憂「お姉ちゃん、お帰りー」

唯「たーだいまぁ」

憂「ごはん、もう少しで出来るからね」

唯「けほけほ、いつもすまないねぇ」

憂「もう、なに言ってるの、お姉ちゃん」

唯「えへへ」

憂「呼んだら降りて来てね」

唯「はぁい」


~30分後~

憂「お姉ちゃん」

憂「お姉ちゃんてば」

がちゃ

唯「すぅすぅ」

憂「寝てるんだ」

憂「もう、温かいうちに食べて欲しいのに」

唯「すぅすぅ、むにゃ」

憂「寝てるお姉ちゃん、可愛い」ぽっ

憂「まあいいか、温め直せば」

憂「わたしも寝ちゃおっと」

憂「ごめんねお姉ちゃん、お布団入るね♪」


~唯の夢の中~

律「ここに4つのチョコがある」

律「唯は1つだけ選ばなければならない!」

唯「4つ全部はダメなんですか?」にこっ

律「いけません」にこっ

唯「あぅ」

律「さあ選べ!すぐ選べー!」

澪「もちろん、わたしのを選ぶよな」

梓「唯先輩は、わたしのを選ぶに決まってるです」

紬「違うわ、わたしのに決まってる」

律「甘い!どう考えてもわたしのだ」

唯「えぇぇぇぇぇ!?」

唯「え、選ばないとどうなるんですか?」

律「世界が滅びます」にっこり

唯「わたしのせいでっ!?」

律「世界は唯の肩にかかってるぞー!」

唯「重すぎて、沈みそうですぅ」あぅぅ

唯「はっ!?」

唯「でもダメだよっ!」

律「なにがダメなんだー?」

唯「今日はバレンタインデー」

唯「毎年、憂がチョコ用意して待ってくれてるんだよっ!」

澪「別に何個食べたっていいじゃないか」

梓「憂のは、わたしが食べてあげます」

紬「いつもお菓子一杯食べてるじゃない」

律「そんなのが理由になると思ってんのかー?」

唯「ひぃぃ」

律「さぁさぁさぁ!ちゃんと選べ!」

唯「あぅぅ」

がらっ

???「待ちなさい!」

さわ子「唯ちゃんを困らせるのは、やめなさい!」

唯「さわちゃん!?」

律「邪魔する気か、さわちゃん!」

さわ子「困ってる教え子を、放っておくことなんて出来ないわ!」

唯「初めて、さわちゃんが先生らしく見えるよっ!」

さわ子「そうでしょう、そうでしょう」

律「いや、怒れよ」

さわ子「とにかく!唯ちゃんはわたしが守るから!」

唯「ありがとぉ、さわちゃあん」

さわ子「ということで」

唯「ということで?」

さわ子「わたしのチョコを食べなさい!」

唯「えぇぇぇぇぇ!?」

唯「なんてねっ!」

さわ子「え?」

唯「なんとなく、このオチは想像ついてました!」

さわ子「くっ!唯ちゃん成長したわね」

さわ子「このチョコはご褒美よ」

唯「わぁい♪」


唯「はっ!?」

唯「危ない!あやうく食べるとこだった!」

さわ子「ちっ」

律「全然、成長してないじゃん」

梓「唯先輩!このチョコ食べると」

梓「いろんなとこ成長出来ますよ!」

唯「ほ、ほんとにっ!?」


唯「はっ!?」

唯「また危なかったぁ!」

梓「ちっ」

律「ちなみに、どこを成長させたかったんだー?」

唯「え、えっとね」

唯「律っちゃんと、あずにゃんよりはあると思うんだけどぉ」

律・梓「嫌味かぁ!?」

唯「そんなことはいいんだよ!」

唯「ごめん、みんな」

唯「憂のチョコが待ってる、わたしは誰のも選べないんだよっ!」

ぱちぱちぱちぱち

澪「負けたよ、唯」

唯「澪ちゃん」

澪「唯の選択は正しいよ」

澪「ということで、これが正解者に与えられるチョコだ」

唯「やったぁ♪」


唯「はっ!?」

唯「油断もスキもあったもんじゃないよ!」

澪「ちっ」

紬「もうやめましょう」

律「ムギ?」

紬「こんなの軽音部らしくないわ」

紬「とりあえず、落ち着いてお茶にしましょう」

澪「うん、そうだな」

紬「ちなみに今日のお菓子は、チョコレートだから」

唯「わぁい♪」


唯「はっ!?」

唯「いつも通りすぎて、流されるとこだった!」

紬「ちっ」

律「なに言ってんだ」

律「流されるのが、わたし達のキャラじゃん!」

唯「ぬぁっ!?」

唯「は、反論出来ません」がっくり

律「ほら、これ食べちゃえ」

律「楽になるぞ?」にこっ

唯「そうだよね!」

唯「流れに逆らうなんて、わたしらしくないよね!」

唯「わたしは、自分らしさを大切にするよっ!」

律「ほら、あ~ん」

唯「あ~ん」

憂『お姉ちゃん』

憂『お姉ちゃんてば』

唯「!?」

唯「これは、憂の声?」

唯「ごめん律っちゃん」

唯「わたしは自分を変えるよ」

律「なんだと!?」

唯「たとえそこが逆流だろうと」

唯「流れに逆らって、憂の元にたどり着く!」

唯「そして、憂のチョコを食べるんだっ!」

唯「みんな、さよならっ!」

どっぼーん

律「なにすんだ、唯!」

澪「危ないぞ、戻って来い!」

梓「溺れちゃいますよ!?」

紬「無茶はやめて!」

唯(ごめん、わたしはいくって決めたんだ)ごぼごぼ

唯(決めたんだけど)ごぼごぼ

唯(息が、苦し)ごぼごぼ

唯「!?」

唯(ゆ、夢かぁ)

唯(でも、なんか苦しいな)

唯(く、くちがふさがれてる気がする)

唯(なんか柔らかい)

唯(それに、甘い?)

