澪の部屋

律(ちくしょー…何も見えない…。これじゃ靴下なんてどこにあるか…)

ガチャ
ジャー…ガラガラガラ…

律「!?」ビクッ

律(やばっ!?トイレの音!?澪のやつ寝てたんじゃねーのかよ!)

律(ど、どこか隠れるところ…!)ウロウロ

ゴン!

律(~っ!!スネぶつけた!!)

律(あ、こ、これベッドだ!よし!ベッドの下に隠れよう!)カサカサカサ

澪「ん?今何か音がしたような…」

シーーーン

澪「気のせいか…」

澪(はぁ…)

澪(やっぱり律は今頃サンタさんにもらった彼氏と…)

澪(この時間帯は特にそ、そそそういう時間だって言うし…///)

澪(……)

澪「はぁ~……」ズゥゥゥン…

澪「あー!!もう!何で私が落ち込まなきゃいけないんだっ!!」

澪「律が悪い!!」

律(げぇっ!バレてんの!?)ドキドキドキドキ

澪「全部律のせいだ!律が全部悪いんだ!!」

律(ど、どうする…?どーすんの私…!)ドキドキドキドキ

澪「もういい!寝る!」ボスン ガバッ

律(な、なんだ?バレてないのか?)

シーーーン……

律(……)

律(……)

律(……寝た…のかな?)

律「……」コソコソ

澪「スウ…スウ…」

律(よし、寝たみたいだな。目も慣れてきたし……お、靴下はこれか)

律(ではではこの体重計を入れまして、と)ゴソゴソ

カサッ

律(ん?なんだ?靴下の中に手紙?)

律(あ、そっか。靴下の中にサンタへのお礼のお菓子と手紙入れておくんだっけ)

律(まぁ私は人の手紙を勝手に読むなんてことはしないけど…)

律(今の私はサンタだからこれを読む権利があるんだなーこれが!)

澪「スウ…スウ…」

律(へっへっへ…。まったく、大変な目に合わせやがって。そいじゃ澪のハズカシー手紙を読ませてもらうぜ!)

カサッ



【サンタさんへ】

『47キロ以下の身体はやっぱりいりません。』




律(な、なにぃーーーー!?)


『そのかわり律に彼氏ができても
 今まで通りでいてくれるようにしてください。
 ちゃんと私に話してくれるようにしてください。
 私はいくら太ってもいいので、サンタさんお願いします。
 わがまま言ってごめんなさい。

   秋山澪         』


律(……なんじゃこりゃ)

澪「スウ…スウ…」

律(なんだよ彼氏って。そんなんいないっつーの。出来る予定も全然な……)

律「あ」


私『か、彼氏…かなー…』


律(あ、あー…あー…!あの時のあれ…かー…。うわ~…)

律(ま、まずいぞ。これじゃ体重計をつっこんでも意味ないし…)

律(私彼氏なんていないから澪に話すも何もないし…)

律(…ていうかこれ、要するに澪がサンタにお願いしてるプレゼントって…)

律(わ、私じゃんか…!!)

律(……)

律(うわーーーーーー!?かゆいかゆいかゆい!)カイカイカイ

律(どうすりゃいいんだよ!?何?私が靴下ん中入るとかそういう事かよ!?)

律(アホか!できるかそんなこと!もう帰るわ!)

律(……)

澪「スウ…スウ…」

律(ぬ、ぬぐぅ~…)

律(ここで私が帰っちゃったら……)


ホワンホワンホワワワーン

澪『うわーーーー!サンタが来なかった!サンタはウソだったんだ!』

澪『りつ!りつぅー!どうしよう!サンタはいなかったんだ!りつぅー!』ユサユサ

私『『『……』』』ユサユサユサユサ


律(……澪の夢を壊さないためにやってきたんだしなぁ…)

律(……)

澪「うぅ…り、つ……律……。スウ…スウ…」グスン

律(だぁーっ!わかったよ!靴下の中入ってればいいんだろ入ってれば!!)

律(今年だけだからな!来年はもう勝手にしろ!)ゴソゴソ

律(まさか靴下の中でクリスマスを過ごす事になるとは…)ハァ

律(ん?…あ、サンタのお返しのお菓子か、これ)ゴソ

律(……)モグモグ

律(……んまい)





澪の部屋の外

恵「大丈夫!プレゼント置くだけ!置くだけだから!」ハァ、ハァ

唯「めぐみん先輩待って!お願いだから朝まで待って~!」ズルズル

紬「お願いします!お願いですから…!」ズルズル

恵「この日のためにバイト代貯めてきたのよ!夜のうちに秋山さんに渡さないと…っ!」ハァハァ

カチャ

恵「やった!鍵開いたわ!」

唯「な、なななんで合い鍵持ってるの~!?」ズルズル

恵「澪タン!メリークリスマース!!」ガチャ

シーーーン…

紬「ほ、ほら!澪ちゃんもう寝てるみたいですから!」ズルズル

恵「プレゼント置くだけだからっ」


靴下(!?)

