ここは部室。今は一人。
一番早くに来た私はついうっかり寝てしまって、目が覚めたら肩にブレザーがかけられていた。
誰のだろう。
すぐにわかった、だってこんなにも…大好きな匂いだから。
「…私…むぎ先輩に包まれてる…」
ドキドキしながら、私を包むむぎ先輩のブレザーの温かさを感じる私。
それは甘い、むぎ先輩のいい匂いで一杯で。
胸が切なくなってきて、心が締め付けられそうで。
(梓ちゃん…)
幻が喋る。幻にまどろむ。
あぁ、むぎ先輩が今、こうして私を抱き締めている、ただそう思えば…。
私の指先は、いけないとは知りつつも、自分のそれにのびていった。
理性なんてもろいもので。そんな気分になってきちゃって。
(梓ちゃん…ここ、熱くなってるね)
むぎ先輩が触れていると思えば…また、こんなに溢れてしまって。熱いそこを私はひたすら撫で回してしまう。
「は…っ、……ん…っ」
乱れる息。揺れる髪。
鼻腔はむぎ先輩の匂いで誘われたまま、自分に触れて離れない指先。
「あぁあ……むぎ先輩…むぎ先輩っ」
(気持ちいい?)
「いいで、す…っ、んっ…」
(イっていいよ、梓ちゃん)
「むぎ先輩…っ、…あっ…」
徐々に指先は下着を侵入して、直に自分に触れる私。
「むぎ先輩、むぎ先輩っ…あああっ」
指先がさらに速まる。頭は真っ白になって、そして…。
私は絶頂を迎えた。
「はぁ、はっ、はぁ…」
軽く痙攣している私。
「気持ちよかった?梓ちゃん…」
「は、はい…って…え?」
むぎ先輩がいた。
「え?う、うそ…うそ」
「…ごめんなさい…見ちゃった」
そんな。そんな、そんな。まだ、私は夢を見ているんだ。…神様、そう答えて。
「…戻ってきたら…その、梓ちゃんがしていて…ごめんね?」
「…っ」
恥ずかしさと絶望感で真っ暗になる。
夢じゃ、ない。
「…梓ちゃん、私のことを想って…」
「っ…ご、ごめんなさい!」
平謝りする私。嫌われたんじゃないか…。だって、親切で私にブレザーをかけてくれたんだ。
それなのに、それに誘われて自慰に耽っていたなんて…。
すると…むぎ先輩は、私の指先を舐めた。
「…!?む、むぎ先輩!?」
「…これが、梓ちゃんの味なんだ」
「や、やめてください…汚いです」
「…甘いよ。梓ちゃん…」
「…むぎ、せんぱ…んっ」
舌が私の指を刺激する。やだ…私、また変な気分になってきてる。
「ねえ、梓ちゃん。…梓ちゃんが良ければ…その…私、梓ちゃんと触れ合いたいな」
「…へ…」
今、なんと。
「だ、だから…梓ちゃんとエッチしてもいいよ!むしろ、したい…の…」
だんだん声が消えそうになるむぎ先輩を見て、私はとっさに彼女を抱き締めた。
「きゃっ…」
「む、むぎ先輩…も、もう私限界です…」
「…うん。おいで、梓ちゃん」
私とむぎ先輩はソファーに倒れ込んだ。
おわり
最終更新:2012年02月01日 23:08