627. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 17:56:12.61 ID:hmskefo0
律「……」

  ――高校生活2年目の始業式――

唯「…えっと…あった!、2年2組か〜」

  あ、私も2組だ。

律「私もだ!」

紬「本当!?私も2組!」

  おっ!この流れでいくと…?

唯「ええっ!じゃあもしかして…澪ちゃんも?」


澪『……1組』

紬「あぁ…」

唯「うぅ…」

律「はぁ…」

  はぁ…違うクラスか……澪がいないと寂しいよ〜――なーんて、ね…。

澪「何!?その目は!?」

律「…寂しくなったらいつでも遊びに来てイイんだよ?」

  うひひ…たっぷりからかってやる…。

澪「私は小学生か!」

澪「はっ!律こそ私と離れて大丈夫か?」

  いや…あんま大丈夫じゃないかも…

澪「もう宿題見せてやれないぞ?」

  そういうことかよ…澪ちゃんったら強がっちゃって…

律「…へっへーん!平気だよーん!」

澪(えっ!?)
628. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 17:57:04.81 ID:hmskefo0
律「こっちにはムギがいるもんね〜」

紬「…」ニコニコ

澪「くっ…」

  あれ?今、澪が――

?「あっ、皆さん」

全員「ん?」


憂「おはようございます」

律「あー!似合ってる、似合ってる」

紬「初々しいわね〜」

憂「そ、そうかな…」ボソボソ

  憂ちゃんが来てくれて助かったな…あのままだと変な雰囲気になってた気がする。

  それからはいつもののんびりした空気に戻った。

  ってゆうか…

律「お前ら〜姉と妹交代した方がいいんじゃないかー?」

紬「フフッ」

澪「…」

  平沢姉妹のやりとりを見てそんなことを呟いていたら丁度チャイムが鳴った。

憂「あっ、失礼します」

律「あたしらもいくか!」

///////////////


629. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 17:58:00.92 ID:hmskefo0
///////////////

唯「あれ?2組って2階だっけ?」

紬「えぇ」

律「…いかにも【上級生】って感じだよな〜」

  さっき澪に乙女心を壊されたからな、りっちゃんは気を遣ってあげないぞー

律『じゃあな〜1階、2年1組の…

律『秋山さーん!』

澪「……う、うるさい!」

  あれ?何か動揺してらっしゃる?顔、真っ赤にして。

紬「休み時間にまた…」



唯「ねえ?教室って――



  ………澪がいない2階へ向かう途中、階段の踊り場で、私はその時、確かに聞いた。

  さっきまでの元気な口調からは想像もできないようなか細い声で、

  澪が『さびしい』と言ったのを。










  
633. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/05(水) 00:19:13.89 ID:RZxTQw.0
律「…そういえばこんな感じだったな…」

  高校2年の最初の日、この日が事の発端だとようやくわかった。

  あの時は誰も気づかなかったもの――僅かな不協和音。

  それぞれの思惑がそれを奏でていたのだ、とても、とても小さく。

律「…でも、梓が入ってくれて、それは一旦鳴り止んだんだよな…」

律「そう…『一旦』は――」

  再び演奏が始まった時、それはこの時とは比較にならない音だった……

  
  ――高校2年、学祭前のある日――




634. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 03:36:07.48 ID:RZxTQw.0
梓「♪〜ふふーん♪」

律「なんかご機嫌だなー梓」

梓「えへへっ、もうすぐ学祭でライブが出来ると思うと嬉しくて」

律「初々しいね〜」

梓「…去年の軽音部のライブも見たかったです」

澪「!」ブッ!

