唯「おはよう」
紬「あ、唯ちゃんおはよう」
澪「唯、調子はどうだ?」
唯「うん、ぜっこうちょうだよ!」フンス
律「え?」
唯「もういいんだ!」
唯「私にとっては無かったことだし、もういいんだよ!」
澪「唯・・・」
律「・・・」
紬「でも唯ちゃんはそう考えて当然よね・・・」
唯「さ、行こ!遅刻するよ!」
唯「もう」
唯「私に残ったのはひとつだけ」
唯「天使にふれたよって曲は」
唯「あずにゃんのための歌」
唯「あずにゃんのための羽」
唯「私はそれを卒業の日に歌った」
唯「それだけしかない」
唯「お願い」
唯「この記憶だけは」
唯「取らないで―――」
・・・・・・
映画「けいおん!」大ヒット!
映画「けいおん!」を劇場で三回見るたびに映画の生コマフィルムをプレゼント!
「24回見るぜwww」
「完全ランダムかよwww」
「風景だけとかwww」
「寿司かよwww」
「お!教室ライブシーンキター!!」
「wwwwww」
「これ欲しかったシーンだwww」
「イラネ」
「外れ」
「やっぱ天使にふれたよのシーンほしいな」
・・・・・・
梓「唯先輩お久しぶりです」
唯「おお!あずにゃん!」
梓「えっとその、大丈夫ですか・・・?」
唯「あ、うんもう大丈夫」
梓「え!?じゃあ記憶が戻っ」
唯「もういいんだよ」
梓「・・・そんな」
梓「そんなのってないです!!」
唯「あずにゃん・・・」
唯「でも私にとっては無かったことなんだよ・・・?」
唯「それはきっと記憶がある私から見たらとっても悲しいことだけど」
唯「記憶が無い私はどう感じたらいいのかすらわからないんだよ」
梓「でも・・・!!」
唯「でもね」
唯「・・・」
唯「でーもね、あえーたよ、すてーきな」
唯「てんーしにー・・・」
唯「大丈夫」
唯「忘れてないから」
唯「あの日のこと」
唯「あの瞬間のことだけは」
梓「唯せんぱ・・・い・・・」ポロポロ
唯「きっとあずにゃんが覚えてることはほとんど忘れてるけど」
唯「忘れないよ」
唯「絶対」
梓「約束・・・ですよ?」
梓「もうこれ以上、何も忘れないって」
唯「わかったよ」
唯「やくそく!!」
梓「やくそくです!!」
唯「・・・えへへ」
梓「・・・えへへ」
ザザザッ・・・
「全国の劇場でこれが最後のフィルムらしい」
「フヒヒ、きっと神シーンが・・・」
「・・・」
「キター!!天使にふれたよのシーンキター!!」
唯「くっ・・・」
梓「唯先輩!?」
唯「あ・・・」
梓「唯先輩!!唯先輩!!誰か!!誰か助けて!!」
梓「唯先輩を助けてよ!!!」
唯「うう・・・」
ザザッ・・・
「この歌もあずにゃんの羽になるかな?」
唯「・・・」
梓「唯先輩!!」
唯「あずにゃん」
唯「どうしたの?」
梓「・・・え?」
唯「あれ?今何か考えてたような気がしたけど」
唯「気のせいだよね」
梓「ああ・・・」ボロボロ
唯「えっ?えっ?どうしたのあずにゃん!?」
―――
紬「というわけでついに唯ちゃんの『無くす記憶』がほぼ全て消えてしまいました」
澪「そんな・・・」
梓「うう・・・うわあああ・・・・」ボロボロ
律「梓、落ちつけって・・・」
紬「不幸中の幸いですが、無くした記憶が無くても日常生活や記憶の大まかな流れに問題はありません」
和「でも大事な記憶を無くしたことに変わりはないわ」
さわ子「そうよねえ」
憂「おねえちゃん・・・」
純(私役に立ってる?ねえ)
紬「ですがこれを好意的にとらえましょう」
梓「!」
憂「」オッ
さわ子「憂ちゃんストップ!」ガシッ
紬「ありがとうございます、さわ子先生」
憂「はあ・・・はあ・・・」
さわ子「続きがあるに決まってるじゃない、落ちついて」
紬「おそらくこれ以上記憶は無くならないわ」
紬「これからは無くした記憶を取り戻すことに力を尽くしましょう」
憂「!」
憂「すみません、早とちりして」
紬「私の方こそ言い方が悪かったわ、ごめんなさい」