靴下(は?何?先輩と唯とムギの声?あいつら外見張ってたんじゃねーのかよ!?)


恵「あっ!靴下!うふふ、澪タンったらまだサンタさんを信じてるなんて…///」

靴下(くそっ!どーなってんだよ!外の様子が全然わからん!)

紬「先輩静かに!澪ちゃん起きちゃいますから!」ズルズル

紬(りっちゃんは…?りっちゃんはどこ…?もう体重計は入れ終わったの…?)

恵「大丈夫!靴下の中にこの、ネックレスが入った小箱を入れたらすぐ帰るから!」

恵「えいっ」ズボ

靴下「うぁいでっ!?」ゴン

唯紬恵「!?」

唯「い、今…」

紬「靴下が…」

恵「しゃ、喋った…?」

唯紬恵「……」

唯「め、めぐみん先輩…靴下つついてみて…」

恵「う、うん」

ヅン!

靴下「んぎっ!!」ビクン

唯恵「ひぃっ!?」

恵「な、なによこの靴下…?今ビクンって動いたわ…」

唯「こ、こここ怖いよムギちゃん…」ブルブル

紬「も、もう一回私が小突いてみる!」

紬「えいっ」

ゴツン!!

律「痛っ……やめろっつーの!!」ガバッ

唯「り、りっちゃん…?」

恵「なんでりっちゃんが靴下の中に…」

紬「体重計はどうしたの…?」

律「どうしたのじゃないっつーの!ヅンヅンポカポカすんな!ていうかなんで部屋入ってきてんだよ!見張ってろよ!」

唯紬恵「え?え?」

律「まぁーったく!人が恥ずかしい思いして隠れてんのに!何すんだよ!!」

紬「り、りっちゃん落ち着いて!あんまり大きい声出すと澪ちゃんが…」

律「これが落ち着いていられるかー!!」


澪「ん……あれ?律…?唯とムギと…恵先輩…?」ゴシゴシ

律「!?」


…………………
…………


澪「そ、そっか…。じゃあサンタさんは…私のお父さんとお母さんが演じててくれたんだな…」

紬「ごめんね澪ちゃん…。その…私達…」

唯「澪ちゃんの夢を壊したくなくて…」グズグズ

律「そう!悪気はなかったんだ!澪の事を思って!」

澪「あ、うん…。いいよそんな…。あははは…」

恵「ごめんなさい…。何か私が台無しにしちゃったみたいね…」

澪「そ、そんなことないです!みんなが私のためにここまでしてくれて嬉しいですし…。そりゃサンタさんがいなかったのはショックですけど…」

澪「欲しかったプレゼントはちゃんと貰えたので…」

律(ぬおー!かゆいかゆいかゆい!)

唯「そういや結局りっちゃんは何で靴下の中に入ってたの?」

律「やめろ聞くな」

澪「あっ!…律、まさか靴下の中の手紙読んでないよな?」

律「も、もちろんですとも」

澪「本当だな?」

律「イエースオフコース」

澪「…ならいいけど」

律「そ、それより!せっかくみんな集まったんだからクリスマスパーティー!パーティーしよーぜ!な!」

唯「でももう夜遅いよ?」

律「大学生といえばオールだろ!朝まで飲み食いできるのが大学生の特権!」

紬「わぁ!やろうやろう!」

唯「やったー!じゃあ早速ジュースを注ぎまして…」

恵「みんなグラス持った?」

一同「メリークリスマース!」カーン


翌朝

晶「はぁ……」ズーン

澪「あ。おはよう晶。…元気なさそうだね?」

晶「あ、澪…」

晶「……なぁ、私って今年悪いことしてたと思う?」

澪「え?」

晶「今年、サンタ来なかったんだよな…私のところ…。偽物は来たけど…」

晶「靴下の中も手付かずでさ…」

澪「…ねぇ晶」

晶「…ん?」

澪「まだサンタ信じてたのか?あれってパパとマ…お父さんとお母さんが仕込んでるんだぞ?」

晶「!?」




おしまい



最終更新:2011年12月25日 09:07