913. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/06/23(木) 23:55:02.57 ID:XW5KlNKoo
律「私の名前は……秋山澪だ」

  見つかった時のために適当に名乗った。

男(あきやまみお……どっかで聞いたことあるような…)

男(ま、いっか)

律「で、こんな所で何やってんだ?」

男「……奥まで見に行こうと思ったんだよ、そしたら音が鳴って」

律「おいおい、こんな時間にか?」

男「…待ってろって姉ちゃんに言われてたんだよ、それで退屈になってさ」

律(ねえちゃん?  こんな時間に非常識だな)

律「へー……ところで奥って?」

男「…うーん、近所の人しかわかんないだろうけどさ、この神社、変なんだよ」

律「変?」

男「うん……何か怪しい蔵があったりしてさ…」

律「何か面白そうだな〜」

男「お!  もしかして姉ちゃん手伝ってくれんの!?」

律「う〜ん……そうだな…

①手伝う
②手伝わない

914. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/23(木) 23:55:30.02 ID:FqWtAEdzo
2
915. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/06/24(金) 00:15:43.02 ID:Cyn7WFMLo
②手伝わない



律「……うーん……あ!」

男「?」

  ……何も考えずに飛び出してきたけど、よく考えたら荷物置きっぱなしだし。
  結構、時間経ってるよな。
  ……澪は唯達ともう寝たかも。

  …………それに・・・

律「……悪い、私帰らないと」

男「え〜…」

律「ま、そう落ち込むなって」

律「ちょっとだけ手伝ってやるよ」

男「え!?」


律『お〜い!!  誰かー!  こっちに変な子供がいるぞ〜!』

////////

神主「!」

/////////

  
男「おい!ばかみお!」

律「これでいいんだって」

男「はぁ?」

律「お前はそこの茂みを通って奥に行け」

律「私が嘘吐いて時間稼ぐから」

男「おお!」

律「じゃ、頑張れよ」

男「ありがと、澪さん!」タタッ


律「……」クスッ


916. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/06/24(金) 00:17:50.30 ID:Cyn7WFMLo
////////////

  年老いたじいさんが走ってきた。

神主「ど、どこですか?」

律(慌てすぎだろ……)「いやーもうあっちにいっちゃったみたいです」

  真逆だけど。

神主「……まぁ、出て行ったならいいでしょう、…それよりあなたは何を?」

律「あぁ、散歩のとき通りかかって」

神主「地元の方ではありませんね?」

律「えぇ、まあ」

神主「失礼ですがお名前は?」

律「田井中律です」

  もう偽名の必要もないだろう。
  むしろさっきと違う名前の方が都合がいい。

神主「そうですか……では、お引止めしてすいません」

律「いえいえ、では」

  この人おじいさんだから聞こえなかったんだろうけど

  奥の方から小さく「ガチャン」って音が聞こえた。


  あいつ、鍵でも壊したのか。

律(……澪……)


  忘れていられたのはほんの一瞬だった。

  好きだけど好いてくれないその名前を呟きながら私は唯の家に戻った。








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921. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/02(土) 02:55:14.19 ID:4OZ3fs6Po
  【平沢家・唯の部屋】

  ガチャ

唯「あ、澪ちゃん」

澪「あぁ…唯と梓…だけか」

梓「?  誰か探してるんですか?」

澪「うん…ちょっと律を」

唯「りっちゃんならさっきトイレに行ったきりだよ」

澪「それから見てないか?」

唯「?  う、うん」

澪「そっか……」

梓「?……えっと、澪せ

澪「悪い、他の部屋探してくる」

  ガチャ

唯梓「……?」

梓「何かあったんでしょうか?」

唯「う〜ん……」

梓「……」

唯「……」

  …/・……;……「…

  ……り………。…


唯「…!」

梓「?  唯先輩?なに

唯「しっ!あずにゃん、ドアの外で誰か話してない?」


梓「あ…

梓「私、見てきます」スッ

  ガチャ


  梓が立ち上がるより早く扉が開いた。

  人影が倒れこんできた。

/////////////////
922. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/02(土) 02:57:45.27 ID:4OZ3fs6Po
/////////////////

【数分前・廊下】


和「……ん…」ムクッ

和(…あれ?…あぁ、そういえば…)

和(頭打って気絶してたんだっけ)

  「…おーい…」

和「?」

澪「おーい!  あ、和か」

和「律はどうしたの?」

澪「…いや、家中探したんだが見つからなくて……入れ違いかと思って戻ってきたんだ」

和「ふぅん……あ、悪いんだけど」

澪「何だ?」

和「何か頭痛くてさ、部屋まで連れてってくれない?」

澪「わかった」

  ・・・・・
  ・・・
  ・・
  ・

澪「着いたぞ」

和「……悪いわね」

澪「先に律がいないか見てくるよ、和が休むの邪魔しちゃ悪いし」

和「ありがと」

澪(律はいないみたいだな…)

和「あ、そうだ」

澪「?  どうした?」

和「……靴は?」

澪「へ?」

和「だから、律は外には行ってないのか?ってこと」

澪「あ!」

和「とりあえず下にいった方がいいわよ」

澪「ありがと!」

/////////////
923. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/02(土) 02:58:54.48 ID:4OZ3fs6Po
/////////////

和(……目の前で倒れられても、気分悪いわよね」

和「・・・ゆい…いつも、ごめんね」

  私は扉にもたれるように倒れこんだ。

  「…ちょ  和  せん…ぱ

  誰かの声がしたがもう聞こえなかった。

////////////
924. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/02(土) 03:00:08.90 ID:4OZ3fs6Po
///////////