  澪が吹きだした。…可愛いな。

律「あー…澪は去年…大活躍だったもんな…」

梓「えっ!?」

律「ステージで転ん

澪「わーーー!!!」

さわ子「去年の学園祭のライブならちゃんと撮ってあるわよ〜」

梓「あー!見たいです、見たいです!」

澪「…いや、梓…考え直さない?」チラッ

律「?」
635. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 03:37:05.39 ID:RZxTQw.0
  澪が必死で止めるが、味方のいない澪はどうすることも出来ない。

さわ子「唯ちゃん、りっちゃん」パチッ

  私と唯が抑えてる間にさわちゃんが『おすすめシーン』を再生した。

  …抑える時、澪が何か言いたそうな目をしてたのは…気のせいだよな。

澪「う〜…」


梓「…それにしても…ライブの時だけはちゃんと演奏するんですね」

律「言うようになったな〜…この!」ウリウリ

澪「……」イラッ

唯「…ふふっ」

紬「何?」

唯「へへ…何か色々思い出して〜ひっ…ふふふ…」クスクス

紬「あぁ〜…この時、唯ちゃん声が…ふふっ」

唯「そうそう、朝起きたら声ガラガラなんだもん…」クスクス

紬「…それで澪ちゃんに…

律「…梓にとっては軽音部での初ライブだな」

梓「はい!」

梓「…私、頑張ります!」

澪「……」

  ガチャ


636. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/05(水) 03:38:28.72 ID:RZxTQw.0
和「盛り上がってるとこ悪いんだけど」

  あっ

澪「あー和、どうしたの?」

和「どうしたの、じゃないのよ、これ」ガサッ

律梓澪「ん?」

律「…講堂使用届け…」

和「そっ、学祭の分。出してないでしょ」


律「あー忘れてた」

梓「そんなのんきな…」

律「いやー忙しくってねー」

和「……」イライラ

澪「……去年もこんなことあったな」イラッ

律「あーあれは部活申請―

  ゴツン!  あいたっ!

  何かいつもより痛かったような……



643. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 03:09:04.13 ID:eIQzqyM0
律「あー…じゃあ梓、書記な」

梓「えっ…私?…まぁいいですけど…」

梓「…えっと、使用者は…軽音部…



梓「……そういえばバンド名は?」

  …バンド名決めないと――

唯「平沢唯とズッコケシスターズってどうかな?」

律「あたしら何物だ!」

  今はぼけるなよ〜…まったく…

澪「ぴゅあぴゅあ、とかどうかな?」

  またかよ、つまんね。

律「も〜ネタはいいから真面目に考えようぜ」イラッ

澪『……割と本気なのに…』ボソッ

律「本気だったんかい!」


梓「…ほら人のセンスは色々ですから」アセアセ

澪『……』


644. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 03:09:57.03 ID:eIQzqyM0
さわ子「よーしわかった!」

さわ子「私が決める!」

  『もー少しみんなで考えよう!』

梓(団結した!)

和「……じゃあ…それ、後で生徒会室に持ってきてね」チッ

澪「あっ、悪いな、待たせちゃって」チラッ

和「いいよ」(あなたが謝ることじゃ…)

唯「…和ちゃん、たまには帰りにお茶しよーよ」

和「わかった、後でメールする」

律「……」

647. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/06(木) 21:06:32.96 ID:eIQzqyM0
律「…ま、じゃーバンド名は各自、一晩考えてくることにして…」

律「練習するか!」

梓(…えっ……)

紬「そうね〜」

澪「…学園祭も近いんだから、気合入れないとな!」

梓(あっ、別にいいのかな)

梓「はい!」

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  【部室前廊下】

和「…」ピッピッ

和「……

和「あ、もしもし、真鍋です」

和「実は――

和「…はい、そうです」

和「…まぁ…正直困ってますけど」

和「いえ、流石に明日には…

和「…十分遅れてるのはわかってます」

和「…そういえば…先輩?」

和「軽音部に甘くないですか?」

和「……いや、変なこと聞いてすいません」

/////////////////////

恵「…ふー、危うくバレるとこだわ」

恵「…しかし…和…」

恵「……大丈夫かしら?」

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648. ◆JEuhH1uHN. 2011/01/07(金) 01:43:48.14 ID:CtHhBSo0
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律「……あ〜」

