唯「うぅぅ、めっきり寒くなったねぇ」
律「おばさんかよ、お前は」
唯「だってぇ」
澪「でも確かに、急に気温下がったよな」
紬「熱いお茶で温まりたい季節よね」
律「いや、寒い季節と言えばあれだっ」
唯「あれ?」
律「鍋しかないだろっ」
唯「鍋かぁ、ぬっくぬくだねー」
澪「冬の料理の定番だからな」
紬「あったか♪あったか♪」
律「そして鍋の王道と言えば・・・」
唯「王道といえばっ?」
澪「普通はおでんとか、湯豆腐とかじゃないか?」
唯「澪ちゃん、湯豆腐とか渋~い♪」
澪「いや、渋くはないだろ」
律「甘いっ!甘いぞ、みんな!」
紬「なにが甘いの?」
律「鍋の王道と言えば、闇鍋だろっ!」
澪「どうしてそうなるっ!」
唯「やみなべぇ?」
律「あ・・・あれ?闇鍋ってポピュラーじゃないの?」
澪「急速に自信をなくしてるな」
梓「遅くなりましたー」
律「おほー!いいところにっ」
梓「な、なんですか一体」
律「梓はもちろん闇鍋って知ってるよな!」
梓「やみ・・・なべ?」
律「あっれぇ?梓ちゅあん知らないのぉ?」
梓「え・・・いえ、その」
律「まさか知らないなんてねぇ」
梓「や、やみなべくらい知ってるです!」
唯(あ、意地張った)
澪(意地張ったな)
紬「本当に知ってるの?」
梓「うぅ」
律「知ってるって!だってポピュラーなんだしっ」
澪「梓が困ってるとこに、つけ込んでるだけだろっ」ポカッ
律「はぃ、スイマセン」
唯「なんだぁ、ポピュラーじゃないじゃん」
澪「梓も、いちいち挑発に乗らない!」
梓「あぅ、スイマセン・・・」
紬「それで、やみなべってどんなものなの?」
律「闇鍋っていうのは、暗闇の闇に鍋って書いて、それは由緒ある・・・」
澪「また叩かれたいのか?」
唯「嘘は良くないよっ、律っちゃん!」
律「はぃ、スイマセン」
梓「澪先輩は知ってるんですか?」
澪「んー知ってるっていうか、実際にやったことはないんだけどね」
唯「ま・・・まさか、それは伝説の鍋っ!?」
紬「おぉー!伝説の?」
澪「いや、全然違うから」
梓「違うんですか」ガクッ
律「簡単に言うとだな、えっと、んーと、うー、あれ?」
澪「お前も分かってないんかいっ」
唯「えー?律っちゃん知らないで言ったのー?」
梓「さっき、知らなきゃおかしいくらいの勢いだったのに・・・」
紬「こうなったら、澪ちゃんだけが頼りね!」
澪「んーと、鍋に色々な具材を入れて」
澪「目隠ししたり部屋を暗くしたりして、それが何だか分からないようにして食べるんだ」
梓「目隠しして食べるなんて変わってるです」
紬「なんだか危ない気がするけど」
律「まー、ゲームみたいなもんだから」
唯「ゲームぅ?」
澪「何を食べてるか、当てたりするんだよ」
律「普通、鍋に入れない食材を入れちゃったりなっ」
梓「度胸試しみたいですね・・・」
紬「なんか、すっごく面白そう♪」
唯「おぉ!ムギちゃんの目が輝いてるっ」
律「だろだろ?一度はやってみたいなーって思ってたんだよ」
澪「待て待て、なんだこのやる方向に傾いてる流れは」
梓「危険な香りがしますね」
唯「だって、ゲームなんでしょ?」
紬「問題ないない♪」
律「んー!みんな話が分かるねーっ」
澪「いやいや、全然問題だから」
唯「こうなったら多数決だよっ、律っちゃん隊員!」
梓「なんか、もう決まっちゃってる気がするのは、気のせいですか?」
律「やってみなければわかるまいっ」
澪「いや、火を見るよりあきらかって、多分こういうことを言うんだぞ」
律「やりたい人っ」
唯「はいっ!」
紬「やりたいでーす♪」
律「ふっふふ、どうやら3対2のようだね」
唯「予想に反して、僅差だったねっ」
梓「5人しかいなくて僅差もなにもないですっ!」
律「少数派の意見も聞いてあげたいが、現実は無情なのだよっ」
唯「おぉー!律っちゃん、頭良さそうにみえるよっ」
紬「さすが部長♪」
澪「あんまりおだてない方がいいぞー」
梓「嫌な予感がぷんぷんするです」
律「とゆー訳で、もう決定には逆らえませーん」
唯「闇鍋ゲーム、決定だね♪」
紬「やったー!」
澪「すでに闇鍋がゲームって、悪い方向にしか向かってない気がする」
梓「あ、なんか熱っぽいので、今回は参加でき・・・」
唯「あっずにゃぁん、お熱測ってあげようかー?」
梓「ごめんなさい、嘘でした」
律「それで、場所・・・」
唯「いいよー」
澪「即決にもほどがあるだろっ」
梓「・・・今回は、ご両親どこに・・・?」
唯「聞いたけど、忘れちゃったぁ」
紬「ご両親が仲がいいってことは、いいことよねー」
澪「・・・もう、つっこむのはよそう」
梓「・・・賛成です」
澪「まぁ一応、ある程度ルール決めとかないといけないんじゃないか?」
唯「ルールぅ?」
律「そんなものは必要ないっ」
澪「お前の暴走を防ぐためだろっ」ポカッ
律「ナニモ、ナグラナクテモ・・・」
梓「なんでルールが必要なんですか?」
