」

唯「ち、違うの!!これは……その……」

梓「言い訳なんて聞きたくないです!!」

梓「信じてたのに……憧れてたのに……」

律「ゆ、唯……その……なんだ。お前を責める気はないけど……とりあえず梓に謝ろう、な?」

唯「ち、ちがうもん……!あずにゃんが先にやってきたから、私は……」

梓「どうして私のせいになるんですか!?」

唯「だ、だってあずにゃんが寝ぼけて私の事好きって言って……ペロペロしてきたから……」

梓「な……!!口からでまかせ言わないで下さい……!!」

唯「う、嘘じゃないもん!!」

梓「仮にそれが本当だったとしても、寝ぼけてた時の話じゃないですか!!それで唯先輩があんなことしていい理由にはなりません!」

唯「う……うぅ……それは」

律「唯……今回はお前が悪いよ……謝ろう」

唯「うん……あずにゃんごめんね……」

梓「ふん、もう知りません!!」

律「おいおい梓も大人気ないな……お前だって本心では唯のこと……」

梓「り、律先輩まで何言い始めるんですか!!」

律「いや、だって……」

梓「もういいです!今日は唯先輩と練習する気になれません!帰らせていただきます!」

唯「あ、あずにゃん待って!!」

律「お、おい梓!!」

梓「ふん!!」

唯「行っちゃった……」

律「あーあ……」

澪「さっきネコミミ付けた梓がプリプリ歩いてるの見たけど何かあったのか?」

紬「鞄もギターも持ってたけど、梓ちゃん今日はもう帰っちゃったの?」

律「それが色々あってなー」

唯「全部私が悪いんだよぅ……」

澪「?」


――――

梓(全く唯先輩の馬鹿……!!)

梓(でも……本当に私、寝言でそんな事言ってたのかな……?)

梓(だとしたら恥ずかしすぎるよ……!!)

梓(唯先輩には私の弱いところ見て欲しくなかったのに……)

梓(それにしても……何か周りの人が私に注目してるような気がする……)

梓(もう、私がなにしたっていうの!)

梓「はぁ……ただいまー」

梓母「あら、おかえりなさい。って、あんたどうしたの?その頭」

梓「え?……ああっ!!やられた!!」


――――

唯「はぁ……あずにゃん今日は許してくれるかなー?」

憂「大丈夫だよ。梓ちゃんだってお姉ちゃんのこと大好きなんだから」

唯「でも、昨日ので嫌われちゃったもん……」

憂「考えすぎだよー。あ、ほら噂をすれば……あそこにいるの、梓ちゃんじゃない?」

唯「あ、本当だ!あずにゃーん!おはよー!!」

梓「…………」

唯「あ、あずにゃんさん……?」

梓「あ、おはよう!憂」

唯「うわーん!!うい~、あずにゃんがぐれたー!!」

憂「もう、梓ちゃん!そろそろ許してあげよ、お姉ちゃんだって悪気があったわけじゃないんだし……」

梓「憂には関係ないもん!」

梓「大体あんなことした上に勝手にネコミミまで付けて……おかげで私がどれだけ恥じかいたか……」

唯「そ、それは私が注意する前にあずにゃんが帰っちゃったから……」

梓「…………」ギロッ

唯「ひぃ!!あずにゃんが怖いよ~!!」

憂「もう梓ちゃん!!」

梓「ふんだ!!」

唯「あ、あずにゃん待って……!!」

唯「うぅ……どうしよう、あずにゃんに嫌われちゃった……」

憂「大丈夫。私があずさちゃんによく言っておくから、ね?」

唯「うう……ありがとう、憂……」


ガチャ

梓「失礼しまーす……」

梓「って、私が一番乗りか……」

梓「……いや……いる、約一名」

唯「ぐーぐー……」

梓「はぁ、全くこの人は……」

唯「んー……むにゃむにゃ……あずにゃ~ん……むちゅちゅ~……ぐーぐー……」

梓「今朝まであんなに落ち込んでたくせに……なんなのよ……」

はぁ、無邪気なこの寝顔が憎らしいよ。

あーあ、こんなに涎まで垂らしちゃって……。

だらしないなぁ、と思いながらも私は唯先輩の唇の端から垂れるそれから目を離せないでいた。

……そして数秒後気づくと、私はおもむろに唯先輩の涎を自分の指で拭い取っていた。

…………何を考えているんだ私は。

だけど、不思議と汚いとか気持ち悪いとかそういう感情は湧かなかった。

それどころか、何を血迷ったか私は唯先輩の涎がついた指を自分の口に含むという暴挙にでた。

甘い……。いや、実際にはそんな事は無いんだろうけど少なくとも私にはそう感じた。

って、やばいやばい!!これじゃ、私変態じゃない!!

