180 : ◆Z9mtzUoIH. 2012/01/14(土) 23:18:06 ID:mCxwIvjYO
誰もいないなら飛び入りしますよん
181 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:22:45 ID:mCxwIvjYO
梓「今日の体育は走り高跳びだね」
純「あ~あ、今日はテニスしようと思ってたのに……」ブー
憂「まあまあ、雨じゃ仕方ないよ」
純「わしの波動球は108式まであったんだぞーっ!」
梓「絶対そんなの打てないでしょ……」
純「ただ跳ぶだけなんてつまらないよー……あっ、そうだ!ねえねえ二人とも、勝負しない?」
憂「勝負?」
純「そう、誰が一番高く跳べるか!ビリの人には罰ゲーム!」
梓「また純はそんなことを……私はやらないからね」
182 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:24:31 ID:mCxwIvjYO
純「あれあれ~?ひょっとして梓は負けるのが負けるのが怖いのかな~ん?」
梓「なっ」ムカ
純「まあ仕方ないか~。私と憂が相手じゃ勝負にならないもんね~?」ニヤニヤ
梓「そ、そんなわけないでしょ!いいよ、受けて立ってやる!」ニャオーン
純「うむうむ、扱いやすい奴め。憂もやるよね?」
憂「わ、私は見てるだけでいいよ~」
純「えー?憂もやろうよー」
憂「えっと、じゃあ私は審判を……」
183 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:25:40 ID:mCxwIvjYO
純「あっ、そういえば唯先輩がこの前……」
唯『誰よりも高くジャンプ出来る人って素敵だよね~♪抱きしめて頬擦りしてナデナデしたい!』
純「って言ってたよ?」
梓(絶対嘘だ……憂だってそんな話を信じるわけが……)
憂「そ、そっか……お姉ちゃんが……」
梓(信じてらっしゃる!?)
憂「……うん!私もやるよ!」フンス!
純「いよっしゃー、全員参加!燃えてきたぞー!」
憂「負けないからね梓ちゃん!お姉ちゃんのハグは私のものだよ!」
梓「あはは、お手柔らかに……」
184 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:27:23 ID:mCxwIvjYO
……
純「ルールは単純!バーの高さを上げていって、一回でも跳べなかったら脱落。最後まで残った人が優勝です!」
憂「一回で失敗かあ。けっこう厳しいね」
純「じゃあ最初のバーの高さは……梓、決めていいよ」
梓「えっ?私?」
純「梓が確実に跳べる高さを決めていいよ~♪」ニヤニヤ
梓「……」
梓(純め、余裕綽々だな……)
185 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:28:26 ID:mCxwIvjYO
純『まあ梓は相手じゃないよね、ちっちゃいし。まずはウォーミングアップをして、憂との一騎打ち!』
梓(……とか考えてるに違いない。むむむ……でもそれは間違ってはいないよね。私あんまり跳べないし)
憂「梓ちゃん?どうしたの?」
梓(でも純に負けるのはなんか嫌だ。罰ゲームも何をさせられるか分かんないし)チラッ
純「ん~?どしたの梓」ニヤニヤ
梓(くっ、私は一体どうすれば……!?)ギリリッ
『ほっほっほ。梓殿、迷うておりますな』
梓(だ、誰っ!?)
186 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:29:51 ID:mCxwIvjYO
律『敵を知り己を知らば百戦して危うからず。戦力差を認めた上で勝つにはどうすればいいのか……』ソヨソヨ
梓(り、律先輩!?)
律『敵には慢心が見えましょう。まずはそこを突くのが上策……動揺させその隙を狙えば、勝ちを掴むなどたやすいこと』パタパタ
梓(慢心……動揺……?)
純「あずさー、早く決めてよー」
梓(……はっ!そ、そうか!分かりましたよ律先輩!)
律『はっはっは、では私は勝利の報告を楽しみに待っておりますゆえ』スルスル
梓(ありがとう律せんぱ……いや。謝々、謝々諸葛律先生……!)
