唯「私たち、放課後ティータイムがこのたび福袋になりました!」
紬「わー♪」
律「売り上げは全部お年玉か?」
梓「それは無理でしょう」
律「なんだい、つまんねーの!」
唯「りっちゃんなに言ってるの、私たち、ついに世界デビューだよ!?世界の家庭を席巻する時が来たんだよ!!」
律「あーはいはい、すごいな」
唯「ところであずにゃんや、席巻ってどういう意味?」
梓「意味も知らずに言ってたんですね」
紬「ちゃんちゃらおかしいわね!」
唯「すいやせん……」
紬「ところで、ちゃんちゃらって何かしら?」
梓「その話は後にしましょうね。それで、福袋には何を入れるんですか?」
唯「……え、えーっと、それは……」
律「考えてなかったのかよ」
唯「てへ☆」
紬「てへへー」
梓「ムギ先輩もですか……だいたい、この受験期に浮かれていていいんですか?」
唯「あずにゃんはわかってないよ!受験生だってお正月の息抜きが必要なんだよ!」
梓「唯先輩は年中抜きすぎです!」
唯「ではこれより、第一回“私たちの福袋の中身を考える会議”を始めたいと思います!」
律「はーい」
唯「りっちゃん、どうぞ!」
律「Xb●xの新しいのと、ジョ●ョの第四章全巻と、新しいスティックがほしいでーす」
梓「全部律先輩のほしいものですよね」
唯「もーりっちゃん、真面目に考えないと!」
律「そういう唯は何を入れるんだよ?」
唯「え?えーっと……肩たたき券とか?」
律「一軒一軒まわるのか?」
紬「私買いま~す」
唯「じゃあ、耳掻き券!」
律「券から離れろー!!」
梓「ところで澪先輩、ずいぶん静かですね」
澪「え?あ、うん……」
紬「どうしたの澪ちゃん、何か心配事?」
澪「いや、その、……こんな形で世界デビューってのは……恥ずかしいな、って」
梓「なるほど……」
唯「大丈夫だよ澪ちゃん!私たちの福袋、ちゃんと売れるから!」
澪「で、でも……出来れば売れないでほしい、かな」
唯「そうはいかんよ澪ちゃん!だって私が買っちゃうもん!」
澪「え、えぇ!?」
紬「はいはい!私も買いまーす!」
律「私もー!」
梓「やれやれ……」
律「澪は乗り気じゃないみたいだしー、中身勝手に考えちゃおうぜー!」
梓「律先輩はいつの間にか乗り気ですね」
唯「澪ちゃん鉛筆、澪ちゃん消しゴム、澪ちゃんお箸、そして澪ちゃんストラップ!!」
澪「そ、それはもういいよぉ~」
紬「澪ちゃん等身大抱き枕なんてどうかしら?」
澪「ほあぁ!?」
律「澪の使用済みティッシュとかー、澪の使用済み歯ブラシとか」
澪「ほあっ……い、いい加減にしろ!!」ゴチン
律「あたー、なんで私だけ……」
唯「澪ちゃんノートとかいいんじゃないかな?あとは澪ちゃん下敷き!」
梓「どうしてですか?」
唯「ほら、澪ちゃんって詞を書くのが上手でしょ?だからきっと、すごいインテリジェントが湧くと思うんだ!!」
梓「それを言うならインスピレーションです」
唯「あと、澪ちゃんグッズが近くにあったら、勉強頑張ろーって思えるから!」
澪「そ、そうなのか?唯?」
唯「うん!澪ちゃんノートで勉強したら、きっとすごく頭がよくなるよ!」
律「よく言うぜ、現代文と英語のノートごっちゃにしてるくせに」
紬「はいはい!お正月の初売りまで、中身は内緒にするのはどうかしら?」
唯「おお、それも面白そうだね!」
律「おーし、それじゃ各自でしっかりと中身を決めておくように!」
唯紬「「おー!」」
澪梓「「お、おー?」」
1月2日
平沢家
憂「お姉ちゃーん、そろそろ起きないと」
唯「むにゃ……ういー、もう少し寝かせとくれ……」
憂「今日初売りに行くんでしょ?商店街、すごい人だったよ?」
唯「ほへ……そっかー、ほんじゃ起きるかー」
憂「お姉ちゃん、お餅何個がいい?」
唯「二個おねがーい」
憂「りょーかーい」
唯「寒いねぇ……」
憂「うん、寒いねっ」
