澪「くそっ、くそっ……」
律「澪……」
澪「……ぐすっ」
律「泣くなよ……」
澪「……なんかごめんな取り乱しちゃって。反省する」
律「なんか私こそごめん」
澪「まったくだ」
律「おい反省はどこ行った」
澪「向こうの方」
律「ひとごと見たいに指さすな。おまえの反省心は独立して歩いてっちゃうのかよ」
澪「なんか急いでたんだって」
律「そこはゆっくりしてってください」
澪「困るよな……」
律「お前だっ」
澪「だいたい、さっきのなんだよ」
律「さっきのって?」
澪「私がBL好きって言ったら、『私も!』って言ったじゃないか」
律「あ、あれはその……勘違いしたっていうか、その、なんでもない!」
澪「勘違い?」
律「なんでもないんだって、まじで」
澪「………」
律「どうした、怖い顔して」
澪「……私、律が言おうとしたこと、分かっちゃったかもしれない」
律「え」ドキ
<わ、私も実は動物の交尾が好きすぎるという特殊すぎる趣味を持ってるんでヤンす……!>
澪「だろ?」
律「はいちがーう!っていうかそれ私の真似か!?」
澪「<こんな卑しい私めのこと嫌いにならない澪様は天使でやんす……オイラなんかその足元にもおよばない卑しい豚でヤンす……>」
律「怒るぞ!!」
澪「すでに怒ってるじゃないでやんすか。……ぷっ、やんすって……うぷぷ」
律「自分で受けんな。やんすとかオイラとか言ったことねえよ!」
澪「<秋山どん、オイラは豚肉が好きでヤンすよ!>」
律「どこの人だ!」
澪「いいかげん、品のない話はよさないか」
律「例によって私が振った話題じゃないです!」
澪「律テンション高いなあ」
律「誰のせいだ誰の」
澪「なんかもう律の後ろに『 ド ン ! 』って文字が見える」
律「ワンピースか私は。なんで今日はそんなに漫画のネタばっかり……」
澪「とにかくこういう話題はよくない。乙女として」
律「だから私じゃなくって……いや、なんかもういいや」
澪「まあ、私はたとえ律がどんな秘密を抱えてたとしても嫌いになんてなるわけないからな」
律「なんだよ、急に」
澪「べつに。言いたかっただけ。だから律も、なんかカミングアウトするなら今のうちだぞ」
律「カミングアウトって」
澪「先週までおもらししてたとか」
律「してません」
澪「今もしてるからな」
律「してません」
律「……よし、じゃあそろそろ勉強するかー」
澪「おい待てきさま」
律「なんだよ」
澪「律もなにか秘密話しなよ。私にばっかり恥ずかしい話させてずるいよ……」
律「あ、一応恥ずかしいという自覚はあったのか」
澪「ほら、早く」
律「いや、でも秘密って言ったって…」
澪「うじうじするな、男らしくないぞ」
律「女だよ」
澪「はい、律がこの遊び始めたんだから、律もやるべきだと思いまーす」
律「帰りの会の小学生かよ」
澪「間違ったことは言ってない」
律「ぐ……」
澪「律」
律「や、やっぱり言わなくちゃだめ?」
澪「りつ!」
律「わかったよ、言うから!言うからちょっと待って!」
澪「ほんとだな?」
律「うん」
澪「わくわく」
律「わくわくすんな」
澪「律の秘密ってなんだろう」
律「うるさい」
その時、律の脳裏にはさまざまな想いが到来した
律「(私の秘密って、やっぱりあれが一番の秘密……だよね
でも、こんなタイミングで告白するようなことじゃないし……)」
律「(いや、むしろこれはチャンスじゃないか?)」
律「(こんな機会でもなきゃ、言えないし……言わなきゃ、いつまでもこのままだし)」
律「(嫌われるのを怖がって大事なことも言えない私じゃ、澪と付き合う資格なんか、ないよ)」
そして仲間たちがくれた言葉がふたたび律の心にひびいた
『――このままじゃ、いつまでたってもなにも変わらないよ?』
律「(そうだよな、ムギ……)」
『私はたとえ律がどんな秘密を抱えてたとしても嫌いになんてなるわけないから』
律「(うん、澪……)」
