梓 「って……唯先輩どこに電話してるんですか?」
憂 【もしもしお姉ちゃん?】
唯 「う~い~……『め』が……『め』が……」
憂 【ちょっとお姉ちゃん! 目がどうしたの?!】
唯 「『め』が無くなっちゃったよぉ」
憂 【えぇえぇえぇえええ!!!】
梓 「ちょっと唯先輩! そんな言い方したら絶対に憂が勘違いして!」
憂 「お姉ちゃん大丈夫なの?!」
梓 「……ほら、来ちゃった……」
憂 「お姉ちゃんいったい何があったの?! 目は大丈夫なの?!」
梓 「憂、落ち着いて! 実はカクカクシカジカで……だからそんな大袈裟に騒ぐ事じゃ……」
憂 「許さない……」
梓 「え?! ちょ……憂……え~?!!」
憂 「お姉ちゃんを悲しませる人は誰であろうと許さない! 続きは私がします!」
律 「べ……別にいいよ、唯が50個以上答えてるからもう無いと思うし」
憂 「もしお姉ちゃんが言ってる単語だったら教えてください、言い直しますから」
律 「わかった、じゃあ『久慈目(くじめ)』からな」
憂 『メイエルホリド』
律 「はぁ? 何だそれ? 梓知ってるか?」
梓 「いえ……知りませんけど、ちょっと待って下さい、今携帯で調べてみますから」
憂 「ロシアの演劇の演出家ですよ」
梓 「ほんとだ……ちゃんと書いてありますよ」
律 「外国の演出家の名前なのか……さすが憂ちゃんってとこだな……梓、次から難しい単語が出てきたらすぐに調べてくれないか? 無い時だけ教えてくれればいいから」
梓 「はい、分かりました」
律 「じゃあ私の番だな……ど……ど……『胴締め(どうじめ)』
憂 『面心立方格子《めんしんりっぽうこうし》』
律 (何だそりゃ? でも梓が何も言わないって事は辞書に載ってる言葉なんだな……)「えっと『〆(しめ)』」
憂 『目白酸漿(めじろほおずき)』
律 『効き目(ききめ)』
憂 『明窓浄机(めいそうじょうき)』
律 「くっ……『霧雨(きりさめ)』」
憂 『滅鬼積鬼(めっきしゃっき)』
律 『聞き納め(ききおさめ)』
憂 『芽鹿尾菜(めひじき)』
律 (逆に『き』攻めかよ……)『興醒め(きょうざめ)』
憂 「どうしたんです律さん? 不安そうな表情になってますけど……心配しなくても特定の文字で攻めるなんて事しませんから……『明夷待語録(めいいたいごろく)』
律 (まだまだ余裕って事か……)『美し女(くわしめ)』
憂 「なかなか頑張りますね、じゃあ『名臣言行録(めいしんげんこうろく)』
唯 「憂、凄い凄い!」
憂 「えへへ、お姉ちゃんは安心して見ててね」
律 『櫛目(くしめ)』
憂 『迷津慈航(めいしんじこう)』
律 「……『薄目(うすめ)』」
憂 『鳴禽類(めいきんるい)』
律 『色目(いろめ)』
憂 『面形天蛾(めんがたすずめ)』
律 『恵みの雨』
憂 『免疫血清(めんえきけっせい)』
律 (どこまで続くんだよ……)『諫め(いさめ)』
憂 『面角一定の法則《めんかくいっていのほうそく》』
律 『嚔(くさめ)』
憂 『目塞き編み笠(めせきあみがさ)』
律 『賽の目(さいのめ)』
憂 『雌阿寒岳(めあかんだけ)』
律 『毛染め(けぞめ)』
憂 『明六雑誌(めいろくざっし)』
律 『撞木鮫(しゅもくざめ)』
唯 「憂~♪ がんばれぇ~♪」
紬 「遅くなってごめんなさいね、さわ子先生のお話が長引いちゃって……って、あら? 憂ちゃん……唯ちゃんに何か用事でもあったの?」
澪 「何だこの雰囲気は? 盛り上がってると言うかピリピリしてると言うか……いったい何をしてたらこんな空気になるんだ?」
梓 「えっと……実はカクカクシカジカと言う訳で……」
澪 「『しりとり』で意地になるって……律、お前は小学生か!」
紬 「私『しりとり』って初めて見た~♪」
澪 「いや……私は『初めてしりとりを見る人』を初めて見たよ……」
律 「とにかくそう言う事だから邪魔はしないでくれ」
憂 「じゃあ私の番ですね……『命数法(めいすうほう)』
律 『歌会始(うたかいはじめ)』
憂 『迷惑行為防止条例《めいわくこういぼうしじょうれい》』
律 『怒り爪(いかりつめ)』
憂 『明鏡止水(めいきょうしすい)』
律 『斎女(いつきめ)』
憂 『明暗順応(めいあんじゅんのう)』
