律「手の届く距離だからっていきなりパンチとか止めろよ?」
和「……そんな要件だったらこの部屋に入った瞬間に後ろからやってるわよ」
律「それもそっか。って怖い事言うなよ」
和「行くわよ」
律「よ、よぉし来い!」
和「はい」パッ
律「……ん?両手広げてどうしたんだ?キャッチするのは私だろ?」
和「ほら、おいで?」
律「……は?」キョトン
和「ね?」
律「……、……いや、おいでって何だよそれいきなりそんな事言われても私としちゃ一体何がなんなんだか訳が分からないよ」
和「律」
律「そんな可愛いカッコしてコッチを見つめられても私としてはいきなり飛び込んで甘えるなんてキャラ的におかしいしってゆうかとにかく」
和「り~つ」ジー
律「……はい」
和「おいで」
律「……良いの?」
和「ええ、たまには誰かに甘えたいでしょう?」
律「……まぁ……うん……」
和「嫌なら良いわよ」スッ
律「あ、いや、嫌じゃない!」アセアセ
和「じゃあはい、おいで」パッ
律「……、……ん」ギュッ
和「よろしい」ギュー
律「……柔らかい」ギュー
和「律だって柔らかいわ」
律「和っていいにおいするな」
和「律だって」
律「……きもちいい」
和「私もよ」
律「なんだろ?こう……」
和「きゅんきゅんする?」
律「あ~、うん。そんな感じ」
和「やっぱり、正解ね」フフッ
律「正解ってなんだよ」
和「いえ、私も同じって事よ」
律「良いなぁ……こうゆうの」
和「そうね。律ってこういう甘え方しないでしょう?」
律「まぁ、キャラじゃないしな」
和「そうね」クスクス
律「な、なんだよ。和から誘っておいて」
和「律がこんなに可愛らしく甘えてくるなんて、確かにらしくないわね」
律「なんだよ~」
和「他の人に知られたくないわね。勿体ないわ」ギュー
律「他の人にこんな事しないよ」
和「ふ~ん」
律「ふ~んってなに?」
和「私なら、また抱き締めても良いって事かしら?」
律「え、あ、まぁ……うん」モジモジ
和「本当、可愛いわね」
律「ちくしょ~」
和「何よ、褒めてるのよ?」ナデナデ
律「あ~、ソレ気持ちいい」
和「そう?じゃあもう少し」ナデナデ
律「ふぃ~……人に甘えるって良いな」
和「私も甘えられるの好きよ?」
律「唯とかがいつもやってるもんな」
和「……こういう雰囲気で他の子の名前出す?」ハァー
律「へ?」
和「律って、本当に鈍感で意地悪よね」ヤレヤレ
律「え?また鈍感?」
和「分かったわ。律がそういうなら私、もう唯とそこまで仲良くしないわよ」
律「は?いや、仲良くしようよ」
和「良いの?私が他の子と仲良くしてても」
律「そりゃそうだろ?幼馴染じゃないか」
和「……もうちょっと独占欲ってものを持ってほしいわね」
律「はぁ?」
和「まぁいいわ」
律「あ、そう」
和「律が甘えるのは私だけだものね」
律「そうだな……あ~、ずっとこのままでも良いかも」
和「嬉しい事言ってくれるわね」
律「あ、でもそれじゃ迷惑だよな」
和「そんな事ないわよ」
律「いやだってそんな、まるで……恋人みたいな」カァァ
和「良いわよ」
律「え?」
和「律とこうしていられるなら、恋人にさせて頂戴」
律「え、え~っと……」
和「むしろ願ったり叶ったりよ」
律「あ、う、はぇ?」
和「だって律の事がずっと好きだったんだもの、当り前じゃない」
律「はぁ!?」バッ
和「離さないわよ」ギュー
律「え~っと……どうゆうこと?」
和「どうもこうも無いわよ。この部屋に入ってから私はずっと『貴女が好き』って言ってるのよ?」
律「……マジで?」
和「というかこんな状態でもまだ『友達同士の戯れ』だと思ってたの?」
律「『和もたまにはこんな事するんだなぁ』って」
和「……ハァ」
律「スミマセン、何度もタメ息つかせちゃって」
和「私としてはずっと貴女に想いを伝えてるつもりだったんだけど」
律「つもりなのは和だけだろ?」
和「そう……そんな言い方するのね……」スッ
律「あっ!?違う!別に嫌いとか嫌とかそうゆう事じゃない!好きだ!」
和「好き……って」カァ
律「いや、え~っと、どう言えば良いのやら」ポリポリ