唯「憂は寒がりさんだねぇ。家の中でもコートとは」
憂「ああ、これは違うの。初売り行った帰りだから」
唯「へぇー、もう行ってきたんだー」
憂「うん、すごく賑わってたよ。梓ちゃんのと澪さんのが売り切れ寸前でね」
唯「えっ、そりゃ大変だー!」バタバタ
憂「お姉ちゃん、お餅は?」
唯「ごめん憂、あとー!!」
憂「あっ、お姉ちゃん走ったら危ないよ!」
唯「ほえ?……おわぁっ!」ぽてっ
唯「あたた、なんだこりゃ?」
唯袋
唯袋
唯袋
唯袋
唯袋
唯袋……
唯「……頑張ったんだね、憂」
商店街
唯「えっほ、えっほ……」
唯「あ、あった!あずにゃん福袋!!」
唯「よかったー、間に合ったよ……」
梓「唯せんぱーい!」
唯「あ~、あずにゃん!」
梓「あけましておめでとうございます!唯先輩!」
唯「あけまして~。あずにゃんも初売りかい?」
梓「ええ、人混みがすごくて参っちゃいますね」
唯「そうかいそうかい、大変だったねぇ。ところであずにゃん。福袋の中身はなーに?」
梓「ピックと弦、ギターケース。それにネットで見つけた便利な楽器グッズです!」
唯「あずにゃんらしいね~」なでなで
梓「唯先輩はこれからあちこちまわるんですか?」
唯「そうだよ。りっちゃんのと、ムギちゃんの。それからなんといっても澪ちゃんの福袋を買わないと!」
梓「えっ、唯先輩まだ買ってなかったんですか!?
さっき純がファンクラブの人たちにもみくちゃにされてましたよ?」
唯「えー!そんなにひどい激戦区なの!?ごめんあずにゃん、また今度ね!」すたこら
♪
唯「えっほ、えっほ……」
唯「ほげー、朝ご飯食べれなかったからお腹すいた……」
紬「ゆーいちゃーん♪」
唯「あ~、ムギちゃん!あけおめー」
紬「あけおめでーす。唯ちゃんも福袋買いにきてくれたの?」
唯「うん!すごい人の数だね。しかもお主婦さんばっかり」
紬「私の福袋は、お茶とお菓子が入ってるの!」
唯「おお、お菓子!」
紬「しかも買ってくださった人は、一回くじが引けるの。大当たりはカップやティーポット!」
唯「買う買う!絶対買う!」
紬「毎度あり~♪」
ジャラジャラポン
紬「あら残念。白玉は参加賞のポケットティッシュでーす」
唯「ちょうどよかったや。鼻がムズムズしてたんだ。チーン」
紬「唯ちゃんもお風邪?りっちゃんも調子悪そうだったけど」
唯「りっちゃんは?」
紬「あっちよ」
唯「ありがとムギちゃん、またね~」
唯「りっちゃんりっちゃん、どこ行った~?」
律「ゆーいー」メソ
唯「おお、いたいた!……どうしたのさメソメソして」
律「えーん!聞いてくれよぉ!」
唯「ほいほい、よーしよし。話してごらん、楽になるよ」
律「あたしの福袋、ちっとも売れないんだぁ!」
唯「なーんだ、そんなことか~」
律「ちくしょー!どうしてあたしのだけ売れないんだー!」
唯「そりゃそうだよ、だってりっちゃんの福袋って」
♪
客『箱だ。なんだろー?』
びっくり箱『バアー!』
客『キャー!』
♪
唯「こういうことがありそうだもん」
律「そんな子供っぽいことしねー!」
律「ちくしょー!澪のなんかとっくに完売したっていうのに!不公平だー!」
唯「えっ、澪ちゃんの売り切れちゃったの!?」
律「え?……ああ、さっきな」
唯「あぁー忘れてたぁー!お願いまだ残っててー!」すたこら
律「こらー!一個買ってけー!」
唯「ない……ない……」
唯「どこ行っても売り切れだよぉ……」
純「ふー、ひどい目にあった。あの茶髪の卒業生ったら……あれ」
純「唯先輩じゃないですか。こんにちは」
純「う……こ、これはダメです!私のです!」
唯「えーん!!」
唯「うぅ……澪ちゃん……」しくしく
和「何を泣いてるのよ、唯」
唯「おおう、和ちゃん……聞いておくれよぅ。実はかくかくしかじかマルマルモリモリなんだよ」
和「なーんだ、そんなこと。はいこれ、あげるわ」
唯「え……これって澪ちゃんの」
