律「で、どーなのさ?中野部長」

梓「…まぁ…うーん…ぼちぼち…ですかね」

律「ほう」

梓「…意外と難しいですよね、部長やるのって」

律「そうか?」

梓「やっぱり部長だと色々決めなきゃいけないじゃないですか。合宿とかライブとかもそうですし、練習のメニューとか。これでいいのかなーとか考えてるとけっこうグルグルしてきません?部長らしくっていうのも難しいですし」

律「うーん…どうだったかな」

梓「…律先輩はそういうのなさそうでしたね」

律「大抵の事は流れで決まってたしな。合宿も澪が言い出しっぺだし」

梓「やっぱり全然決めてなかったじゃないですか律先輩」

律「私はほら、民主的に?みんなで相談して決めるタイプの部長だから」

梓「あ……まぁ、確かにそういうやり方もありますね。はい」

律「何?梓って独裁タイプ?」

梓「そういうわけじゃないんですけど」

律「そういや梓ってやっぱまだあの席なの?お誕生日席」

梓「あ、はい。そうです」

律「あそこってさ、私らがいた時は可愛げがあったけど部長として座るとなんかいかつくね?」

梓「…確かに」

律「こう、部長席!って感じがしそう」

梓「うわぁ…なんか嫌ですねそれ。みんなにそう思われてたらどうしよう…」

律「でもあそこぶっちゃけ座りにくいだろ。机的に」

梓「そう!そうなんですよ!微妙に足の置き場に困るんですよ!」

律「正直見てていつも思ってたわ。机一個足したら?」

梓「そうすると今度はちょっと後ろが狭くなるんですよ」

律「あー」

梓「あ、すみません、ちょっとトイレいってきます」

律「ん。じゃ私ジュース汲んでくるけど何飲む?」

梓「メロンソーダで」

律「オッケー」

二分後

梓「すみません、お待たせしました」

律「おう」

梓「…」チラ

律「ん?何?メロンソーダでよかったんだよな?」

梓「あ、はい。そうなんですけど…」

律「…お前まさか私がタバスコとか入れたと思ってるんじゃ…」

梓「へっ?あ、あははは!そんなわけないじゃないですかー!ありがとうございます!メロンソーダで合ってます!」

梓「ゴクゴク…」

梓「……」

梓「ぶほッ!!」ブッ

梓「ちょ…やっぱり何か入ってるじゃないですか!!」

律「うん。メロンソーダのコーヒー割り」

梓「大学生にもなってしょーもない事しないでください!!」

梓「どうするんですかこれ!まだ半分くらい残ってますよ!」フキフキ

律「もう半分メロンソーダ入れてコーヒー薄めれば飲めそうじゃね?」

梓「律先輩が飲んでくださいよ」

律「えー?私コーヒー苦手だし」

梓「さっき思いっきりコーヒーゼリー食べてたじゃないですか!」

律「あ、じゃあミルクのポーション入れればよくね?コーヒーにもメロンソーダにも合うし」

梓「いやほんとやめてくださいよそういうの。食べ物、ていうか飲み物ですけどこういうので遊んじゃダメって教わらなかったんですか!」

律「まぁまぁ中野くん。今日は私のおごりだ。遠慮せずに飲みたまえ」

五分後

律「結局私が飲むのか…」

梓「当たり前です。ジャンケンで決めたのだってかなり譲歩してますよ」

律「…わかったよ飲むよ」

梓「ちゃんとポーションも入れてくださいよ」

律「…」パカ…トロー

律「よし、飲むぞ。後輩に無理強いされてなんかよくわかんない液体を私は飲むぞ」

梓「いいから早く飲んでください」

律「…」

律「でいっ!」ゴクッ

律「…」

律「…」

律「あれ?意外と美味いぞ」

梓「へっ?」

律「ちょっと梓も飲んでみろよ。意外といけるぞコレ」

梓「…じゃあ」

梓「ゴクゴクゴク」

梓「ぶふゥッ!!」

梓「な…め、めちゃくちゃ不味いじゃないですか!!」

律「うわー…一気に全部飲みやがった」

梓「最悪です!もうほんっと最悪ですさっきから!」フキフキ

律「いやまさか全部飲むとは思わなかったからさ…」

店員「あの…あまり大きな声でお話されますと他のお客様のご迷惑に…」

梓「あ、す…すみません…」

律「…」

梓「…」

律「いや、悪かった。正直悪かった」

梓「はぁ…もう…。全然変わんないですねやってること…」

律「あ、ところでさ、曲はどーしてんの?ムギ今こっちだから作曲とかどーしてんだ?」

梓「…新入部員の子に作ってもらってます。DTMで」

律「DTM?そんなんやってんの?外国人といい、なんか進んでるなーおい」

梓「その子けっこう変わってる…ていうか謎な子なんですけど、意外とグッとくるいい詩書いてくれるんですよ」

律「私らの時は澪だったからな…。あれはあれで味があるっちゃああるんだけど…」

梓「大学でもあの調子の曲やってるんですか?」

律「…うん」

梓「…どうなんですか?周りの反応というか…」

律「いやそれが実は悪くないんだ。ていうかむしろ評判良いくらいだ」

梓「まぁ…私が言うのもなんですけど良い曲ばっかりでしたからね」

律「梓達はもうやってないの?ふわふわとか」

梓「一応やってますよ」

