中野梓です、ただいま唯先輩と山デートをしています。
服装は登山ウェアにリュックを背負ったオーソドックスなスタイルです。
まだ登り始めたばかりなんですが…

唯「あずにゃ~んつかれた~おんぶして~」

梓「まだちょっとしか歩いてないじゃないですか。頑張って歩きましょう」

唯「デートしようって言ったのあずにゃんなんだからおんぶくらいしてよ~」

梓「山に行こうって言ったのは唯先輩です」

唯「あずにゃん山に行くの同意したじゃ~ん」

梓「唯先輩もデートに同意したじゃないですか」

唯「ふぃー、あずにゃんには敵わないね」

梓「ふふ、でもいいですね、山も」

唯「あずにゃんと一緒ならね」

梓「同感です」

梓「じゃあ休憩しましょうか」

唯「わーい!ねぇ、おやつ食べてもいい?」

梓「ちょっとだけですよ」

唯「やったー!ポテトチップスコンソメ味!いでよ!」バリッ

梓「なんですかそれ?」

唯「でへへ、ちょっと言ってみただけ」バリボリ

唯「ほい、あずにゃん、あーん」

梓「いいです」

唯「えー食べようよあずにゃ~ん」

梓「だってあーんなんて恥ずかしいですもん」

唯「ここには私とあずにゃんしかいないから恥ずかしがることなんかないよ」

梓「そ、そうですね、えっと、じゃあ食べます」

唯「あーん」

梓「あ、あーん」パクッ

唯「どう、おいしい?」

梓「はい、おいしいです」

唯「そうかいそうかい!どんどんお食べ、あーん」

梓「もうあーんはいいです。自分で食べますから」

唯「あーん、あーん」

梓「もうあーんはいいですって!」


そんなこんなで休憩おわり!

