律「それじゃあな、澪」

澪「う、うん…」

律「お腹出して寝るんじゃないぞ?」

澪「り、律に言われたくない!」

律「あはは…」

澪「はは…」

律「…じゃ」

澪「うん」

澪「………」

澪「ダメだ…これじゃあダメだ…」

澪「もう…なんでこんな事に…」

澪「これじゃあ軽音部のみんなにも迷惑かけちゃう」

澪「うぅ……律絶対私の事意識してるよ…」

澪「律は…どう思ってるのかな?」

澪「ねぇ律…律は私の事許してくれるのかな?」ぎゅ

澪「私謝ろうとしたんだよ?…それなのに……それなのにさぁ…」

澪「ずっとこの関係のまま卒業しちゃったらどうしよう…」

澪「やだよそんなの…絶対やだ…」

澪「グスン…」

澪「……」ぎゅ

澪「……」

澪「違うよ…違う……」

澪「私がこんなだから…いけないんだ…」

澪「高校生にもなってこんな抱き枕なんて使ってるから…」

澪「こんな事態になっちゃったんだよ」

澪「……」

澪「変わろう」

澪「変わって…律に謝って……それで…」

澪「きっと律も許してくれるよ」

澪「……」

澪「これで……よしっと」

澪「可愛そうだけど…仕方ないよね……」

澪「ごめんね律…私こうしないと変われない気がするから…」

澪「今まで一緒に寝てくれてありがとう」

澪「ほんとにほんとにありがとう」

澪「きっと…きっと律と仲直りするからね?」

澪「見守ってくれると…嬉しいんだけど…」

澪「………」


澪「今日は久しぶりにうさちゃんのぬいぐるみで寝よう」

澪「……」ぎゅ

澪「……」

澪「……」

澪「スー…スー…」

澪「……」


「だめだよ澪ちゃん」

澪「えっ、ここは…?」

「なんてひどい事するの?」

澪「えっ?うさちゃんが喋って…えっ?」

「りっちゃん…きっと今頃泣いてるよ?」

澪「律が?…なんで?」

「だって大好きな澪ちゃんに捨てられちゃったんだもん」

澪「な、なんでうさちゃんがそれを知って…?!」

「知ってるよ、ずっと見てたんだもん」

澪「うぅ…そうなんだ」

「りっちゃんは澪ちゃんの悩みをずっと聞いてくれてたのに…」

澪「……」

「ずっと傍で澪ちゃんと一緒に寝てくれてたのに…」

澪「そ、そうなんだけど……」

「なんでそんなにひどい事しちゃったの…?」

澪「だって…私はああしないと変われない気がするんだ!」

「そんな…りっちゃんが可愛そうだよ、りっちゃんは澪ちゃんの事一番心配してたんだよ?」

澪「えぇ?」

「最近元気ないけど澪ちゃんなら大丈夫って」

澪「そ、そんな…」

「きっと乗り越えられるって…」

澪「そう…だったんだ…」

「きっとりっちゃんものすごく寂しい思いをしてるよ」

澪「わ、私なんてひどい事!」

「迎えに行ってあげて?澪ちゃん」

澪「う、うん…!行ってくる!」

澪「………」

澪「ん…むにゃ」

澪「はっ!」

澪「うわぁぁぁああぁぁあああ!!」

澪「律…ごめんねりつぅ!」

澪ママ「どうしたの?朝から大きな声だして」

澪「ママ!ここにあったゴミ袋は?!」

澪ママ「今ちょうど出して来たところよ、どうしたの?」

澪「そ、そんなっ!今ならまだ…!」

ダダッ!