和「本当に気付いて無かったの?」
律「ハイ……」
和「微塵も?」
律「……ゴメン」
和「ある意味尊敬するわね」
律「いや~、まさか私がそんな風に想われる訳が無いって思ってたからさ」
和「あぁ、そういう事」
律「うん」
和「こんなに可愛いのに」ギュー
律「ちょっ」
和「嫌なら『嫌だ』って言ってくれて良いわよ?そうしたら直ぐに手を離すわ」ギュー
律「いや、嫌って事は……」
和「じゃぁ……どうする?」
律「どうする……って」
和「私を抱き締めるか、突き放すか」
律「何だその二択は」
和「だって、貴女恥ずかしがって、顔を見て言えないでしょう?」
律「う……良くお分かりで」
和「そりゃ大好きな律の事だもの」
律「……え~、そもそも何でイキナリこんな話になってるんだ?」
和「貴女が私の背中を押したからじゃない」
律「あ、階段での話ってコレだったの?」
和「だから言ったでしょう?『律に背中を押されると思ってなかった』って」
律「なるほどな。そりゃ悩みのタネに背中押されるってこたないよな」
和「本人はそんな事、微塵も思ってなかったみたいだけど」
律「うぐ……じゃあまあ背中押した責任は取らないとな」
和「話が早くて助かるわ。……十分遅いけど」
律「遅くないだろ、別に」
和「だって今の今まで私の気持ちに気付きもしなかったんでしょう?」
律「ハイ、まぁ」
和「私が貴女の事をどれだけの間想ってたと思ってるのよ」
律「……ちなみに、いつから?」
和「いつからでも良いでしょ?今も好きなんだから」
律「……そうですね」
和「鈍感よね、本当」
律「……ハイ、ゴメンナサイ」
和「そろそろ良いかしら?」
律「あ、ハイ」
和「どうする?」
律「そうだな……和にそんな風に想って貰ってるのは嬉しいかな」
和「そう」
律「うん。だから……よろしくお願いします」ギュー
和「よろしい」ギュー
律「うん、こんな風に甘えれるのって和だけだな」
和「私もこんな気持ちで抱き締めるのは律だけよ」
律「でもなんかコレって和の気持ちと私の気持ちが違う気がするんだけど、良いのか?」
和「良いのよ。律は律なりに、私を想ってくれるでしょう?」
律「うん……まぁ頑張ります」
* * *
和「……とまぁ、昨日の貴女達の会議の内容は事実だったわ。良かったわね」
唯「のどか、ちゃん……?」
和「何かしら」
唯「私『おはよ~』って言ったよね?」
和「そうね、朝だもの」
唯「で、和ちゃんも『おはよう』って返したよね」
和「そりゃ『こんばんは』なんて時間じゃ無いでしょう?」
唯「そうだね。それから私は『昨日りっちゃんが来なかったんだけど、和ちゃんと一緒に行った後どうしたか知らない?』って聞いたよね」
和「そうね。だから『私と一緒に帰ったのよ』と言ったでしょう?」
唯「うん。で、『なんで?』って聞いたら和ちゃん、かる~く話し始めちゃったけどさ」
和「ええ」
唯「今の話……何?」
和「だから、『昨日の会議のお題は間違ってなかったわよ』って」
唯「違うね!大事なのはソコじゃないね!いいやソコじゃないね!」
和「結局何処なのよ」
唯「何してくれてんの!?何しちゃってくれちゃってんの!?」
和「何って……」
唯「え、和ちゃんそんな夢見たの?」
和「いつも夢の話するのは貴女の方じゃない」
唯「あっ!そっか!コレが夢なんだ!」
和「紛れもない現実よ」
唯「そうだ!早く帰ってもう一回寝ないと!」クルリ
和「寝る前に目を覚ましなさい」
唯「和ちゃん離して!妹が家に居ないんです!探しに行かないと!」
和「先に学校に行ったんでしょ」
唯「じゃあ何!?こんな世界を現実だって認めろっていうの!?」
和「何よその仰々しい話」
唯「いやいやいやいや、だってさぁ、だってさぁ、だってだってさぁ」
和「落ち着きなさいって」
唯「落ち着けないよ!」
和「あらそう?」
唯「私たちの天使に何でそんな独り占めしちゃうみたいなみたいなぁ!」
和「もう、昨日言ったでしょ?」
唯「私聞いてない!」ガー
和「言ったわよ」ハァ
律「おはよ~!和と唯」タッタッタッ
