澪「あ、いえ…別に質問したわけじゃ… ていうか、おじさん誰ですか」

池上彰「ではこの部活は今のままで大丈夫なのか、まずはこのフリップを使って説明しましょう」

澪「あの…聞いてます? というか独り言に返事しないでください…」

池上彰「このグラフ、皆さんが1年生の時の4月からの推移をまとめたものです」

澪「…はあ、聞くしかないのかな…」

池上彰「1年生の間は非常に安定して皆さんの腕は上がっているように思えますねえ」

澪「ええまぁ 唯も急成長したから…」

池上彰「ですがこちら ある一定の時期から、途端にグラフに低下する傾向が見られます」

澪「え… そんなことありますか…? どこだろ… 本格的に怠け始めたのは2年生になった頃からかな?」

池上彰「素晴らしい推理ですねえ! その通りです、ではこちらのフリップで更に説明しましょう」

澪「2年生の4月の…真ん中あたり?」

池上彰「この頃に何があったか、覚えていますか? そうです 新入生歓迎ライブと新たな部員の入部です」

澪「…梓ですね」

池上彰「歓迎ライブを行った場合は、本来は皆さんのモチベーションは上がるものだと推理できます」

池上彰「となると、そうです 要因は新入部員ということになりますねえ」

澪「あ、梓が入部したから…?」

池上彰「ギター担当だった平沢さんのモチベーションは、新入部員が来たことで下がったように見えませんでしたか?」

澪「ええ…た、確かに… 梓の方がうまいとか 梓が可愛いとかでギターにあまり手を付けなくなりましたね…」

池上彰「よく見ていますねえ! このグラフをご覧ください、なんと3年生の中盤まで下がる一方なんですよ」

池上彰「つまり皆さんは1年生の最後あたりからあまり腕が上がっていないということになります ここまではわかりましたか?」

澪「は、はい… うまくなってないってはっきり言いすぎです…」

澪「あの ところどころグラフが跳ねあがってるときは、なんなんでしょうか?」

池上彰「いい質問ですねえ! では1つ、この3年生の…このあたりには何がありましたか?」

澪「…うーんと… 修学旅行でしょうか…?」

池上彰「その通りです 修学旅行に、新入部員はついてきましたか?」

澪「いえさすがに 学年違いますし… ていうかなんで新入部員って呼ぶんですか…?」

池上彰「そう、つまり新入部員がいなかったときは皆さんのモチベーションが上がっているんですよ」

池上彰「考えてみてください 修学旅行には普通楽器は持っていきませんね なのにモチベーションがあがる」

池上彰「この理由はほぼ推測出来ると思います おわかりになりますか?」

澪「まさか… みんな、梓のこと嫌いなのか…?」

池上彰「なかなか良い着眼点ですねえ!」

澪「え、う、うそ 私は別に…」

池上彰「そう あなただけがまだ新入部員を本心から可愛いと思っているんですねえ」

澪「…みんなと違う…私だけ…」

池上彰「そう落ち込むことはありません 皆さんが嫌いな中で自分だけ好きでいられるのは、素晴らしいことですよ」

澪「そうなのかな…」

池上彰「そこで本日はご本人がいらっしゃるので 是非お話を伺いましょう どうぞ」

梓「うっ…うぐっ…ぐすっ… 皆さん、私のこと嫌いだったんですね…ひっく…」

澪「あ、梓! 大丈夫、大丈夫だから 私は嫌いじゃないよ」

池上彰「いい百合展開ですねえ しかし最初から泣いてしまうと最後まで持ちませんから注意が必要です」

澪「もうやめてください… 梓が…可哀そうです…」


池上彰「では更にこのフリップをご覧ください」

池上彰「新入部員がネット上で主に何と言われているか、の調査です」

澪「もうやめて…やめろっ」

池上彰「まずはこちら ゴキ… つまり皆さんに嫌われているあの害虫ですね 私も嫌いです というより好きな方はいないでしょう」

梓「…!」

池上彰「つまりそこから、ゴキと同じく新入部員が好きだという方がいらっしゃらないという推理ができますね」

澪「なんでそうなるんですか! 梓は…梓は人ですよ!」

梓「み、みおせんぱぁい…ひぐっ…ぐすっ…」

池上彰「落ち着いてください 人ですが限りなくゴキに近いという定義ですから問題はありませんねえ」

澪「…やめろっ!」バキッ

池上彰「おやおや…フリップを折ってしまいましたねえ しかし既に私が覚えていますので、次に参りましょう」

池上彰「ホワイトボードをお借りしますね」キュッキュッ

澪「誰かこの人を止めてくれ…」

梓「澪先輩、帰りましょう…私もう嫌です…」

池上彰「出入り口は他の軽音部の方にふさいで貰っているので帰るのは事実上不可能なんですねえ」キュッキュッ

紬「澪ちゃん、ゴキ 帰るなんて言わないでお茶どうぞ?」ガタンッ!