梓「決めたよ、最初の高さは……90センチ!」
187 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:31:31 ID:mCxwIvjYO
憂「90だね?じゃあセットしてくるよ」タタッ
純「90って梓、小学生じゃないんだから」プププッ
梓「ふふっ、笑っていられるのも今のうちだよ純」
憂「セットできたよ~」
梓「よし、じゃあ私から行くよ」
純「どうぞどうぞ」
憂「梓ちゃん、頑張って!」
梓「む~……ふんっ!」ピョンッ
188 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:33:13 ID:mCxwIvjYO
……
梓「全員クリアだね」
純「まあ90だしね。じゃあ次は……」
梓「……130」
純「え?」
梓「次は、130でお願い、憂」
憂「う、うん。分かった」タタッ
純「ちょ、ちょっと梓、あんた正気!?いきなり40センチも上げるなんて……」
梓「……」
189 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:33:58 ID:mCxwIvjYO
梓(ふふ、動揺してるね純。いきなりこんなに上げたんだから無理はないけど)
憂「準備できたよ~」
梓「よし……!」グッ
純「は、はは。あ、梓があの高さを跳べるわけが……」
梓(そう、ここが勝負。これを私が跳べなきゃ意味がない!今の私にとっては間違いなく限界ギリギリの高さ……!)
梓「はあああああああっ!」タタタッ
梓(跳ぶんだ!私!)ピョンッ
…ボフッ
190 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:35:09 ID:mCxwIvjYO
純「と、跳んだ……」
憂「梓ちゃんすごーい!」
梓(いよっし!計画通り!)
梓「ふう……次は純だね。でも私が跳べたんだから、純も楽勝だよね?」ニコニコ
純「あ、ああ当たり前じゃん。みみ見てなよ、私の華麗な跳躍を」
憂「純ちゃん頑張れ~」
梓(ふふふ、動揺してるね純。そう、純の敗因は……)
純「大丈夫、普通にやれば跳べる高さだから落ち着いて……」タタタッ
純「……あっ!?しま、踏み切り足をまちが――――」グッ
梓(油断と慢心、そしてプレッシャーに弱い心だよ!)
…ガシャーンッ
191 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:36:32 ID:mCxwIvjYO
……
純「うう、まさか梓に負けるなんて……」
梓「ふふん」
憂「ドンマイだよ純ちゃん!」
純「はあ……それで次の高さはどうするの?」
梓「……」
梓(憂は130を何なくクリアした。やっぱり純のようにはいかないか……)
梓(しかし私には先生がいる!先生、策をお願いします!)
律『……』ソヨソヨ
192 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:38:00 ID:mCxwIvjYO
梓(先生?諸葛律先生?)
律『憂ちゃんすげーなー。私の軍にも憂ちゃん欲しかった……無念』スー
梓(あれ、先生?策は……)
律『三十六計逃げるに如かず!』ダッ
梓(あっ!ちょ、諸葛……逃げるな田井中ーっ!)
純「まーた梓が長考してるよ」
憂「梓ちゃん、決まった?」
梓(……ええい、こうなったら!)
193 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:39:28 ID:mCxwIvjYO
梓「……170!170センチで勝負だよ憂!」
純「ええええっ!?さ、さすがにそれは無理なんじゃあ……」
憂「あ、梓ちゃん……」
梓「いいから純はセットしてきて!」
純「う~……どうなっても知らないからね!」
憂「うう、170かあ……」
194 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:40:51 ID:mCxwIvjYO
梓(ふふふ、さっきまでの憂のジャンプを見る限りオーソドックスなはさみ跳び……ざっと150くらいが限界と見た!)
梓(多めに見積もって170……もちろん私も跳べないけど、憂にだって無理なはず!)
純「セットできたよ~」
憂「あ、ありがとう純ちゃん」
梓(授業時間はあと少し……そう、私の狙いは引き分け!もとい、同点優勝!)