律「ほうほう。確かボーカルって梓だよな?」

梓「何で知ってるんですか…」

律「唯に聞いた」

梓「ああ…」

律「お前歌得意だったっけ?」

梓「ぶっちゃけ苦手です…」

律「なんでボーカルになったの?」

梓「あれ?そのへんも唯先輩には話してたはずですけど」

律「そこまでは聞いてないな。『あずにゃんがボーカルだってー!すごーい!』としか聞いてない」

梓「あー…話すと微妙に長くなる…ようなならないような…。とりあえずその場の流れ、といいますか…。そういえば唯先輩のボーカルってどうやって決めたんですか?」

律「消去法…かな」

梓「え」

律「唯が立候補してきたっちゃしてきたんだけど、あの時の唯はギターも危なっかしかったからなぁ。最後は『じゃあもう唯でいいや』みたいな?」

梓「よくそれであそこまで何とかなりましたね」

律「まったくだ」

律「でもさ、梓が部長で梓がボーカルって、お前めっちゃ主役のバンドだな」

梓「言われてみれば…そうかもしれませんね」

律「ドラムは誰がやってんの?」

梓「あ、さっき言った菫です。ムギ先輩の妹の」

律「なにぃ?胸のでかいやつにドラマーが務まるのかよ?」

梓「またそこですか!」

律「あーそうだ!思い出したわ!胸の話するために梓呼んだんだった!」

梓「いや、もういいですってそれは」

律「くっそー…せっかく忘れてたのに…」

梓「いいからドラムの話しましょうよ。そういう流れだったじゃないですか」

律「……じゃーその子ドラムどうなの?上手い?」

梓「全くの初心者なので上手くはないですけど筋は良いと思いますよ」

律「初心者なの?じゃあドラムセットどうしたんだよ?」

梓「先輩達の代の部費が余ってたのでそれで買いました」

律「え?いや部費なんてほとんど余ってなかったぞ?確か五円くらいしか…」

梓「でも先生は余ってたって言ってましたし、実際それでドラム買えましたよ」

律「なにソレ!私の知らないところに部費があったってこと?」

梓「そういうこと…なんですかねぇ」

律「マジかよ…。もっとちゃんと部費管理しておけば良かったわ…」

梓「でもおかげでドラム買えましたし、あれがなかったらバンドも中々始められませんでしたし」

律「うーん…まぁそれならいいんだけどさぁ」

律「よし、じゃあ胸の話に戻るわけだが」

梓「しつこいですね…」

律「私は一体どうしたらいいんだろうか」

梓「まさかまだ成長する可能性があると思ってるんじゃないでしょうね」

律「一応ちょくちょく牛乳は飲んでる」

梓「でも成果ないですよね」

律「…だな」

梓「もういいじゃないですか。諦めましょうよ。私はとっくに諦めてますしそっちのほうが人生楽ですよ」

律「後輩に人生諭されちゃったよ…」

梓「それに何にコンプレックスを持つかなんて人それぞれじゃないですか。澪先輩は澪先輩で体重気にしてますし」

律「む…幸と同じ事を…。さては梓、まさかお前も成長して巨乳一味に加わりつつあるんじゃ…」

梓「してませんよ!いやしてないって威張るのもおかしいですけど!」

梓「…あ、すみません。ちょっとトイレ行ってきます」

律「うーい」

五分後

梓「お待たせしました…ってあれ?律先輩?」

律「おーい梓、もう帰るぞー」

梓「あ、はい…。って会計は?」

律「もう済ませたよ。さー帰ろ帰ろ。寮門限あるんだよね」

梓「あ、私自分のぶん払いますよ」

律「いいよいいよ。私が呼んだんだし」

梓「…すみません、ごちそうさまです」

律「おー」

梓「……」

梓「あ…いや、やっぱり払います。今全部払っておきます」

律「いや別に後で利子つけて請求とかしないから!」

梓「…じゃあ…はい。お言葉に甘えて…。ありがとうございます」

律「信用なさすぎだろ私」

ガチャ

店員「ありがとうございました」

律「うー…さみぃさみぃ」

梓「けっこう遅くなっちゃいましたね」

律「だなぁ。送ってこうか?」

梓「あ、いえ、大丈夫です。律先輩こそ門限大丈夫ですか?」

律「走れば間に合う…と思う」

梓「そうですか。じゃあ、失礼します」

梓「あ、唯先輩達にもよろしく言っといてください」

律「おー。じゃあな梓。また今度呼ぶわ」

梓「胸の話ならそのあやめって人にしてくださいね」

律「薄情者め。うらぎりものー!ちんちくりんの風上にも置けんやつだ」

梓「はいはい。じゃあ失礼しますね。また今度」

律「おう。気をつけて帰れよー」


――――

To: さわちゃん
Sub: Re:Re:りっちゃんにお願いがあるんだけど

本文

梓と話してきたぞー!
とりあえず元気そうだった!
ぶっちゃけ部長とか私はよくわかんないけど梓なら大丈夫っぽいと思った!
ていうか言うほど悩んでなさそうだったんですけど

あと部費余ってたならちゃんと教えてよ!

そのうちみんなで遊びに行くわー
じゃ、おやすみー









      おしまい




最終更新:2012年02月05日 20:03