唯(うぅ、目を開けるのがこわひ)びくびく

ぱちっ

唯「!?」びっくぅ

唯(う、憂の唇が重なってるぅ!)

唯(ね、寝てるのかな)

唯(寝てる憂にキスしちゃったぁぁぁ!)がーんっ

憂「ん、んん」

唯「!?」びっくぅ

憂「あ、お姉ちゃん起きた?」

唯「は、ははは、はひっ!」

憂「ごめんね、一緒に寝ちゃった」

唯「そそそ、そうなんだっ!?」

憂「どうしたの?お姉ちゃん」

唯「なな、なんでもありませんっ!」

憂「変なお姉ちゃん」

憂「って、あー!」

唯「な、なにっ!?」

憂「たったいま、12時過ぎちゃった」

憂「14日の内に、チョコ食べて欲しかったのに」がっかり

唯「そ、そっか」

唯「わたし寝てたからぁ」

唯「ごめんね、憂ぃ」あぅぅ

憂「いいよ、わたしも寝てたわけだし」

憂「ちょっぴり残念だけどね」えへへ

唯「はっ!?」

唯「そうだ!チョコ食べる時に味見した!?」

憂「う、うん、したけど」

唯「じゃあわたし食べたよっ、12時前に!」

憂「え?どうやって?」

唯「どうやってって」

唯「!?」

唯(言えるわけないじゃんっ!)がーんっ

憂「ありがと」

憂「嘘でも、元気づけようとしてくれたんだよね」

唯「ち、違うよぉ」

唯「違うんだけど、うぅ」

憂「お姉ちゃん?」

唯「お、怒らない?」

憂「なにを?」

唯「怒らないって、約束してぇぇぇ!」

憂「わ、わかった」たじっ

唯「あ、あああ、あのね」

唯「起きたらね、憂の顔があったの」

憂「うん、わたしも寝てたしね」

唯「えええ、えっとね」

唯「憂の顔が目の前にあってね」

憂「うん」

唯「か、重なってた」

憂「なにが?」

唯「く、くくくく」

憂「く?」

唯「唇が重なってたんだよぅ!」

憂「!?」

憂「えぇぇぇぇぇ!?」

唯「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」

憂「そそ、そっか」

憂「で、でも二人とも寝てたわけだし」

唯「うん、そうなんだけどぉ」

憂「そ、それで、なんで味見したってわかったの?」

唯「あの、その、甘かったから」ぼそ

憂「え?」

唯「唇が、甘かったからっ!」

憂「!?」ぼふっ

唯「う、憂の顔が真っ赤にぃ!」

憂「だ、大丈夫、大丈夫だから」

唯「ほ、ほんとに?」

憂「うん、ほんと」

憂「で、でも良かった」

憂「14日にチョコ食べてもらえたんだね」にこっ

唯(その笑顔が直視出来ませんっ)

憂「それだけでも、良かったから♪」

唯「それはそうなんだけどぉ」

憂「そんなに気にしないで」

唯「あぅぅ」

憂「って言っても無理・・・みたいね」

唯「だってぇ」

憂「お姉ちゃんがそんなだと、こっちも照れるよぉ」

唯「ご、ごみん」しょぼん

憂「じゃ、じゃあ、こうしようよ」

憂「今度はわたしが、お姉ちゃんにキスするから」

唯「へ?」

憂「わたしからキスすれば、もう謝らなくていいでしょ?」

唯「えぇぇぇぇぇ!?」

憂「これでおあいこにしよ」

唯「お、おあいこなのぉ!?」

憂「うん♪」

唯(そ、そっか、この逆流を乗り越えて)

唯(わたしは憂の信頼を取り戻さないといけないんだねっ!)

唯(わたしは、このために、みんなを振り切って来たんだねっ!) ←違います

唯(みんなの犠牲は、ムダにしないからっ!)

唯「わたし、わかったよっ!」

憂「じゃ、じゃあいくね!」

唯「は、はひ」

憂「・・・んっ」

ちゅっ

唯「!?」ぼふっ

憂「えへへ、お姉ちゃんも顔真っ赤」

唯「ぎゃ、逆流って冷たいもんだと思ってたけどぉ」

唯「熱いもんなんだねぇ」よろろ

憂「なにそれ、お姉ちゃん?」

憂「とりあえず、これでおあいこだね」

唯「う、うん、おあいこ」

憂「じゃあ遅いけど、ごはん食べて、チョコも食べてね」

唯「ら、らじゃー」

唯「さ、ささ、先に下いってるね」

がちゃ とんとんとんとん

憂「えへへ、お姉ちゃんとキスしちゃった」ぽっ

憂「んー、唇が甘かったのはたぶん」

憂「おかずの甘露煮を味見したせいだなぁ」

憂「だからお姉ちゃんは唇のことは言わなくて良かったのにね」

憂「でも」

憂「バレンタインってことで、許してもらおっと♪」



END



最終更新:2012年02月15日 00:59