律「そういえばそうだったな・・・あれで時間ロスしたもんな」
梓「逆にいえば、保留にしてるクラブでも対応が普通だったならグルじゃなさそうです。」
律「つーことは、英語、園芸、珠算は安全ってことか」
梓「完全なグルじゃないだけで、根回しはされてるかもしれませんけど」
律「他に敵と組んでそうなところはあるのか・・・?」
梓「確信してるのは今日行ったところだけです。他はまだ検討中です」
律「そっか・・・というわけで明日は投票日の前日だ!ラストスパート頑張ってこう!」
投票まで あと2日
翌日 火曜 放課後
律「ついに明日か・・・」
澪「だな・・・」
唯「だねえ」
紬「そうね・・・」
澪「どっかのクラブ・・・行く?」
律「思ったんだけどさ・・・今日行っても逆に必死な感じで印象悪くなる気がするんだよね」
澪「そうか・・・」
唯「なんかみんな無気力だね・・・」
律「まあ大丈夫だろー・・・9票もあるんだから」
ジャズ研部長「ついに明日は投票日!」
純「ですねー・・・」
憂「ちゃんと勝てるんでしょうね?」
ジャズ研部長「万全よ。心配性ね憂ちゃんは・・・あれだけ説明してあげたのに」
憂「確実に軽音部の息の根を止めてほしいんです・・・お姉ちゃんの為に」
純「(軽音部の皆さん・・・ごめんなさい・・・)」
合唱部部長「ついに明日ですわね。」
部員「はい。」
合唱部部長「やりたくないこともやってきましたが、すべては音楽準備室の為。
明日ついに報われる日が来るのね・・・楽しみだわ」
梓「律先輩の言うとおりもはや不用意な接触は避けた方がいいでしょう。
結局どこが敵か確証をつかめませんでした」
澪「そうか。ようがないよ」
紬「今までよく頑張ってくれて、ありがとう、梓ちゃん」
梓「いえそんな・・・」
唯「あずにゃん~最高だよ~」
律「じゃあ、帰るとするか・・・」
澪「結局今日なんもしなかったな・・・」
律「今まで頑張ったんだ。今日はゆっくり休もうぜ。解散!」
梓「(先輩達こそ今まで頑張ってくれてありがとうございます。
私は最後の仕事をしなきゃね・・・)」
投票日
放課後
「「みなさんこんにちわ!ついに3クラブの音楽室をかけた戦いが、この講堂で行われます」」
「「我々放送部は今週からこの投票の特集を放送してきましたが、それが皆さんからご好評を得、こうして当日の様子を全校に中継することになりました!」」
「「お、ステージ上で動きがあるみたいですね。そろそろ始まるのでしょうか。」」
「「おや、あのメガネの生徒会さんは、文化系クラブ担当の
真鍋和さんです。今回も司会をつとめるそうです!」」
和「放送うるさいわね・・・本当なら許可したくなかったのに・・・」
和「それでは、文化系クラブ部長級会議、特別投票を開始します。」
律「いよいよか・・・」
澪「いよいよだな」
紬「いよいよね」
唯「ステージの上だと文化祭を思い出すね」
和「・・・各クラブの投票をお願いします。代表者の方は名前を呼ばれたら前にきて投票用紙に記入してください。」
梓「待ってください!」
和「・・・間に合ったのね。」
梓「はい」
律「梓!おまえどこ行ってたんだよ?」
梓「いまから説明しますよ・・・和先輩、マイク切って幕下ろしてもらえますか?」
和「ええ、生徒会として、会議で問題があったらしっかり対応するわ」
和「幕は下りたわよ」
梓「ありがとうございます」
ジャズ研部長「ちょっと!どういう事?往生際が悪いわよ」
合唱部「ちゃんと説明していただけるんでしょうね?」
純「梓・・・?」
澪「何するつもりなんだ?」
唯「あずにゃん・・・」
梓「生徒会に、今回行われた不正を訴えます」
ジャズ研「な・・・いきなり何のつもり?」
