桜ヶ丘高校軽音部は一度、廃部寸前にまで陥った

原因は単に部員全員が卒業したという人数不足

だが当時新入生であった田井中律は幼馴染である秋山澪を巻き込み、
持ち前の明るさとガッツでどうにか軽音部を立ち上げようと試みる

そこに何とタイムリーにも同学年の琴吹紬平沢唯が加入

翌年には更なるメンバー中野梓も加わり、超新星五人による
桜ヶ丘高校軽音ライフがスタートした

結成から早二年
部室では今日も元気に活動に励み、精を出していた

シャンシャンシャンシャン

ピープーピープー

うんたん うんたん

ジャコジャコジャコジャコ


唯「キッボッキッボッ」

澪「マーウエンジ」

律「シ、ラ、シ、ラ」

唯澪律「かがやくキーリマンジャロー」


パチパチ パチパチ

さわ子「ブラボーブラボー」

唯「さわ子先生」

さわ子「なあに唯ちゃん」

唯「言われた通り二年間続けてきましたけどホントにこれが軽音楽なんですか」

さわ子「軽い音楽って書くしきっとこんな感じで合ってるわよ」

律「今さらなんだけど私も薄々思ってたんだよね」

澪「言うタイミングを逃してたっていうか」

紬「もし間違ってたとしたら私たちの二年間って一体」

さわ子「何よ私だけに責任押し付ける気?そもそもどうしてりっちゃんは何の知識もないのに
復興させようと思ったのよ」

律「いやあ…軽音楽って意味は知らなかったけど響きがナウいなあって思って」

澪「先生は前に居た軽音部員のことは知らないんですか」

さわ子「あの年はあなたたちがこの学校に入学したのと同じように
私も教師になりたてだったから何も知らなかったわ」

唯「何だか私この二年間を振り返ると怖くなってきたよ」

律「わたしも」

紬「・・・とりあえず休憩しよっか」



こんにちは
平沢唯といいます
今年で高校三年生になりました
軽音部に所属していて担当はカスタネットです

律「ムギー今日のおやつはー?なんて」

この子は田井中律ちゃん
部長を務めており、元気いっぱいのパワフルガール
担当はタンバリンです

澪「こら律、ムギは無償で持ってきてくれてるんだぞ
当たり前だと思って…」

律「感謝の気持ちはいつだって忘れてないよありがとうなームギ」

背が高く美人さんなのが秋山澪ちゃん
りっちゃんとは幼馴染だそうでとても仲がいいです
担当はギロです

紬「ふふ、今日のおやつは酢イカでーす」

律「すいか?」

紬「“酢”イカよりっちゃん」

律「酸イカかあ…酢イカねえ・・・」

澪「なんで酢イカなんだ?」

紬「この前りっちゃんと駄菓子屋さんに行ったとき食べたんだけど
とってもおいしくて気に入っちゃったの」

おっとりふわふわしてるのが琴吹紬ちゃん
セレブリティーでブルジョワなお嬢様です
担当は鍵盤ハーモニカです

唯「駄菓子屋ってもしかして…りっちゃんとみ婆の店いったの!?」

律「そうだけど」

澪「律も人が悪いなあ」

唯「また痰吐かれたでしょ」

律「それがな、ババアが偉くムギのこと気に入ってさ
お菓子半額にもしてくれたんだぜ」

紬「いっぱい買っちゃった♪」

唯「嘘だぁ」

澪「あのババアが人を好きになるなんてありえない」

律「ホントだって、今度ムギ連れて行ってみるか?」

澪「よーし」

唯「嘘だったらとみ婆とツイスターゲ-ムね」

律「えっ」

さわ子「ムギちゃん酢イカ早く食べましょ」

紬「はーい」

唯「まってムギちゃん、その酢イカは普通のスーパーとかで買ったやつだよね?」

紬「ええ」

唯「よかった」

澪「ババアの店のはヤバイよな」

唯「かじると糸引くからね」

律「あの、次も必ず安くしてくれるとは限らないし…」

唯「ばば店ではよくあること」

澪「んだんだ」

紬「んんっ・・・」グググッ

紬「ふっ」パカッ

唯澪律さわ「わー」パチパチ

紬「どーぞ召し上がれー♪」

唯澪律さわ「いただきマース」

もぐもぐ

もぐもぐ

ドア「ガチャ」

梓「ごめんなさい日直でして日誌書いてたら遅くなりおええええええええええええええええええええええええええええええ」

律「よお梓」

梓「何ですかこの鼻につく芳醇な酸っぱい香りは!」

唯「今日のおやつは酢イカなんだよあずにゃん」

梓「なーるほど」

紬「梓ちゃんもどうぞ」

梓「いただきましょう」

この小さくて可愛いのが後輩の中野梓ちゃん
ねこ耳がとっても似合うのであだ名はあずにゃん
霊的なことが大好きで担当はトライアングルです

さわ子「りっちゃん麦茶とってきてくれないかしら」

律「何で私なんだよ」

さわ子「部長でしょ?ほら頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

唯「頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

澪「頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

紬「頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

梓「頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

さわ唯澪紬梓「頑張れ部長っ♪頑張れ部長っ♪」

律「っち」ガタッ

さわ梓「フウウウウウウウゥゥ」

唯「りッちゃん大好き」

律「うるせー」

担任であり軽音楽部の顧問でもある山中さわ子先生です
つくねと砂肝とクリアアサヒがあれば生き続ける24歳
冬季はムギちゃんがおいしい紅茶を持ってきてくれますが、
夏場は先生が麦茶を持ってきてくれています

