和「……」ソワソワ

和「……」チラッ

和「……ふう」

プルルルルル、プルルルルル

和「あっ!」

和「……曽我部先輩」

ガチャッ

和「はい、真鍋です」

恵「真鍋さん!?ねえねえ聞いて、澪たんったらひどいの!最近全然私に構ってくれなくて」

ピッ

和「ふう……」

和「コーヒーでも淹れようかしら?」

プルルルルル、プルルルルル

和「……」

ガチャッ

和「はい、真鍋で」

恵「何で今電話切っちゃったの!?」

和「えっと……何となく?」

恵「うう……何となくで電話切られちゃうのね、私……」シクシク

和「あの、とりあえず泣くのは止めてください先輩」

恵「ええそうね、泣いていても始まらないものね」ケロッ

和「……」

恵「こほん。それじゃあ改めて、久しぶりね真鍋さん」

和「はい、お久しぶりです曽我部先輩」

恵「大学生活はどう?もう慣れたかしら」

和「はい、大分慣れました。勉強とか大変ですけど」

恵「ふふっ、真鍋さんなら大丈夫よ。高校の時だってあんなに頑張ってくれたし」

和「ありがとうございます」

恵「そういえば……」

和「……あの、今さらそんな普通の会話をされても反応に困るんですが」

恵「ええ?意外とわがままねえ真鍋さんは」

和「……」

恵「じゃあ本題を……」

和「はい、手短にお願いします」

恵「……真鍋さん、なにか怒ってる?」

和「怒ってませんよ」

恵「そう?じゃあ私の愚痴を聞いて……」

和「……」スッ

恵「今電話を切ろうとしなかった?」

和「気のせいです」

恵「それでね、最近みおた……秋山さんがひどいの……」

和「澪がどうしたんです?あの子は曽我部先輩にひどいことをするようには思えないんですが」

恵「ううん、ひどいの。私に全然構ってくれないの」

和「もう切っていいですか?」

恵「ダメ」

和「……」

恵「一緒の大学になったし、寮も一緒になったからいっぱい仲良くできると思ってたのに……」

和「はあ……」

恵「何でため息吐くの!?」

和「先輩、澪の性格を考えてください」

恵「秋山さんの性格?」

和「はい。あの子は極度の恥ずかしがり屋なんですから、自分から先輩に構いに来るなんて無理です」

恵「そ、そっか……」

和「とくに曽我部先輩は澪をひどく怖がらせた過去があるんですから。多少の苦手意識はあると思いますよ?」

恵「真鍋さんもひどい……」グスッ

和「泣かないで下さいってば」

恵「……どうすればいいのかしら?秋山さんともっと仲良くなりたいのに」

和「だから曽我部先輩から近づけばいいんですよ」

恵「で、でも怖がらせちゃうかもだし……」

和「先輩は極端なんですよ。ちゃんと誠実な対応をして下さい」

恵「難しいわね」

和「難しくはないですよ。生徒会の時みたいに大人っぽくて、聡明で頼りになる先輩を演じればいいんです」

恵「演じるってそんな……」

和「とにかく。曽我部先輩は暴走しなければ誰からも好かれる人なんですから大丈夫です、自信を持ってください」

恵「う、うん……ありがとう、真鍋さん」

和「……澪だって曽我部先輩と仲良くなりたいって思ってるはずですから」ボソッ

恵「本当に!?澪たんが私とっ!?」

和「……」

恵「あ……」

和「だから暴走しないで下さいってば」

恵「ごめんなさい」

和「そういえば曽我部先輩は律と仲良かったですよね?」

恵「りっちゃん?ええ、結構話したりしてるわ」

和「律は澪の扱い方をよく分かってますから、律にも相談するといいかもしれませんよ?」

恵「なるほど……」

和「律と一緒に三人で、とかなら澪も気兼ねなく遊びに行ってくれたりしますよ、きっと」

恵「秋山さんと遊びに……!」メモメモ

和「でも律の悪ふざけには乗らないで下さいよ?」

恵「うん、分かった!」

和「とりあえず私に言えるのはこれくらいなんですが……」

恵「十分よ!真鍋さん、本当にありがとう。あなたに相談してよかったわ!」

和「そうですか、私もお役に立ててよかったです。ところで、あの……」

恵「なあに?」

和「えっと……何でもないです」

恵「……」

和「……」

恵「何でもないってことはないでしょう?何か悩みがあるなら相談に乗るわよ?」