澪「カラシとかワサビがたっぷり入った具材を食べさせられたい?」
梓「ひぃぃっ」
唯「それはただの罰ゲームだよぉぉぉ」
紬「お口が大噴火しちゃう」
律(お、お口が大噴火って・・・)
梓「確かにルールは必要ですね」
唯「じゃないと、阿鼻叫喚になっちゃうねっ」
律「唯、難しい言葉知ってんなー」
唯「この前、TVのクイズ番組で覚えたんだよっ」
澪「授業じゃないのか・・・」
紬「それで、ルールってどういうのにするの?」
澪「なんでもかんでも具材を鍋に入れたら、とんでもないことになると思うんだよね」
唯「味が混ざっちゃったり?」
律「それが闇鍋の醍醐味なんじゃないのかっ?」
澪「最初っから食べられないもの作ってどうする」
梓「それじゃ具材を捨ててるようなもんですね」
紬「せっかくお鍋やるんだから、ちゃんと食べられなきゃね」
澪「まぁ、とりあえずはベースの味かな」
安価
1 味噌
2 キムチ
3 醤油とみりん
4 とんこつ
5
その他
※2
唯「ここは熱っつく、キムチ味がいいよっ!」
律「鍋ってみんな熱いだろー」
澪「でもいいんじゃないか?キムチ味だと、味をごまかせるしな」
梓「味をごまかすこと前提なんですね・・・」
紬「それじゃ具材ね」
律「どういうルールにするんだー?」
澪「まず、食べられるもの」
唯「あはは、当たりまえだよー」
澪「いや、言っておかないと、調子に乗る人間をわたしは知ってる」
律「あっはー、誰のことかなー?」
梓「本人が一番分かってるみたいですね・・・」
紬「もー、ちゃんとお鍋できなくなるのは禁止!」
澪「あと暗闇とか目隠しとか危ないから、それしなくても具材が隠れるといいかもね」
律「ええっ?見えないから楽しいんじゃないのっ?」
梓「暗闇だと危険な感じはしますね」
紬「目隠しも、お箸を口に持っていく時とか危ないかも」
唯「でも隠す方法って何かあるのぉ?」
澪「おでんとかに入れる巾着ってあるじゃない?あれに入れるのはどうかな」
紬「巾着?」
唯「具材を袋に包むってことだよ」
紬「そういうのがあるんだぁ」
律「なんか、安全な方向に話を持ってかれてる気がするんだけどなー」
澪「そうでもしないと、食べられる鍋にならない気がするからな」
唯「ダメだよ律っちゃん!暗闇に紛れて、あずにゃんに抱きつこうとしちゃ!」
梓「わたしですかっ!?」
律「そんなことすんのはお前だけだーっ」
紬「わたしもしてみたかったかもー」
梓「ムギ先輩までっ!」
澪「な?暗闇は危ないだろ?」
梓「すごく納得がいったです」
澪「ということで、具材は巾着に入るくらいっていうことにしよう」
律「まー、しょうがないっ!妥協してやろうじゃないかっ」
唯「男らしいよっ!律っちゃん!」
律「カケラも誉め言葉じゃねー」
梓「ってことは、自宅で作って各自持ち寄りですね」
澪「・・・若干不安は残るけど、そこはしょうがないよな」
律「とびきりのやつ作るぞー!」
唯「おー!」
紬「おー!」
梓「お、おぉー」
唯「うちは、巾着とキムチ味のスープ作って待ってればいいんだねー」
澪「・・・先に言っとく・・・憂ちゃんによろしく」
唯「失敬なっ!スープくらいわたしが・・・」
律「それだけはやめてくれぃ!」
梓「憂にはわたしからも頼んでおきますから!」
紬「唯ちゃん、無理しないでっ」
唯「うぅぅぅ」
澪「みんな、なにげにひどいな」
唯「あー、そういえば」
律「どしたー?」
唯「わたし、辛いの苦手だったー」
澪「いまさら却下」
唯「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」
唯「という訳で、憂に全部用意してもらいましたっ」
憂「いらっしゃいませ」
澪「わかってたけど、いつもありがとうね、憂ちゃん」
律「憂ちゃんがやってくれたんなら安心だなー」
梓「憂、お疲れさま!」
紬「憂ちゃん、ありがとー」
唯「くっ、何も言い返せないっ」
憂「で、でも、お姉ちゃんもテーブル用意してくれたり、その、あと・・・」
律「毎回、この下り聞くと泣けるのはなんでだー」
律「んー、キムチの匂いが食欲をそそるー」
梓「普通にキムチ鍋を食べたい気がします」
澪「全く同感だな」
律「だーっ!ダメダメっ!そんな低いテンションでこの地獄を乗り切れるとでも思ってるのかっ!」
澪「地獄とか言うなっ」
紬「地獄の闇鍋ゲーム♪」
唯「ムギちゃんは楽しそうだねー」
梓「こういう時って基本的にムギ先輩楽しそうですよね」
澪「・・・ほんとに楽しくなるといいけどな」
律「鍋が2つだから、持ってきたの半分ずつ入れようぜー」
唯「合点だっ」
紬「さいばし借りるね」
律「面倒くせー!そのまま投入だっ」
澪「こらっ!律!投げ入れるなっ」
梓「しぶきが飛びますぅ」
憂「梓ちゃん、布巾使って」
澪「・・・これだけで育ちの違いが分かるって、悲しいな」
最終更新:2011年11月19日 20:24