――翌日・大会会場――

観客「――」ざわざわざわ

純「すっごい人だねー!」

梓「普通なら東京でやる全国大会が、珍しく京都でやるからね。京都勢集結って感じだよ」

憂「私も出てみたかったなー」

梓「憂なら優勝もありえるよ」

マゴ「あ、梓ちゃんたちじゃん!」

梓「こんにちは。今日はがんばってください!」

純「ときどさんは?」

マゴ「いや、なんかあいつどこか行っちまってさ。俺もわからん」

憂「マゴさん、Tシャツかっこいいですね!」

マゴ「サンキュ。これがMAD CATZの2D神仕様よ!」

ももち「Tシャツのかっこよさなら、俺でしょ」

金デヴ「俺たちのもかっこいいよ!」

純「皆さんかっこいいですよ!」

RF「そろそろ選手集合かかるみたいっすよ。ところで、集合場所はどこっすか?」

金デヴ「あっちだよ。行こうか」

梓「なんか、すごいね」

憂「うん。去年は、あの中にプロゲーマーはいなかったんだもんね」

純「そうなの?」

梓「そうだよ。ここ一年、というよりも半年ですごく増えたよ。プロゲーマーは」

憂「そして、その礎を築いたのは――」

純「梅原先生、なんだね。すごいや」

観客A「おい、あの子U&Iじゃないか?」

観客B「おお! マジだよ! 今日出ないのかな」

観客C「ていうか、女子高生だったのか。連れの二人もかわええ……」

観客D「ねえ、三人とも格ゲーするの?」

梓「え? いや、その……」

梓(まずい。声かけられちゃったよ……)

観客D「わからないことがあったら言ってね。デュフ、解説するから」

かげっち「はーい! それではぁ! スパ4AE全国大会を始めまーす! みんなー声出していくぞー!」

観客「……」

梓「……」

純「ちょっと、拍手とかしないの?」

憂「いや、ちょっと……ね」

梓「トーナメントの一発勝負かぁ。これは殆ど運なのかな」

純「そうなんだ。なんで?」

梓「圧倒的に力が上だったら話しは別だよ。でも、力がある程度拮抗してる人同士の対戦で、一発勝負
なんて、運の勝負に近いよ」

憂「最低でも2試合先取がいいよね。一発勝負じゃあ、実力者が優勝しないで、単純に決まるのは勝者だよ」

純「なるほどね。でも、優勝した人はやっぱりすごいよね」

梓「それは間違いないよ。一発勝負のトーナメントで一敗もしないで勝ち抜いたんだから、それはものすご
いよ」

憂「うんうん」

観客D(しゃべることがない……)

純「一回戦は……と」

憂「あらら……」

梓「プロ同士当たることはないみたいだけど、一回戦からすごい組み合わせがあるね」

憂「ネモさん対あくあさんのヤン対決、ふーどさん対板ザンさんのバーチャ勢対決。一回戦から面白いね」

純「すごいの?」

憂「そりゃあすごいね。ほら、みんなその二試合に注目してる」

梓「憂はどう見る?」

憂「やっぱりネモさんとふーどさんなのかな……ネモさんはヤンの開拓者だしふーどさんは今一番ノッてる
人だしね」

梓「私は逆かな。あくあさんと板ザンさんもかなりいけると思うよ」

観客D「あ、そうだ。このあと食事とかどう?」

梓「けっこうです」

観客D「は、はい」

観客「あいつおちんぽ勢かよ……晒しとくか」

純「みんなすごいなー。キャラがすごいかっこよく動いてるー」

憂「今日は32人全員が最強のプレイヤーっていってもいいレベルだからね。わからない人でも見てて面白いよ」

かげっち「さあ! しっかりグラップとっていくぅ! ナイスガードォ!」

純「あのさぁ、あの実況の人」

梓「静かにして」

かげっち「ES烈火ぶっこんでいくぅ! おぉ! ナイスガードォ! しかしぃ! うりょもおしゃれコンボォ!」

純「同じことしか言わな――」

憂「黙って」

純「ご、ごめんなさい!」

梓「実況についてコメントはしないで」

純「う、うん……」

かげっち「ナイスガード! ナイスガード! こちらもナイスガード!」

憂「やっぱり、ベスト8は順当だね」

梓「そうだね。優勝候補がそのまま上がってる……」

純「えと、ときどさん、うりょさん、ネモさん、かずのこさん、金デヴさん、RFさん、ももちさん、ふーどさんだね」

憂「マゴさんは?」

梓「体力負けてるのに何故か後ろに下がって、タイムアップで負けた……マゴさん……」

憂「ところで、今何時?」

梓「え……? あ! もう時間ないよ!」

純「ここまで見たのに?」

梓「うーん。しょうがないよ。帰ろう。結果はあとで、ね」

純「ざんねーん」

憂「開始が1時間押さなかったら、最後まで見られたのにね」

梓「格ゲーの大会とかって、こうやって遅れるのが当たり前なんだよ」

純「それっていいの? こんなに人が集まってるのに、時間通りできないなんて」

梓「そうなんだよ。私は、そこを直さないと格ゲーは流行らないと思うんだ。興業としても時間通り開始でき
ないのはすごいマイナスだよ」

憂「しっかり準備とリハーサルしてほしいよね」

純「むー……」

憂「純ちゃん、格ゲーに興味出てきた?」

純「――うん。なんか、ただのゲームじゃないんだなーって思うよ」

梓「だね。それじゃあ、ちょっと急ごうか。今日の旅館はどんなところかなー」ルンルン

観客「とおおおおおおおおおおきどおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」





最終更新:2011年11月16日 00:32