今日は私の二十歳の誕生日
和「それじゃ失礼しました」
和「ふう、帰ってご飯の支度しなきゃ」
大学に入ってバイトを始めてからは毎日が忙しくて大変です
講義もサークルも出るとなると体がいくつあっても足りないと思います
和「今日で二十歳か」
和(昔は唯たちと誕生日パーティーをしたこともあったけど)
和(もうそんな年でもないのかしら)
和(大人になっちゃったのね、私)
和(同級生やサークルの友達とは仲良くしているけど)
和(どこか壁を感じちゃうのよね)
和(大学生特有の雰囲気についていけない私が悪いんだけど)
和(高校の頃が・・・一番楽しかったかも)
和「さて、今日は何を作ろうかしら」
和「せっかくだから何か誕生日らしいものでも」
和「せっかく成人したんだから何か特別な物がいいわね」
和「あ、そういえば放課後ティータイムの曲で」
和「頑張った自分にご褒美を~あ~げて、ま~た頑張ろ~」
和「って曲があったわね」
和「頑張った自分へのご褒美か」
和「うーん」
和「・・・」
和「お酒でも飲んでみようかしら」
和「もう二十歳だし大丈夫よね」
和「・・・ほんとに大丈夫かしら」
和「ちょっと怖いわね」
コンビニ
店員「あざーしたー」
和「買っちゃったわ・・・」
和「ビール」
和「前に映画で冷えたビールをおいしそうに飲んでたから」
和「おいしいのよね、きっと」
和「・・・」
和「とりあえず家に帰ってからね」
和「あ、電話が」ピピピピ
和「はい」
唯「あ、和ちゃん!」
和「あら唯」
唯「やっと出たよ~」
和「どうしたの?」
唯「今から私の家に来れない?」
和「今から?」
唯「うん!」
和「わかった、じゃあお邪魔するわ」
唯「わ~い!待ってるね!」
和「久しぶりに唯の声聞いたわね」
和「今からって何の用かしら」
和「まあとりあえず行ってみようかな」
和(なんだか嬉しいわ、唯と一緒に居られるなんて)
和(唯っていつまでも私に頼って心配だったけど)
和(ほんとは私が唯から離れられなかったのね)
和(まだまだ私も子供ね)
和「さて」ピンポーン
唯「あ、和ちゃん!」
和「久しぶりね唯」
唯「まあまあ入ってよ」
和「お邪魔するわ」
唯「どうぞどうぞ」
和(懐かしい)
和(唯、変わってなくて安心したわ)
和「今日はどうしたの?」
唯「どうしたのって和ちゃん」
唯「誕生日だよ!和ちゃんの!」
和「えっ」
唯「しかも二十歳の!お祝いしなくちゃね!」
和「あ、ありがとう」
唯「もしかして自分の誕生日忘れてたの?和ちゃんってば」
和「あ、そういうわけじゃ」
唯「まあまあほら座って」
和「うん」
和(覚えててくれたのね)
唯「憂がご飯作ってくれてるから待っててね」
和「いつまでも憂に甘えてちゃだめよ唯」
唯「そ、そんなことないよ!」
唯「憂の花嫁修業に付き合ってあげてるんだよ!」
和「憂がお嫁さんに行ったら唯はどうなっちゃうのかしら」
唯「え~やだよ!憂は誰にもやらないよ!」
和「どっちなのよ・・・」
唯「あれ?」
和「ふふ」
憂「あ、和ちゃんいらっしゃい!」
和「あら憂、久しぶり」
憂「和ちゃーん!」ダキッ
和「わっ、ちょっと憂」
唯「あ!ずるい!」
唯「私も~!」ダキッ
和「ちょっと二人とも」
憂「会いたかったよ和ちゃん」ギュー
唯「私だって会いたかったもん!」ギュー
和「・・・」
和(私だって会いたかったわよ)
和(二人とも、ありがとう)
和「ほら憂、料理中じゃなかったの?」
憂「あ、そうだったよ」
憂「じゃあもうちょっと待っててね」
唯「ふっふっふ、勝った」
唯「和ちゃんは私のものです」
和「ほら唯も離れて」
唯「ああん」
和「もう、いくつになっても唯は唯ね」
唯「それほどでもないよ」
和(いくつになっても唯が唯でいてくれて)
和(ほんとに嬉しいわ)
唯「和ちゃんが変わってなくて安心したよ」
和「えっ」
唯「だって大学生だよ?」
唯「なんか派手になったり性格が変わったり」
唯「あとはその」
唯「か、彼氏とか」
和「彼氏?」
唯「出来ちゃったりとか・・・した?和ちゃん」
憂「和ちゃん」
和「うわっ、いつからそこにいたの憂」
憂「ご飯支度終わったから来たんだよ」
憂「和ちゃん彼氏できたの?」
唯「どうなの?」
和「彼氏ってそんな」
和「いないわよ彼氏なんて」
唯「・・・良かった~」
憂「和ちゃんはいつまでも純真無垢な女の子でいてね」
和「嬉しいような悲しいような」
和「あんたたちはどうなのよ」
唯「私?いないよ」
憂「いるわけないじゃない和ちゃんてば」
和「それはそれで心配なんだけどね」
唯「まあまあ独り身同士仲良くしましょうお嬢さん」
憂「うんうん」
和「そうね、別に焦るようなことでもないわよね」
唯「和ちゃん、ところでそれ何?」
和「あ、これは」
唯「見せて~」ガサゴソ
和「あ、ちょっと唯」
唯「・・・」
憂「何何?お姉ちゃん」
唯「ビールだ・・・」
憂「ええっ!?」
和「あらら」
唯「和ちゃんが不良になった・・・」
和「不良ってちょっと唯」
憂「和ちゃんが・・・そんな・・・」
和「憂まで何言ってるのよ」
唯「何言ってるのはこっちのセリフだよ!」バァン
和「きゃ、ちょっと落ちつきなさい唯」
憂「これが落ちついていられるもんですか」バァン
和「もう、どうしてこうなるのかしら」
唯「ちゃんと説明してもらうよ和ちゃん」
憂「お母さん許しませんよ!」
和「お母さんじゃないでしょ憂は」
唯「憂、和ちゃんにノリツッコミは通じないよ」
憂「そっか」
唯「・・・つまり二十歳になったからお酒に挑戦してみようと」
唯「今日初めてお酒を買った」
和「そうよ」
憂「良かった・・・不良になったんじゃないんだ」
和「お酒を飲んだら不良になるの?」
唯「なるよ!駄目だよお酒なんて飲んだら」
和「唯だってもう二十歳なんだから飲んだことあるんじゃないの?」
唯「ないよ!」
憂「お姉ちゃんがお酒なんて飲むわけないよ和ちゃん」
和「じゃあ今日飲んでみない?」
唯「え?」
憂「駄目だよ」
和「憂も」
憂「え?」
憂「私まだ二十歳になってないから駄目だよ」
和「じゃあ私と唯だけ飲もうかしら」
唯「私はいいよ!不良になっちゃう」
和「私も一人でお酒飲むのは怖いのよ」
唯「でも」
和「お願い、ダメかしら」
唯「うう」
和「ね?」
唯「うぐぐ」
唯「・・・わかったよ、今日は特別ね」
和「ありがとう唯」
憂「・・・ずるい」
和「ん?」
最終更新:2011年12月26日 22:14