こんにちは、平沢憂です。
今日は折角のお休みなのに、一人でお留守番です。

(……暇だなぁ……)


(そうだ、純ちゃんに電話してみよう)

「」ピポパポ

「prrrr prrrr prrr ....」

「」ガチャ

憂「もしもし、純ちゃん?」

純「何?」

(あれ?純ちゃん機嫌悪そう……)

憂「純ちゃんもしかして忙しい?」

純「今ジャズ研の練習中。卒業式の日にミニライブするから追い込み」

憂「そうなんだ……」

純「あ、わかった。唯先輩今旅行中でさびしいから一緒に遊んでほしいんでしょ~」

憂「ち、違うよ。長いお休みでヒマだな~と思って」

純「ま、そういうことにしとくよ。また今度どっかいこ!」

憂「うん。突然電話してごめんね」

純「まぁ、久しぶりに憂の声が聞けから良しとしますか」

憂「もぉ~純ちゃんたら~」

純「またね~」

憂「バイバイ」

(純ちゃんも部活かぁ。…私も何かやればよかったかな~)


(……)


(どうしようかなぁ、お掃除でもしようかなぁ…)

(……お姉ちゃん、卒業旅行楽しんでるかな……)

(……事故にあってないかな、迷子になってないかな、おなかすいてないかな……)

(………お姉ちゃん、もう4日もあってないよ……)

(………さびしいよ、お姉ちゃん……)


「」ピンポーン


(だれだろう、宅配便かな?)


憂「はーい」


「」ガチャ

和「こんにちは」

憂「あ、和ちゃん。こんにちは」

憂「あっ、お姉ちゃんなら今軽音部の皆さんとロンドンに行ってて……」アセアセ

和「クスッ、知ってるわ。今日は憂に会いに来たの」

憂「私に!?」

和「ええ、お母さんが肉じゃが作りすぎちゃってよければおすそわけをと思って……」

憂「ホント? 和ちゃんありがとう」

和「お礼なんていいわよ。余り物だし」

憂「それでも嬉しいよ。本当にありがとう」

憂「……あのね、和ちゃん」

和「何? 憂」

憂「和ちゃんさえよければ肉じゃがのお礼に家でお茶でもどうかな?……なんて……」

和「ええ、そうさせてもらうつもりっだたわよ。お邪魔じゃなかったら」

憂「そんな、お邪魔なんて……和ちゃんならいつでも大歓迎だよ」


リビングルーム

憂「どうぞ、和ちゃん」

和「あら、今日は憂一人?」

憂「そうなの、お父さんもお母さんもロンドンに行っちゃってて……」

和「ロンドンってことはもしかして……」

憂「うん、何かね、お姉ちゃんが向こうで演奏するみたいだから、お姉ちゃんに内緒で見に行くって……」

和「小母さんも小父さんも相変わらずアクティブね……」

憂「それにしてもお姉ちゃんついに世界デビューだよ。すごいね」

和「世界デビューね……。私は唯が世界の恥さらしにならないか心配だわ」

憂「大丈夫だよ和ちゃん。あぁ、私も見に行きたかったなぁ……」

~~~

和「……でね唯ったら……」

憂「アハハ、おねーちゃんたら~も~ ……!」

和「!?」

憂「いけない、もうこんな時間。ごめんなさい、長居させちゃって…」

和「いいのよ。というよりお願いがあるんだけど……」

憂「何? 和ちゃん」

和「今日夕食一緒に食べない?」

憂「え? で、でも……」

和「ご迷惑だったかしら?」

憂「そんな、ご迷惑だなんて……」

和「じゃあ決まりね」

憂「(今日の和ちゃんなんだか強引。でも久しぶりに和ちゃんと一緒にごはんが食べれてうれしい!)」

憂「じゃあ、今から御飯の支度するね、ちょっとまってて」

和「まって、私も一緒に手伝うわ」

憂「ありがと、和ちゃん。じゃあお願いするね」


夕食中

憂「和ちゃん」

和「何?」

憂「ありがとね」

和「何? 突然」

憂「お姉ちゃんがいなくて私がさびしがってると思ってきてくれたんでしょ?」

和「あら、わかっちゃった?」

憂「わかるよぅ。和ちゃんのことなら全部わかる」

和「大した自信ね」

憂「だって和ちゃんは私にとって第2のお姉ちゃんだもん」

和「フフッ、ありがとね。私にとっても憂は大事な妹よ」

憂「ほんと!? うれしい!」

和「ところでさっきの話の続きだけど……。唯がいなくなってさびしい?」

憂「合宿とか修学旅行とか今までもお姉ちゃんがいなかったこともあるし大丈夫」

憂「……和ちゃん……お姉ちゃん大丈夫かな?……」

和「えっ?」

憂「ロンドンで事故にあってないかな?道に迷ってないかな?おなかすかせてないかな?」

和「と、とりあえず落ち着いて、憂。……唯はきっと大丈夫」

憂「どうして言えるの!? だってお姉ちゃんは……」


和「唯には軽音部のみんながいるわ」

憂「!」


和「憂も知っているでしょう?唯のこの3年間」

和「あの子は軽音部の仲間と大事な時間を過ごしてきた」

和「そんな仲間となら、ロンドンも大学もきっとうまくやっていけると思うの」

憂「そうだね……って、そうだ! お姉ちゃんと4月から離れ離れになっちゃうんだ」

憂「どうしよ、ねえ和ちゃん。お姉ちゃん大丈夫かなぁ」

和「だから大丈夫っていったじゃない。むしろ大丈夫じゃないのは憂の方よ」

憂「えっ?」

和「そうやっていつまでも『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って言ってると、いつまでも姉離れできなくなるわよ」

憂「そんな、私はただお姉ちゃんが心配なだけで……」

和「それが問題なの。唯のことを少しは信用しなさい」

憂「お姉ちゃんを……信用?」

和「そう。さっきも言ったけど、憂や私に頼ってばっかだったあの唯にかけがえのない仲間ができた。
 唯は私たちを離れて一人立ちしたのよ。それなのにまだ私たちが信用してないことは唯にとっての侮辱じゃない?」

憂「和ちゃんは……さびしくないの?」

和「親友じゃなくなるわけじゃないんだし、寂しくなるわけないわ。むしろ進んで応援したいところよ(親友がどんどん離れちゃうのよ……寂しくないわけないじゃない)」

憂「……そうだね。お姉ちゃんの旅立ちを応援しなきゃね」

和「(唯のためにね……)」

憂「……でもね。和ちゃん。今日だけは甘えさせて」

和「フフッ。じゃあ今日はお泊りしちゃおうかしら」

憂「やったぁ。和ちゃん。だーいすき」



終わりです。



最終更新:2012年02月20日 20:12