純「また梓は考え込んで……憂、時間ないし先行けば?さすがにあの高さは無理な気がするけど……」
憂「うん、そうだね。じゃあ……」
梓(これで私も唯先輩に……いや違う違う、そういうのが目的じゃなくて)
195 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:43:05 ID:mCxwIvjYO
憂「梓ちゃん、ごめんね」
梓「……えっ?」
憂「私、負けるわけにはいかないんだ。だから……」グッ
梓「う、憂……?」
憂「……本気で、行くよっ!」ダッ
純「憂、速い……!」
梓「で、でもいくら憂が本気になっても170センチなんて高さを女子高生がはさみ跳びで跳ぶのは……」
憂「ん~……えいっ!!!!」グッ
フワッ
196 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:44:22 ID:mCxwIvjYO
純「わあ……!」
梓「そ、そんな……あれは背面跳び!?」
――――そのジャンプは
今までよりも高く
美しい弧を描いた――――――
…ボフッ
197 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:45:12 ID:mCxwIvjYO
……
唯「うい~♪」ギュウウッ
憂「お姉ちゃ~ん♪」ギュウウッ
純「いや~、負けた負けた!憂には完敗だった!」
梓「むう……」
純「梓の最後のジャンプは無様だったね~」プププ
梓「うっさいビリ」
純「な、なにーっ!梓のくせに梓のくせに!」ポコポコ
梓「はいはい」
198 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/14(土) 23:46:22 ID:mCxwIvjYO
純「……それにしても、憂を思いっきり抱きしめて下さいって頼んで即応するんだね唯先輩は」
梓「まあ唯先輩だし」
唯「いい子いい子♪」ナデナデ
憂「えへへ///」
純「……ま、幸せそうだからいっか」
梓(次は絶対に負けないからね憂……!)
憂「おしまい」
199 : ◆Z9mtzUoIH. 2012/01/14(土) 23:47:13 ID:mCxwIvjYO
おしまいです
どうもでしたー
204 : ◆bDjkqD.wao 2012/01/15(日) 03:04:39 ID:MZ7U2ulk0
→ 憂「ばっくとぅーざ」唯「しすたー!」梓「えっ」
205 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:05:50 ID:MZ7U2ulk0
かえりみち!
唯「あーあ、どっか行きたいなー・・・・」
梓「受験生がなにいってるんですか・・・唯先輩にはそんな時間ないです」
憂「センター試験ももうそろそろだもんねー」
唯「一瞬で他の国とかに飛んでいけたらいいのになあ。こう、ジャンプしたらぴゅーんって」
憂「ふふ、テレビでよくあるよね。ジャンプして景色が変わって、そしたら目的地に着いちゃったり」
梓「はぁ……そんな簡単に時間や空間を飛び越えちゃったら困りますよ」
唯「あずにゃん。思いを一つにすれば、時間だって越えられちゃうんだよ!」
梓「あの、唯先輩。勉強も大事ですけど休養もしっかりとってください」じとーっ
憂「そうだねー……でもお姉ちゃん、あれは危ないからもうやっちゃだめ」
唯「えへへ、わかってるよー」
梓「え?」
206 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:08:07 ID:MZ7U2ulk0
梓「いや、その、憂。ネタだよね?」
憂「えっ? あーそっか、ううんごめんなんでもない」
唯「あっ、あははーヨーロッパ行きたいなあー」
梓「なにごまかそうとしてるんですか」
唯「いやっ、私と憂にもカテイのジジョウというのが・・・・えへへへ」
憂「ごめんね、あっお姉ちゃんも最近勉強がんばってるんだよ!それでね、」
梓「はぁ……まあいいですけど」
憂「ごめんね、梓ちゃん……」
トラック「ぶろろん」キキーッ
梓「って、ういあぶないっ?!」
憂「きゃっ?!」ピョンッ
ばしゅん!