合唱部「私たちが不正行為をしてるとでも?」
梓「あなたたち、合唱部とジャズ研は最初から組んでますね?」
ジャズ研・合唱部「!」
ジャズ研「何を馬鹿な・・・」
梓「馬鹿なことはありません・・・今まで得てきた情報を分析すれば
自然とそう言う結論に結び付きます」
梓「この十日間・・・合唱部の動きが表だって全くみられませんでした。
吹奏楽部の次に人数が多いクラブなのに、他のクラブと接触した情報がありませんでした」
梓「でも、合唱部はあることに専念していたことがわかりました。」
合唱部「・・・」
梓「これを見てください」ピラッ
律「これは・・・なんだ?生徒会冊子追加購入費明細・・・」
梓「生徒会の予算公開の一環です。生徒会冊子というのは生徒会規約などが書かれた冊子です」
澪「それが合唱部となんの関係が?」
梓「冊子は入学当初に配りますが、たいていの生徒はなくすか家に置きっぱなしにします
だから生徒会は生徒会室の前に冊子を何冊か積んで自由に持って行けるようにしています。
生徒会冊子の追加購入は、この冊子が一気に減ったためと思われます。」
梓「ちなみに冊子を追加購入するのはここ数年ありませんでした。
普通は誰も冊子なんて持っていかないということです。普段生徒会規約なんて見る必要ありませんから。」
梓「そして、追加子購入費が明細に追加される前日、ある教室使用届が出ています。こちらは部活用じゃなく一般生徒用です。グループでなにかを発表するときなど、放課後も作業したい時に使います。個人情報で申請者の名前は伏せられていましたが、人数は15人と書かれていました。」
梓「そしてこちらは同じ日に出された部活用の短期教室使用届です。・・・吹奏楽部の」
梓「この申請書では、申請人数が普段の吹奏楽部の部員より少なく書かれていました」
梓「これは吹奏楽部の一年が、その日の部活を休み、冊子を何冊か手にいれ、生徒会規約を見ながらストライキの相談をしたと考えられます。言い忘れてましたがその日はスト前日です」
合唱部「あらそう。でもそれが私たちに何の関係があるって言うの?」
梓「ここまで言ってもわかりませんか?吹奏楽部の一年は11人です。申請の人数には四人足りません。そしてこれがこの日の合唱部の教室申請・・・」
合唱部「!!!」
梓「見事に申請人数が普段より4人少ないですね・・・」
梓「煽ったんですよね?合唱部の部員が吹奏楽部1年のストライキを・・・
そして前日には一緒に計画も考えた」
合唱部「仮にそうだとしても・・・なにか問題でもあるの?相談に乗ってげちゃダメなのかしら?」
梓「別に問題はありません。でも、他の部への接触はしてないのにこういうことは熱心にやるんだなと思ってまるで吹奏楽部を投票から離脱させることだけが役目みたいな・・」
合唱部「・・・そんなの」
ジャズ研「もういいよ」
合唱部「え?」
ジャズ研「もういいよ合唱部さん。今まで御苦労さま」
律「え?なんだどうしたんだ」
ジャズ研「そうよ。私らと合唱部は組んでたわ。というか私らが合唱部を操ってたみたいなもんか」
合唱部「・・・」
梓「言っちゃって良かったんですか?今まで私が言ったのは状況証拠ばかりですよ?」
ジャズ研「今までいろいろ黙ってきたんだからしゃべらせてよ・・・どっから話そうか?音楽室使用権を手に入れたら準備室は使わせてあげるって合唱部にもちかけたとこから?他の数クラブと組んだところから?」
梓「やっぱりあなた達は、根回しを一切行ってませんね。最初から数クラブ仲間がいたんですから。私の調査では書道部、料理部、将棋部、科学部、写真部が仲間ですね。どうですか?」
ジャズ研「すごーい!全部あってるわ!どうしてわかったの?」