梓「じゃあ登山再開しますよ」

唯「元気百倍だー!うおおおおおおお!!」

梓「その元気がいつまで続くのやら」

唯「心の中でいつまでも続いていくさ」

梓「体力面じゃ続かないってことですか…」

唯「あずにゃん早く来ないと置いてくよー!」

梓「ペース配分を考えてください!」

唯「あー!あずにゃんきてきて!」

梓「なんですか?」

唯「ヘビだよヘビ!」

ヘビ「」

梓「ヘビですね、気をつけてください」

唯「触ってみようっと」

梓「ちょっと!危ないですよ!」

ヘビ「」ガブ

唯「いたああああああい!!!」

梓「大丈夫ですか!?」

唯「咬まれた~(泣)」

梓「この!」

ヘビ「シュルルルル」

梓「あっちいけ!」

ヘビ「」ウネウネ

ヘビは去っていった。


唯「痛い~」

梓「見せてください」グイ

梓「よかった、大した怪我じゃないみたい」

唯「毒が!毒が私を蝕んでゆくううううう!!」

梓「あのヘビはアオダイショウというヘビですので毒はありません」

唯「も、もちろん知ってるよ、ヘビの種類くらい。常識だよ」

梓「はいはい、絆創膏貼りますよ」

唯「あずにゃん、傷口舐めてよ」

梓「イヤです、自分で舐めたらいいじゃないですか」

唯「あずにゃんが舐めないと痛いの治らないの」

梓「関係ありません」

唯「お願いあずにゃん」ウルウル

梓「うぅ…わかりましたよもう!」ペロペロ

唯「くふ、くすぐったい」

梓「これでいいですか?」ペロペロ

唯「うん、ありがとう。傷口舐めてるあずにゃんすごく可愛いよ」

梓「何言ってるんですか!からかわないでください!」

唯「からかってなんかないんだけどなぁ」

梓「じゃあ絆創膏貼りますよ」ペタ

唯「あずにゃんのおかげで痛くなくなったよ」

梓「いいですか、もう何か見つけてもむやみに触ったりしちゃダメですよ」

唯「はーい!」

梓「やれやれ、本当に反省してるんだか」

それからしばらく歩き……

唯「ああー疲れるー足が重いー」

梓「今の地点は大体五合目だから頂上まであと半分ですね」

唯「まだ半分!?ねぇ休憩しようよ」

梓「またですか」

唯「しんどいよ~」

梓「泣き言ばっかり…心の中の元気はどこへ行ったんですか…」

唯「あいつは私を裏切っていったよ」

梓「裏切られて残念ですね」

梓「あっ杖とかあればいいかも」

唯「持ってないよ杖なんて」

梓「その辺にちょうどいい木があるか探してみますか」

唯「あずにゃん悪いけど探してきて。私ちょっとここで休んでるから」

梓「私一人で探すのか…メンドクサイなぁ」

唯「そんなこと言わないで頼むよあずにゃん」

梓「わかりましたよ、じゃあ探してくるんで休んでてください」

唯「ありがとー」

……

唯「あーオシッコオシッコ」ブルッ

唯「あずにゃんがいると恥ずかしくてできないもんね」

唯「今のうちにどっかその辺で…あっ!あの木のかげでしよう」

唯「いやーこれも山登りの醍醐味だね」ヌギヌギ

唯「ふぅ…」ジャージョボボ

梓「唯せんぱーい!どこですかー!?」

唯(うわっ!あずにゃんもう戻ってきた!)チョロロ…

梓「いない…もしかして崖から転げ落ちたんじゃ…!」

唯(あらぬ誤解を招いてしまった!早くしないと!)フキフキ ハキハキ

梓「唯せんぱーい!!」

唯「あずにゃーん!私はここだよー!」

梓「あっいた!もう、心配しましたよ。何をしていたんですか?」

唯「いやぁ…その…ちょっとオシッコを…」

梓「お、オシッコでしたか…」

唯「心配かけてごめんね、あずにゃんがいると恥ずかしくてできなくて」

梓「私に恥ずかしがることなんかないって言ったのはどこの誰でしたっけ?」

唯「あずにゃんのエッチ!」

梓「誰がエッチですか!!」

梓「はい、ちょうど良さそうな木の棒が見つかりましたよ」

唯「おおっいい感じ」コツコツ

梓「これで歩けますね?」

唯「うん!もう楽チンだよ!」

こうして杖を入手した唯先輩は、また途中で泣き言を言いながらも、なんとか八合目まで歩くことができました。

ただいま休憩中です。

梓「さすがに疲れました」

唯「もうヘトヘト…」

梓「唯先輩は最初からヘトヘトでしたけどね」

唯「いや、最初はクタクタ程度だったよ」

梓「一緒ですよね意味」

唯「クターとヘトーじゃどっちの方が疲れた感じがあると思う?」

梓「どっちも変わりませんね」

唯「固いねあずにゃんは」

梓「軟らかいと違いがわかるんですか?」

唯「頭をグニャグニャにしてみなさい」

梓「グニャグニャですか……唯先輩の領域にはとても辿り着けないです」

唯「辿り着けるように頑張ってねあずにゃん!」

梓「頑張らないです」

梓「とにかく、ここまで来たらあと少しです。さっ、張り切って歩きますよ」

唯「よっこいしょ、さて、歩こうかのう…」プルプル

梓「老人ですか」

……

梓「はっ、はっ、はっ」

唯「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

ガサガサ

梓「あっ唯先輩、今キツネがいましたよキツネ!」

唯「キツネか…」

梓「あれ?唯先輩キツネ好きじゃないんですか?」

唯「キツネも好きだけど、どうせならキツネよりイノシシの方が見たい」

梓「イノシシですか……キツネの方が可愛いと思うんですけど」

唯「イノシシの方が可愛いよ!」

梓「そうですか、まあその辺は感性の違いだからなんとも言えませんね」

唯「人それぞれってことだね」

梓「でもイノシシは危険ですからもし見つけても近寄ったりしちゃダメですよ」

唯「イノシシなら大丈夫だよ」

梓「ヘビに咬まれたこと学習しましょうよ」

唯「そうでした…」

ガサガサ

梓「ん?」