梓「ちょっと!?  和先輩?」

唯「わっ!  和ちゃん?」

梓「唯先輩!  ダジャレ言ってる場合じゃないです!」

唯「どゆこと!?」

梓「とりあえず…ベッドに運びましょう」

唯「う、うん」

和「……」

唯「起きないね…」

梓「……?」

唯「あずにゃん?  どうかした?」

梓(…和先輩、怪我してる…)

唯「あずにゃん?」

梓「唯先輩、ここ…


唯「…本当だ……」

梓「どうしましょうか…

唯「とりあえず憂に診てもらおうか」

梓「…まぁ、すぐに処置しなきゃ危ないような怪我じゃないみたいですしね」

唯「うん、救急車なんか呼んだら大騒ぎになるし」

梓「元々疲れてたのかもしれませんしね」

唯「じゃあ憂を呼びにいこ」

梓「はい!」

/////////////

唯「そうだあずにゃん」

梓「何ですか?」

唯「……その…

梓「?」

唯「あの…今日のことは秘密にしとかない?」

梓「?」

唯「いや…さっきも言ったけど騒ぎになったら和ちゃんも嫌だと思うし…

梓「あぁ、そうですねわかりました」

唯『じゃ、憂にも協力してもらって…


  【嘘】つかなきゃね


梓「そうですね」


唯(…ごめんね、和ちゃん)


唯(……いつも、何も出来なくて)

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926. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/04(月) 00:58:55.48 ID:jnJ8aERco
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  【神社】

神主「……まったく、一時はどうなるかと思いましたよ……

神主「…まぁ、ゆっくり寝るとしましょうか」


  「おい、ちょっと待ってくれないか」

神主「!…これはこれは」

神主「副会長!」


老人「やぁやぁ、久しぶりだね、神主」

神主「お久しぶりですね!  ……ところで、今日はどうしてまた?」

老人「……」

神主「?」

老人「…すまん、黙って【蔵】の鍵を渡してくれないか」

神主「!?  い、今何と?」

老人「だから早く鍵をくれ、…時間がない」

神主「わ、わかりました――


神主「・・・こちらです」

老人「すまんな」

神主「あ、あの…

老人「……今は何も言わんでくれ」

神主「…はい」

老人「あ、そうだ」

神主「?」

老人「これをお前さんに渡しておこう」

神主「…この封筒は?」

老人「お前さんの身を守るものだ、誰にも渡さないほうがいい」

神主「!?」

老人「もちろん……

老人「あの婆さんにもな」

////////////////


  【蔵の前】

男「くそ!  鍵は壊したけど扉が開かねー!」

男「……もう帰ろうかな」

  ガサッ

男(……誰か来る?)

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930. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/06(水) 00:22:19.06 ID:tWKtoQFHo
///////////////

老人(……急がねば)

男(やっぱ来てる!  隠れないと)ササッ


老人「…やっと着いた――ん?」

老人(鍵が壊されている…流石に電子ロックは外せなかったようだが)

老人「……まぁいいか」ピッ


男(あれってカードキー…ってやつか?ここってそんなに新しくないのにな・・・)


老人「…さて……!」

老人「おい」

男(?)

老人「そこにいるのは誰だ?  出て来い」

男(げっ!  ばれた…)

老人「早くしてくれ、悪いようにはしない」


男(しかたないよな…)

男「…はーい…」

老人「子供じゃないか……君が鍵を壊したのか?」

男「…はい」

老人「…何でこんなことを?」

男「いや、…ただ気になったから」

老人(……下手に帰すと私がいたことを喋るかもしれない…)

老人「……そうか、なら特別に少しだけ見せてあげよう」

男「えっ!?」

老人「ほら、早く来なさい」

男「は、はい…」

  
男(…何ていうか、病院?っていうよりは…

男「悪魔の実験室、ってかんじかなぁ」

老人「?」

////////////////
932. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/06(水) 00:43:27.20 ID:tWKtoQFHo
老人「…何も触るんじゃないよ」

男「…はい」

老人(…早く証拠を集めねば)


  …その時

  グラグラグラ!

男「うおっ!」

老人「なっ…

  地震で不安定な機材が次々に倒れだした。

///////////////

【神社付近の道路】

  グラグラグラ!

紬「わっ!」

紬「…結構大きかったな……」
931. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/06(水) 00:23:08.13 ID:tWKtoQFHo
////////////////

  【神社前・道路】

紬「……遅くなっちゃったな」

紬(……もうみんな寝ちゃったかな…いや――まだ10時だし、そんなことないわよね)


  【平沢家・玄関】

紬「唯ちゃん、遅くなっちゃってごめん」ピンポーン

  誰もでない。

紬「?」

紬「流石にみんな寝た、ってことはないよね?」

紬「あれ?  鍵かかってない……

紬(おじゃましまーす)ボソッ

紬「!…うっ…

  紬はすぐに異変に気づいた。

  家の中がドタドタと妙に騒がしい。

耳を澄ませると

  「…は本当にいないんで…か…」

  「…あ…私…か…」

  「…り…ど…」

  …明らかに尋常ではない。

  それに――

  妙に焦げ臭い。

  
紬(もしかして……火事?)

  不安を感じながらも紬はリビングに入った。
  

933. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/07/06(水) 00:57:09.15 ID:tWKtoQFHo
紬「!」

  紬の予感は的中した、キッチンの方から煙が立ち昇っている。

  ……だが何故か側の消火器には手がつけられていない。

紬「……あっ!」

紬「りっちゃん!」

  ソファーには律が寝かされていた。

紬「えっと、えっと」アセアセ

紬「と、とりあえず外に…

  紬は近くに落ちていた毛布で律を包んで抱きかかえた。


  ガチャ

紬「!?」

澪「り…ってムギ!?」

紬「澪ちゃん!」

澪「と、とりあえず、早く外に…

紬「うん!」




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最終更新:2011年11月25日 22:33