207 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:12:08 ID:MZ7U2ulk0
梓「あたたた・・・・」
憂「いったあ・・・・梓ちゃん、だいじょうぶ?」
梓「うん、なんとか。……って、あれ? 唯先輩は?」
憂「あれ、お姉ちゃん……?」きょろきょろ
梓「急にどこ行っちゃったんだろう……ゆーいせーんぱーい? どこですかー」
憂「……えっ? うそ。まさか、あの二人って……」ガクガク
梓「まったくもう、隠れてるんなら出てきてくだs」
憂「梓ちゃん隠れて!!」グイッ
208 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:16:10 ID:MZ7U2ulk0
梓「きゃっ!? って、憂どうしたの?」
憂「どうしよう、おねえちゃんが、どうしよう……!」うるうる
梓「え……なにか、あったの?」
憂「……あっちの、向こうの通り」
ゆい「うんたん♪ うんたん♪」てくてく
うい「おねえちゃんまってー!」とててて
梓「……あの、あれってまさか、その、平沢さん家の、」
憂「うん。私たち、過去にタイムスリップしちゃったかも……」グスッ
梓「あ、あはは……あるんだあ、そういうの……あは……」タラタラ
209 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:20:12 ID:MZ7U2ulk0
――2011年
唯「ねえねえどうしよお!? ういが、あずにゃんがあっ! のどかちゃーん!!」ゆさゆさ
和「ちょっ、おちついて! 唯、憂がどの時代に行ったか心当たりはないの?」
唯「わかんないよぉ・・・思い出せないの……うぅ」
和「って、それ以前に憂一人でタイムスリップなんてできたの?」
唯「それもわかんない、昔のことすぎるよ・・・・」
和「重傷ねえ……とりあえずそのゆず湯、飲んじゃいなさい。落ち着いて」
唯「ごめんね、和ちゃん……」ごくごく
和「それ、お隣のおばあちゃんが?」
唯「うん! 憂ちゃんとふたりでねって・・・・・ういぃ」えぐえぐ
和「ほらほら、元気を出して」なでなで
210 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:24:14 ID:MZ7U2ulk0
唯「ありがと、和ちゃん……でも、どうしよう?」
和「そうそう唯、昔はその、どうやってたの? 一応聞かせて」
唯「えっとね、私が憂と手をつないで、二人同時に行きたい場所を念じるの」
和「それで、そのまま二人でジャンプ?」
唯「うん。そしたら、ばしゅっ!ってきて、違う時代にいっちゃうの」
和「じゃあ、今回は憂一人で飛んで行っちゃったと」
唯「あずにゃんもいないんだよ?!」
和「そうだったわ、ますます深刻じゃない……」
唯「メールしてみようかな?」
和「いや、届くわけないでしょう……ん?」
唯「?」
和「……そうだ。唯、メールはだめでも手紙なら届くかもしれないわ」
唯「ほえ?」
211 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:28:16 ID:MZ7U2ulk0
――2005年
ゆい「すっごーい! あずにゃん、17才なんだあ!」
梓「はい……って、その呼び方はやめてって言ってるでしょ!」
ゆい「あずにゃんあずにゃーん」ぎゅうっ
憂「あはは……ごめんね梓ちゃん、変なこと言っちゃって」
梓「平沢家に入らなきゃいけないんだからしょうがないよ……」ずーん
うい「お姉ちゃん、年上の人をこまらせたらめーっだよ?」
ゆい「はぁーい」
梓「ぷふっ、二人とも変わんないね」
憂「なんだか複雑な気持ちかも、私……」
212 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:32:18 ID:MZ7U2ulk0
梓「でも、憂の心配がはずれたのはよかったよね」
憂「そうだね、よく分からないけど、自分同士で会ったら危ないんだよね」
うい「あの、わたし、いない方がいいんですか・・・?」しゅん
憂「ううん、ちがうよ! ほら、私いま元気でしょ?」なでなで
うい「そうですね……よかったあ」にこっ
梓「その、ゆいちゃんたちは今、小学生なんだよね?」
ゆい「うん! わたしが小6で、ういが小5なんだよ!」
梓「この子が、……こうなるのかあ」
憂「は、はずかしいよ・・・」