イノシシ「」

梓「イ、イノシシ!?」

唯「ウソっ!?どこどこ!?」

梓「唯先輩逃げますよ!」

唯「イノシシ逃げちゃうの!?」

梓「私達が逃げるんです!!」

唯「えーイノシシ見たいー!」

梓「あそこにいるじゃないですか!」ユビサシ

イノシシ「フゴッ」

唯「ふわあ、か、かわいい」

梓「かわいいなんてのん気な…走って一気に逃げますよ」

唯「疲れて走れないよ~」

梓「もう、しょうがないですね、じゃあ刺激しないようにゆっくり逃げましょう」

唯「わかった!」

唯「イノシシくんバイバーイ!」ブンブン

梓「刺激しないでください!」

イノシシは思ったよりもおとなしく、私達を傍観していただけでした。
それから少し歩き、ついに私達は山頂に到着しました。


唯「ついに頂上に着いたんだね…」

梓「ええ、着きましたよ」

唯「長かったーーーー!!」ドサッ

梓「あーあー、そんなところに寝そべって」

唯「だってほんとに疲れたんだもん」

梓「そんなに疲れたんですか。じゃあお弁当食べましょうか」

唯「お弁当!お弁当お弁当!!」

梓「急に元気になりましたね」

唯「お弁当ね、憂が朝早くに起きて作ってくれたんだ」ゴソゴソ

梓「それは当然ですね。唯先輩が朝早くに作れるはずないですもん」ゴソゴソ

唯「そう言うあずにゃんは自分で作ったの?」カパ

梓「はい、そうです」カパ

唯「すごいね」

梓「別にすごくないですよ……って唯先輩お弁当グチャグチャじゃないですか!?」

唯「ほんとだね…」

梓「山登りなんだから崩れるようなお弁当じゃダメですよ。おまけにさっき寝そべってましたし」

唯「憂、ごめんね、せっかく作ってくれたのに…」

唯「あずにゃんはおにぎりだけなんだ」

梓「これなら崩れる心配はないですからね。いただきます」パクパク

唯「私もおにぎりだけならまともだよ、いただきまーす」パクパク

唯「おいしい、崩れててもおいしい、あずにゃんも食べたい?」

梓「自分のだけでいいです」モグモグ

唯「そっかぁ…私あずにゃんのおにぎり食べたいなぁ」

梓「食べますか?」

唯「いいの!?」

梓「じゃあ食べさせてあげますからあーんしてください」

唯「いいよー」

梓「はい、あーん」

唯「あーん」パクッ

唯「」モグモグ

梓「味はどうですか?」

唯「あずにゃんの味がする!すんごくおいしいよ!」

梓「私の味ってどんな味なんですか…?」

唯「うんとねー、おいしい味だよ!」

梓「わからないです。でもこれでさっきの借りは返せました」

唯「さっきの借り?もしかしてポテトチップスの時のこと」

梓「はい、そうです」

唯「ふーん、じゃあ後でまた貸し作ろっかな。そしたらまたあずにゃんにあーんしてもらえるし」

梓「作らせません」パクパク

唯「残念」パクパク

……

梓・唯「ごちそうさまでした!」

唯「じゃあおやつ食べようかな」

梓「そんなに食べてばかりで動けますか?言っときますけど帰りも歩くんですからね」

唯「おやつ程度なら大丈夫だよ」

梓「だといいですけどね」

唯「ポッキーおいしい、あずにゃんも食べる?」ポリポリ

梓「あーんはしませんよ」

唯「あーんよりもっといい方法があるよ」

梓「いい方法?」

唯「こうやって口にくわえて二人で一本のポッキーを食べあうんだよ」ハム

梓「ポッキーゲームじゃないですか!絶対やりません!!」

唯「あずにゃん、私達恋人同士だよね?」

梓「ま、まあそうですけど…それが何か?」

唯「あずにゃんはこんなこともできなくて恋人なんだね?あーあ、私の恋人がポッキーゲームもできない人だったなんてガッカリだなぁ」

梓「ぐぬぬ…こ、今回だけですからね!」

唯「そうこなくちゃ!」

唯「じゃあいくよ」ポリポリ

梓「ん…」ポリポリ

梓(唯先輩の顔がこんなに近くに…唯先輩の息が…なんか変な感じ…)ポリポリ

唯(こうして見ると…あずにゃんってやっぱりかわいいなぁ…本当に…)ポリポリ

梓(唯先輩…)ポー

唯(あずにゃん…)ポー

チュッ

梓・唯「あっ!」

梓(い、今…くちびる触れた…)

唯「ねぇ、あずにゃん…」

梓「はい!?」

唯「キス…」

梓「あのっ!今のはわざとじゃなくて…その…///」

唯「キス…しようよ」

梓「えっ…」

唯「キス…いや?」

梓「………いやじゃないです…」

梓「したいです、唯先輩とキス、したいです!」

唯「もう、照れるよあずにゃん///」


唯「あずにゃん、目つむって」

梓「こうですか?」ツムリ

チュッ

梓(ああ、唯先輩のキスだ…)

チュル チュパ

梓(ちょっとぎこちないけど、それでもとっても優しくて暖かい唯先輩のキス…)

唯「んっ…んっ…」チュッ チュッ

梓(大好きです…唯先輩…)

……

私達はキスを終え、山頂から見える街並みを背景に記念撮影をします。

唯「あずにゃん笑って笑って」

梓「はい」ニコッ

唯「撮るよー、はいチーズ」カシャ

梓「うまく撮れましたか?」

唯「あー私目半開きだ」

梓「もう一回撮り直しますか?」

唯「ごめん、今度こそいい表情するよ!」

唯「はいチーズ」カシャ

梓「どうですか?」

唯「うん!バッチリだよ!」

梓「そうですか、よかったです。じゃあそろそろ下山しましょうか」

唯「帰りも歩くんだったね…」

梓「帰りは下りだから楽ですよ」

唯「そっか、じゃあ気楽に歩こっと」

こうして私達は山を後にしました。

色々あったけど楽しい思い出になりました。

梓「唯先輩」

唯「なに?」

梓「また来ましょうね」

唯「今度は山じゃなくて海がいいな」

梓「山でも海でもどこでも着いていきますよ」


おしまい!



最終更新:2012年03月19日 19:48