~3分後~

律「・・・死刑執行が先に延びただけだったな」

唯「でも、あの怖さから逃げられただけでも嬉しいよぉ」

律「なんで、うまい棒買うのにこんな思いしてるんだ~」

唯「ギー太買った時より緊張したかもぉ」

律「・・・・・・あ」

唯「ん?今度はなに?」

律「さわちゃんから、お金借りるの忘れた」

唯「あぁぁ、そうだったぁ」

律「こ、こんだけの思いして、状況が変わってないって・・・」

唯「時間だけがたっちゃったねぇ」

律「泣きたく・・・なったきた」

唯「律っちゃん、わたしの胸で泣いていいよっ」

律「・・・唯」

唯「・・・律っちゃん」

律「唯ぃぃぃぃぃ!」

唯「律っちゃぁぁぁぁぁんっ」

ガシッ ギュッ

律「信じてた、唯だけはそばにいてくれるって信じてた~」

唯「世界が律っちゃんを見捨てても、わたしは見捨てないよっ」

店員2「な、なんなのあれ」ヒソヒソ

店員1「み、見るな、見なかったコトにしろ」ヒソヒソ

律「わたし、あまりの幸せに変になっちゃったのかな~」

唯「ふぇ?」

律「店の外で、こっち見て笑ってるムギが見える~」

唯「ほんとだ~、幸せそうに笑って見えるねぇ」

律「手を振ってみよっか~」

唯「あ、手を振り返したぁ」

律「幻って、こんなハッキリ見えるもんなんだな~」

唯「まるで本当にそこにいるみたいだねぇ」

律「銃で撃ったふりしてみよう」

律「ばぁん!」

唯「あ、撃たれたふりしてるぅ」

律「倒れるかどうか迷ってるな」

唯「道路だからねぇ」

律「って、おい!」

唯「へ?」

律「本物じゃん!」

――――

紬「もう、二人ともお店の中で抱き合ってるなんて///」

律「違う!違わないけど、違う!」

唯「本物のムギちゃんだぁ」

律「唯・・・わたしたちは」

唯「救われた・・・救われたんだねっ」

律「ムギぃぃぃぃぃ!」

唯「ムギちゃぁぁぁぁぁんっ」

ギュッ

紬「え?な、なに?」

店員2「増えたんだけど」ヒソヒソ

店員1「しっ、関わっちゃダメだって」ヒソヒソ

紬「そ、そんな・・・3人でだなんて///」

律「もう、言い返すのも面倒だ~」

唯「この幸せにひたっていいんだよ、律っちゃんっ」

紬「なんだか分からないけど、わたしも幸せ♪」

客1「これ、どっかの撮影かなんか?」ヒソヒソ

客2「・・・幸せそうで羨ましいなぁ」

客1「は?」

律「うわっ!いかん!」

唯「ど、どしたの?律っちゃんっ」

紬「びっくりした」

律「唯、重大なコトを忘れてるぞ!」

唯「そうだったぁ」

紬「二人とも、どうしたの?」

唯「ムギちゃん、お願いがあるんだけどっ」

紬「は、はい?」

律「小銭がないんで、お金貸してくれ!」

紬「なにを買うの?」

唯「こ、これを・・・」

紬「な、なに・・・そのクシャクシャになったもの」

唯「ずっと握ってたら・・・こうなっちゃった」

紬「そ、そうなんだ」

律「・・・わたしのも」

紬「なんで・・・二人ともクシャクシャなの?」

律「あまり深く聞かないでくれぇ」

紬「う、うん・・・そうする」

紬「じゃあ、買うものこっちに貸して♪」

唯「ごめんねぇ、ムギちゃん」

律「悪い、すぐ返すからさぁ」

紬「これ、いくらなの?」

唯「え、えっと・・・」

律「・・・・・・・・・えん」ボソ

紬「え?」

唯「・・・1本10円っ」

紬「・・・いま、10円って言った?」

唯「あぅぅ」

律「お願いだから、深く聞かないでっ」

紬「わ、わかった」

紬「これください♪」

店員1「は、はひ!いらさいませ!」

紬「どうかされましたか?」

店員1「な、なんでもありましぇん!」

ピッ ピッ

店員2「に、20円になりま~す」

紬「あ、小銭がない・・・カード使えます?」

店員1「だ、だだ、大丈夫です!」

律「か、カード!?」

唯「うまい棒をカードで買うヒト、初めてみたぁ」

律「わたしたちの苦労は・・・」ガクッ

唯「いったい、なんだったのぉ?」ガクッ

紬「はい、買った・・・よ?」

唯「あ、ありがとぉぉぉぉぉ」

律「助かったぁぁぁぁぁ」

紬「ど、どうしたの二人ともっ!?」

唯「い、いろいろ・・・あったの」

律「はははは・・・はは」

紬「ふ、深く聞かないでおくね」

律「とにかくやっと、地獄から解放された」

唯「長かった・・・長かったね、律っちゃんっ」

ガーッ

唯「そ、外だぁっ」

律「我々は生還したんだな~」

店員2「あ、ありがとう・・・ございました~」

紬「あれ?」

唯「どしたのぉ?」

律「お~、今度は澪の幻が見えるぞ~」

唯「本当だぁ、なんか機嫌悪そうだねぇ」

澪「なにが幻だっ」

唯「おぉ、本物だぁ」

紬「澪ちゃんも買い物?」

澪「律から電話があって、気になって出てきたんだ」

律「澪・・・澪ぉぉぉぉぉ!」

唯「その優しさに涙が出そうだよっ」

ガシッ ギュッ

澪「なっ、お前達なにやってんだっ」

紬「じゃあついでにわたしも、ぎゅ~♪」

店員2「また増えたかも」

店員1「み、店の外だ・・・関わりたくない」

澪「恥ずかしいから、離せぇぇぇぇぇ」

律「このくらいで恥ずかしいと思うなんて、まだ澪は甘いな!」

唯「こんなのは試練のうちに入らないよっ」

紬「なんかわからないけど、暖かくて幸せ~♪」

律「今日はこのまま、お菓子いっぱい買ってパーティをしよう!」

唯「やったぁ♪」

紬「だって、お金ないんじゃ?」

律「小銭はないけど、1万円札ならある!」

澪「だったら、それでうまい棒買えよ」

ガーッ

店員1「いらっしゃいま・・・せぇぇぇぇぇ!?」      END




最終更新:2011年12月20日 01:56