和「いいのよ、私はもう買ってあるから」
唯「えぇー、どうして二つも持ってるの?」
和「私っていちおうファンクラブの会長でしょう?だから曽我部先輩が譲ってくださったの」
唯「でっでも、それじゃめぐみん先輩は……」
和「ああ、大丈夫。私が来た時は、あの人とっくに大量に購入してたから」
唯「うぅ、和ちゃん、ありがとお~」ひしっ
和「いいのよ、これで貸し借りチャラだから」
唯「貸し借り?」
和「ところで、唯の福袋には何が入ってるの?さっき買ったんだけど」
唯「ああ、それはね」
和「マフラーに手袋、ソックス、それにTシャツ」
唯「さわちゃんが協力してくれました!」
和「このTシャツって、あんたの部屋着にそっくりじゃない」
唯「ひとつひとつ、違うメッセージが入ってるんだよ!」ふんす
和「ロマンス、ポリスマン、デッドリーレイヴ……よく見たら手袋やマフラーにも」
唯「受験の日は、これを着ていくといいよ!」
和「それは遠慮するわ」
唯「えぇー」
和「でも唯の家に遊びに行く時は、着ていってもいいわよ」
唯「あ、そうだ!今度私のうちで、みんなで勉強会しよう!私たちもうそんなに会えないし!」
和「いいわよ。勉強会ならね」
唯「楽しみだなぁー」
平沢家
唯「たーだいまー」
憂「お帰りー、お姉ちゃん。寒かったでしょ」
唯「こたつぬくいー」
憂「もう、手洗いとうがいしなきゃダーメ」
唯「ほーい」
憂「あ、そうだ。さっき和ちゃんが来たよ」
唯「えー?」
憂「お姉ちゃんの福袋、ひとつおすそ分けしたの」
唯「あー、さっき言ってた貸し借りってこのことだったんだ」
憂「それから、梓ちゃんと澪さんも来たよ」
唯「へー、もっとゆっくりしていけばよかったのに」
憂「やっぱり福袋おすそ分けしちゃった。なんだかあわてて帰っていったけど」
唯「変なのー」
憂「さ、手洗いしないと」
唯「ほいほい。うひー、ちべたい」
憂「そういえば、福袋は見つかった?」
唯「うん、あずにゃんのと、ムギちゃんのと、……あ!」
唯「そういえば澪ちゃんの福袋の中身、なんだろな」ガサガサ
唯「……おおう、これは」
唯「澪ちゃん鉛筆に澪ちゃん消しゴム、澪ちゃん下敷き!それに澪ちゃんノート!」
勉強会当日
律「ういーっす、来たぞー」
唯「いらっしゃーい」
律「うー、体があったまるー。唯、ゲームでもしないか?」
和「ダメよ。今日は勉強に専念するの」
律「ちぇっ……ん?唯めー、さっそく使ってるな?澪グッズ!」
唯「今日は澪ちゃんづくしだよ!」ふんす
唯「そういや澪ちゃんは?」
律「遅れて来るんだと」
ピンポーン
律「お、噂をすれば」
唯「ほいほい、今行きまーす!」
ガチャ
紬「こーんにちはー」
澪「お邪魔します……」
唯「おお、ムギちゃんも一緒か~」
梓「私もです」
唯「おおおおー!あーずにゃーん!」だきっ
梓「憂に用があるんです。お邪魔じゃないですか?」
唯「大歓迎だよー!入って入って!」ハグハグ
澪「あ、あの……」
紬「唯ちゃん、これ見て!」
唯「おお、これは私の福袋のマフラー!」
紬「それから澪ちゃんも!」
澪「わ、私は関係ない!何でもないぞ!」
唯「あ、手袋つけてくれたんだ~」
唯「嬉しいなー、澪ちゃんが私の手袋つけてくれるなんて」
紬「澪ちゃん、夕べ私にメールしてきたの。ちょっと恥ずかしいから、一緒に唯ちゃんグッズ着ていってくれないか、って」
澪「ち、違う!違うぞ!あれは梓からの転送だ!」
梓「澪先輩!?」
唯「あれ~?あずにゃんも福袋のソックスはいてるね」
梓「ち、違います!これは澪先輩が!」
澪「梓が!」
梓「澪先輩が!」
ギャーギャー ヤイノヤイノ
律「……えらく賑やかだなぁ」
和「軽音部って、いつもこうなんでしょ?」
律「今日はいつもと少し違うかな」
憂「皆さん、お茶が入りましたよー」
おわり
最終更新:2012年01月03日 19:50