『りっちゃんにおっぱいの大きさ勝った!ぴーす!』
律「(………………いや、今関係ないだろ唯は)」
『田井中君、まあキミもがんばりたまえー』
律「(うるさい)」
『正直律先輩より私の方が能力的にも人間的に遥かに上だと思うんです』
律「(オイ中野待てこら)」
『律先輩ってかっこいい人だねー』
律「(え……?誰だ今の子……?)」
『そう?私はパス』
律「(オイ!中野!!なんだ今の!)」
『アルスよ、決して諦めるなガオ~ン!』
律「(誰だお前はマジで)」
そして、律の出した結論は――
律「……澪!じつは私っ」
澪「う、うん」
律「じつは私、小学校四年生の時におねしょしたことある………!(ていうか言えねー!///)」
最もヘタレな道であった。
澪「ほー」
律「私は情けないやつだ………」
澪「まあまあ、小学生の時のおねしょくらいよくあることだって。私は3歳で卒業したけどな」
律「うるさい、なぐさめるな。私はだめな女なんだ……」
澪「よしよし。ところでこの話は皆にもするからな」
律「なんで!?」
澪「連絡網で回す」
律「えっ、えっ、えっ、この場だけの秘密とかそういう前提じゃなかったの今の」
澪「そんな約束いつした?」
律「ひっ、ひとでなしー!?」
澪「嘘だよ、言わないよ」
律「当たり前だ……ばらしたら絶交だかんな」
澪「絶交なんか出来ないくせに」
律「でっ、でき……なくもなくなくなくなくないような、そうでもないような……?」
澪「どっちだ」
律「うるしゃい」
澪「それにこの話は最大限利用できるタイミングまでとっとくし」
律「なにか今私の将来に暗い影を投げかけるようなこと言わなかったか」
澪「やだ。別に律をおどして何かさせようとか思ってないよ。ほんと」ワタワタ
律「嘘下手い!!」
律「……はー、なんかどっと疲れた……ていうか私ばっか損した気がする」
澪「溜め息をつくとしわ寄せが逃げていくぞ」
律「幸せだろ。そんなもんは逃げてもいい」
律「……さて」
律「勉強再開す澪「サイコロ振るか」
律「えっ?」
澪「ん?」
律「なんて?」
澪「サイコロ振ろう」
律「なんで?」
澪「え?振らないのか?」
律「むしろなんで振りたいんだ。ここは澪が『勉強するゾ律プンプン!』って私に怒鳴るところだろ」
澪「それ私の真似か?」
律「うん」
澪「私そんなんか?」
律「わりと……」
澪「もっと可愛いと思う」
律「自分で言うな」
澪「そのサイコロ、ムギが作ってくれたんだろ?」
律「そうだけど……」
澪「ならもっと使ってあげないとムギに悪いじゃないか」
律「別によくね?」
律「なに者だ秋山澪さん」
澪「あと下ネタも以外と好きだ」
律「そのカミングアウトいらない」
澪「よーし、じゃあ振るぞー」ブン
律「しかも澪が振るのかよ」
澪「もう振ったし」
律「フリーダム過ぎる」
澪「律に言われたくない」
『ポッキーゲーム』
律「…………ていっ、ていっ」
澪「おい。蹴って出た目を変えようとするな」
律「するの!?これ!?」
澪「出ちゃったんだから仕方ないだろ」
律「仕方なくなくね!」
澪「仕方なくなくない」
律「でもほら、ポッキーないし!」
律「いやー、残念だなー、ポッキーがないんじゃポッキーゲームはできないなー。
さあ、気を取り直して勉強しようぜー、はははー」
澪「持ってる」
律「アハー、持ってた、なんでやねーん」
澪「こんなこともあろうかと」
律「どんなことだよ」
澪「…律は私とポッキーゲームするの嫌なの?」
律「いやって、わけじゃ、ないけど……(むしろしたいです)」
澪「けど?」
律「恥ずかしいじゃん……」
澪「ふーん」
律「澪は恥ずかしくないのかよ……」
澪「まあ私は普通に嫌だけどな」
律「おい」
澪「うそうそ」
律「だいたい、二人きりでこんなことするなんておかしいよ……」
澪「なにが?」
律「なにがって」
澪「人前でこんなことする方が恥ずかしいだろ」
律「そうじゃなくって」
澪「ん」
