路地裏

菫「あ、あなたたち!許してあげるから帰りなさい!」

男1「あ?びびってんのか?」

男2「もう金だけで済むと思うなよ?ガキ」

男3「ジャップが」

菫「口で言っても分からないなら、暴力で分からせますよ」ドキドキ

男1「やってみろや!」

菫「きゃっ」

菫(落ちついて、私)

菫(冷静に、冷静に)

男「おらぁ!」

菫「はっ」クルッ

男1「ぐはっ」ズダン!

菫「どうですか!琴吹流合気の技は!」

菫「関節を極めてるんですよ、降参してください!」

男1「くっ、てめえらやっちまえ!」

菫(あ、そうだこれはいつもと違うんだ)

菫(1対1じゃないんだ)

菫(ああ・・・)

菫「ごめんなさいお嬢様・・・」

斎藤「謝らなくていいと言ったろ」

菫「お父さん!?」

斎藤「執事長と呼べと」

男2「ぐはっ」ズン

斎藤「言っているだろう」

男3「ごほっ」ズン

菫「あっという間に・・・」

男1「あ・・・なんだこいつ・・・」

斎藤「起きたまえ」

男1「は、はい」

斎藤「これは三人の治療費だ、これを持って」

斎藤「消えたまえ」ギロ

男1「す、すみませんでしたー!」ピュー

菫「おと・・・執事長」

菫「すみません・・・私・・・役立たずで」

斎藤「だから謝るなと言っているだろう」

菫「・・・どうしてここにいるんですか」

菫「ホテルにいったんじゃなかったんですか」

菫「私・・・お嬢様も守れなかったし・・・執事長にも助けてもらって」

菫「役立たずの・・・馬鹿で・・・何も出来なくて・・・」グス

斎藤「・・・」

斎藤「私も親馬鹿だな」

斎藤「紬お嬢様の監視より娘を助ける方を優先してしまうとは」

斎藤「まだ15歳のお前を、一人で放っておけなかった」

斎藤「私こそ、執事失格だ」

紬「そんな事ないわ」

菫「え?」

斎藤「やはり、気付いておられましたか」

紬「うん、私だってそんなに抜けてないわよ」

紬「私の事守ってくれてありがとう、斎藤。それに菫ちゃん」

斎藤「私にはもったいないお言葉で・・・」

菫「す、すみません紬お嬢様・・・せっかくの旅行を・・・」

紬「謝るのは無しよ」

菫「は、はい。すみません」

紬「もう」

紬「それじゃ私行くね」

斎藤「お気をつけて」

紬「護衛とかはもういらないからね」

斎藤「紬お嬢様もお強いですからな」

紬「もう、そういうんじゃなくて」

菫「お気をつけて」

紬「あ、菫ちゃんあとでお話があるの」

菫「え?」

紬「一緒のホテルなんでしょ?また夜に会えないかしら?」

菫「は、はい」



菫「ロビーで待っててってメールがきたけど、なんだろう?」

菫「やっぱり怒られるのかな?」

斎藤「菫」

菫「わっ執事長」

斎藤「今日のお前の仕事は終わりだ、明日の朝まで好きに過ごせ」

菫「わかりました・・・でも執事長は」

斎藤「私は護衛がある・・・それに」

斎藤「今は執事長ではない」

斎藤「たまには一人の女の子としてすごしてみろ」

斎藤「ではまた明日・・・」

菫「お父さん・・・」

紬「菫ちゃん」

菫「わっ紬お嬢様」

紬「斎藤との話聞いちゃった」

菫「えっ?」

紬「今はメイドじゃないんでしょ?じゃあ、いつもの堅苦しいのは抜きで!」

菫「ですが・・・」

紬「じゃあ命令しちゃうわよ?」

菫「分かりました紬お嬢様」

紬「ねえ菫ちゃん」

菫「はい?」

紬「小さい頃の事覚えてる?」



―――ねえ、私と友達になって?―――

―――申し訳ありません、私は紬おじょうさまのしつじですので―――

―――えー?そんな事言わないで友達になりましょ?―――