梓「めんどくさいので割愛します。」
ジャズ研「そう・・・でもね、私たちが合唱部と組んでいようが、他の部と事前に結託してようが、生徒会規約には反さないのよ?つまり不正じゃないの」
梓「そうですか・・・でも、5クラブだけの仲間なのにずいぶん自信たっぷりですね
過半数は11ですよ?」
ジャズ研「いいのよ・・・5クラブもあれば軽音部には余裕で勝てるわ。あの部長会議に出てれば軽音部に投票する気はおきないしね。まああなた達が11クラブに根回しできるなら別ですけど?でも精々3ってとこでしょ・・・どう?私の予想もあってる?」
律・澪・紬・唯「全然違います」
ジャズ研「えっ」
ジャズ研「えっ?」
梓「だから全然違うって言ってるじゃないですか・・・あなたの予想の3倍はありますよ。
別に信じなくてもいいですが」
ジャズ研「うそ・・・だって、あなた達は演劇部と茶道部と華道部しか根回しできてないんでしょ?」
梓「そして茶道部と華道部はあなたの罠ですよね?」
ジャズ研「・・・知ってるの?」
梓「あなた方にしては賢い罠でしたね・・・わざわざ調べさせて合唱部が茶道部華道部に嫌われてると思わせるとは。」
ジャズ研「なんで罠だと」
梓「簡単なことです。行ったんですよ」
ジャズ研「えっ」
梓「だから行ったんですよ。あの日合唱部が借りた3階の教室に。」
ジャズ研「そ、それで何がわかるって言うの」
梓「あそこで練習しても和室に聞こえないってわかりました」
ジャズ研「だからなんでわかったの!?」
梓「歌いました。大声で」
梓「別に気付かれませんでした」
ジャズ研「なな・・・」
梓「パソコンとにらめっこして集めるだけじゃインテリジェンスは完成しません。
外に出て自分で裏付けをとってこそ確かな情報なんです。」
梓「私たちに2クラブ成功させることで、中途半端に安心させようとしたんですよね?
あなたたちは。」
ジャズ研「そうよ・・・それで実際に気が抜けて他のクラブへの根回しは失敗してるんでしょ・・?」
梓「まだ信じてないんですか?その自信はどこから来るんですか?」
ジャズ研「こっちには確かな情報源が・・・あ」
梓「・・・その情報源ってのは、この子のことですか?」
ガチャン
憂「どーもー・・・」
唯「あれ?憂どうしたの?」
ジャズ研「!!!」
純「!」
ジャズ研「え・・・うそ・・・まさか・・・」
梓「そのまさかです。憂にはずっと協力してもらってました」
純「えええ・・・じゃあお姉ちゃんを奪った軽音部を許さないってのは」
憂「もちろん演技だよー。純ちゃんごめんね?嘘ついちゃって」
純「めっちゃこわかったんですけど・・・」
憂「やだなー。私は軽音部には感謝してるんだから。軽音部のおかげで毎日お姉ちゃん楽しそうだもん」
ジャズ研「ものすごく鬼気迫る表情で話してたから信用したのに・・・演技だったとは・・・」
唯「憂、いつのまにあずにゃんに協力してたの?」
憂「みなさんが泊まりに来た日、一緒にお皿洗いしてるとき頼まれたんだよ」
梓「憂がジャズ研に渡した情報で、本当の情報は茶道部華道部のあたりまでです。それ以降はデタラメです。あなた達の罠を逆に利用して、最初だけ本当の情報を提供することで完全に信じてくれたみたいですね」
純「憂、2重スパイだったんだ・・・かっこいいかも」
律「なんで私たちにまで黙ってたんだよー!」
梓「すいません、私の計画の最重要事項だったので・・・すこしでも漏れるリスクを減らしました」
ジャズ研「どうやら・・・9クラブの投票約束を得たってのは本当みたいね・・・」
梓「ええ」
ジャス研「だったらこっちのものよ!あの会議で軽音部は何の実績もないって知られてる!
