『7:3!』


チュンチュン

梓「……」

梓「……はっ」

梓「」キョロキョロ

梓「……」ムニ

律「お、起きたか梓」

梓「……」ムニムニ

律「何でほっぺつねってんの」

梓「……」

律「……」

梓「りつせんぱい」

律「どした?」

梓「……夢かぁ」

律「ん?」

梓「懐かしい夢だなぁ」

律「何にやけてんだよ」

梓「……」ホワホワ

律「もうすぐ朝ご飯できるぞ」

梓「はーい」

梓「……」

梓「……」

梓「えへへ」

律「へぇ、昔の夢見たんだ」

梓「ふぁい、ほうなんれふ」ムシャムシャ

律「食べながらしゃべるなよ」

梓「ふぁーい」モグモグ

梓「」ングッ

律「で、どんな夢だった?」

梓「律先輩と大ゲンカしてました」

律「ケンカかよ」

梓「ばかばか言い合ってましたよ」

律「そういえば昔はケンカばっかしてたな」

梓「澪先輩にしょっちゅう宥められましたね」

律「懐かしいなぁ」

梓「律先輩が悪いんですよ」

律「お前だって悪いだろ」

梓「律先輩が練習しないから」

律「お前だって後輩のくせに生意気だったろ」

梓「怠け者でふざけてばっかしで」

律「ワガママで焼きもち焼きですぐにいじけて」

梓「……」ジー

律「……」ジー

梓律「ぷっ……くくっ……」

梓「何だか不思議ですね」

律「ほーんと、何度も大ゲンカした奴と一緒に生活してるなんてな」

梓「数年前の私が聞いたらびっくりします」

律「澪にはずっと前から『ケンカをするほど仲が良い』なんて言われてたけど」

梓「ふふっ、さすが澪先輩」

梓「……」

律「……」

梓「久しぶりにケンカしましょうか」

律「提案するようなもんじゃないだろ」

梓「ばーかばーか」

律「……」

梓「律先輩のばか」

律「だめ、可愛すぎてケンカにならん」ギュッ

梓「ひゃっ!?」

律「梓は抱きやすいなー」

梓「むーー」

律「このちびすけ」

梓「律先輩の貧乳」

律「お前が言うな」ポコッ

梓「いたっ」

律「……」

梓「……」

律「そっか、梓と付き合ってもう随分経つんだな」

梓「二年……いや三年近くになりますか」

律「三年か」

律「……」

梓「……」

梓「それがどうかしましたか?」

律「いや、梓はまだ私に敬語使うんだなって」

梓「だって先輩ですし」

律「付き合ってんだし、ちょっとぐらいタメ口が混じってもいいじゃん」

梓「そういうものですか?」

律「同棲までしてんのに、敬語だけのがおかしいって」

梓「むーん」

律「ちょっとタメ口使ってみてよ」

梓「ばーか」

律「いや、そういうんじゃなくて」

梓「急に言われても難しいです……」

律「ほら、律先輩はおしとやかで美人だねとか」

梓「敬語でもお断りします」

律「てめぇ」

梓「うーん……」

律「んな考えないといけないか」

梓「だって失礼のような気がして」

律「普段よっぽど失礼なこと言ってるくせに」

梓「そでしたっけ」

律「しれっとしやがって」

梓「んー、タメ口使うって案外難しいですね」

律「そうなのか?」

梓「何か敬語じゃないと違和感が……」

律「尊敬してくれるのはありがたいけどさ」

梓「慣れって恐いです」

律「あ、ただの慣れですか」

梓「……」

律「とりあえず先飯食っちゃおうぜ」

梓「……」

律「」ムグムグ

梓「うーんうーん」

律「」ズズ

律「んー、ちょっと味噌汁辛かったか」

梓「……」ムンムン

律「おーい梓」

梓「……」

律「ご飯冷めっぞ」

梓「……」

ピコーン!

梓「あっ!」

律「な、なんだ?」

梓「敬語じゃなくても言えそうなことありました!」

律「ふぅん、なに」

梓「……」ドキドキ

律「何だよ、言ってみ」

梓「……」ワクワク

律「?」

梓「……律先輩大好き!」

律「ぶっ!!」

梓「律先輩きたない~」

律「なな、何を言い出すんだお前は!」

梓「だってこれぐらいしか思いつかなかったんですもん」

律「他に何かあるだろっ」

梓「ばか」

律「悪口以外で」

梓「ありませんっ」エッヘン

律「いばってどうする!」

律「たくっ、もう飯食うぞ」

梓「律先輩」

律「……ぁあん?」

梓「話は終わってませんよ」

律「何のだよ」

梓「私はまだ返事をもらってません!」

律「へ、返事ぃ?」

梓「大好きって言ったら大大好きって返すんですよ!」

律「あー懐かしい歌だなおい」

梓「さぁ、律先輩」

律「ぁん?」

梓「私は想いを伝えましたよ! 今度は律先輩の番です」

律「何か話ずれてるような……」

梓「逃げるんですかっ?」ズイッ

律「」ビクッ

梓「さぁ! さぁ!」

律「」タジタジ

梓「さぁさぁさぁ!」

律(いつの間にか形成逆転!? てかこいつこんなキャラだっけ……?)