梓「はぁ……私も唯先輩の事言えないよね……なんか自己嫌悪しちゃうなぁ……」

唯「むにゃむにゃ……ぐーぐー……」

梓「…………」

しかし、そんな私をお構い無しに相変わらずこの人は暢気に眠り込んでいる。
ああ、憎たらしい憎たらしい。
あまりに憎たらしいので頬をつねってみる。

唯「ん~……」

しかし、唯先輩は少し顔を歪ませただけで一向に目を覚ます気配は無い。

梓「ばか……」


それにしても唯先輩って、良く見るとやっぱり整った顔してるよね。

すぐ百面相するから台無しだけど……。

ふと、唯先輩の艶やかな唇に目が止まった。

そして、なんとはなしにこの唇に触れてみたいという欲に駆られた私は、唯先輩の唇を指でなぞってみる。

柔らかく心地よい感触が指に伝わった。

もっと触れたいな……唯先輩の唇に……。


梓「…………」

唯「ぐーぐー……」

梓「唯先輩!!これは昨日の仕返しなんですからね!!」

唯「ぐー……ふにゃ……?」

唯「ん~……あれ?私寝ちゃってた?」

律「お?唯やっと起きたかー」

澪「全く、授業中あんだけ寝てたのによく眠れるな」

唯「えへへ~ごめんごめん。あれ、あずにゃん?」

梓「……なんですか?」

唯「えーっと、何で髪下ろしてるの?」

梓「いけませんか?」

唯「べ、別にそういうわけじゃないけど……朝は結んでたのになぁ、って……」

梓「唯先輩には関係ないことです。それより早く練習始めますよ」

唯「え~!!ティータイムはぁ!?」

梓「唯先輩が寝ている間に終わりましたよ」

唯「な、何で起こしてくれなかったの!?」

紬「ごめんなさい、唯ちゃんがあんまり気持ち良さそうに寝ているものだから……」

唯「そ、そんなー……!!」

梓「自業自得です。さぁ、さっさと準備してください」

唯「うぅ……あずにゃん先輩、厳しいっす……」

ジャジャーン

唯「ふう……今日はなんだか上手くいったね、みんな」

ジャジャーン

唯「ふう……今日はなんだか上手くいったね、みんな」

律「ぷっ……くくっ……そ、そうだな!」

澪「ふふ……唯もケーキ無しでよく頑張っ……ぷっ……!」

紬「そうね、くすくす……」

唯「?……どうしたのみんな、なんか変だよ?」

紬「そんなことないわ!!……うふふ」

律「そうそう!さて練習はこれくらいにしてそろそろ帰るか!……ぶふっ!」

澪「そ、そうだな!……くっ、あははっ!」

唯「……?みんな変なの……」

梓「…………」


――――

唯「ただいまー」

憂「おかえり、お姉ちゃん……って、どうしたのその頭」

唯「え……?あぁっ!!何これ!!どうりでおでこがすーすーすると思ったら!!」

憂「今まで気づいてなかったの?」

唯「全然だよぉ!そっか、みんな笑ってたのはこれのせいだったのかー……」

憂「このヘアゴム、梓ちゃんのだね……」

唯「うう……あずにゃんにしてやられたよぅ……」

唯「あずにゃん、昨日は酷いよ!あんなことして!恥ずかしかったんだからー!!」

梓「唯先輩だって同じような事やったじゃないですか。お返しですよ」

唯「それはそうだけど……」

梓「まぁ……唯先輩も悪気があった訳じゃなさそうですし、今回の件は特別にこれで水に流してあげますよ」

唯「本当!?許してくれるの!?」

梓「はい。私もちょっと意地になっちゃってましたから……」

唯「わ、私の事嫌いになってない?」

梓「なってませんよ。安心して下さい」

唯「え、えっと……それじゃあさ……仲直りのちゅー……しない?って、うそうそ!!冗談だよ!」

梓「…………いいですよ」

唯「で、ですよねー……って、え!?」

梓「キスしたいんですよね?いいですよ、しても」

唯「ええっ!!ほ、本当に!!」

梓「嘘ついてどうするんですか。ほら、するなら早くしてください。こっちだって恥ずかしいんですよ!?」

唯「うっ、そ、それじゃ……いただきますっ!!」

梓「なんですかそれ……」

唯「…………」ドキドキ

梓「…………」

ガチッ

梓「あでっ!!」

唯「あうっ!!」

梓「も、もう何やってるんですか!唯先輩!」

唯「しょ、しょうがないじゃん!だって私、初めてなんだもん……!」

梓「……初めて?」

唯「え?」

梓「ぷっ……そ、そうですよね!初めてですもんね?ふふっ!」

唯「え?な、なにその意味深な含み笑い!」

梓「なんでもないですよー?あははっ」

唯「う、うそだぁ!何か隠してるでしょう!?教えなさーい」!

梓「えへへ、ダーメ!秘密です!」

唯「むー……あずにゃん、ずっこいよー……」

梓「♪」

おしまい



最終更新:2011年10月15日 02:14