澪「ひっ… む、ムギ…?」

池上彰「お待たせしました 書き終わりましたので説明に移りますよ」

池上彰「さてネットでなんと言われているかですが… 後輩なのに先輩への態度が最悪、自治厨、単にうるさい など」

池上彰「しかしこれは人間性の問題なので、個人的な感想しか言えませんねえ」

池上彰「現実にいたら相当なルックスでない限り、嫌われそう としか言えませんねえ!」

梓「…も、もういいです… 嫌われてるのは分かりました…」

澪「梓…いいんだよ、聞かなくていい 終わるのを待とう…」

池上彰「どうやらまだいらっしゃるようなので続けましょうか」

澪「なっ… で、出口をふさいでおいて…!」

池上彰「これは皆さんの担当教員の方のセリフですねえ 1つお借りしましょう」ピッ

「しっかしあんたたちぃ、メガネ取ってると見分け付かないわねえ」

池上彰「お聞きになりましたか? そう、これは秋山さんと新入部員のことを指した言葉なんですねえ」

澪「や、やめろ…」

池上彰「思い出してみてください 最初は秋山さんが最高だと、ファンの方々は騒いでいましたね」

池上彰「しかしどうでしょう? 2年生になると新入部員の入部によってファンがドッと流れてしまったんですねえ!」

池上彰「秋山さんの人気が下がったのも、新入部員が要因なんですねえ!!」

澪「あ…ああぁ…」

梓「先輩… ご、ごめんなさい…」

澪「い、いいんだよ… だいじょぶ、気にしてない…」

池上彰「なかなかタフな方ですねえ では次に参りましょう」

池上彰「ではこちらのフリップをご覧ください キーワードはあずにゃん 猫耳」

池上彰「最初は嫌がった振りをすることで、常識人、真面目な人間だということをアピールした上で」

池上彰「しまいには語尾に自らにゃんを付けて先輩たちを挑発する 卑劣ですねえ!」

池上彰「人気を上げるのに必死な様子が皆さんにも分かったと思います 違いますか秋山さん」

澪「も、もう やめてくれ…」ガクガク

梓「澪先輩…?」

澪「私だってどこか、人気を取られてムッとしたことはあったよ… でもそれが私の実力なら仕方ないかなって…」

澪「でも梓の行動が全部計算されてたんだとしたら 私は…」

梓「ち、違いますっ 全部素でやっていたことです…!」

池上彰「あのセリフが素で出るようですねえ これはうらやましいと思ったのではありませんかねえ?」

澪「…くっ 心まで読めるのか…このおじさん…」

池上彰「盛り上がってきましたねえ」

池上彰「さてこちらは…おっと平沢さんに関係している記事ですね」

池上彰「ネットで流れていたものですが リズムとリード、2人必要なのか? ギターの腕からして唯は要らない子 とあります」

唯「えっ!なんか私の話出た!」

池上彰「おっと、ドアはふさいでおいてくださいねえ!」

池上彰「さて腕の話をしましょう 新入部員は 演奏しているのが楽しそうに見えた という理由から入部を決めたんでしたね」

池上彰「しかしどうでしょう いざ入部してみると「練習しましょう」「しっかりしてください」などと練習ばかりを促す始末です」

池上彰「それが最初に申し上げた、モチベーションの低下につながるのでしょうねえ やれと言われるとやる気がなくなる現代の子に多い法則です」

池上彰「それに練習練習と、楽しそうだからという理由で入ったわりには随分と腕をあげることを促しますねえ 何故でしょう?」

梓「そ、それは皆さんと…大きなライブとかやってみたかったから…」