213 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:36:19 ID:MZ7U2ulk0
ゆい「ういもおっきくなったねえ」ぎゅー
憂「きゃっ・・・! もうっ、へんなとこさわっちゃだめ!」
ゆい「ふあっ、ごめんなさい・・・・」
梓「・・・・悪かったね、おっきくなくって」ぷいっ
憂「梓ちゃんも、その、成長期だから大きくなるよ・・・と、思うよ・・・」
梓「慰めとかいらないもん。……って、平沢家ここだよ!」
ゆい「あ、わすれてたぁ」
うい「もう、まいごになっちゃうよー?」
梓「よく唯先輩を育て上げたね、憂……」
憂「お姉ちゃんががんばったんだよ?」
梓「いや、そういう問題じゃなくて。って、早くタイムカプセル埋めなきゃ!」
214 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:40:22 ID:MZ7U2ulk0
お姉ちゃんへ
いまは2005年、ちょうど六年前の同じ日みたいです。
小学生の私たちといっしょにいます。梓ちゃんも元気だよ。
この手紙を埋めたら私は梓ちゃんとジャンプします。
昼間、とみおばあちゃんの家でゆず湯の粉末をもらったのを覚えてるよね?
あのときに見た玄関の前を思い浮かべて。時間は夕方ぐらいがいいかな。
それじゃあ、お姉ちゃん、よろしくね。
憂より
215 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:44:23 ID:MZ7U2ulk0
憂「っと。手紙、こんな感じでいいかな」
梓「うーん、いいんじゃないかな……不安だけど」
ゆい「あずにゃんだいじょうぶー?」
梓「あずにゃん言うな。っていうか、ゆいちゃんたちもタイムスリップできるんだよね?」
うい「できますよ~。でも、危ないからもうやめようって、和ちゃんと三人できめたんです」
憂「もし何かあったらタイムカプセルを使おう、って考えたのも和ちゃんなんだよ」
梓「あの人、意外とどんな状況でも受け入れちゃうタイプなんだなー・・・」
216 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:48:25 ID:MZ7U2ulk0
憂「……ふぅ。このぐらい埋めたら大丈夫だよね」
梓「じゃあ、やってみよっか?」
憂「うん! 二人とも、ありがとう」にこっ
ゆい「えへへ~・・・・また、会えるかな?」
うい「もー、いつも会ってるよぉ」
梓「そうそう。だからゆいちゃんは、ういちゃんの先を行くぐらいじゃないと」
ゆい「おおっ、おねえちゃんだもんね!」ふんすっ
憂「えへへ……じゃあ、また6年後にね」
ゆい「ばいばーい! ……わわっ」どてっ
うい「きゃっ?!」ぼすんっ
憂「ひゃっ――」
ばしゅん!
217 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:52:27 ID:MZ7U2ulk0
――2011年
うい「ひっ・・・ぐすっ・・・・」
憂「うぅ……のどかちゃん……ぐすっ」
唯「あずにゃん、だいじょうぶかな……うぅ」
和「どうするのよこの状況……」
218 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 03:56:29 ID:MZ7U2ulk0
唯「はい、げんきの出るゆず湯!」
うい「ひっく……ごくごく」
和「唯、やっぱり昔のこと、思い出せない?」
唯「うん……なんかね、思いだそうとしても曇ってるみたいに浮かばないの……ごめんね」
憂「お姉ちゃんのせいじゃないよ、きっと……六年前のある一日なんて、だれも思い出せないよ」
和「そうよ。それに唯が過去を思い出せないのも、時間移動が関係してるのかもしれないし」
憂「どういうこと?」
和「ほら、細かいことだけど歴史が変わっちゃったでしょう? もしかしたら、それで思い出せないのかも」
唯「そんな……そしたら、あずにゃんはずっと六年前にいたままってこと?! だめだよ、そんなの!」
和「落ち着いて、唯」
唯「あ……」
うい「……ごめんなさい、わたしがころんだから……ごめんなさい……」
219 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:03:12 ID:MZ7U2ulk0
唯「ごめんね、うい……こっちにおいで」
うい「ぐすっ……えうぅっ……」