律「…その後、唯のギターのメンテナンスに行って――

  …思い出したら何か恥ずかしくなってきた…

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  【楽器店にて】

澪「…じゃあ…私ここで待ってるから…

全員「えっ!?」

梓「…何でですか?」
651. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 03:45:19.06 ID:bpZOz1w0
澪「私、左利きだから…右利き用の楽器見ても悲しくなるだけだし…

梓「…あ、あぁ…?」

紬「…あぁ……

律「あ!でもほら!澪!」アセアセ

  急に何を言い出すんだよ…

律「なんかーレフティフェアやってるよ」

澪「えっ!?」

  【店内】

澪「はあーーーー」

澪「こ、ここは天国ですか?」

律(かわいい…)

澪「ここにあるの、全部下さい!」

律「落ち着けー!」

  …あれ?  唯達は先に行ったのか?

  あぁ、もうメンテナンス頼んでるな

店員「あの…これ……ビンテージギターですか?」

  …何か店員さん困ってないか?

紬「…りっちゃん!こっち来て」

律「お、おう」

紬「これ何かな?」

律「あぁ、それは――

  ん?澪はどこ行った?
652. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 03:46:14.70 ID:bpZOz1w0
  【――数分後】

梓「ギターのメンテナンス頼んできました」

律「お疲れー」

梓「あれ?澪先輩は?」

紬「あぁ…澪ちゃんなら……

店員「いらっしゃいませ!お嬢様!」

紬「あ?あぁ…どうも」

店員?「これは、紬お嬢様…お久しぶりですね―――

  あ、そういえば

律「ここ、ムギん家の系列の楽器店なんだってよ?」

梓「えぇ!」

唯「びっくりするんだよね〜あの呼び方」

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653. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 03:46:52.43 ID:bpZOz1w0
/////////

店員「お待たせしましたー」

律「おおっ」

唯「はああ!」

  おー、唯のギター、綺麗になったなー

  それはいいんだけど…

店員「お代の方、5千円になります」

唯「えっ!お金取るの?」

唯「…お金ない」

律梓「えっ!」

紬「どうしたの?」

梓「いや…実は――

紬「そうなの?どうしよう…手持ちあったかしら?」

店員「お、お、お嬢様!ここは『サービス』ということで!」

全員「えぇ!」

紬「そんな、悪いわ」

店員「とんでもない!日頃お父様にお世話になっておりますので――

律「なんとかなったみたいだな…

唯「ん〜」コクコク

///////////
654. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 03:47:57.44 ID:bpZOz1w0
律「それじゃ!そろそろ帰りますか」

全員「はーい」

梓「でも…澪先輩が…

律「あー呼んでくるわ」

//////////

律「澪ーほら、帰るぞ

澪「やだ」

律「小学生か」イライラ

律「ってか、みんな待ってんだって

澪「やだ」

  いい加減にしてくれよ。

律「もー」ブチッ

  実力行使だ。

律「ほら、澪ちゃーん」イライラ

澪「わっわっ!ちょ律ー」カアア

律『はいはーい帰りまちょうねー』イライラ


655. VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2011/01/09(日) 03:48:50.34 ID:bpZOz1w0
澪「やだーやだー」

律「はいはい」

  梓「なんか知り合いの方は弦を逆に張り替えて――」ワイワイ

  唯「へー」ワイワイ

  紬「…」

澪「……ってちょ!危な

  ドサッ

澪(痛い…)

律「あー…なーにやってんだよ澪――

澪『もういいよ!』

  えっ


澪『…バカ律』ボソッ


  この時の澪の言葉がきっかけかもしれない。


  …歯車は急速に狂い始め、恐ろしい協奏曲はさらに強く鳴り響いていく――



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最終更新:2011年11月25日 22:19