律「もうポッキー咥えてはる」
澪「んん、んんんー」
律「なに言ってるか分かんない」
紬『おい、早くしろよ田井中』
律「(当たり前のように再登場するな、田井中言うな、キャラ違ってるぞ)」
紬『あら。オホホ、私ったら』
律「(それも微妙に違うぞ)」
紬『いいから早くチューしようよ、りっちゃん』
律「(ちゅーじゃない、澪が求めてるのはポッキーゲームだ)」
紬『しちゃえばいいじゃないですかー』
律「(出来るわけないじゃないですかー)」
紬『据え膳食わぬは男の恥よ?』
律「(観念がふるい!あと私は女だっ!)」
紬『女にはやらなきゃいけない時があるのっ!』
紬『いい?りっちゃん、りっちゃんが今選べる選択肢は……』
紬『A:黙ってポッキーゲームをする B:無理やりにでもキスして告白
C:なにがなんでもキスだけはして告白 D:勉強を再開する』
律「(D:勉強を再開する)」
紬『………ファイナルアンサー?』
律「(ファイナルアンサー)」
紬『しょうがない、りっちゃんが選べないようじゃライフライン使うしかないわ』
律「(おい、今私ファイナルアンサーって言ったよな)」
紬『梓ちゃーん』
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|:::::/::::::ム !::::::::::::::::/ l::∧:|:::::::::::|:::::!:::::::::|'::::ハ 「はい?」
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|:::::|:::::{ |:l::::::::| ' ィr〒ヾ,}:::::::::|::!:i:::::::::|:::::::::|
|:::::|:::::|,ィ=ミxレl::::::! い心 |:::::::/:::リ、:::::|:::::::l::! 「ムギ先輩?」
|:::::|:::::|゙ んハ ヾ" 弋少 |::/リ::::::i }::::ィ:::::::|::|
|::レ'\i 弋ソ , レ::::::::::::!ノ/!:::l:::|::|
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律「!?」
紬『急にごめんねー』
律「(おい、ムギ。なんで急に梓が現れる)」
紬『テレフォンよ!』
律「(ファイナルアンサーって)」
紬『ねー、梓ちゃーん』
律「(無視すんなー、おいムギ―)」
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|:::::|:::::{ |:l::::::::| ' ィr〒ヾ,}:::::::::|::!:i:::::::::|:::::::::| 「どこから話しかけてるんです?」
|:::::|:::::|,ィ=ミxレl::::::! い心 |:::::::/:::リ、:::::|:::::::l::!
|:::::|:::::|゙ んハ ヾ" 弋少 |::/リ::::::i }::::ィ:::::::|::|
|::レ'\i 弋ソ , レ::::::::::::!ノ/!:::l:::|::|
ヾl}:ヾ:::} /::::::::::::::!' |::::!::l:::!
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レ ヽ::_,-´:.:.||:.:.:.:.:.:.:.:.||:.:.:.:.:.:.:.:.:|| :.::.:.:.:ヽ:|::::::|
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紬『今乙女回路を通じて梓ちゃんの心に話しかけてるの』
律「(おいおい)」
最終更新:2011年12月07日 22:54