唯「……よしよし、だいじょうぶだいじょうぶ」ぎゅうっ
憂「お姉ちゃん……」
うい「ういが、ういおねえちゃんにぶつからなければ……」
和「憂が憂に……複雑な家庭事情よね」
唯「和ちゃん、家庭事情の話はしてないと思うよ……」
憂「……あははっ」
うい「ぷふっ、ふふふっ……」ぎゅうっ
和「へえ、ゆず湯って気持ちをやわらげるのにも効くのね。私も買おうかしら」
唯「ういー、お姉ちゃんなんかなっとくいかない……」
憂「まぁまぁ」くすっ
220 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:07:13 ID:MZ7U2ulk0
和「とにかく、憂が帰ってこれたことは進歩じゃない。前向きに考えましょう」
唯「そうだね……よし、お姉ちゃんがぜったいにういを元の世界につれてくからね!」
うい「はい、ありがとうございます・・・!」
憂「でも、私が帰れたのは和ちゃんのおかげなんだよね……タイムカプセルのこと覚えてたから」
唯「そうそう! 憂が書いた手紙が……あれ?」
和「変ね。さっきまで置いといたのに」
うい「ういお姉ちゃんの手紙、なくなっちゃったんですか?」
唯「そんなはずないんだけどなあ……おてがみさーん、どこですかー?」がさごそ
憂「どこかに落としたんじゃ…………あっ」
和「どうしたの?」
憂「お姉ちゃん。もう一度、タイムカプセル探してみよう?」
唯「え、どういうこと……ああっ、あずにゃんも手紙書いてるかも!」
221 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:11:15 ID:MZ7U2ulk0
――2005年
ゆい「……うぅう……ういー……」グスッ
梓「ほらほらよしよし、いい子いい子」なでなで
梓(……唯先輩にもこんなころがあったんだな)
ゆい「うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい……」
梓(……でも、今では部活であんなに輝いてて、やるときはやって……)なでなで
梓(……うん。大丈夫、あの二人なら、きっと助けにきてくれるはず)
ゆい「……あずにゃん、わたし、どうしたらいいのかな……」
梓「……」
ゆい「がっこうでも、ぐずで、そそっかしくて、いつもまちがえちゃって、未来でもわたしっ……ううっ」
梓「……そうですね。未来でも、あなたはあんまり変わってないです」
ゆい「ええっ?! そんなぁ……」
梓「でもね、ゆい……ちゃん。未来のあなたは、ずーっとおっきくなってるんだよ?」
ゆい「え……?」
222 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:15:17 ID:MZ7U2ulk0
梓(それから唯先輩の六年後の活動を語って聞かせること数十分)
梓(目の前のゆいちゃんは、目を輝かせて聞いてくれた)
梓(ギター、今から教えちゃおっかな……そしたらもっともっとうまくなるかも)
梓(……って、あんまり下手なこと言ったら歴史が変わっちゃうかも?!)
ゆい「ねえっ、ギターってたのしいの? わたしもやってみたい!」
梓「……だめです。それは、未来までのおあずけです」
ゆい「そっかあ……じゃあ、未来までがんばって行かなくちゃだね」
梓「そうだよ。でも、ゆいちゃんはいけるよ」
224 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:20:23 ID:MZ7U2ulk0
ゆい「でも……ういが、いないよ?」
梓「ううん、そういうことじゃなくて。ジャンプしないでも、未来には歩いていけるんだよ」
ゆい「?」
梓「六年間、前を向いて歩いていけば、ゆいちゃんはきっとたどり着くってこと!」
ゆい「……そっかあ!」ぱあっ
梓(って、なんか今の私、澪先輩みたいだった……今さら恥ずかしくなってきた……うぅ)
ゆい「ねえねえ、未来のこと、もっと教えて? ういは? ういは元気なの?」
梓「そうだね……じゃあ、未来の自分と未来のういちゃんに向けて、一緒に手紙でも書こっか?」
梓(……念のため、小5憂が自力で帰ってこれるような予防線も張っときたいもんね)
ゆい「――うん!」
225 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:28:39 ID:MZ7U2ulk0
唯先輩、憂、無事に過去に戻れそうですか?