―――申し訳ありません紬おじょうさま―――




紬「・・・」

菫「・・・」

紬「私の友達になってよ、菫ちゃん」

菫「そんな、無理です」

紬「私の事嫌い?」

菫「大好きです!・・・けど」

紬「今はメイドじゃなくて一人の女の子だって、執事の中で一番偉い人が言ってたわよ?」

菫「うう」

紬「じゃあせめて、紬さんって呼んで?」

紬「今夜だけでいいから」

菫「・・・わかりました」

菫「紬・・・さん」

紬「うふふ」

こうして夜は更けていった




斎藤「では今日も護衛、気を抜かずいくぞ」

菫「はい!」

菫(昨晩の事は夢みたいだったけど)

菫(・・・とっても楽しかった!)

斎藤「ふっ」

菫「よーし!がんばるぞー!」

そんなこんなで特に初日のような事件も起こらず最終日です

多分事件が起こらなかったのは執事長が変なオーラを放って周りの人を威嚇してたからだと思います

斎藤「わかった」

斎藤「紬お嬢様のキーボードが届いたそうだ」

斎藤「届けてさしあげなさい、菫」

菫「はい!」

菫「行ってきます!」

紬「あ、ちょっと待って」タタタ

律「どこ行くんだ?ムギ」

紬「あ」

紬「菫ちゃんが持っててくれたのね」

菫「はい!」

紬「今日これからライブなの!聴きに来てくれるわよね?」

菫「はい!楽しみにしてます!」

紬「ありがとう!それじゃキーボードもらっていくわね」

菫「はい!お気をつけて!」

菫「・・・」

斎藤「メイドと主人がまるで友達同士だな」

菫「ひえっ・・・すみません」

斎藤「謝るな」

斎藤「それで・・・いいんじゃないか?」

菫「おと・・・執事長!」


ライブ会場

菫「わあ・・・すごい!」

菫「紬お嬢様かっこいいです!」

菫「わあ~・・・」

紬(菫ちゃんいた!)

紬(よ~し!もっと頑張る!)

斎藤(紬お嬢様も菫も)

斎藤(まだまだ子供だな・・・)

斎藤(おっと、これは失礼しました)



飛行機内

律「なあムギ、それ誰にあげるお土産なんだ?」

紬「え?これ?」

澪「ま、まさか彼氏とか・・・」

紬「彼氏なんていないわよ~」

唯「え~ムギちゃん彼氏いるの!?」

梓「唯先輩機内では静かに・・・ってムギ先輩彼氏いるんですか!?」

紬「だから彼氏じゃなくて・・・」





菫(楽しそうで良かったです、紬お嬢様)


―――

琴吹邸

紬「菫ちゃん今いいかしら?」

菫「はい、どうぞ」

紬「お土産買ってきたわよ」ガチャ

紬「まあ、菫ちゃんもずっとロンドンにいたからなんか変な感じだけど」

菫「すみません」

紬「謝らない」

菫「すみません」

紬「おそろいのなにかがいいって言ったから」

紬「じゃん!キーホルダーです!」

菫「わあ!きれいです!」

菫「でもこれなんの形ですか?よくわからないです」

紬「これは私のとくっつけると・・・」

菫「あ!ハートになりました!」

紬「けいおん部のみんなとは5人でおそろいの『けいおんぶ』キーホルダーだから」

紬「菫ちゃんとは2人でおそろいの『ハート型』キーホルダーよ~」

菫「紬お嬢様・・・!」

菫「私なんかのために・・・」

菫「ほんとになんと言ったらいいか・・・!」

紬「高かったんだから大事にしてね?」

菫「えっそんな高級なものを私なんかに・・・」

紬「あ、いやからかっただけよ」

紬「だから謝らな・・・」

菫「紬お嬢様!」

菫「ありがとうございました!」

紬「・・・うん!」

斎藤(勤務中にお嬢様と・・・)

斎藤(ま、今日くらいは大目に見ましょう)






最終更新:2011年12月22日 06:08