律「我々は助かったぞー」

紬「ばんざーい♪」

唯「みんな、ありがとー。ありがとー」

澪「全員揃って、無事生還だ」

律「・・・梓を除いてはな」

澪「私は諦めないぞ。梓は絶対どこかで無事に過ごしてる。・・・絶対だっ」

紬「梓ちゃん、今頃何してるのかしら」

唯「日に焼けて、こげにゃんになってたりして」

律、澪、紬「あはは」


梓(先輩方、何がそんなにおかしいんですか)


唯「・・・あれ、あずにゃん。無事だったんだ」

梓「無事も何も。ここ、屋内プールですよ」

唯「たはは。ついつい、船が難破した後で盛り上がっちゃってね」

憂「お姉ちゃん、無事で良かったね」

唯「ありがとー。憂も、元気そうで何よりだよ」

憂「お姉ちゃん♪」

唯「憂♪」

純(これ、なんの会話?)

律「梓達も水泳だったのか」

梓「これでは、今日の部活もぐだぐだになりそうですね」

紬「それはそれで、また楽しいじゃない」

梓「楽しい、ですか」

紬「ええ。それに後の事を考えて、今の楽しさを我慢する必要は無いと思うのよね」

純「はー。ムギ先輩は良い事言うなー」

梓「私の先輩だからね」 ふふん

唯「そうやって先輩を自慢ちゃうあずにゃんは可愛いねー」 もふもふ

梓「や、止めて下さいよ-」

紬「うふふ♪」

和「何してるの、あなた達」

唯「あ、和ちゃん。プールサイドで足をちゃぷちゃぷさせるのって楽しいよね」

憂「和さんも、ここどうぞ」

和「ありがとう。・・・こう?」 ちゃぷちゃぷ

唯「はー♪」

憂「お姉ちゃん、幸せそうだね」

唯「ちゃぷちゃぷ、楽しいもん」

和「本当、唯はいつも幸せで良いわね」

唯「あー。和ちゃん、今ちょっと馬鹿にしたー」

和「そんな事無いわよ。ね、憂」

憂「ふふ♪」


   放課後、教室

律「・・・いかん、マジで眠い」

澪「目を閉じただけで眠れそうだ」

紬「今日の練習、どうする?梓ちゃんも疲れてるだろうし」

唯「中止にしようか、さすがに」

律「・・・甘っちょろい事言ってんじゃねーっ」 ばんっ

澪「で、その心は」

律「ちょっとは驚けよな」

紬「だってりっちゃん、そんな事で怒らないもの」

唯「りっちゃん、りっちゃん」

律「ちぇー」

澪(分かってる。みんな分かってる♪)