梓「でもどうやって・・・」
紬「この前和ちゃんが言った話なんだけど、ここにいる全員は何故かしっくりきたのよね」
紬「だからもうそうと決めて話を進めたいの」
澪「そうだとしてもどうやって?」
律「具体的な解決策が無いんじゃどうしようも・・・」
和「私たちが『違う世界』に関われない限り解決しないわね」
さわ子「難しい話ね」
憂「『違う世界』の動向を見守るしかないんですか・・・?」
純「うーん」
純「あのですね」
純「例えばですけど」
純「『この世界』の私たちの生活が『違う世界』で漫画とか小説とかになってて」
純「それで『違う世界』のその漫画とかが捨てられたとか燃やされたとか」
純「そういう感じで唯先輩の記憶は無くなっていったんじゃないですかね」
純「『誰かの意思』じゃなく『不特定多数の意思』って感じがします」
純「直感ですけど」
紬「・・・」
純「あ、すいませんでした!生意気な事言いましたよね」
紬「それよ」
紬「私も直感だけどすごくピンときたわ」
澪「ああ、私も」
律「ほぼそれで決定と言っていいくらいしっくりきたな」
さわ子「うん」
和「確かに不思議と納得したわね」
憂「すごいよ純ちゃん!」
梓「ありがとう純」
純「え?あ、なんかどうも」
純「でも肝心の解決策が・・・」
紬「私たちの事をお話にしているなら」
紬「『違う世界』のそのお話でまた唯ちゃんのお話をやってもらえばいいのよ」
澪「どういうこと?」
紬「今唯ちゃんの記憶は一時的に失われていると仮定して」
紬「破棄かそれに準ずる行為で失われた唯ちゃんの記憶のピースをまた作ってもらうの」
紬「再発行、マスターテープのようなものがあるなら解決のはずよ」
紬「『この世界』から出来ることは新しく何かを始めたりしてアクションを起こすこと」
紬「いえ、今大学生の私たちの世界ではなく、『高校生だったころの世界』の私たちが何かしてくれれば一番なんだけど・・・」
・・・・・・
律「ドバイ!」
唯「ヨーロッパ!」
紬「温泉~♪」
澪「ロンドン・・・かな」
梓「私はどこでも」
・・・・・・
とんちゃんに決めてもらおう!
・・・・・・
唯「おお!ヨーロッパに決定だね!」
律「で、どこ行くんだ?」
唯「ヨーロッパだよりっちゃん!」
澪「じゃあロンドンにしようよ」
唯「ヨーロッパだよ澪ちゃん!」
律「いや、ロンドンもヨーロッパだろ」
唯「そうなの?じゃあロンドンでもいいよ!」
澪「ほんと?やったー!」
ザザザッ・・・
唯「ん」
ザザッ・・・
けいおん!映画ではロンドンへ!
映画を三回見るとクリアファイルをプレゼント!
ザザザ・・・
唯「あ・・・」
唯「私、大切なこと忘れてたんだ・・・」
唯「でも」
唯「思いだした・・・」
唯「そっか・・・」
唯「そうだったんだ・・・」
―――
唯「みんな~!」
紬「どうしたの?唯ちゃん」
唯「思いだした!!」
澪「え!?」
律「ほんとか!?」
唯「ロンドンも、みんなで作ったあずにゃんのための曲も!」
唯「良かったよー!!」
澪「でもどうして・・・」
紬「『この世界』の私たちが『違う世界』に気付いたことで少しだけ歴史が変わったのかも」
律「でもそれじゃややこしくなって余計・・・」
紬「多分影響は少ないはずよ」
紬「その日飲んだお茶の数とか」
澪「そんなんじゃ歴史なんて変わらないんじゃ」
紬「でも確かに変わったの」
紬「バタフライ・エフェクトってやつね」
澪「ああなるほど」
律「?」
唯「あずにゃんにまたこの曲歌ってあげようよ!」
律「お、よっしゃやるか!」
唯「今から!」
澪「今から!?」
紬「行こう!みんな!」
唯「この曲、あずにゃんの羽になるよね!」
律「なる!」
澪「絶対なるよ!」
紬「絶対!」
唯「全部思いだしたよ!!」
唯「みんな!大好き!」
天使にふれたよ
singing!
ふわふわ時間
おしまい
最終更新:2011年12月07日 20:36