澪ママ「ちょっと澪ちゃん着替えたら?雨も降ってるわよ?!」

澪「大丈夫だから!」

澪ママ「……」

澪ママ「寝ぼけてるのかしら…」

澪「はぁはぁ!」

ウィーン…ガチャガチャ

澪「うわぁぁぁ!!」

澪「業者さんが車にゴミ袋放りこんでるぅぅ!」

澪「ちょっと待ってください!ちょっと……!」

ブロロロ…

澪「行かないでぇぇぇ!」

澪「はぁはぁ…」

澪「………」

澪「まさか…そんな……」

律「澪?」

澪「へっ?うわぁ!」

律「なーにやってるんだよ…傘もささずに」

澪「あ、ありがと……」

律「パジャマびっしょじゃんか、風邪ひいちゃうぞ?もう…」

澪「う、うん…」

律「そんなに必死になってどうしたんだ?」

澪「うっ……グスン…」

律「聞かせて…?ゆっくりでいいから」

澪「エッグ…大事なもの…昨日捨てちゃったんだ……」

律「それで…今持って行かれちゃったのか?」

澪「うん…もう……もう戻らないんだ…」

律「……」


―――

澪「ズズ…」

律「澪、これ着て家に帰ってな」

澪「えっ?」

律「あったかくしないとダメだ」

澪「律…どこ行くの?」

律「大事なものなんだろ?」

澪「ダメだよ律、やめてっ!」

律「いいから家に戻ってなさい、すぐ戻るから!」

澪「律が見たらきっと…また…!」

律「……」

タッタッタ

澪「律が嫌な気持ちに…なっちゃう……から…」

澪「……」

澪「行っちゃった…」



ピンポーン

澪ママ「あらりっちゃん!」

律「あ、朝早くからすみません…澪いますか?」

澪ママ「いるけど…どうしたのずいぶん濡れて」

律「平気です、はぁはぁ…すみません、おじゃまします」

澪ママ「と、とりあえずタオル持ってくるわね」

律「ありがとうございます…はぁはぁ…」

―――

律「澪、入るぞー」

澪「うん…」

律「……」

澪「……」

律「あはは、予想外に濡れちゃった…」

澪「ご、ごめん律…私のせいで…」

律「いいよもう…ほらっ大事なものってこれだろ?」

澪「あっ……」

律「あはは…袋開いて直ぐに分かっちゃった」

澪「うっ…ぐす…」

律「泣くなよもう」

澪「ありがと…りつぅ……ありがとうぉ…ヒッグ…」

律「いいよそんなの、もっと嬉しがれっつーの!」

澪「そんな…いきなりは無理だよぉ…ズズ…」

律「…そっか」

澪「あの…律…」

律「ん?」

澪「私…ちゃんと謝らなくちゃって…」

律「……」

澪「ごめんね律…いきなりあんなもの見せられたら誰だって戸惑うよね…」

律「謝らなくていいよ澪」

澪「で、でも…」

律「澪が言った通りちょっと戸惑っただけ…これは私の問題だったんだ…」

澪「えっ…」

律「少し澪の事が分かんなくなっちゃったけど…もう大丈夫だから」

律「澪は澪、私は私、いまさらそんな事で澪に偏見持つなんて私達の間柄を考えたらありえないなーって」

澪「律…」

律「だから澪!…謝らないといけないのは私の方」

律「寂しい思いさせてごめんな?」

澪「律ぅ…りつぅ…!グッス…」

律「あーあ、また一段と泣いちゃって…」

澪「うるさいうるさいうるさい…」

律「はいはい…」

律「すっきりしたところでひとつお願いがあるんだけど」

澪「なに?」

律「雨に濡れて冷たくなっちゃったんだ、澪があっためてくれない?」

澪「えっ…えぇ?!」///

律「その…澪の体でさ…」

澪「い、いきなりそんな事言われても…恥ずかしいっていうか……」

律「こっちだって十分恥ずかしいっつーの!」///

澪「……」

律「はやく…」

澪「う、うん…」

澪「ありがと律…ありがと……」

ぎゅ…

律「大変だったんだぞー?業者さんに怒鳴られちゃった…」

澪「ごめんね…私の為に……」

なでなで…

律「あはは…あったかいや…」

澪「私もあったかい…」

律「澪…これからは私を抱き枕にしてくれてもいいよ?」

澪「えっ……えぇぇ?!」

律「本物の方がいいだろ…?恥ずかしいけどな」

澪「う…うん……」

律「これで澪も大事なものから卒業できるかな?」

澪「あっ、それは無理かも…」

律「なんで?!」

澪「律も律の抱き枕もうさちゃんもぜーんぶ大切だから」

律「……」

律「よくばりな奴だな」

澪「嫉妬…?」

律「違うよ…まっ、それもいっか♪」

澪「ふふ、ありがと律♪」

ぎゅぅぅ…


終わり



最終更新:2011年11月08日 08:29