和「ん……」

恵「私じゃ頼りにならないかしら?」

和「そんなわけじゃないですが……えと、悩みとかそういうのじゃなくて」

恵「じゃあ何?」

和「その、唯……は、どうしてますか?」

恵「平沢さん?」

和「はい……元気にしてますか?」

恵「ええ、すっごく元気よ。今日も朝から遅刻する~ってドタバタ走って大学に行ってたけど」クスクス

和「そうですか……」

恵「でも何でそんなこと聞くの?」

和「え?」

恵「確か真鍋さんは平沢さんと幼なじみだったわよね?自分で聞けばいいのに」

和「ん……それは……」

恵「それは?」

和「……だって、最近唯が電話してきてくれなくて……」ボソボソ

恵「……」

和「そ、曽我部先輩?」

恵「ぷっ、ふふふ……真鍋さんって意外と乙女なのね?」クスクス

和「なっ!?そ、そんなんじゃないです!」

恵「気になるなら自分から電話すればいいじゃない」

和「でも、そんなことしたらまるで私が唯と話したがってるみたいじゃないですか……」

恵「まさしくその通りなんじゃないの?」

和「ち、違いますから!ただ唯がちゃんとしてるか心配なだけで……!」

恵「それなら堂々と電話しちゃいなさい。平沢さんはあなたからの連絡なら絶対喜ぶから」

和「そ、そうですか……?」

恵「当たり前じゃない」

和「でも、帰省した時に会えるんだし、わざわざ私から電話しなくても……」

恵「もう……真鍋さんって意外と……」

和「い、意外と何ですか!?」

恵「ふふ……あら?」

和「どうかしたんですか?」

恵「真鍋さん、ちょっと待っててね♪」

和「えっ?はい」

和「……何だろ」

和「…………」

ゴソゴソ

「もしもーし」

和「あ、曽我部先輩ですか?何が……」

唯「その声ってもしかして和ちゃん!?ひっさしぶり~♪」

和「へっ、ゆい?……唯っ!?」

唯「私だよ~」

和「なっ、何で唯が……」

唯「え?さっきめぐみん先輩が私と話したい人がいるからって電話を代わったんだけど……」

和「……」

唯「和ちゃん?お~い」

和「曽我部先輩……やってくれましたね」ボソッ

唯「ほえ?」

和「ううん、何でもないわ。ところで唯、ちょっと電話切ってもいいかしら?」

唯「ええっ!?もっと和ちゃんとお話したい~!」

和「……ふふっ、すぐに唯の携帯にかけ直すわよ。今使ってるの曽我部先輩のでしょ?」クスクス

唯「おお、そうでした!じゃあ待ってるよ和ちゃ~ん♪」

和「ええ、また後でね」

ピッ

和「さて……」カチカチ

……

唯「めぐみん先輩、携帯ありがとうございました!」

恵「どういたしまして。これから部屋でゆっくりお話かしら?」

唯「はい!久しぶりだからいっぱい話します♪」ニコニコ

恵「うふふ、ほどほどにね?」

唯「は~い、失礼しまーす!」タタタッ

恵「……よかったわね、真鍋さん」クスクス

恵「それにしても、狼狽する真鍋さんの声を聞けなかったのはちょっと残念かな?」

コンコン

恵「あら?はーい、どなた?」

ガチャッ

澪「し、失礼します」

恵「えっ!?みおた……秋山さん?どうしたの突然……」

澪「えっと、和からさっき電話がかかってきて……曽我部先輩が私に話があるって」オドオド

恵「……」

澪「曽我部先輩?」

恵「ふふっ。やってくれるわね、真鍋さん」

澪「えっと……」

恵「ああ、ごめんねこっちの話。それより秋山さん、明日は時間あるかしら?」

澪「明日ですか?午後からなら……」

恵「じゃあねえ、りっちゃんも誘って一緒に……」

……

和「ふう……」

和「曽我部先輩、借りは返しましたからね?」

和「さて、と」カチカチ

プルルルル、プルルルル

ガチャッ

唯「ほいほーい、待ってたよ~♪」

和「唯、元気だった?」

唯「もちろん!和ちゃんは?」

和「ふふっ、元気よ」

唯「和ちゃんは今度のお休みは帰ってくるの?」

和「ええ、そのつもりだけど」

唯「やったあ!久しぶりに和ちゃん分を補給できるよ~♪」

和「何よそれ」クスクス

唯「そうだ!今度のお休みは旅行に行かない?憂とかも誘って……」


おしまい



最終更新:2011年12月13日 20:56