律 『氏女(うじめ)』
憂 『明正天皇(めいせいてんのう)』
澪 「なぁ梓……何て言うか、凄いしりとりだな……」
梓 「えぇ、憂はあえて簡単な『明治天皇』を言わない事で律先輩に余裕を見せ付けてプレッシャーを掛けてるんですよ」
紬 「真剣な表情のりっちゃんと憂ちゃん……す・て・き」
澪 「えっと……自分の世界に行っちゃったムギは置いといて……さっきから梓は何を調べてるんだ?」
梓 「これですか? これは憂が言う言葉が難しすぎるから本当に辞書に載ってる単語なのか調べてるんですよ」
澪 「なるほど、確かに憂ちゃんの言う単語って聞いた事ないものが多いしな」
梓 「と言う事で澪先輩も審判手伝ってください」
律 『魚の目(うおのめ)』
憂 『メシェ天体(てんたい)』
律 『射目(いめ)』
憂 『メモリーカード』
律 『土留(どどめ)』
憂 『メモリースロット』
律 『通り雨(とおりあめ)』
憂 『メモリーオーバーレイ』
律 『家雀(いえすずめ)』
憂 『メモリースティック』
律 『糞真面目(くそまじめ)』
憂 『メモリーモジュール』
澪 「ちょっと待って憂ちゃん! その『メモリー○○』って言うのは少しずるいような気がするんだけど」
憂 「そうですか? だったら別に言い替えても構いませんよ……じゃあ『メルカトル図法(ずほう)』で」
律 『牛込(うしごめ)』
憂 『メソポタミア文明(ぶんめい)』
律 『伊賀専女(いがとうめ)』
憂 『メタクリル樹脂(じゅし)』
律 『仕事納め(しごとおさめ)』
憂 『メチルメタンスルフォネート』
澪 「なぁ梓……憂ちゃんの言ってるのって何語なんだ?」
梓 「さぁ? とにかく調べてみましょう」
律 『綴じ目(とじめ)』
憂 『メフメットパシャソコロビッチ橋(はし)』
律 (どこの橋なんだよそれ!)『姑(しゅうとめ)』
憂 『メタンハイドレート』
律 『取り決め(とりきめ)』
憂 『メソトリウム』
律 『娘(むすめ)』
憂 『メタボリックシンドローム』
律 『群雀(むれすずめ)』
憂 『メタスタビリティー』
律 『一味の雨(いちみのあめ)』
憂 『メラニン色素(しきそ)』
律 『総元締め(そうもとじめ)』
憂 『メゾソプラノ』
律 『鋸鮫(のこぎりざめ)』
憂 『瞑座(めいざ)』
律 (えっと……『ざ』……『ざ』で始まって『め』で終わる言葉……何か無いか……もっと考えろ)
澪 「……なぁ律……『しりとり』なんだから別に『め』で返さなくても普通に『ざ』で始まる言葉を言えばいいんじゃないのか?」
律 「駄目なんだよ! これはもうそんな単純な事じゃなくて『め』で返せるか、そして『め』で答えられるかって言う意地なんだ!」
梓 「それってもう『しりとり』じゃないような気がしますけど……」
律 (何か無いか?……『ざ』……『ざ』……)
紬 『ザーネトルテフロッケン』
律 「え??」
憂 「紬さん??」
紬 「あら、『ん』が付いちゃったから私の負けね♪」
律 「ちょ……ムギ! 何を言ってるんだよ」
紬 「負けた罰としてお茶を淹れるから少しだけ待っててくれるかしら♪」
唯 「罰って……ムギちゃんいつもお茶淹れてくれてるじゃない……それより『ザーネトルテフロッケン』って何?」
紬 「うふふ、今日持ってきてるお菓子の名前よ♪ さぁ、みんなで仲良く食べましょ♪」
梓 「賛成ですぅ!」
澪 「よし! 『しりとり』はムギの負けで終わりだな!」
律 「そ……そんな中途半端な」
紬 「たくさんあるから憂ちゃんも食べて行ってね」
唯 「わぁ~いムギちゃんありがとう! 憂、一緒に食べよ」
憂 「う……うん」
梓 「ちょっと唯先輩! 一人で何個も取らないでくださいよ!」
唯 「いいじゃないのよぉ」
律 「…………」
澪 「どうした律?」
律 「あははは、まぁいいか! よ~し、私も食べるぞ!」
紬 「はい、りっちゃんどうぞ♪」
律 『うめ~!』
唯 「め……め……『めんたいこ』」
澪 「いい加減にしろ! また始める気か!」ポカッ!
唯 「いったぁ~い」
律 「あははははは」
と言う事で放課後ティータイムは今日も平和でした。
- おしまい -
他所(に○ファン)に書いた物を少し手直しして投稿致します。
最終更新:2012年02月15日 20:35