池上彰「いい心がけですねえ! しかし皆さんはどう思ってるのでしょうね」

澪「…言われなくても練習するときはするし、唯だって十分うまくなったとは思ってたけど…」

池上彰「本心ですねえ! 聞きましたか新入部員」

梓「ぐすっ……ごっ…ごめんなさいです……」

澪「い、いやそれが梓らしさなんだよ 気にしないで」

池上彰「暴力を振るうわりには寛大なお方ですねえ!」

池上彰「では次に… おやおや、友人の猫の面倒を代わりに見たときのお話ですねえ」

梓「…!」ビクッ

池上彰「毛玉を吐いただけで勘違いして、先輩を呼びだしたとあります これは迷惑な話ですねえ」

梓「う、ううう…」

池上彰「調べてみる気は起きなかったんですかねえ パソコンや携帯は飾りなんでしょうか」

池上彰「たまたま平沢さんに用事がなかったから良かったものの、と言ったところですね」

澪「も、問題なかったんだから そんなことわざわざ指摘しなくても…」

池上彰「今は新入部員の人間性についてお話しています そんなこと、で済むならわざわざ放送しませんねえ」

池上彰「…他にもあるようですねえ 一体どれだけ説明の必要があるんでしょうか?」

澪「もういいです… 説明は要りませんって…」

池上彰「いえ、次で最後の模様なので説明しましょう ではこちらのグラフをご覧ください」

池上彰「けいおん!はどこまで面白かったか、ですねえ 一目瞭然です」

澪「もう、いい…」

池上彰「コアなファンの方はやはり第一期、エクスクラメーションが1つの時の方が面白いと言っています」

池上彰「確かに見せていただきましたが、第二期は目的などもよく理解できませんでしたねえ」

池上彰「どこが一番面白かったか、話数の調査ですが…」

池上彰「第一期 中野さんが入部した瞬間 なんですねえ」

梓「え……?」

澪「それって…」

池上彰「ネットでは散々言われているようですが 少なくとも第一期のときは中野さんも嫌われてはいなかったのですよ」ニコッ

梓「あ……」ポロポロ

澪「梓…っ」

池上彰「つまり何が言いたいかと言うとですね 第一期のとき… つまり1年生のときの気持ちを忘れないで生活してほしいということです」

池上彰「少なくとも私も、1年生の頃のあなたは評価していました 部活としての質は抜きとして、ですが」

池上彰「では説明は以上です 皆さんドアをあけてください これからも自分たちのペースで頑張ってくださいねえ」


澪「なんだか 変な人だったな… 大丈夫?」

梓「…すみません なんだか私、調子に乗りすぎていたみたいです… さっきの方の話を聞いて痛感しました…」

澪「いいんだ メリハリが足りなかったのも確かだし… 私は梓が来てくれて、本当にうれしかったから」

梓「澪先輩…… あの…さっきはずっと庇ってくれて…ありがとうございましたっ!」

澪「…可愛い後輩だからなっ 私が守らないと」ニコッ

梓「……///」


―――

池上彰「これでよかったのですかねえ」

律「完璧でっす! すごい説明でした…聞いてて納得しちゃいましたよー!」

紬「それより2人がいい感じよ… ふふふ」

唯「あずにゃん、澪ちゃんのこと好きなんだけどなかなか言い出せそうになかったから… ありがと、おじさん」

池上彰「いえいえ… 少し序盤はやりすぎてしまったかもしれませんねえ ですがまた何かあれば呼んでください 微力ですが力になりますよ」

3人「ありがとうございました!」

おわり



最終更新:2011年11月26日 21:14