――――

唯「いつのまにか遅い時間になっちゃったね」

憂「もう寝る?」

唯「まだ途中だよ。……でも、あとは歯みがいてからベッドでしよっか」

憂「うん」

唯「んー」

憂「いー」

唯「ぺっ」

憂「ぷっ」

唯「さあて、部屋で続きしようね」

 唯30‐23憂

憂「あと20回で、お姉ちゃんの勝ちだね」

唯「うん、ぜったい勝つよ!」

憂「していいよ? 20回。んっ」

唯「それじゃだめなの。ほらほら、一緒にサイコロの数字を見てっ」

憂「わかったぁ……」

唯「それっ」

 [3]

唯「む……」

憂「もう一回だね」

唯「うん、もちろん」

 [6]

唯「にゃう!」

憂「お姉ちゃん……」

唯「だ、大丈夫大丈夫……今っ!」

 [4]

唯「……うぐう」

憂「そ、そんなに落ち込まないで」

唯「ちがうよ、そうじゃなくてね……お願いします」

憂「ん……」

 ちゅうちゅう

唯「んっ、長ぁい……」


憂(今わたしのポイントは36ポイント)

憂(下手したらここで終わっちゃうこともありうる……なんとしてもお姉ちゃんに勝ってもらわないと)

唯「さて……憂の番か」

憂「いくよ」

 [1]

憂「1……じゃあ少ないなぁ」

唯「……憂、いつのまにか憂の中だと、たくさんキスしてもらったほうの勝ちになってない?」

憂「だって、私はそのほうが嬉しいから」

唯「なんて素直な」

憂「……そ、それー」

 [4]

憂「よしっ、5回! 打ち止めにする!」

唯「喜ばれると真剣にやってる側としては複雑だよ……」

憂「こっちだって真剣勝負だよ!」

唯「? まあとにかく……」

 ちゅっ

憂「んっ♪」

唯「かわいい……ん、ふっ」

 ちゅっ

 ちうちぅ……

憂「んー」

唯「ぷはっ。えへ」

憂「えへへー」

 唯35‐36憂

唯「んー、負け越してる」

憂「大丈夫だよ。お姉ちゃんならきっと勝てるって」

唯「……うん。じゃあいくよ、ふーっ」

 [4]

唯「……よし、4回!」

憂「ちゅーする?」

唯「欲張って5がでたら大変だしね。固めでいくよ」

憂「じゃあ、」

唯「あむっ」

憂「ひゃっ、ん、うっ」

 ちゅっ

唯「……なんかもったいないことした気分」

憂「もっと大事にキスしてよぉ」

唯「ういのばーん」

憂「お姉ちゃんどいて、起き上がれない」

唯「……ぎゅー」

憂「私はちゅーしてもらうだけでもいいんだよ?」

唯「むう。せめて勝敗はきちんと決めないと」

憂「ありがと。それじゃあやるよ」

憂(えっと……今お姉ちゃんが39点だから、11以上の奇数を出せばいいんだよね)

憂(逆に14以上の偶数は私の勝ちになっちゃって、罰ゲームが受けられない)

憂(小さくてもいい、とにかく奇数を……!)

 [2]

憂「まずは2かぁ」

唯「ってことは、まだ振るんだね」

憂「……うーん」

憂(ここで私がやめても、次はお姉ちゃんのターン)

憂(今でた数字は2で、私からのキスは38回)

憂(ここで止めておけば、お姉ちゃんが奇数を出さなかったとして、お姉ちゃんのターンに最低2回まわせるよね)

唯「う、うい?」

憂(それに、私が次に1を出しても、お姉ちゃんのキス回数は43)

憂(お姉ちゃんが1回目のサイコロで6を出しても50には届かない)

憂(いや、だからこそ私が3や5をここで出しておくべきなんじゃ)

唯「憂!」

憂「ひゃっ!?」

唯「そんなに考え込まないでよー。ゲームなんだから憂は楽しんで?」

憂「あ……ご、ごめん」

憂(……やっぱり、私は)

憂「よしっ、お姉ちゃん目とじて!」

唯「うん。えへへ、憂にちゅーしてもらうのなんか久しぶりかも」

憂「たった2回だから、じっくりするね」

憂「……ふーっ」

唯「ひゃんっ……」

憂「れぇー……」

唯「ん、あむっ……じゅっ、ちゅ……」

憂「っふ……れろ、くちゅ……」

憂「はぁ……お口あーんってして」

唯「あー」

憂「ふ……れろれろっ、ちゅぷ……ん、くっ」


――――

 唯39‐38憂

唯「日付が変わりました」

憂「うん……はぁ、はぁ」

唯「これは史上まれに見る熱戦だよ、憂」

憂「は、はやく……さいころっ」

唯「そろそろこの辺で決着をつけるよ」

唯「よしいくぞー!」

 [5]

唯「ありゃ」

唯「まあ次いくよー、ホイッ!」

憂(……あれ?)

憂「ちょ、ちょっと待って!」

唯「えっ?」

憂「さっきより状況が悪くなってるよ!」

唯「ど、どういうこと?」

憂「さっきお姉ちゃんは、欲張って5が出たらまずいからって、ターン終了したよね」

唯「……そして憂のターンに2ポイント足して、私がいま5を出した……」

憂「あの判断は結果的に私を追い越して1ポイント差をつけることになってたけど」

憂「前のお姉ちゃんのターン時点では私は36ポイントだったから、お姉ちゃんが4のあとで」

憂「5、6か6、5と続けて出さない限り、お姉ちゃんの負けはなかった」

唯「私が負ける確率は18分の1だね」

憂「うん、仮に5を出してても負ける確率は6分の1だった」


憂「でも今、このターンになって私が2ポイント増やしていることで、」

憂「そしてお姉ちゃんが5を出していることで、お姉ちゃんがここで負けるパターンは……えーっと、12通り!」

憂「確率にして3分の1だよ!」

唯「ひ、ひえーっ!」

憂「つまり、このゲーム……後半になればなるほど」

憂「堅実に攻めているつもりが、ただ自分の首を絞めるばかりになる悪魔のゲーム!」

憂「そう、罠っ……このゲーム自体、初めから仕組まれていた、罠っ……!!」

唯「でもここで5が出たら私の勝ちだよね、ぽーい」

憂「あっ」

 [6]

唯「あー」

憂「あー、じゃなーい!」

憂「次で偶数でたらお姉ちゃんの負けだよ!?」

憂「私におしおきしたくないの、お姉ちゃん!?」

唯「大丈夫。2分の1で勝ち負けが決まるだけでしょ?」

唯「逆に、奇数が出れば1でも私の勝ちなんだよ」

憂「でも……そうだお姉ちゃん、ここでやめて! 私は49点だからまだ間に合うし」

憂「私が10以上の奇数を出して、お姉ちゃんを勝たせてあげられる確率は2分の1よりきっと高いよ!」

唯「ううん」

憂「お姉ちゃん……?」

唯「私がやる。憂のせいにはさせられないよ」

唯「私がきっと勝つから、そしたら憂は……私のお嫁さんになってくれる?」

憂「……! うん!」

唯「……ありがとう」

唯「……数字を出すのは神様。ふるのは私でも憂でも同じだけど」

唯「それなら、私が憂をつれていくよ!」

 ……

憂(賽は、投げられた!)

憂「……」

唯「……憂」

憂「お姉ちゃん……」

憂「……お姉ちゃんっ、ちゅーして!」

唯「うんっ!」

 [・]


  おしまい



最終更新:2011年10月30日 02:09