律「つまりさ。眠いしだるいし、今すぐ帰って布団に潜り込みたいよ。本当、すげー眠いんだよ。気を抜いたら溶けそうなくらい眠いんだよ」

澪「やっぱり帰るのか」

律「だーかーら。私達が、眠気ごときに負けてどうするのかって話さ」

紬「睡魔対私達。世紀の決戦ね」

唯「さっきまでスイマーだったしね」

唯、紬「あはは」

律「とりあえず、すいませんって言ってもらおうか」

澪「で、睡魔とどう戦うんだ」

律「言うまでも無いだろ」

澪「・・・なるほどな。みんな、部室に急ぐぞっ」 とたとたっ

律「この。負けるかっ」 とたとたっ

紬「私だってっ」 とたとた

和「唯も行かないの?」

唯「和ちゃんは眠くないかなと思ってね。この後、生徒会の活動があるんでしょ」

和「心配してくれてありがとう。私は大丈夫だから、唯も無理しないでね」

唯「ありがと。・・・やっぱり良いよね、学校って。色々大変だけど、その分やり甲斐があるって最近思うようになってきたよ」

和「唯がそんな事言うなんて、私も年をとる訳だわ」

唯「もう、ひどいよー」

和「ごめん、ごめん。それじゃ私も、生徒会室に行くわね」

唯「うん。途中まで、一緒に行こうよ」 

和「分かったから、そんなに引っ張らないで」 

唯「てへへー♪」 


   2年教室

純「あー。今日、ジャズ研休みでよかった」 ぐったり

梓「軽音部はどうかな」 ぐったり

憂「今日はお休みしたら?」

梓「・・・いや、一応顔だけは出さないと。先輩達、来てるかも知れないし」

純「あれだけ動いて今日練習してたら、マジ尊敬しちゃうかも」

梓「・・・してなくても、尊敬しちゃうけどね」

純「ん?梓ちゃん、何言った?」

梓「純の馬鹿ー」 じたばた

憂「ふふ♪」

   廊下

梓「どうして純も付いてくるのよ」

純「良いじゃない。ジャズ研は休みなんだし、梓も先輩達がいなければ帰るんでしょ」

梓「まあね」

憂「つまり純ちゃんは、梓ちゃんと一緒に帰りたいんだよね」

純「なっ」

梓「ふーん」 にやにや

純「憂の馬鹿ー」 じたばた

憂「ふふ♪」

   軽音部、部室前

ジャジャーン♪

梓「・・・嘘、練習してる」

純「嘘って何よ、嘘って」

梓「はは、冗談冗談。・・・もしかしてこれはテープの音源で、先輩達はどこかに隠れて私を見てるのかな」

純「なんのためによ。でも先輩達がいるのなら、私は帰ろうかな」

梓「遠慮しなくて良いって。純もたまには、顔を出しなよ」

純「・・・怖くない?」

梓「困った先輩はいるけど、怖い先輩なんて一人もいないよ」

憂「怖いのはむしろ、梓ちゃんだよね」

梓「うー、いー」

純「あはは」

   カチャ

梓「済みません、遅れました」

純、憂「お邪魔します」

律「おう、梓。ん?純ちゃんと憂ちゃんも一緒か」

純「今日、ジャズ研がお休みなので。・・・皆さん練習してますけど、眠くないんですか」

紬「がっつり眠いでーす」

純(何故ピースサイン)

澪「つまり私達は、音の戦士な訳さ」


純(澪先輩、眠いのかな)

梓(違うと思うよ、多分)


唯「今私達って、すごい眠いじゃない。だから演奏をして、眠気を吹き飛ばそうって訳」

梓「ああ、なるほど。それはちょっと面白そうですね」

律「ハードな演奏をすれば、眠気なんて吹き飛んでくぜ」

澪「新たな戦士も登場したしな。ニューエイジ、サウンドエンジェルだ」

律「・・・それははともかく、純ちゃん達も一緒にやろうぜ」

純「こ、光栄ですっ。サウンドエンジェル・ピュアベルとして、一所懸命頑張りますっ」

憂「えーと、私は」

澪「大丈夫。そこは、平沢姉妹の秘められたシスターズパワーが発動するから」

唯「憂は、オルガンお願いね。メロディだけで良いから」

梓(なんだろう、唯先輩がまともに感じる)