今は2005年の同じ日です。小6の唯ちゃんと一緒です。
もし、戻って来れなかったら、小5の憂ちゃんにこう伝えてください。
「タイムカプセル埋めた場所で、きょうの日が落ちて、月が見えてる時に、
お姉ちゃんと二人でいるところを思いうかべて!」
……危ないので、気は進まないですけど。
それでは、二人を信じてます。
中野梓
226 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:29:34 ID:MZ7U2ulk0
梓「……じゃあ、六年後のういちゃんと一緒に、タイムカプセルのこと考えながら待とっか」
ゆい「うん。……できるかなあ?」
梓「大丈夫だよ。遠くたって、思いを一つにすれば、時間だって越えられちゃう……はずだから」
ゆい「ほんと?」
梓「うん。ゆいちゃんのよく知ってる人に、教えてもらったから」にこっ
ゆい「……そっかあ。それなら、だいじょうぶだね」にこっ
ばしゅん!
ゆい「……わあ……わあっ!」
梓「ほら、ね?」
227 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:31:08 ID:MZ7U2ulk0
――2011年
憂「そろそろ寝る?」
唯「うん……きょうは疲れたもん、あはは」
憂「そうだねー、でも、なつかしかったかな」
唯「二人とも帰ってこれてよかったよ……」
憂「うん、ひやひやしちゃった」
唯「でも、ちっちゃいういのおかげであずにゃんも帰ってこれたもんね」
憂「うん。それも、ちっちゃいお姉ちゃんのおかげだもんね」
唯「……思い出せないけど」
憂「……私も。でも、あんまりはっきり思い出せたら、また過去に戻されちゃうかもね」
唯「そうだね。じゃあ、私はいまのわたしでいいってことだね! えへへっ」
228 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:31:50 ID:MZ7U2ulk0
憂「おやすみ、お姉ちゃん。きょうはありがとうね」
唯「おやすみー、憂。私も、ありがとう」
憂「……あ、もうひとつ、ありがとう。うれしかったよ」
唯「えっ?」
憂「……なんでもない。もう、会えたから」
唯「なあに、ういー?」
憂「ふふっ、ひみつー! それじゃあ、おやすみお姉ちゃん」
唯「へんなのー。おやすみ、うい!」
229 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:33:23 ID:MZ7U2ulk0
◆ ◆ ◆
6年ごの 平沢憂さんへ
ねえねえ、あずにゃんから聞いたの!
みらいのわたしって、ぎたーひいて歌も歌って、とにかくすっごいかっこいいんだって!
すごいよね、体いくかんで、小学校よりもいっぱい人がいるところで、
楽器をえんそうして、みんなもりあがるんだって!
わたしもみてみたいけど、まだからだが小さいからだめなんだって。
いいなあ。わたしも、大きくなったら、ギターって楽器をひいてみたいのに。
230 :いえーい!名無しだよん! 2012/01/15(日) 04:33:56 ID:MZ7U2ulk0
でも、わたしもいつか、6年たったら、かっこよくなれるって、あずにゃんがいってくれたよ。
だから、わたし、未来までがんばる!
ういにたよってばかりじゃなくて、ういをひっぱっていけるように、
ういに、いつもありがとうって、胸をはってつたえられるように、
とにかくずぎゅーんってかっこいいわたしになるよ!
だから、6年ごのわたしに、待っててねって、いっておいてね。
ぜったいに、自分の足で歩いて、会いに行くからね。
ゆい
おわり。
231 : ◆bDjkqD.wao 2012/01/15(日) 04:35:07 ID:MZ7U2ulk0
以上です
次の方がもしいたらどうぞ