唯「と、だって!と!と、ですってよ!と!後回しですよ奥さん!」プンスカ
律「何だよ朝からテンション高いなぁ。何の話してたんだ?」
和「律が鈍感って話よ」
律「はぁ?なんでまたその話なんだよ」
和「……昨日話したばっかりなのにそうゆう反応するから鈍感だって言ってるの」ハァ
律「え~」
和「澪は?」
律「え?あ~……今日から別に登校だ」
和「何で?」
律「そりゃ、和に合わせる為だよ」
和「ふ~ん。別に良いのに」
唯「りっちゃんりっちゃん!」バンバンッ
律「痛い痛い!?なんだよイキナリ?」
唯「おいで!」バッ
律「……和さん?」クルリ
和「言っとくけど、私が教えたんじゃないわよ」
律「ホントか?」
和「まぁ、事の顛末は話したけど」
律「二人だけの秘密って昨日言ってたろぉ!?」
和「唯には話す必要が有るのよ」
律「何だよソレ?」
唯「そんな事良いから!」バシンバシンッ
律「だから痛いって!良くねぇし!」
唯「ほら、りっちゃんおいで!」バッ
律「……あ~、唯がやっても中々可愛いなぁ」ポンポン
唯「違ぁう!ポンポンじゃあなくって!」
律「でもホラ、和が怒るからさ」ナデナデ
唯「む~!」
和「そんな嫉妬深くないわよ」
律「ホントか~?」
和「だって、律が甘えれるのは私だけでしょう?」ニヤニヤ
律「……唯とかの前でそゆの言うなよ、恥ずかしい」カァァ
和「ストレートじゃないと分かってくれないじゃない」
律「そりゃ昨日はそう言ったけどさ……あれ、唯?」
唯「『とか』って……りっちゃんが私を『とか』って」ズーン
律「ゴメンゴメン、そんなつもりじゃ」
唯「まさか……隊長が和ちゃんに奪われるなんて……」
律「隊長?」
和「『後悔、先に立たず』っていうのはこういうのを言うのよ、律」
唯「うぐぅ!?」グサッ
律「何かわかんないけど、優しくしてやれよ」
和「私が今優しくしたってしょうがないわよ」
律「そ、そうなのか?」
和「ええ」
律「ゆ、唯?」ソッ
唯「ふんす!」ガバッ
律「うぉっ!?」
唯「りっちゃん隊長は……もう人のモノなんですね」ヨヨヨ
律「え、あ、まぁ、うん」
和「私のモノよ」
律「ちょっ!?」
唯「うぅ……こんな所に隊員が潜んでいたなんて……」
和「どうするの?唯」
唯「……とりあえず会議する!」
和「そう?」
唯「和ちゃんに独り占めなんてさせないんだからね!」ビシィッ
和「昨日と言ってる事が違うじゃない」ヤレヤレ
唯「昨日は昨日!今日は今日!」
和「貴女ねぇ……」
唯「今日からは『対策会議』だよ!」
和「そ。じゃあ律が会議中の部室に近づかない様に、授業が終わったら律と二人で帰ってあげるわ」フッ
唯「ムッキ~!」プンスカ
律「いや、えと、あの、何の話?」
唯「良いもん!二人でイチャコラしてれば良いさ!」ブーブー
律「イチャコラって……」
和「言われなくても、そうさせて貰うわよ」ダキッ
律「おまっ!?」アタフタ
唯「うな~!?」ギャーッ
和「何かしら?」
唯「の、の、の、の、和ちゃんのダテメガネ~!」ダダダダ
律「唯っ!?……あ~、行っちゃった」
和「唯ったら……伊達じゃないって昨日言ったでしょうに」ヤレヤレ
律「……良いのか?ほっといて」
和「良いのよ。それより律はもうちょっと自分が想われてる事を自覚しなさい」
律「え~っと……やっぱり、唯もそうゆう事なの?」オズオズ
和「唯だけで済めば良いけど」ヤレヤレ
律「えっ!?」キョロキョロ
和「思い当たる節無い?」
律「……そういえばけいおん部の皆が最近同じ様なイタズラしてきてたなぁ」
和「悪戯じゃないわよ、ソレは」
律「そうなのか?」
和「愛情表現らしいわ、彼女達なりの」
律「愛情、表現……」カァァ
和「まぁ、学校に行ったら色々大変だと思うけど……私以外に甘えちゃ駄目よ?」
律「……はい、頑張ります」
-end-
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ちなみに、スレタイのセリフは律の中の人の発言が元ネタです。
最終更新:2011年10月26日 21:20