タダ同然で手に入る極秘のルートを発見したと言っていましたが
恐らく職員用のを無断で持ち込んでます

冷蔵庫「ガチャwwwww」

律「あー誰だよ一人だけコーラとか買った奴」

唯「私じゃないよ」

さわ子「私も違うわ」

梓「澪先輩かムギ先輩じゃないですか?○○はコーラ好きって言いますし」

澪「のこったのこった」ペチペチ

紬「どすこいどすこい」ペチペチ

梓「痛い痛い!ごめんなさい冗談ですって」

簡易型の小さい冷蔵庫は部費で買いました
私たちが授業を受けている間も麦茶をキンキンに冷やしていてくれます

律「麦茶到着」ドンッ

さわ子「コップは?」

律「麦茶を持ってこいとは言われた、が
コップを持ってこいといわれた覚えはない」

さわ子「ちょっと」

律「私は行ったからな」


澪「はい」ガチャ

澪「私って副部長だったのか」

唯「ありがとう澪ちゃん」

律「サンキュ」

澪「あ?」

律「?サンキュって言ったんだけど」

澪「ああそっちか
うん、どういたしまして」

紬「?」

こぽこぽ

こぽこぽ

梓「ズズッ」

さわ子「ぐびぐび」

律「ん?」

律「昨日作ったの誰だ」

唯「私だよ!」

律「へたくそ」

澪「何かしょっぱいな」

梓「飲めたもんじゃねーです!」ゲホゲホ

唯「普通に作ったんだよ?そんなはず」ズズッ

唯「不味い」

梓「唯先輩の作る麦茶が一番まじーですよ!」


ガラッ

和「お邪魔しおえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

澪「やあ和」

和「この部屋臭っさ!凄い酸っぱいんだけど」

唯「酢イカ開けてるから」

和「なるほど」

紬「和ちゃんも一本どう?」

和「いただくわ」

※さわちゃんは帰りました

律「麦茶飲むか?」

和「飲み物は自分のがあるからいらないわ」

冷蔵庫「ガチャwww」

和「冷えてる冷えてる」

律「お前のかよ」

和「ごっきゅごっきゅ」

和「ふう、生き返った」

律「勝手に使いやがって」

和「いいじゃない、冷蔵庫の設置許可出してあげたでしょ」

十年以上親友を続ける私の幼馴染、真鍋和ちゃんです
たまにホラを吹くので信頼はあまりありませんが
人望が厚く知的でメガネを掛けているので生徒会長です

和「それにしても暑いし酸っぱいし何なのよこの部屋」パタパタ

和「扇風機つけなさいよ」

梓「故障中です」

和「糞扇風機ねまったく」

律「お前が羽でフリスビーして遊ぶからだろ」

三日前和『のどカッター!!』ひゅんひゅん

和「じゃあクーラーは?点いてる?」

紬「スイッチは入れてるけど節電中だから弱に設定してるの」

和「暑いわけよリモコン貸しなさい」

pppppppppppp

和「マキシマム」ブオーーー

梓「ふおおおおおお」

唯「ちょっと和ちゃん節電中だって言ってるじゃん」

和「ストップ温暖化とか今さら遅いのよ
東京タワーの電力に比べればエアコンの一台くらいどうってことないわ」

澪「こういうのは一人ひとりの心がけが大事なんだって」

和「一般ピーポーの私たちが頑張ったって限度なんか目の先よ
いずれ底を尽きるもの、廃れる定めと分かっているなら使った者勝ち」

和「大体東京タワーなんてあの時モスラに破壊してもらえばよかったのよ」

pppppppppppp

エアコン「凍てつく波動」ゴゴオーーー

和梓律「うひょーwwwwwwwww」

澪「まあ確かに涼しいな」

唯「私…クーラー苦手・・・」ふらふら

紬「唯ちゃん大丈夫!?」

唯「うう」

和「ムギに抱きついてなさい、体温高いんでしょ」

唯「ムギちゃんぎゅー…」

紬「むぎゅむぎゅ」ムギュムギュ

唯「あうぅ、一家に一台ムギちゃん湯たんぽ
聖母マリアの慈愛のベールに包まれんティーノ」あったかあったか

律梓「一気!一気!一気!一気!」ドンドコドンドコ

和「ぐがごぐグガゴグ」


和「痛いよお…ポンポン痛いよお」

澪「クーラー全快にしてコーラがぶ飲みすればそうなるだろ」

和「ムギ、私にもぽかぽかして…」

唯「ふーんだ、人の言うこと聞かないからそうなるんだよ
残念だけどムギちゃんは今私と

和「どけ」ドンッ

唯「ぎゃひい」ドシン

和「和ーいふかふかだあ」

紬「もう・・・」

唯「わあああああああ横取りされたああああああああああああ」

澪「よしよし」

律「ちっちっちっち」バルチッチ

梓「2」

紬「とりあえずクーラーは元の温度に戻すね」pppp

和「これは長年の勘からして下痢ねトイレ行ってくるわ」

唯「戻ってくんなばーか」

和「うるせえ黙れ」

バタン

澪(本当に親友なのかよ)


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最終更新:2011年11月17日 23:03