梓「……」

梓「……」ジー

律「な、何だよ」

梓「……」ウルウル

律「何で泣く!?」

梓「りつ先輩が……返事してくれない……」グス

律「はぁ?」

梓「私のことなんかどうでもいいんですね……」

律「そ、そういう訳じゃなくて」アセアセ

梓「ぐっす……ひっく……」

律「そんなことで泣くなよ、な?」

梓「……」

律「う~~」

律(こいつの涙にはどうも弱いんだよなぁ)

律(しゃあねえ、ここは私が折れるしかないか)

律「あーもう分かったよ」

梓「……?」

律「言ってやるよ」

梓「!」パアァ

律「その……」

梓「」ジー

律「わ、私は梓が、何というか……」

梓「……」

律「その、だなぁ……」

梓「……」

律「……」

シーン

律「……」モジモジ

梓「ヘタレ」

律「あん?」

梓「しくしく」

律「……」

梓「……」チラッ

律「……」

梓「……」チラッチラッ

律(こいつ本当に泣いてんのか?)

梓「早く言ってくれないと泣きやみませんよ」

律「わ、分かったよ」

梓「……」

律「その、だなぁ……」

梓「」ウズウズ

律「私は梓が、好き……だよ」

梓「大好き、ですか?」

律「うん、大好き」

梓「大大好きですか?」

律(めんどくせーなもうっ)

律「あー大大好きだよ」

梓「やったぁ!」ピョーン

律「のわっ!?」

梓「えへへ~」ゴロゴロ

律「あ、あぶねーだろ」

梓「嬉しいな嬉しいな」

律「早くどけっ」

梓「ふんふ~ん」

律「……」ハァ

梓「りつせんぱーい」

律「……何」

梓「私も大大好きですよ」ニコニコ

律「……!」カアァ

梓「どうしたんですか?」

律「何でもないっ」

梓「顔がトマトみたい」

律「うっさい!」

梓「……」ギュウゥ

律「……」

梓「律先輩あったかい」

律「私は暑い上に苦しい」

梓「恋愛に我慢はつきものですよ」

律「しなくていい我慢はするもんじゃない」

梓「いけず」

律「何とでも」

梓「……」

律「……」

梓「あっ」

律「今度は何だ」

梓「もう一つ敬語じゃなくても言えそうなことあった」

律「てかさっきからタメ口だし」

梓「うるさい」

律「はい」

梓「……先輩」

律「はいよ」

梓「いつもありがとう」

律「!!」ドキッ

梓「律先輩だいすき!」

律(こ、こいつは恥ずかしげもなく……)

梓「……」ゴーロゴロ

律「なあ、梓」

梓「……」

律「そろそろ」

梓「やだ。もう少し」

律「朝ご飯どうすんだ」

梓「温めたらいいじゃないですか」

律「お前も一限あるんだろ」

梓「さぼる」

律「あのなぁ」

梓「だって……」

律「うん?」

梓「……律先輩と一緒にいたいもん」

律「っ……」

律(あーもう可愛いなちくしょう!)

カッチコッチ カッチコッチ

律(……完全に一限遅刻)

梓「……」

律(ま、いっか。どうせ出席とらない授業だ)

梓「……」

律(てか、さっきからこう密着されてると……)

梓「……」

律(り、理性が崩壊するって)

梓「……」

律(何で私は朝からムラムラしてんだよ。チンパンジーかよっ)

律「あ、梓。そろそろ離れろ」

梓「……」

律「わ、私だって聖人君子じゃないんだから、これ以上は知ら……」

梓「……」

律「あの、梓さん?」

梓「……」スースー

律(寝てるぅぅぅっ!?)

梓「……」スヤスヤ

律(今襲っても夜ばいになんのかな)

律「……」ソー

梓「リーツ」

律「」ビクウゥゥッ

律「ま、まだ何もしてないからな! ただこれからしようとしてただけで!」

梓「むにゃむにゃ」

律「……寝言ですか」

梓「……」スースー

律「……」ハァ

律「……やめとこ」

梓「……」

律(これじゃ一限どころか二限も行けそうにないな)

律(つーか、何か大学行く気なくした)

梓「……」スースー

律(今日はこいつとゆっくり過ごすってのも良いかも)

律「」ナデナデ

梓「」ニヤー

律(可愛い顔しやがって)

律(さっきからずっと蛇の生殺し状態だけど)

律(当初の目的は達成されたからよしとするか)

梓「……」エヘヘ

律(どんな夢見てんだ)

律(今度はケンカしてる夢じゃなきゃいいな)



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最終更新:2011年11月29日 22:24