紬「さすが、文化祭とは違うなー…」
唯「そーだねー」
唯(小さい頃、憂と和ちゃんと来たなぁ…)
唯(和ちゃん、一番大丈夫そうな顔してたけど繋いだ手は震えてて…)クス
唯(……和ちゃん……)
紬「…唯ちゃん?」
唯「あ、うん!何?」
紬「ボーっとしてたけど、疲れた?」
唯「う、ううん!だいじょぶだよ~」
紬「…そう」
唯「……」
紬「……」
お化け「……」
…
唯「もう暗くなってきたね…」
紬「次で最後かな」
唯「最後はやっぱり、アレかな!」
唯「観覧車!」
紬「キレイ……」
唯「だんだん高くなってきたね」
紬「唯ちゃん、今日はありがとう。とっても楽しかった!」
唯「いえいえ、こちらこそ~」
唯(てっぺんに来たらキス……ってベタかな?)
紬「…いえ、正しく言い直すと…」
紬「“今日まで”ありがとう。」
唯「え…?」
唯「ムギちゃん……?」
紬「ねぇ、唯ちゃん」
唯(もうすぐ)
紬「私たち……」
唯(もうすぐてっぺんに…)
紬「別れましょう?」
唯(てっぺんで…キ…ス…)
紬「唯ちゃんの心の中には、他の人がいるんじゃない?」
唯「それは…っ」
紬「私じゃない、誰か。」
唯「……」
紬「お見通しよ。…多分、みんな気づいてたわ」
紬「唯ちゃんは最近、寂しそうに笑うって。」
唯「ちがう……」
紬「嘘」
唯「ちがう……そんな…そんなこと……」
紬「うそ」
唯「わ、私は…ムギちゃんが…っ」
紬「唯ちゃん!」
唯「!」ビクッ
唯「うそ…なんか…じゃ…」
紬「じゃあ、唯ちゃん。」
紬「なんで涙を流しているの?」
唯「え……うそ…なんで…なん…っ」
紬「私はね、唯ちゃん。唯ちゃんが大好きよ。
りっちゃんも、澪ちゃんも、梓ちゃんも、さわ子先生も……」
紬「だからね。そんな寂しそうな顔はしないで…?」
唯「………」
紬「ここからはあなたの問題。一人で解決…できる?」
唯「…………」
唯「できる……解決…する…!」
紬「良かった…。」
観覧車が到着した。
ムギちゃんをチラリと見ると、私に優しく微笑みを浮かべた。
「いってらっしゃい」
「…いってきます」
一つ頷いて、走り出す。
彼女の元へ。
ありがとうムギちゃん。そしてごめんなさい。
やっぱり私は、彼女じゃないと駄目みたい。
息切れなんて、してない。疲れてなんかいない。
彼女の元へ、ただ走る。
「いいのか?」
唯ちゃんの後ろ姿を見送る。
ふふ、次に会う時は久しぶりに笑顔が見れるかな。
「…りっちゃん…澪ちゃん…」
後ろからかけられた声に振り返ると、親友が二人もいた。
「二人はデート中?」
「な、違…ッ、いや違わない?けど…」
この二人はまだお互いの気持ちに気が付いていないの…。
見ていて可愛らしいけれど、もどかしさも感じる。
「…コホン。で、ムギ。」
「はい」
「良いのか?行かせちゃって」
「…うん」
これで、みんなが笑顔になるから。みんなの笑顔が私の幸せだから。
「ちょっともったいないな、とか思ってない?」
「何を言っているの、りっちゃんったら」
優しいみんな。私の親友たち。
「私はみんなが大好きすぎて、一人なんて選べない。
…欲張り、なの」
だから。
みんなが幸せなら、それが一番嬉しいの。
ぎゅう、と二人が抱きしめてくれる。
暖かさがとても、心地よかった。
エピローグ
梓「そんなことがあったんだ…」
憂「…うん」
梓「そんなこと、誰も教えてくれなかったよー」
憂「ご、ごめんね梓ちゃん!色々、ゴチャゴチャしちゃって…」
梓「良いけど…今日のデートで何か奢ってね」
憂「うん、もちろん!」
梓「で…その後、唯先輩と…和先輩?はどうしたの?」
憂「ちゃんと仲直りできたみたい」
梓「そっか…」
憂「帰ってきたらお姉ちゃん、財布の中身がぺったんこになってて…」
梓「…まぁ、逆にそれくらいで済んで良かったんじゃない?」
憂「それはそうなんだけどね…」
梓「今は二人は付き合ってるの?」
憂「ううん、お姉ちゃんは頑張ってアタックしてるんだけど…なかなか手強いみたい」クス
梓「へぇ!あの唯先輩がねー」クス
梓「いつも通り」
梓「唯先輩は練習サボってお菓子食べてるし」
梓「律先輩も唯先輩とダラダラしてるし」
梓「それを澪先輩が叱って、ムギ先輩がニコニコしながら見てる…って感じ」
憂「律さんと澪さんは…」
梓「あ、そうそう。なんか二人してたまにモジモジしたり見つめあったりして…」
憂「ついに付き合い始めた?」
梓「いや、お互い気づいてない…」
憂「…あはは…」
梓「あ、あとね!最近おかしいのは…」
憂「うんうん」
梓「さわ子先生が澪先輩じゃなくてムギ先輩を弄ることが多くなったかも」
憂「へぇ…」
梓「おかげで私は最近平和だな~」
憂「ははは!平和って…」
唯「あれー?憂とあずにゃんだー!」
憂「お姉ちゃん!?」
和「偶然ね」
梓「こんにちは」
唯「なになにー?デート中だった!?」
憂「え!?あ…うん」コク
梓「唯先輩たちは?」
唯「もちろん!デート中で」
和「今度のクリスマス会のプレゼント買いに行ってたのよ」
唯「えー…デート…」
和「はいはいそうね」
唯「むぅ…」
和「ほら、むくれないで。ね?」ナデナデ
唯「…えへへ」
梓(心配する必要はないみたいだね)
憂(うん)
唯「見てみてー!さっきプレゼント買って福引き券貰ったんだー」
梓「あ、私たちも持ってます」
唯「一緒に行こーよ!」
憂「うん!」
唯「ごーごー!!」ダッ
和「あ、ちょっと!待ちなさい、唯!」
唯先輩たちはどんなプレゼントを買ったんだろう。
クリスマス会、楽しみだな。
梓「待ってくださいよ!唯先輩ーっ」
でもそれはまた別のお話…。
END
最終更新:2010年01月25日 23:07