澪「ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪ぴゅあっぴゅあっ、ふわっふわっ♪」 

紬「それで、何を演奏する?」

律「夏だから、夏っぽいのにするか」

唯「ウサギとカメは?」

律「・・・夏っぽいか、それ?」

紬「でも、この学校っぽくはあるわよね」

純「ああ、手すり」

憂「うんうん」

梓「私は構いませんが」

澪「コード進行も簡単だし、良いんじゃないのか」

律「そうだな。それじゃウサギとカメを、思いっきり熱く演奏するぞっ」

唯、澪、紬、梓、純、憂「おーっ」


紬「もしもしカメよーカメさんよ-」

唯「カメさん頑張れーっ」 

澪「世界のうちで、お前程ー」 

律「負けんなー、ウサギーッ」 


純「なんだか、無闇に熱いね」 

梓「無闇に、意味も分かんないけどね」 

憂「でも、なんだか楽しいよ」 

純、梓「うんっ♪」

  5分後

純「・・・」 うつらうつら

梓「ちょっと、純」

律「純ちゃん寝てるのか?」

紬「今日はここでお開きにする?」

澪「私達も、さすがに眠いしな」

純「・・・ジャズ研、舐めんなーっ」 ぼぼーん

唯「あはっ。軽音部も負けないよー」 じゃじゃーん

律「おっし。私達も、本気出してくぞー」 

澪、紬「おーっ」


律「無茶苦茶眠いぜーっ」

紬「もう、今すぐ寝ちゃいそうーっ」

澪「帰ったら、すぐ寝るぞーっ」

唯「軽音部ふぁいとーっ」

純「ジャズ研最高ーっ」


梓「純、すごいな」

憂「私達も負けずに頑張ろうよ。・・・お姉ちゃーん♪」

唯「うーいー♪」

梓「あはっ。やってやるでーすっ」


   軽音部部室前

さわ子「あー、疲れた。お茶とお菓子は良いけど、ここまで上がってくるのが大変なのよね」

やってやるですーっ

さわ子「・・・なんだか、滅茶苦茶盛り上がってるじゃない」

ぎゅぃーん、ぎゅぎゅぎゅいーん

さわ子「・・・私も、ちょっと混ぜてもらおうかしら」

今日は夜通し演奏するぞー

さわ子「・・・ギター、持ってこようっと♪」 とたとたっ

   カチャ

さわ子「お前達、私が来るのを待っていたっ・・・」

しーん

さわ子「・・・もしかしてみんな、寝ちゃってる?」

和「ええ、さわこ先生」

さわ子「もう、せっかく演奏に混ぜてもらおうと思ったのに」

和「みんな張り切りすぎて、疲れちゃったみたいです。私も今来た所なんですけど」

さわ子「仕方ない。演奏は、また今度にするか。真鍋さん、みんなを起こしたら早く帰るのよ」

和「はい。お疲れ様でした」

さわ子「お疲れ様。あーあ。こんな事なら、メイクしてくるんじゃなかったわ」   ぱたん

和(それで、あの顔だったのか)


   夕方、商店街

唯「さわちゃんのメイク、私も見たかったなー」

和「唯も憂も、ぐっすり寝てたんだから仕方ないじゃない」

唯「たはは。・・・こんな時間になっても、まだ明るいね」

和「だって、夏だもの」

唯「みんなの影が、重なってるよ」

和「そうね」

憂「昔は3人で、良く一緒に家へ帰ったよね」

和「ええ。ついこの間みたいに思ってたけれど。なんだか、すごく懐かしく感じられるわ」

憂「お姉ちゃんは部活に頑張ってるし、和ちゃんは生徒会だし。小学校や中学校で分かれちゃったりした事もあるから」

和「・・・和ちゃん、か。憂、学校だとそう呼ばないわね」

憂「やっぱり上級生だし、生徒会長だし。そこはやっぱり、私も気を遣うよ」

唯「そかな。クラス委員長になっても生徒会長になっても、和ちゃんは和ちゃんだよ」

和「本当、唯は昔変わらないわね」

憂「だって、お姉ちゃんだもん」

和「そういう憂もね」

憂「え、そうかな?」

和「本当、あなた達姉妹は♪」

憂「・・・いつまでも、こうして一緒にいられるといいのにね」

和「そうね。でも・・・」

唯「大丈夫だよ。和ちゃん、憂」

和「どうして?」

唯「今こうして一緒にいられるって事は、みんな一緒にいたいって事だもん。だから私達は、ずっと一緒にいられるんだよ」

憂「お姉ちゃん♪」

唯「和ちゃん。今日はうちに、泊まりにおいでよ」

和「・・・そうね、たまには良いかも知れないわね」

唯「やった。和ちゃんと一緒のベッドで眠るなんて、本当に昔に戻ったみたい♪」

和「一緒のベッドなのは決定なの?」

唯「勿論です。憂が右、和ちゃんが左。私が真ん中ね」

和「全く、ちゃっかりしてるんだから」

憂「でもお姉ちゃんがベッドから落ちると大変だから、私はその方が安心だよ」

唯「憂ー♪」

憂「お姉ちゃん♪」

和「・・・やっぱりあなた達は、私が見守らないと駄目みたいね。・・・これからも、ずっと」



   終わり







最終更新:2011年11月08日 23:13