今合唱部が辞退すれば残りの7クラブは私たちに投票する!世論は私たちの味方よ!」
梓「・・・知ってますか?世論って報道であっさり動いちゃうんですよ。ねえムギ先輩」
紬「え?」
ジャズ研「え?」
梓「今までジャズ研が合唱部とつながったり、吹奏楽部のストライキを煽らせた証拠を憂にもらって、昨日放送部に渡してきました。どれも生徒会規約上は合法ですが、正義感の強い放送部は投票前にその特集を放送することを約束してくれました。わたしはその放送のテープの完成を待ってからこっちに来たんです。幕が上がって会議が再開すればすぐに全校に放送されるでしょうね」
梓「あなた方の味方である世論がどう動くか見ものですね」
ジャズ研「あ・・・あ・・・」
ジャズ研「うああああ!くそ!くそおおおおおお!」
梓「もうあなた方の負けですよ・・・放送はまだ止められます。
みじめな思いをする前に」
ギュウ
唯「あずにゃん・・・もういいよ」
梓「ゆ、唯先輩!?いきなり抱きつかないでください!」
唯「あずにゃん、私たちの知らないところでがんばってくれたんだね?ありがとう」
唯「でもね、もう力抜いていいんだよ?」ナデナデ
梓「・・・」
唯「ジャズ研さん。」
ジャズ研「・・・え・・・?」
唯「演奏しませんか?せっかく講堂なんだし。合唱部さんも」
合唱部「・・・・」
澪「唯・・・」
唯「澪ちゃん、私あの時文芸部さんに言いながら思ったんだ。私は今楽しんでるのかなって・・・確かにみんなでがんばって投票を頼んだりしたのは少し楽しかったけど・・・でも、
一番楽しいのはみんなで演奏してる時だよ。やっぱり、ジャズ研さんもそうですよね?」
ジャズ研「・・・・」
唯「だから演奏しましょう!みんな楽しく演奏して、あとは自由に投票してもらえれば・・・
楽しめたんならだれも悔いは残らないよね?」
唯「和ちゃん・・・いいかな?」
和「唯、あなたには負けるわ・・・いいわ。やっちゃって!あとは私がどうにでもするから」
唯「ありがとう和ちゃん!じゃあ今から準備だね!ほら、ジャズ研さんも」
ジャズ研「ふふふ、あなた・・・大した人ね。いいわ、ここ最近嫌なことしか考えてなかったし、久しぶりに楽しもうか・・・純」
純「あ・・・は、はい!」
合唱部「唯さん・・・ありがとう。感謝しますわ。私は自分の力で何かすることを忘れてたみたい・・・」
唯「おれいなんていいですよ~私は楽しみたいだけですから、えへへ」
梓「唯先輩・・・やっぱり唯先輩はすごいです」
唯「そんなことないよ!あずにゃんのが全然すごいよ!あんな難しいこと私わからないもん」
紬「唯ちゃんも梓ちゃんもみんなすごいわ♪」
律「梓はほんとかっこ良かったよ!副部長は梓の方がいいかな?」
澪「ななっ・・・いいよ梓に譲るよ」
律「冗談だって~!すねるなよ澪~」
唯「良かった・・・いつもの軽音部にもどって来た感じだ・・・」
憂「おねえちゃん・・・」ポロポロ
翌日
唯「ふうー寒いな~。」
唯「でも昨日の演奏みんな楽しめてよかったな・・・ジャズ研さんも合唱部さんも楽しそうだったし」
唯「昨日、あのあと投票結果が出てるんだよね、どうなったんだろ」
和「唯~!」
唯「あ、和ちゃんおはよー!」
和「投票結果知りたいよね?」
唯「うん。でも、部室がなくてもみんながいれば楽しいってわかったからどんな結果でも平気だよ」
和「くすっ」
唯「?」
和「いい
ニュースと、どうでもいいニュース、どっち聞きたい?」
お わ り
最終更新:2010年01月25日 22:37